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用語集

施工管理技士

せこうかんりぎし

この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150社以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

建設会社の事業規模を左右する国家資格

1級施工管理技士が社内に2名いれば、同時に2つの大規模現場を動かせる。3名に増えれば3現場。この資格者の数が、建設会社の受注キャパシティを実質的に決めています。

施工管理技士は、建設工事の施工計画の作成から工程管理、品質管理、安全管理までを統括的に担う技術者のための国家資格です。建設業法に定める「主任技術者」や「監理技術者」として現場に配置される要件を満たす資格であり、建設会社の技術力を支える根幹的な資格として位置づけられています。

配置義務・許可要件・経審の3つの接点

建設業法では、すべての建設工事の現場に主任技術者を配置することが義務づけられています。さらに、特定建設業者が元請として4,500万円以上の下請契約を締結する工事では、監理技術者の配置が必要です。施工管理技士の資格は、これらの技術者配置要件を満たすための代表的な方法です。

建設業許可の取得・維持に必要な「専任技術者」の要件としても、施工管理技士の資格は広く活用されています。有資格者の人数は、経審のZ評点(技術力)に直接影響するため、企業の公共工事受注力にも直結します。

経営者の視点では、施工管理技士の確保と育成は経営上の最優先課題の一つです。有資格者が不足すれば、受注できる工事の件数や規模に制約が生じ、最悪の場合は建設業許可の維持にも支障をきたします。

1級・2級の違いと「技士補」の位置づけ

施工管理技士は工事の種類に応じて7つの種目に分かれています。土木施工管理技士、建築施工管理技士、管工事施工管理技士、電気工事施工管理技士、造園施工管理技士、建設機械施工管理技士、電気通信工事施工管理技士があり、それぞれに1級と2級が設けられています。

1級施工管理技士は監理技術者および主任技術者になることができ、2級は主任技術者としての資格要件を満たします。1級のほうがより大規模な工事の管理を担えるため、企業の技術力評価においても高く位置づけられています。

受験には一定の実務経験が求められますが、2021年度の制度改正により、1次検定(学科試験に相当)と2次検定(実地試験に相当)が分離され、1次検定合格者には「施工管理技士補」の資格が付与されるようになりました。技士補は監理技術者の補佐として現場に配置でき、人材不足の緩和に寄与する制度として注目されています。

試験は年1回から2回の実施で、合格率は種目や級によって異なりますが、1級の2次検定では概ね30%から50%程度で推移しています。

施工管理技士の活用事例(資格取得支援の効果)

有資格者の育成投資が経営に直結した事例として、従業員40名の建設会社が自社の資格取得支援プログラムを整備したケースがあります。

Before の状況では、1級土木施工管理技士が社内に2名しかおらず、同時に受注できる一定規模以上の工事が実質2件に限られていました。受注の機会損失が年間数千万円規模に上ると試算した経営者が、受験費用全額補助・合格時の一時金(1級は20万円)・資格手当(月額1〜3万円)という支援体制を整備しました。3年間で1級資格保有者が2名から6名に増え、同時稼働できる現場数が増加。公共工事の落札実績も年間3件から8件に拡大したと報告されています。

経審との連動で効果が出た別の事例では、技術者数の増加によりZ評点が大幅に改善し、工事入札参加ランクが一段階上がったことで、より規模の大きな工事への参加資格を得られたケースがあります。Z評点は技術者1人あたりの年収額と資格等級を合算する計算方式となっており、1級資格者の増加は点数に直接影響します。

7種目の特徴と選び方

施工管理技士の7種目は、自社が手がける工事の種類によって取得すべき種目が変わります。

種目対応する主な工事一言ポイント
土木施工管理技士道路、河川、橋梁、ダム公共工事の主力。需要が最も多い
建築施工管理技士建築物全般住宅・非住宅問わず幅広く対応可能
管工事施工管理技士給排水、空調、ガス配管設備系サブコンに必須
電気工事施工管理技士電気設備工事電気工事士と合わせて取得価値大
造園施工管理技士公園、緑化工事官公庁からの発注が多い
建設機械施工管理技士重機を使った工事全般操作資格との組み合わせが実用的
電気通信工事施工管理技士通信設備、光ケーブル工事2019年新設。IT系インフラ需要が追い風

主力事業に直結する種目を最優先で取得し、その後に隣接工事の種目に広げる戦略が効率的です。

受験要件と合格率の目安

受験資格は学歴と実務経験の組み合わせによって異なります。大卒で指定学科を卒業した場合、1級の受験に必要な実務経験は3年以上です。高卒・指定学科の場合は10年以上(非指定学科は11年6ヶ月以上)となり、学歴によって大きく差があります。

2021年度の制度改正により、1次検定(旧:学科試験)と2次検定(旧:実地試験)が独立した試験として再定義されました。1次検定に合格すれば「技士補」資格を取得でき、2次検定の合格によって「技士」資格が与えられます。

近年の合格率の目安(1級)は種目によって異なりますが、1次検定が40〜60%程度、2次検定が30〜50%程度で推移しています。建築施工管理技士の2次検定は合格率が比較的厳しく、十分な対策が必要です。

最新動向(2024〜2026年)

2023年度から2024年度にかけて、1級建築施工管理技士の2次検定の出題形式が変更されました。従来の「経験記述+選択式」から「経験記述の重要度がさらに増した形式」に移行しており、実務経験に基づく記述力がより重要になっています。

インフラ老朽化に伴う維持管理・修繕工事の増加と、能登半島地震等の大規模災害復旧工事の需要増加を背景に、施工管理技士の需要は依然として高い水準を維持しています。特に土木系・建設機械系の技術者不足は慢性化しており、有資格者の市場価値は引き続き高止まりしています。

DXとの関係では、BIM/CIMオペレーターや3次元計測技術の習得と組み合わせた「デジタル施工管理技士」とも言うべき人材の価値が高まっています。施工管理技士の資格に加え、ICT施工のスキルを持つ技術者は、ゼネコンや中堅建設会社で引く手あまたの状況です。

資格取得にかかる費用と学習時間の目安

施工管理技士の受験にかかる費用は、種目や級によって異なります。1級土木施工管理技士の場合、1次検定の受験手数料は10,500円、2次検定は10,500円で、両方を受験する年度は合計21,000円です。これに受験対策用のテキスト代(3,000〜8,000円)、過去問題集(2,000〜5,000円)を加えると、独学の場合で3〜3.5万円程度の費用がかかります。

資格予備校や通信講座を利用する場合、1級の2次検定対策コースで5〜15万円程度が相場です。特に2次検定の経験記述対策では、自分の現場経験を論述形式で書き起こすトレーニングが合否を分けるため、添削サービスのある講座を選ぶ受験者が多い傾向があります。

学習時間の目安は、2級の1次検定で100〜200時間、1級の2次検定で200〜400時間程度と言われています。現場勤務をしながらの受験勉強になるため、試験日の6〜9か月前から準備を開始する計画が現実的です。通勤時間や昼休みにスマートフォンの学習アプリを活用する受験者も増えています。

企業が社員の受験を支援する場合、受験手数料と教材費の全額負担に加え、合格時の報奨金(2級で5〜10万円、1級で10〜30万円)を設定するのが一般的な水準です。資格手当として月額5,000〜3万円を支給する制度も、長期的な人材確保策として効果が報告されています。

3つの技術者区分の違い

「専任技術者」「主任技術者」「監理技術者」の3つは混同されやすい概念です。

専任技術者は建設業許可を取得・維持するために営業所に常駐する技術者で、施工管理技士の資格が要件を満たす方法の一つです。主任技術者は工事現場に配置する技術者で、すべての工事現場に置く義務があります。監理技術者は特定建設業者が元請で4,500万円以上の下請契約をする際に置く上位の技術者です。

建設業許可の維持という観点では、専任技術者が退職または資格が無効になると許可が維持できなくなるリスクがあります。複数の有資格者を育成しておくことがリスクヘッジになります。

中小建設会社への影響

中小建設会社では、施工管理技士の有資格者の数が事業規模を実質的に制約するケースが少なくありません。1人の技術者が専任で配置できる現場は原則1か所であるため、同時に複数の現場を稼働させるには相応の技術者数が必要です。

社員の資格取得を支援する体制づくりが、中長期的な事業成長の鍵を握ります。受験対策の学習費用補助や、合格時の報奨金制度を設けている企業も増えています。資格取得によるキャリアアップや年収への影響は施工管理技士の年収データ年収が上がる資格とROIで詳しく分析しています。また、技士補制度を活用し、若手社員にまず1次検定の合格を目指させることで、将来の有資格者候補を早期に育成する戦略も有効です。

施工管理技士の資格取得支援を制度設計する方法

資格取得支援制度を設計する際には、支援の範囲と条件を明文化することが重要です。「入社後3年以上、正社員であること」「合格した場合は支援費用の返還不要、退職の場合は按分返還」などの条件を就業規則に記載しておくことで、企業としての投資リスクをコントロールしながら支援を継続できます。

試験の難易度と自社の事業優先度を勘案し、「まずは2次検定より1次検定合格(技士補取得)を全員に目指させる」という段階的な目標設定が、特に若手社員の動機付けとして有効です。1次検定合格の段階で月2,000〜3,000円の技士補手当を設けている企業もあり、資格取得への取り組みが報われる仕組みを小さく始める方法として参考になります。

参考情報

よくある質問

施工管理技士の資格は何種目取得できますか?
取得数に上限はありません。自社の業種に合わせて複数の種目を取得することで、対応できる工事の幅が広がります。たとえば、土木と管工事の両方の資格を持つことで、上下水道工事の元請として幅広い対応が可能になります。
施工管理技士補とは何ですか?
1級施工管理技士の1次検定に合格した者に付与される資格です。監理技術者の補佐として現場に配置できるため、監理技術者が2つの現場を兼任することが可能になります。2021年度の制度改正で新設されました。
実務経験がなくても受験できますか?
1次検定は、2級であれば満17歳以上で受験可能な種目もあります。ただし、2次検定には所定の実務経験が必要です。学歴や保有資格によって必要な実務経験年数が異なるため、受験を予定している種目の最新の受験要件を確認してください。

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