この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

測量の外注費が経営を圧迫していた

長野県で河川工事・道路工事を手がけるD土木(従業員22名)にとって、測量コストは長年の経営課題でした。公共工事を主力とする同社では、1件の工事あたり起工測量、出来形測量、完成測量と最低3回の測量が必要になります。年間15件前後の工事を受注する同社の測量外注費は、年間約600万円にのぼっていました。

社長のH氏が転機を迎えたのは、取引先のゼネコンから「次の現場はi-Constructionで」と言われたときのこと。ICT施工の要件としてドローン測量が求められるケースが増え、「外注するなら自社で持ったほうが良いのではないか」と検討を始めたのが2025年の春です。

従来測量との比較 — コストと時間の実態

D土木が外注していた従来のトータルステーション(TS)による測量と、ドローン測量の一般的な比較を示します。

項目従来測量(TS)ドローン測量
1現場あたりの測量費用35〜50万円10〜15万円
測量作業の所要日数3〜5日0.5〜1日
必要な人員3〜4名2名
測量精度(水平)数mm数cm(公共測量基準を満たす)
3Dデータの取得別途作業が必要自動生成
危険箇所の測量人が立ち入る必要ありドローンで安全に実施

従来測量のほうが精度は高いものの、i-Constructionで求められる精度基準はドローン測量で十分に満たせます。コストと時間の差は歴然で、特に広い面積の現場ではドローンの優位性が際立ちます。

導入の意思決定 — 投資回収のシミュレーション

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H社長は導入を判断する前に、投資回収のシミュレーションを行いました。

項目金額
ドローン機体(RTK対応)約180万円
測量用ソフトウェア(年間ライセンス)約60万円
操縦ライセンス取得費用(2名分)約50万円
保険・メンテナンス費用(年間)約15万円
初年度の総投資額約305万円

一方、従来測量の外注費は年間約600万円。自社でドローン測量を行った場合、外注費を年間約240万円(内製化による節減)と見込み、差額の約360万円がコスト削減効果です。初年度は投資額305万円を差し引いても約55万円のプラス、2年目以降は年間約300万円以上のコスト削減が見込めるという試算でした。

このシミュレーションに加え、事業再構築補助金を活用して機体と初年度ソフトウェアの費用をカバーできる可能性があったことが、最終的な投資判断の後押しになっています。

操縦ライセンスの取得

2022年12月に開始された国家資格「無人航空機操縦者技能証明」(通称ドローン国家ライセンス)の取得を、現場監督2名が行いました。

資格区分内容取得期間費用
二等無人航空機操縦士目視内飛行、昼間飛行が可能約2週間(学科+実地)約25万円/名

取得にあたっては、登録講習機関での講習(4日間の実地講習を含む)を受講。学科試験と実地試験を経て、2名とも約2週間で資格を取得しています。

H社長いわく「現場監督なら空間把握能力が高いので、ドローンの操縦は思ったより簡単に身につく」とのこと。実際に、講習機関の指導員からも「建設業の方は飛行経路の計画が上手い」と言われたそうです。

機体選定で重視したポイント

測量用ドローンの選定にあたって、D土木が重視したのは3つの要件です。

1つ目はRTK(リアルタイムキネマティック)対応であること。RTKはGNSS衛星からの信号を補正して高精度な位置情報を取得する技術で、i-Constructionの精度基準を満たすために不可欠です。

2つ目は飛行時間の長さ。D土木の現場は山間部が多く、広範囲を一度に測量する必要があります。1回のフライトで30分以上飛行できる機体を条件としました。

3つ目はメーカーサポートの充実度。故障時の修理対応やファームウェアのアップデートなど、長期的に使い続けるうえでサポート体制は重要な選定要素です。

最終的に、国内での販売実績が豊富でアフターサポートの評判が良いメーカーの測量用RTKドローンを選定しています。

初めてのドローン測量 — 実践の記録

事前準備

ドローン測量を行う前には、飛行計画の作成と関係各所への届出が必要です。飛行エリアの確認、地権者への許可取得、必要に応じた航空局への飛行許可申請を行います。

D土木では、最初の数回は測量コンサルタントに同行してもらい、飛行計画の立て方やGCP(地上基準点)の設置方法、データ処理のノウハウを習得しました。この「伴走型」の立ち上げに約2ヶ月を要しています。

測量当日の作業フロー

D土木が確立した標準的な作業フローを整理します。

手順所要時間内容
GCPの設置約1時間地上基準点を5〜6箇所に設置
飛行計画の最終確認約15分風速、天候、飛行ルートの確認
ドローン飛行・撮影約30分自動航行で写真を連続撮影
撮影データの確認約15分撮影漏れがないか現場で確認
GCPの回収約30分基準点の撤去

現場作業は約2.5時間で完了。従来測量では3〜5日かかっていた作業が、半日で済むようになりました。

データ処理

現場で撮影した数百枚の写真を、専用ソフトウェアで処理して3Dモデル(点群データ)を生成します。データ処理自体はPCが自動で行いますが、処理に8〜12時間かかるため、夜間にセットして翌朝に結果を確認する運用にしています。

生成された点群データから、等高線図、横断図、土量計算書などを出力。これらの成果物はi-Constructionの電子納品にそのまま使えるフォーマットです。

導入後の効果 — 数字で見る変化

導入から10ヶ月が経過した時点での実績です。

指標導入前導入後変化
1現場あたりの測量コスト平均42万円平均15万円64%削減
年間の測量関連コスト約600万円約240万円60%削減
測量の所要日数3〜5日0.5〜1日80%短縮
3Dデータ作成の追加コスト1件20万円0円(自動生成)100%削減
i-Construction対応工事の受注年間2件年間7件3.5倍増

コスト削減と並んで注目すべきは、i-Construction対応工事の受注増です。ドローン測量を自社で持っていることがICT施工の対応力として評価され、元請けからの打診が増加しました。年間の受注高は前年比15%増となっています。

安全性の向上

数字に表れにくい効果として、測量作業の安全性が大幅に向上しました。

従来測量では、急斜面や河川の法面など危険な場所にも測量スタッフが立ち入る必要がありました。過去には法面で転倒して軽傷を負った事故も発生しています。ドローン測量であれば、危険な箇所には人が立ち入らずに上空から測量できるため、転落・転倒のリスクが大幅に低減されます。

H社長は「コスト削減もうれしいが、一番大きいのは社員を危険にさらさなくて済むようになったこと」と話しています。

苦労した点と対策

天候に左右される

ドローン測量の最大の弱点は天候です。風速5m/s以上の日は飛行できず、雨天や降雪時も使えません。D土木の現場がある長野県は冬期に降雪が多く、12月〜2月はドローン測量が難しい期間です。

対策として、天候リスクを見込んだスケジュール管理を行い、測量予備日を設けています。冬期は従来測量を外注で補完する運用にしており、完全にドローンだけに依存しない体制としました。

点群データ処理のスキル習得

飛行自体は比較的早く習得できたものの、撮影後の点群データ処理とCADへの変換は専門的な知識が必要です。測量コンサルタントの伴走支援を受けながら約3ヶ月かけて社内のスキルを育成しました。

特にノイズ除去(樹木や構造物の影響を排除する作業)のノウハウは経験値が重要で、最初の数件は処理のやり直しが発生しています。現在は社内マニュアルを整備し、新しい担当者でも一定品質のデータを出せる体制になりました。

法規制への対応

ドローンの飛行には航空法による規制があり、人口集中地区(DID)の上空や空港周辺での飛行には許可が必要です。D土木の現場は山間部が多いためDID規制にはかかりにくいものの、電力会社の送電線付近での飛行制限など、現場ごとに確認すべき事項があります。

飛行の都度、DIPS(ドローン情報基盤システム)で飛行計画を登録し、必要に応じて包括許可の範囲内かを確認する運用を徹底しています。

H社長インタビュー — 経営視点で見たドローン投資

導入から12ヶ月が経過した時点で、H社長に率直な評価を聞きました。

「一番良かったのは受注が増えたことです。導入前は年間2件しか受注できなかったICT施工対応の工事が、年間7件になった。単価も高く、元請けとの関係も深まる案件が増えた。これはドローンを持っていなければ入れない話ばかりで、コスト削減以上の話です」

苦労した点についても率直に話してくれました。「データ処理のスキルが思ったより大事でした。飛ばすこと自体は3ヶ月でできるようになったけど、点群データのノイズ除去とか、CADへの変換精度を上げるのは経験が必要で、最初の半年は社外のコンサルタントに頼りました。その費用も初期投資に含めて計算すべきでしたね」

長期的な投資判断については次のように話しています。「ドローンは2〜3年で機体が旧型になる。今の機体がどのくらい使えるかは未知数です。ソフトウェアの年間ライセンスも継続費用として見込まないといけません。でも、測量会社に外注し続けるよりは明らかにコストが低い水準です。初期投資を回収したら、買い替えのサイクルでもコスト優位は維持できると思っています」

補助金を活用した初期投資の圧縮

D土木が活用した事業再構築補助金をはじめ、ドローン測量導入に使える補助金・支援制度を整理します。

事業再構築補助金

新たな事業展開や業種転換を支援する経済産業省の補助金で、ドローン測量の導入を「新分野展開」として位置づけて申請するケースがあります。補助率は中小企業で1/2〜2/3、補助上限は申請類型によって異なります。事業計画書の質が審査を左右するため、認定支援機関と連携した準備が重要です。

ものづくり補助金

革新的な生産プロセスの導入を支援する補助金で、ドローン機体・測量ソフトウェア・PC設備が補助対象になります。補助率1/2〜2/3、補助上限は750万円〜(申請類型による)。毎年複数回の公募があるため、次の公募タイミングに合わせて準備を進めることが得策です。

IT導入補助金

測量ソフトウェア(点群処理・CAD変換ソフト)のライセンス費に適用できるケースがあります。機体そのものは対象外となることが多いですが、ソフトウェア部分を切り出して申請する方法が取られています。

出典: 中小企業庁 事業再構築補助金 / 中小企業庁 ものづくり補助金

補助金申請に際しては、認定支援機関(税理士・中小企業診断士・商工会議所など)に相談することが不可欠です。事業計画書の記載内容と実際の投資内容が整合していることが採択の前提条件になります。

ドローン測量の適用工種と活用範囲

ドローン測量が特に効果を発揮する工種と、活用が難しい場面を整理します。

効果が高い工種

土工事・造成工事は、広範囲の地形を3Dデータ化して土量計算を行う場面が多く、ドローン測量との相性が抜群です。切土・盛土の設計と実績の照合をリアルタイムに行えるため、施工精度の管理にも貢献します。D土木の主力である河川工事・道路工事も同様で、護岸の法面や路体の出来形管理にドローン測量が活用されています。

また、斜面崩壊の緊急調査や、進入困難な現場の地形把握では、人が立ち入るリスクを回避しながら詳細なデータを取得できる点が際立っています。

活用が難しい場面

都市部の密集した建物周辺や、高層建築物の近傍は、GPS信号の精度低下や飛行制限区域への該当リスクが高まります。また、橋梁の桁下や地下躯体などのように上空からの撮影が物理的にできない箇所は、従来の測量機器との組み合わせが必要です。

冬期の積雪地帯や台風シーズンの沿岸部では、天候による飛行制限が発生する期間が長くなります。D土木が冬期に従来測量を外注で補完しているように、年間の稼働計画を立てる際に飛行不能期間を考慮することが重要です。

i-Constructionとの連携

国土交通省が推進するi-Constructionでは、ICT活用工事の要件としてドローン測量(UAV測量)が位置づけられています。起工測量から竣工測量まで3Dデータを一貫して活用することで、検査の効率化と品質向上が図れます。

受注現場でi-Constructionの適用が求められる場合、ドローン測量のデータがそのまま提出書類になるため、手続き上の手間も大幅に削減されます。D土木でi-Construction対応工事の受注が3.5倍に増えた背景には、こうした一貫したデータ活用体制の整備があります。

測量を内製化した会社の競争力変化

D土木の事例を通じて見えてくるのは、測量の内製化が単なるコスト削減を超えた競争力の変化をもたらすという点です。

年間600万円の外注費を240万円に削減するだけでも財務的な改善は明確ですが、より大きな変化は受注構造の変化です。i-Construction対応工事は、対応できる会社が限られていたため元請けが取引先を選別する傾向があります。ドローン測量を持っていることが「ICT施工のできる会社」という信頼を与え、従来は声がかからなかった規模の工事への参入機会が生まれました。

年間受注高の15%増という数字は、H社長が当初のシミュレーションには含めていなかった収穫です。投資回収の計算を「コスト削減」だけで行うと、受注拡大という収益面の変化を見落とします。ドローン測量導入を検討する会社は、コスト削減効果と受注機会の拡大の両方を試算することをお勧めします。

また、社員が「ドローンのオペレーター」というスキルを持つことが、採用面でも差別化になりはじめています。建設業のデジタルスキルに関心を持つ若い人材にとって、「ドローン測量ができる職場」は魅力的な要素になります。

同規模の土木会社への実践アドバイス

「年間10件以上の測量案件」を持つ会社は投資回収が早い

D土木(年間測量15件・外注費600万円)のケースで初年度から投資回収できた背景には、測量件数の多さがあります。年間5件以下の案件しかない場合、初期投資の回収に3〜4年かかる可能性があり、外注継続との比較優位が薄れます。まず「自社は年に何回測量を発注しているか」を確認することが出発点です。

地元の測量コンサルタントとの「協業」から始める

D土木が行ったように、最初の2〜3ヶ月は測量コンサルタントに伴走してもらう方法が、リスクを最小化する現実的なアプローチです。完全な内製化を急がず、まずオペレーターのスキルを育成しながら成果物の品質を確保する。「外注ゼロ」を目標にするのではなく「外注コストを60%削減する」という目標設定が現実的です。

機体は最初から測量専用機を選ぶ

コストを抑えようとして汎用ドローンを選ぶと、RTK機能の不足や精度不足から測量データの再取得が必要になるケースが出てきます。最初から測量専用のRTK対応機を選ぶことが、中長期的には費用対効果が高い判断です。機体選定は購入前にメーカーデモの現場立ち会いを依頼し、実際の精度を確認することをお勧めします。

この事例から学べること

D土木の事例が示すのは、ドローン測量の導入は単なるコスト削減策ではなく、新たな受注機会を生む「攻めのDX投資」になりうるということです。i-Construction対応工事の受注が3.5倍に増えたことは、測量コストの削減以上に経営へのインパクトが大きい変化でした。

一方で、機体やソフトウェアへの初期投資は300万円規模と決して小さくありません。補助金を活用して初期投資を抑えるとともに、導入後は社内でスキルを蓄積して外注依存を脱却することが、投資回収を早めるポイントです。

導入を検討する際は、まず「自社の年間測量件数と外注費」を正確に把握することから始めてください。その数字が投資の合否判断の根拠になります。

2年目以降のランニングコストと維持費

D土木の事例で初年度の試算は明らかになりましたが、2年目以降のコスト構造も把握しておくことが重要です。

費用項目年間費用備考
測量ソフトウェア ライセンス更新約60万円毎年かかる継続費用
機体保険・賠償保険約15万円損害保険に加え対人・対物賠償も必須
機体のメンテナンス・消耗品約10〜20万円バッテリー交換・プロペラ交換など
飛行ライセンスの更新・研修約5〜10万円定期的な技量維持訓練
年間継続費用の合計約90〜110万円

2年目以降は年間90〜110万円の継続費用がかかります。それに対して測量外注費の削減額は年間約360万円(D土木の場合)ですから、差し引き250〜270万円のコスト優位が維持できる計算です。機体の耐用年数は4〜6年が目安とされており、その間に再度の機体更新投資が必要になります。

機体更新のタイミングで、より精度が高い次世代機への乗り換えを検討することも有力な選択肢です。ドローン技術の進歩は速く、5年後には現在より高精度・低コストの機体が市場に出ている可能性が高いため、長期的な投資計画を立てる際にはこの更新サイクルも考慮に入れてください。

ドローン測量導入に向けた情報収集の始め方

実際にドローン測量の導入を検討する場合、どのように情報収集・準備を進めるかを整理します。

まず自社の測量実態を数字で把握する

年間の測量件数、外注先への支払い金額、各現場の測量にかかっていた日数と人員数を過去2〜3年分洗い出します。この数字がなければ投資回収のシミュレーションができません。「なんとなく高い」という感覚ではなく、数字で把握することが意思決定の第一歩です。

測量コンサルタントや機材メーカーに相談する

地域の測量会社や機材メーカーには、自社導入の支援をセットで提供しているところがあります。機材販売だけでなく、初期の伴走支援(飛行計画の立て方、データ処理の指導)を提供しているベンダーを選ぶことが、立ち上げ期のリスクを低減します。

公的機関の支援制度を調べる

国土交通省が推進するi-Constructionでは、ICT施工の試行・普及に向けた支援プログラムが整備されています。各地の建設業協会や国土交通省地方整備局では、ICT施工に関する講習会や事例発表会が定期的に開催されており、先行事例から学ぶ機会を得られます。D土木も、地元の建設業協会のICT施工研修会への参加が導入のきっかけの一つでした。

出典: 国土交通省 i-Construction・インフラDX推進コンソーシアム

ドローン測量が建設業にもたらす構造変化

D土木の事例を通じて見えてきた個社の変化は、建設業全体の構造変化の縮図でもあります。

現場の「デジタルツイン化」への入り口

ドローン測量で取得した3D点群データは、現場の地形・構造物を精密にデジタル再現した「デジタルツイン」の基盤になります。このデータに施工管理アプリの工程データ、IoTセンサーの地盤変位データ、BIMの設計データを重ね合わせることで、現場の状態をリアルタイムに監視・管理するシステムが実現します。

大手ゼネコンではこうした統合管理が進んでいますが、基盤となる3Dデータを取得するためのドローン測量から始めることで、中小建設会社も同じ方向に向かって一歩踏み出せます。

技術力の可視化が下請け構造を変える

ICT施工対応の技術力を持つ会社には、一般競争入札に加えて随意契約や優先指名の機会が増えます。従来の「価格だけで選ばれる」下請け構造から、「技術力で選ばれる」関係への移行は、単価の改善と安定受注につながります。D土木がi-Construction対応工事を3.5倍に増やした背景には、この構造変化がありました。

若手人材の確保・定着への貢献

ドローンやICT測量に興味を持つ若い技術者にとって、「最新技術を使える職場環境」は就職先選択の重要な要素になっています。地方の中小建設会社が大手との採用競争で不利を克服するためのツールとして、ドローン測量の導入を「採用ブランディング」の観点から捉える視点も重要です。

まとめ

ドローン測量の導入は、測量コストの削減(年間360万円)、作業時間の短縮(80%)、安全性の向上、そしてi-Construction対応による受注拡大と、多面的な効果をもたらします。

初期投資は大きいものの、年間の測量件数が10件を超える会社であれば、1年目から投資を回収できる可能性が高い施策です。コスト削減だけでなく受注構造の変革という観点でも、ドローン測量は建設業DXの中で最も投資対効果が明確なツールの一つです。

まず「自社の年間測量外注費」を確認することから始めてください。その数字が、投資判断の根拠になります。

ドローンの基礎知識から始めたい方は、建設業のドローン活用ガイドをご覧ください。

ドローン測量がもたらす現場の変化 — 安全と速さの両立

D土木の事例でH社長が「一番大きいのは安全」と語ったように、ドローン測量の価値はコストと時間の削減だけではありません。

河川の法面や急斜面で転倒・転落のリスクにさらされていた測量スタッフが、上空からの撮影に切り替えることで危険箇所への立ち入りを最小化できます。労働安全衛生上のリスクを定量的に減らすことは、会社の社会的責任という観点でも重要です。建設業の労働災害発生率は全産業平均を上回っており、安全投資としてのドローン測量は合理性があります。

また、測量のリードタイムが3〜5日から半日に短縮されることは、工程管理の柔軟性を大きく高めます。「今日測量して翌日から施工」というスピード感が可能になることで、工期の短縮や突発的な設計変更への対応が格段にしやすくなります。測量のボトルネックが解消されることで、工事全体の生産性が上がる効果は、測量コスト削減の数字には表れない価値です。建設業において「測る」という行為は施工の起点であり、その速度と精度を上げることは工事全体の品質と効率に直結しています。

導入ロードマップ — ドローン測量を始める前に確認すること

D土木の経験をベースに、ドローン測量の導入を検討する際の確認事項をまとめます。

投資判断の前に必ず確認する数字

  • 年間の測量外注件数と外注費合計(過去2〜3年の実績)
  • 現状の測量にかかっている人工数(外注含む)
  • i-Construction対応を求められている案件数・受注できなかった案件数

この3つの数字が明確にならないうちは、投資シミュレーションが根拠を持ちません。

機体選定で見落としがちな確認事項

  • 国内の正規代理店があるかどうか(修理・メンテナンスのサポート体制)
  • RTKモジュールが標準搭載か別途オプションか(追加費用が発生するケースがある)
  • 飛行時間の公称値と実際の飛行時間の差(特に低温時は公称値より20〜30%短くなることがある)
  • 対応している測量ソフトウェアの種類(機体とソフトの相性を事前に確認する)

社内体制の整備

  • 操縦者(国家ライセンス取得)と地上監視員を原則2名体制で確保する
  • 飛行計画作成担当とデータ処理担当を明確にする
  • 社内マニュアルを最初の10件で整備し、担当者が変わっても品質を維持できる体制を作る

参考情報

よくある質問

ドローン測量の導入にはどれくらいの費用がかかりますか?
RTK対応の測量用ドローン機体が約180万円、測量ソフトウェアの年間ライセンスが約60万円、操縦ライセンス取得費用が1名あたり数万〜20万円(二等資格、登録講習機関)です。初年度の総投資額は2名体制で約280〜310万円が目安です。
ドローン測量の精度はi-Constructionの基準を満たしますか?
RTK対応の測量用ドローンを使えば、i-Constructionで求められる精度基準(出来形管理で数cm程度)を十分に満たせます。ただしGCP(地上基準点)の適切な設置が精度確保のカギになります。
ドローンの操縦は難しいですか?
測量用ドローンは自動航行機能を搭載しているため、飛行ルートを事前に設定すれば操縦は比較的簡単です。国家資格(二等無人航空機操縦士)の取得は登録講習機関で約2週間、費用は数万〜20万円です。
ドローン測量で従来測量は完全に不要になりますか?
完全には不要になりません。悪天候時(強風・雨天・降雪)はドローンが飛行できないため、従来測量との併用が現実的です。また高精度が必要な基準点測量は従来のTSで行うのが一般的です。
ドローン測量を導入する際に使える補助金はありますか?
事業再構築補助金やものづくり補助金が活用できる可能性があります。機体購入費やソフトウェアのライセンス料が補助対象になるケースがあるため、最新の募集要項をご確認ください。

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