この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

現場で1日100枚以上撮影した工事写真を、事務所に戻ってからExcelに貼り付けて台帳を作る。撮影そのものより、整理・分類・帳票化に時間がかかっている現場監督は少なくないはずです。国土交通省の調査では、建設業の技術者が書類作成に費やす時間は全体業務の約3割に達するとされており、写真管理はその代表格といえます。

工事写真管理アプリを導入した企業では、写真整理の月間作業時間を20時間以上から3〜4時間に短縮した事例や、写真台帳の作成期間を数日から1日に圧縮した実績が報告されています。この記事では、電子黒板・写真台帳自動生成・電子納品対応の3軸で主要7アプリを比較し、自社に合ったツール選定の判断材料を提供します。

工事写真管理で現場が抱える課題

建設現場における写真管理の課題は、撮影そのものではなく、その後の整理・分類・帳票化に集中しています。一般的な中小建設会社の工事写真管理フローと、それぞれに費やされている時間の目安をまとめました。

工程従来の方法所要時間(月間目安)
写真撮影デジカメで撮影、手書き黒板を設置現場作業の合間に随時
データ転送SDカードをPCに差し替え月4〜8回、1回15〜30分
写真整理・分類フォルダに手動分類10〜20時間
黒板情報の入力Excelに手入力5〜10時間
写真台帳の作成Excelテンプレートに貼り付け5〜15時間
電子納品データ作成専用ソフトで変換工事完了時に数時間〜数日

合計すると、写真整理だけで月20〜55時間の事務作業が発生しているケースが珍しくありません。技術者が2〜3名の中小建設会社では、この負担が残業の直接的な原因になっています。

2024年4月に建設業にも適用された時間外労働の上限規制により、従来のように「残業で書類を片付ける」方法が通用しなくなりました。写真管理のデジタル化は、働き方改革対応としても避けて通れないテーマです。建設業の2024年問題と具体的な対策については別記事で詳しく解説しています。

写真整理の時間を8割削減できる理由

工事写真管理アプリを導入すると、電子黒板での撮影時の情報付与、クラウドへの自動アップロード、写真台帳の自動生成により、上記の工程のほとんどが自動化されます。Photoructionの公表データでは「1人あたり月20時間の作業削減」「報告作業99%削減」という実績が示されています。

工事写真管理アプリを選ぶ6つの判断基準

写真管理アプリは製品ごとに得意分野が異なります。「機能が多いアプリ=自社に最適」とは限らないため、以下の6つの基準を軸に比較してください。

電子黒板の操作性と認定

電子黒板(電子小黒板)とは、従来の手書き黒板をデジタル化したもので、スマホやタブレットの画面上に工事名・撮影箇所・日付などを表示して写真と一緒に記録する機能です。

公共工事で電子小黒板を使う場合、J-COMSIA(一般社団法人 施工管理ソフトウェア産業協会)の信憑性確認(改ざん検知機能)検定に合格したアプリを使う必要があります。国土交通省は2017年から工事写真における電子小黒板の使用を全面的に認めていますが、認定を受けていないアプリで撮影した写真は電子納品時に受理されないリスクがあるため注意が必要です。

テンプレートの種類、文字入力のしやすさ、撮影位置の自動挿入機能もアプリごとに差があります。現場で手袋をしたまま操作するケースも多いため、実際に試用して操作感を確かめるのが確実です。

写真台帳の自動生成精度

撮影した写真から自動的に工事写真帳が生成される機能は、写真管理アプリの核心部分です。確認すべきポイントは3つあります。

  • 自社が使用している台帳フォーマット(国交省様式、都道府県独自様式、民間様式)に対応しているか
  • 写真の並び順やレイアウトの自動調整がどの程度利くか
  • PDF・Excel・印刷の各出力形式に対応しているか

電子黒板と連携したアプリであれば、撮影時に入力した情報(工事名、撮影箇所、日付など)がそのまま台帳に反映されるため、転記ミスはほぼゼロになります。

電子納品への対応レベル

公共工事では電子納品が標準化されています。国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」に準拠したデータ出力ができるかどうかは、公共工事を受注する建設会社にとって必須の要件です。

電子納品対応を謳うアプリでも、対応レベルには差があります。写真ファイルのリネーム・フォルダ構成の自動生成まで対応するアプリと、XMLファイルの出力のみ対応するアプリでは、現場の手間が大きく異なります。

クラウド共有とリアルタイム同期

現場と事務所の間で写真をリアルタイムに共有できる機能は、複数現場を掛け持ちする技術者にとって業務効率を左右するポイントです。クラウドストレージの容量制限、同時アクセス数の上限、オフライン撮影時のデータ同期方法を事前に確認してください。

他システムとの連携

施工管理アプリ、BIM/CIMソフト、会計ソフトなど、すでに導入しているシステムとデータ連携できるかどうかも選定の重要な要素です。写真管理だけを単独で導入するより、施工管理アプリと一体で運用したほうが二重入力を防げるケースがあります。

料金体系と費用対効果

料金体系はアプリごとに大きく異なります。月額制・年額制・買い切り制のほか、ユーザー数課金か現場数課金かという違いもあります。

料金タイプ月額目安適した企業規模
無料プラン0円個人事業主・お試し導入
ライトプラン980〜3,960円従業員5名以下の小規模事業者
スタンダードプラン5,000〜15,000円従業員10〜50名の中小企業
エンタープライズ要問合せ(30,000円〜)50名以上・複数拠点

費用対効果を判断する際は、月額費用と「写真管理にかかっていた人件費の削減額」を比較するのがわかりやすい方法です。仮に技術者の時給を3,000円、月20時間の削減効果があるとすると、月6万円分の工数削減になります。月額数千円のアプリであれば、投資回収は導入初月から実現する計算です。

工事写真管理アプリ7選 — 機能・料金比較

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建設業のDX・採用・補助金活用について、無料でご相談いただけます。150プロジェクト以上の支援実績をもとに、御社に合った解決策をご提案します。

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サービス名料金主な機能補助金対応
Photoruction 要問合せ
  • 電子黒板
  • 写真台帳自動生成
  • BIM連携
  • 電子納品
  • AI自動分類
対応
蔵衛門クラウド 月額3,960円〜
  • 電子小黒板
  • 写真台帳
  • AI自動仕分け
  • 電子納品
  • J-COMSIA認定
対応
CheX(チェクロス) 要問合せ
  • 検査写真
  • 図面連動
  • 帳票出力
  • クラウド共有
  • 是正管理
対応
現場DEカメラ 月額980円〜
  • 電子黒板
  • 撮影ナビ
  • 写真台帳
  • 改ざん検知
  • J-COMSIA認定
対応
ミライ工事2 無料プランあり
  • 電子黒板
  • 写真台帳
  • 電子納品
  • 配筋検査
  • 出来形管理
対応
ANDPAD 要問合せ
  • 写真管理
  • 施工管理連携
  • アルバム共有
  • 工程管理連動
  • 日報連携
対応
SiteBox 要問合せ
  • 電子黒板
  • 出来形管理
  • 品質管理
  • 電子納品
  • GNSS連携
対応

各アプリの特徴と導入に向いている企業

Photoruction — AI分類とBIM連携で大規模現場を効率化

建設現場の写真管理に特化したクラウドサービスで、スーパーゼネコンを含む20万件以上の建設プロジェクトで導入されています。

写真管理の中核機能として、AIによる写真の自動分類が目を引きます。撮影した写真の内容(配筋、コンクリート打設、型枠、鉄骨建方など)をAIが自動判定し、工種別のフォルダに振り分けます。手動で数百枚の写真を仕分ける作業がなくなるため、Photoructionが公表している「1人あたり月20時間の作業削減」という数字はこの機能による効果が大きいと考えられます。

写真台帳の自動生成では、国交省様式をはじめとする複数のフォーマットに対応。BIMモデルとの連携機能もあり、3Dモデル上に撮影位置をマッピングできるため、「この写真はどの場所を撮影したものか」が視覚的に把握しやすくなります。

電子納品への対応も充実しており、デジタル写真管理情報基準に準拠したデータを自動生成します。公共工事の比率が高い中堅〜大手建設会社や、BIM/CIMの活用を進めている企業に適しています。

向いている企業: 年間売上5億円以上、従業員30名以上の中堅〜大手建設会社。BIM活用を推進中の企業。

蔵衛門クラウド — 電子小黒板の元祖、認定実績と信頼性

工事写真管理ソフトの老舗である蔵衛門シリーズのクラウド版です。月額3,960円からと料金が明確で、中小建設会社でも導入のハードルが低い価格設定になっています。

蔵衛門が業界に先駆けて普及させた「電子小黒板」は、J-COMSIAの信憑性確認検定に合格しており、国土交通省をはじめとする多くの発注者が蔵衛門の電子黒板を正式に認定しています。公共工事を受注する際に「認定済みのアプリを使っている」という点は、発注者への信頼感にもつながります。

2026年版ではAIによる写真の自動仕分け機能が追加され、撮影するだけでクラウド上に写真が共有・整理される仕組みが強化されました。台帳テンプレートも豊富で、各自治体の独自様式にも幅広く対応しています。

向いている企業: 従業員5〜30名の中小建設会社。公共工事を中心に受注しており、電子小黒板の認定実績を重視する企業。

CheX(チェクロス) — 検査写真と図面連動に特化

図面と写真を連動させた検査記録に強みを持つアプリです。図面上のポイントをタップして写真を撮影すると、自動的にその箇所と紐づけて記録されます。

配筋検査や仕上げ検査など、「どの箇所をいつ検査したか」の記録が重要な業務で効果を発揮します。撮影ポイントが図面上にピン表示されるため、未撮影箇所の漏れを防ぐ効果もあります。

帳票の自動出力機能では、検査記録をそのまま報告書として出力可能。是正指示を写真にコメントとして付けて共有できるため、現場と事務所の間のやり取りがスムーズになります。

純粋な「写真管理」というよりは「検査業務のデジタル化」に近い位置づけのアプリです。写真台帳の自動生成機能は他のアプリと比べると限定的なため、検査記録と写真管理の両方をこれ1つで完結させたい企業に向いています。

向いている企業: 建築工事の品質検査が多い企業。図面ベースの検査記録を重視するゼネコン・サブコン。

現場DEカメラ — 月額980円から始める工事写真のデジタル化

月額980円から利用できるコストパフォーマンスの高い工事写真管理アプリです。J-COMSIAの信憑性確認検定に合格した改ざん検知機能が標準搭載されており、低価格ながら公共工事にも対応できる信頼性を備えています。

撮影ナビゲーション機能は、工事写真の撮り忘れを防ぐ仕組みとして実用的です。撮影すべきポイントを事前に登録しておくと、未撮影の箇所がリストに表示されるため、工事完了間際に「あの箇所を撮っていなかった」というトラブルを回避できます。

写真台帳の自動生成にも対応しており、国交省様式での出力が可能です。ただし、AI自動分類やBIM連携といった高度な機能は搭載されていないため、大規模現場よりは小〜中規模の現場に適しています。

向いている企業: 従業員5名以下の小規模建設会社、個人事業主。写真管理アプリを初めて導入する企業。

ミライ工事2 — 無料プランありで電子納品までワンストップ

電子黒板から写真台帳、電子納品データの生成までをワンストップで処理できるアプリです。無料プランが用意されており、まずは費用をかけずに試したいという企業にとって参入障壁が低い点が特徴です。

出来形管理や配筋検査の記録機能も搭載されており、公共工事の写真管理を幅広くカバーします。公共工事の電子納品要件に準拠した出力機能を備えているため、工事完了時の納品作業がスムーズに進みます。

ミライ工事の公表事例では、写真台帳の作成期間を「数日から1日」に短縮したケースが報告されています。無料プランは機能制限があるものの、小規模な工事であれば十分な内容です。

向いている企業: 公共土木工事を手がける中小建設会社。コストを抑えて導入したい企業、まずは無料で試したい企業。

ANDPAD — 施工管理と写真管理を一元化

施工管理アプリとして利用社数21.6万社、ユーザー数55万人超と豊富な導入実績を持つANDPADの写真管理機能です。

写真管理を単独で導入するというよりは、工程管理・日報・チャット・図面共有などの施工管理機能と一体で運用する使い方が基本になります。写真と工程が紐づくため、「この写真はどの工程のどの段階で撮影したものか」が一目で把握できる点が他の写真特化アプリにはない強みです。

すでにANDPADを施工管理に導入している企業であれば、追加のアプリを入れることなく写真管理も行えるため、ツール乱立を避けたい場合に合理的な選択です。一方で、写真管理だけの用途でANDPADを新規導入するのはオーバースペックになる可能性があります。

向いている企業: すでにANDPADを導入している、または施工管理アプリの導入と同時に写真管理も整えたい企業。住宅・リフォーム業者。

SiteBox 出来形・品質 — 土木工事の出来形管理に特化

建設システム社(KENTEM)が提供する出来形・品質管理に特化したアプリです。GNSS(衛星測位システム)との連携により、撮影位置の座標情報が自動記録されます。

i-Constructionに準拠した電子納品データの生成に対応しており、ICT施工の結果を写真と座標データで記録・管理できます。2025年度からICT施工が原則化された直轄土木工事においては、座標付き写真データの管理が実質的に必須となっており、SiteBoxはこの要件に正面から応えるツールです。

出来形管理帳票の自動生成機能も搭載されており、測定値を入力すると管理図表が自動作成されます。写真管理だけでなく出来形管理・品質管理まで一体で行える点が、他の写真管理アプリとの明確な差別化ポイントです。

向いている企業: 公共土木工事が主力の建設会社。ICT施工の対応を進めている企業。

工事種別・企業規模で見るアプリの選び方

「機能一覧を見ても結局どれを選べばいいかわからない」という声は多く聞かれます。工事種別と企業規模の2軸で整理すると、選択肢がぐっと絞り込めます。

公共工事 vs 民間工事で求められる機能の違い

工事種別必須の機能あると便利な機能おすすめアプリ
公共土木工事電子納品、出来形管理、GNSS連携i-Construction対応、ICTデータ管理SiteBox / ミライ工事2
公共建築工事電子黒板(J-COMSIA認定)、写真台帳検査記録、図面連動Photoruction / 蔵衛門クラウド / CheX
民間建築工事写真共有、施工管理連携コメント機能、アルバム共有ANDPAD / 蔵衛門クラウド
小規模工事(500万円未満)電子黒板、シンプル操作低コスト、撮影ナビ現場DEカメラ / ミライ工事2(無料)

従業員規模別のおすすめ

従業員5名以下の小規模事業者は、現場DEカメラ(月額980円)かミライ工事2(無料プラン)から始めるのが現実的です。高機能なアプリを導入しても使いこなせなければ意味がありません。「電子黒板で撮影して台帳を自動生成する」という基本的なワークフローをまず定着させてから、必要に応じてステップアップするのが失敗の少ない進め方です。

従業員10〜50名の中小建設会社は、蔵衛門クラウドが第一候補になります。料金が明確で、J-COMSIA認定の信頼性があり、自治体の独自様式にも幅広く対応している点が決め手です。公共工事と民間工事の両方を手がけている場合にバランスがよい選択肢といえます。

従業員50名以上で複数現場を同時進行する企業は、PhotoructionやANDPADのような統合型プラットフォームが適しています。AI自動分類、BIM連携、施工管理連携といった機能が、現場数が増えるほど効果を発揮します。

電子納品の実務 — アプリ導入後の具体的な手順

工事写真管理アプリを導入した後、電子納品までどのような流れで進めるのかを解説します。

1

撮影計画の作成

工事着手前に撮影すべきポイントを一覧化し、アプリの撮影ナビ機能に登録する。国交省の「営繕工事写真撮影要領」を参考に、工種ごとの撮影箇所と枚数を整理します。

2

電子黒板テンプレートの設定

工事名・工種・撮影箇所などの定型情報をテンプレートとして登録。現場でのテキスト入力を最小限にする。発注者が指定する黒板フォーマットがある場合はそれに合わせる。

3

現場撮影とクラウド同期

電子黒板付きで写真を撮影し、Wi-FiまたはLTE環境でクラウドに自動同期する。オフライン環境で撮影した写真は、通信復帰時に自動アップロードされるアプリが多くあります。

4

写真の分類・整理

AI自動分類機能がある場合はそのまま活用。手動の場合はアプリ上でドラッグ&ドロップでフォルダ分類する。この段階で不要な写真の削除、撮り直しが必要な箇所の確認も行う。

5

写真台帳の生成と確認

アプリの台帳生成機能でPDFまたはExcelを出力。レイアウト・写真の順序・黒板情報の正確性を目視で確認します。発注者の指定様式に合っているかもチェックする。

6

電子納品データの出力

デジタル写真管理情報基準に準拠した形式で写真データとXMLファイルを出力。PHOTOフォルダ内にPICフォルダを作成し、所定のファイル名・フォルダ構成で格納する。

7

チェックツールでの検証

国土交通省が提供する電子納品チェックシステムでデータの整合性を検証。エラーがあればアプリ上で修正し、再出力する。

電子納品の実務で陥りやすい落とし穴

写真ファイルのExif情報(撮影日時・GPS座標)が改変されていると、納品時に「改ざんの疑い」として差し戻されるケースがあります。写真の回転・トリミングだけでもExif情報が書き換わるアプリがあるため、J-COMSIA認定の改ざん検知機能がついたアプリを選ぶのが安全です。

i-Construction 2.0と工事写真管理の関係

国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」は、2040年度までに建設現場の省人化3割・生産性1.5倍を目標に掲げた方針です。工事写真管理は、このi-Construction推進の中で重要な位置を占めています。

2025年度からのICT施工原則化が写真管理に与える影響

2025年度から、直轄土木工事の土工と河川浚渫工でICT施工が原則化されました。従来は「ICTを活用すると工事成績評定で加点される」という時代でしたが、現在は「使って当たり前」のフェーズに移行しています。

ICT施工の原則化に伴い、施工データの電子的な記録・管理が標準業務となりました。工事写真もその一環として、座標情報付きのデジタルデータでの管理が求められます。紙の黒板とデジカメの組み合わせでは、このデータ要件に対応しきれません。

写真管理アプリとICTデータの統合

SiteBoxのようにGNSS連携機能を持つアプリであれば、撮影位置の座標情報が自動記録されるため、ICT施工のデータ管理要件に自然に対応できます。PhotoructionのBIM連携も、3Dモデル上に撮影位置をマッピングすることで同様の効果を得られます。

i-Constructionの対応を本格的に進める場合は、写真管理アプリ単体ではなく、3次元測量データやICT建機のデータと連携できるシステム全体の設計が必要になります。BIM/CIMの導入ガイドも参考にしてください。

導入企業の実例 — 写真管理アプリで何が変わったか

工事写真管理アプリの導入による具体的な変化を、企業規模別に紹介します。

従業員8名の土木工事会社 — 蔵衛門クラウド導入

導入前は、現場監督が1人で写真撮影から台帳作成まで担当しており、月15時間以上を写真整理に費やしていました。蔵衛門クラウドの導入後、電子小黒板付き撮影と台帳自動生成により月3時間まで短縮。削減した12時間は現場巡回と安全管理に充てられるようになり、工事成績評定の点数も向上しました。

導入コストは月額3,960円。年間約47,000円の投資で、月12時間×時給3,000円=月36,000円、年間43万円以上の人件費を削減した計算になります。

従業員45名の総合建設会社 — Photoruction導入

複数現場を同時進行する中堅ゼネコンで、従来は現場ごとに写真管理のルールがバラバラで、台帳の品質にムラがありました。Photoructionを全社導入し、撮影ルールと台帳フォーマットを統一。AI自動分類の活用により、写真整理の工数が全社合計で月200時間以上削減されました。

BIM連携機能により、設計変更時に「変更箇所の写真がどこにあるか」をBIMモデル上ですぐに検索できるようになった点も、管理部門から高い評価を受けています。

個人事業主の電気工事業者 — 現場DEカメラ導入

従業員を雇わず1人で電気工事を請け負っている事業者が、月額980円の現場DEカメラを導入。撮影ナビ機能で撮り忘れがなくなり、「工事完了後に撮り直しのために現場へ戻る」ことがゼロに。台帳作成も自動化され、月の事務作業時間が約8時間減少しました。

デジタル化・AI導入補助金を活用した導入費用の削減

工事写真管理アプリの導入は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象です。補助金を活用することで、導入コストを実質的に半額以下に抑えられる可能性があります。

補助金の概要と対象要件

項目内容
補助対象ITツール(クラウドサービス含む)の導入費用
補助率1/2〜3/4(申請枠により異なる)
補助上限額50万〜450万円(申請枠により異なる)
対象企業中小企業・小規模事業者

今回紹介した7つのアプリはいずれもデジタル化・AI導入補助金の対象となる可能性がありますが、年度ごとに登録ツールや補助率が変更される場合があります。2026年度の最新情報はデジタル化・AI導入補助金の公式サイトで確認してください。

補助金の申請手順や建設業での活用方法については、建設業のIT導入補助金活用ガイドで詳しく解説しています。

補助金で導入コストを半額以下に

補助率1/2の枠で申請した場合、年間ライセンス費用の半額が補助されます。蔵衛門クラウド(月額3,960円=年額約47,520円)であれば、実質年額2万円台で導入可能。申請には「gBizIDプライム」のアカウントが必要で、取得に2〜3週間かかるため、早めの準備がおすすめです。

導入前に確認しておくべき注意点

写真管理アプリの導入は比較的ハードルが低いDX施策ですが、いくつかの落とし穴があります。事前に把握しておくことで、導入後の「こんなはずではなかった」を防げます。

現場のネットワーク環境

クラウド同期を前提とするアプリは、現場の通信環境に依存します。山間部やトンネル工事など電波が届きにくい現場では、オフライン撮影→後から一括同期に対応しているアプリを選ぶ必要があります。Wi-Fiルーターの導入やキャリアの電波状況も事前に確認してください。

ベテラン職人への定着支援

工事写真管理アプリの導入で最も多い失敗パターンは、「若手は使えるがベテラン職人が従来のやり方に戻ってしまう」ことです。対策として、導入初期は操作に慣れたスタッフが現場に同行してサポートする、マニュアルを紙で配布するなど、段階的な移行プランを立てることが有効です。

建設業DXの失敗事例と回避策の記事でも、ツール導入後の定着に関する具体的なノウハウを紹介しています。

データのバックアップと移行

クラウドサービスを利用する場合、サービス終了時のデータ移行手段を確認しておくことが重要です。写真データはJPEG形式で一括エクスポートできるか、台帳データはPDF・Excel形式で出力できるか、契約前に確認してください。公共工事の写真データは工事完了後も一定期間保存が義務づけられているため、バックアップ体制の構築は不可欠です。

参考情報

よくある質問

工事写真管理アプリの費用はどのくらいですか?
無料(ミライ工事2の無料プラン)から月額3,960円(蔵衛門クラウド)程度が中小建設会社向けの相場です。Photoruction・ANDPAD・SiteBoxなどの大規模向けサービスは要問合せで、月額10,000〜30,000円程度が目安になります。デジタル化・AI導入補助金を活用すれば、導入コストを半額以下に抑えられる可能性があります。
電子黒板は公共工事で使えますか?
はい。国土交通省は2017年から工事写真における電子小黒板の使用を全面的に認めています。ただし、J-COMSIA(施工管理ソフトウェア産業協会)の信憑性確認検定に合格したアプリを使用する必要があります。本記事で紹介している蔵衛門クラウド・現場DEカメラなどはJ-COMSIA認定を取得しています。
デジカメの代わりにスマホで撮影しても問題ありませんか?
近年のスマートフォンは画質が向上しており、多くの発注者がスマホでの撮影を認めています。国土交通省のデジタル写真管理情報基準では有効画素数100万画素以上が条件とされており、現行のスマートフォンはこの要件を十分に満たしています。ただし、発注者独自の基準がある場合もあるため事前確認をおすすめします。
AIによる写真の自動分類はどの程度正確ですか?
PhotoructionなどのAI分類機能は、配筋・コンクリート打設・型枠・鉄骨建方といった代表的な工種の判別精度が高く、手動分類の8〜9割の手間を削減できるとされています。ただし、特殊な工種や判別が難しい写真は手動で修正が必要なため、完全自動化というよりは『大幅な時短ツール』として捉えるのが正確です。
2025年からのICT施工原則化で写真管理はどう変わりますか?
2025年度から直轄土木工事の土工・河川浚渫工でICT施工が原則化され、施工データの電子管理が標準化されました。工事写真も座標情報付きのデジタルデータでの管理が求められるようになっており、GNSS連携機能を持つSiteBoxのようなアプリの重要性が高まっています。
既存のデジカメ写真も管理できますか?
はい。ほとんどのアプリがJPEG形式の写真の取り込みに対応しています。過去に撮影した写真をクラウドにアップロードして一元管理することが可能です。ただし、電子黒板情報は後付けできないため、台帳の自動生成機能はアプリで撮影した写真に限定されます。
写真台帳の自動生成はどの程度正確ですか?
電子黒板と連携したアプリであれば、撮影時に入力した情報(工事名・撮影箇所・日付など)がそのまま台帳に反映されるため、転記ミスはほぼゼロになります。写真の並び順やレイアウトの微調整は必要な場合がありますが、ゼロから台帳を作成する場合と比べて作業時間は90%以上短縮されます。
工事写真管理アプリはデジタル化・AI導入補助金の対象ですか?
はい。工事写真管理アプリはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象です。補助率は1/2〜3/4で、最大450万円まで補助されます。ただし、年度ごとに登録ツールや補助率が変更されるため、最新の登録状況は公式サイトで確認してください。

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