この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150社以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

建設業 年収 中央値を調べる人が知りたいのは、平均565.3万円という数字よりも「中小建設会社で働く自分の手取りはどのくらいが現実か」だと思います。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では建設業平均年収は565.3万円ですが、企業規模や地域を分けると見え方が大きく変わります。

本記事では、建設業の年収中央値を450万円台の目安として整理し、平均との違い、企業規模別、地域別、手取り、個人事業主、一人親方、年商10億円規模の社長報酬まで解説します。職種別の大きな比較は建設業 年収データベースもあわせて確認してください。

建設業の平均年収と中央値の違い

平均年収は全員の年収を足して人数で割った値です。中央値は年収順に並べたときに真ん中に来る値です。建設業ではスーパーゼネコンの技術職や役職者が平均を押し上げるため、中小・地方の実感は中央値に近いケースが多くなります。

指標金額目安根拠・読み方
建設業平均年収565.3万円厚労省の産業大分類。月額38.4万円+賞与104.6万円
建設業中央値の目安450万円台職種別・規模別の所定内給与中央値を年収換算して整理
10〜99人規模の平均485.2万円中小建設会社の実感に近い
1,000人以上規模の平均732.5万円大手・ゼネコン層を含む
全産業平均485.0万円前後産業横断の比較基準

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」産業別・企業規模別・職種別第17表。中央値は所定内給与額中央値と賞与水準をもとにケンテク編集部が年収換算。

平均565.3万円を見て「建設業ならみんな500万円台後半」と読むのは危険です。中小企業、地方、職人系、賞与が薄い会社では400万円台が中心になります。反対に、1級施工管理技士を持つ大手ゼネコン技術職や所長クラスは800万円を超えやすく、平均を上へ引っ張ります。

企業規模別 — 中小建設会社の現実

建設業の年収差は企業規模で大きく出ます。従業員10〜99人、100〜999人、1,000人以上を分けると、賞与と役職機会の差がはっきり見えます。

企業規模平均年収月額給与年間賞与中小・地方での読み方
10〜99人485.2万円34.5万円71.2万円中小建設会社の基準値
100〜999人575.8万円39.2万円105.4万円地場上位・中堅に近い
1,000人以上732.5万円48.3万円152.9万円大手・ゼネコン層
建設業全体565.3万円38.4万円104.6万円大手と中小の混合平均

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」建設業・企業規模別データ。

企業規模が大きくなるほど、賞与が厚くなります。月給差もありますが、年間賞与の安定性が年収差を広げます。中小建設会社では、業績が悪い年に賞与が大きく下がる、残業代や現場手当への依存が高い、役職手当が薄いといった事情が重なりやすくなります。

地域別 — 関東・関西・九州・東北・北海道の差

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建設業は地域差が大きい業界です。大都市圏は再開発や民間大型案件が多く、地方は公共工事・維持修繕の比率が高くなります。企業規模が同じでも、地域の案件単価が給与に反映されます。

地域建設業平均年収中小建設会社の中心帯目安特徴
関東550万〜690万円430万〜560万円東京・神奈川で上振れ、周辺県は差あり
関西560万〜710万円430万〜570万円大阪の大型案件が平均を押し上げる
九州480万〜630万円380万〜520万円福岡都市圏と地方部で差
東北480万〜530万円360万〜500万円公共工事・インフラ維持が中心
北海道502.3万円360万〜500万円広域移動と季節性が影響

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」都道府県別・産業大分類データ。中小中心帯は企業規模別データと地域求人から作成した目安。

地方の中小建設会社では、月給は低めでも住居費が抑えられ、地元で働ける利点があります。一方で、年収を上げるには資格や職長化、元請比率の高い会社への転職が必要になりやすい。地域に残るか都市部へ出るかは、額面年収だけでなく手取りと生活コストで判断してください。

月給から手取りを計算する方法

年収を考えるとき、額面と手取りは分けてください。会社員の場合、給与から健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税が差し引かれます。扶養、自治体、賞与、残業代で変わりますが、目安は年収の75〜82%程度です。

額面年収月額総支給の目安年間手取り目安読み方
350万円25万〜29万円270万〜290万円若手・見習い層
450万円32万〜37万円340万〜370万円中小の中心帯
550万円39万〜45万円410万〜450万円職長・主任層
650万円46万〜54万円480万〜530万円1級資格・管理寄り
800万円57万〜66万円580万〜650万円大手・所長候補

出典: 国税庁の所得税、地方税、社会保険料率の一般的な控除構造をもとにした概算。個別の税額は扶養、自治体、賞与配分、保険料率で変動。

手取り計算で見落としやすいのは、賞与の有無です。月給35万円でも賞与が1か月分なら年収455万円、賞与が4か月分なら年収560万円です。求人票を見るときは、月給、固定残業代、賞与実績、資格手当、現場手当を分けて確認してください。

中小建設会社の社員年収の実態

中小建設会社の社員年収は、職種と会社の受注構造で変わります。元請比率が高い会社、公共工事に強い会社、設備や専門工事で単価が高い会社は、中小でも給与を出しやすい。下請中心で価格交渉力が弱い会社は、賞与や昇給が抑えられがちです。

職種中小での年収目安上がりやすい条件
施工管理420万〜650万円1級資格、元請現場、原価管理
現場監督400万〜620万円所長経験、公共工事、協力会社調整
大工・職人330万〜550万円職長化、技能幅、直接取引
営業350万〜600万円民間開拓、積算理解、紹介獲得
事務・総務280万〜450万円建設業経理、労務、安全書類

出典: 厚労省企業規模別・職種別統計、公開求人、ケンテク編集部の中小建設会社支援での確認観点をもとにした目安。

中小では、残業代依存の年収になっている会社もあります。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、長時間労働で年収を作るモデルは続きにくくなっています。基本給、資格手当、役職手当、賞与で年収を作れているかが、会社の健全性を見るポイントです。

個人事業主・一人親方の手取り

個人事業主や一人親方は、売上と手取りが一致しません。会社員なら会社が負担している社会保険や労災の一部を、自分で払う必要があります。

年間売上経費・保険・税金控除後の手取り目安状態
500万円300万〜370万円稼働日数や経費で大きく変動
700万円420万〜520万円生活は安定しやすいが保険負担あり
900万円530万〜660万円取引先分散と税務管理が必要
1,200万円680万〜850万円外注・材料・車両費で差が出る

出典: 国税庁の個人事業主所得計算、厚生労働省の一人親方労災特別加入制度、公開保険料・必要経費の一般的水準をもとにした概算。

売上900万円の一人親方と、会社員年収650万円は、生活に使えるお金が近くなることがあります。独立するなら、単価だけでなく、未入金、けが、車両故障、道具更新、税金の支払い月まで見込んだ資金繰りが必要です。

年商10億円規模の建設会社社長の年収目安

建設会社の社長年収は、社員給与とは別物です。役員報酬は、会社の利益、借入、将来投資、税務、金融機関対応で決めます。年商10億円でも、利益率が低ければ役員報酬を大きく取れません。

年商規模社長報酬の目安条件
1億〜3億円600万〜1,200万円社長が現場・営業を兼ねる
3億〜10億円1,000万〜2,000万円元請比率、粗利、借入返済で変動
10億円前後1,500万〜3,000万円目安利益率と内部留保を見ながら設定
30億円以上2,000万円超の余地組織化・管理職層・財務体制が前提

出典: 中小企業庁の中小企業実態基本調査、法人税務上の役員報酬設計、LMP支援先の中小建設会社での確認観点を一般化。個社が特定される数値は非掲載。

社長報酬は高ければよいわけではありません。金融機関は、役員報酬、営業利益、借入返済、自己資本を見ます。社長が報酬を取りすぎて会社に資金が残らないと、採用、設備投資、賞与の原資が弱くなります。

LMP支援先の中小建設会社の役員報酬実態

編集部注: このセクションは、LMP支援先で見た役員報酬レンジを個社が特定されない形で抽象化しています。公開前にClaude側で、実際の年商帯・利益率・役員報酬レンジの追加確認をお願いします。

支援先で見られる傾向は、年商だけで社長報酬が決まらないことです。粗利率が高く、元請比率が高く、現場管理者が育っている会社は、社長が現場から離れても利益が残ります。反対に、社長が営業・積算・現場監督を兼ねている会社は、年商が大きくても報酬を上げにくい場面があります。

見る項目報酬に与える影響改善の方向
粗利率役員報酬と賞与原資を決める原価管理、追加変更、見積精度
元請比率価格決定力に影響直接受注、紹介、公共工事
管理者層社長依存を下げる現場代理人、工事部長の育成
資金繰り報酬を安定させる入金サイト、借入、内部留保
採用力成長余地を作る給与表、評価制度、求人改善

出典: LMP支援先の中小建設会社における経営改善・採用支援の確認観点。個社名・個人名は非掲載。

社員が年収を上げたい場合も、会社の粗利構造を見ることは有効です。利益が残らない会社では、本人が努力しても昇給余地が限られます。求人票だけでなく、元請比率、賞与実績、資格手当、評価制度を確認しましょう。

中小建設会社の社員が年収を上げる3つのルート

中小建設会社で働く社員が年収を上げるには、資格化、大手転職、独立の3つがあります。どれが正解かは、年齢、家族、地域、体力、リスク許容度で変わります。

ルート年収への影響目安向いている人注意点
資格化年6万〜100万円超の評価差現職で上げたい人会社に手当制度があるか確認
大手・中堅転職50万〜200万円の上振れ目安転勤・大型案件に対応できる人働き方と選考難度を確認
独立上限は広がる営業・税務・保険も担える人売上と手取りは別

出典: 厚労省統計、主要建設会社の資格手当・採用情報、個人事業主の所得試算をもとにした目安。

資格化は最も堅実です。1級施工管理技士、建築士、建設業経理士など、会社の受注力や管理力に効く資格は評価されやすい。転職を視野に入れるなら、建設業のキャリアアップと年収を上げる方法で市場価値の整理をしておくと判断しやすくなります。

手取りを増やす会社選びのチェックポイント

中小建設会社で手取りを増やすには、額面年収だけでなく給与の中身を確認する必要があります。固定残業代が多い求人、賞与実績が曖昧な求人、資格手当がない求人は、入社後に伸び悩むことがあります。

チェック項目見るべき内容理由
基本給固定残業代を除いた金額昇給・賞与・退職金の基礎になる
賞与実績何か月分、何年連続か年収差が出る
資格手当対象資格と月額努力が給与に反映される
休日年間休日、代休取得残業代依存を避ける
評価制度昇給条件、役職基準交渉材料が見える

出典: 公開求人、厚労省統計、ケンテク編集部の採用支援での求人票監査項目。

働き方と給与の両方を見るなら、建設業のホワイト企業の見分け方も確認してください。年収が高く見えても、休日が少なく、固定残業代が厚く、賞与が不安定なら、手取りと生活の質は上がりにくくなります。

中小建設会社で年収が伸びる会社の特徴

中小建設会社でも、年収を上げやすい会社と伸びにくい会社があります。差が出るのは、元請比率、粗利率、評価制度、資格手当、管理者層の厚さです。元請比率が高い会社は価格交渉力を持ちやすく、利益を給与や賞与へ回しやすい。下請中心でも、専門性が高く単価交渉できる会社は年収を出しやすくなります。

評価制度がある会社も伸びやすい傾向があります。社長の感覚だけで昇給が決まる会社では、社員が何を頑張ればよいか分かりません。資格、担当工事金額、粗利、工期、安全、若手育成、顧客評価など、給与に結びつく項目が明示されている会社は、本人も年収アップの道筋を描きやすくなります。

年収が低く見えても実質的に悪くないケース

地方の中小建設会社では、額面年収が都市部より低くても、実質的に悪くないケースがあります。家賃が低い、通勤時間が短い、転勤がない、家族の支援を受けやすい、地域内で顧客関係を積めるといった要素は、手取り感に影響します。額面だけで都市部と比べると、生活全体の評価を誤ることがあります。

ただし、低い年収を生活コストだけで正当化するのも危険です。資格を取っても手当がない、役職が上がっても給与が変わらない、賞与が長年出ていない、休日が少ない会社は、将来の伸びしろが限られます。地域に残るなら、地域内で相対的に待遇がよい会社を選ぶ視点が必要です。

手取りを増やす交渉材料

中小建設会社で昇給交渉をするなら、「生活が苦しい」だけでは通りにくいことがあります。会社が評価しやすい材料に変えることが大切です。資格を取得した、担当工事金額が増えた、粗利を改善した、追加変更を取れた、若手を育てた、安全指摘を減らした、公共工事の書類を任せられるようになった。このような成果は給与に結びつけやすい。

交渉前には、過去1年の担当案件、売上、粗利、残業、資格、改善実績を整理します。会社が給与を上げるには原資が必要です。自分の働きが利益や受注力にどう貢献したかを示せると、単なるお願いではなく、処遇改善の相談になります。職務経歴書を作るつもりで社内実績を整理すると、転職時にも役立ちます。

個人事業主化を選ぶ前の比較

会社員から一人親方・個人事業主へ移ると、売上は増える可能性があります。ただし、会社員時代に会社が負担していた社会保険、労災、事務、営業、道具、車両、未入金リスクを自分で持つことになります。年収が100万円上がったように見えても、手取りや安定性は下がる場合があります。

独立前には、会社員の額面年収、手取り、会社負担の社会保険、退職金、休日、事故時の補償と、独立後の売上、経費、保険、税金、稼働日数を並べて比較してください。独立は悪い選択ではありませんが、手取り計算をせずに踏み出すと、忙しいのに生活が楽にならない状態になりがちです。

ケース別に見る年収シミュレーション

中小建設会社の社員の年収は、同じ職種名でも担当範囲によって大きく変わります。低位、中位、上位を分けて考えると、自分が次に何を伸ばすべきかが見えます。ここでの金額は、公的統計と公開求人を土台にした目安であり、個人の能力や会社の給与規程で上下します。

ケース年収・所得目安状態次に見る指標
低位300万〜450万円賞与が薄い小規模会社の若手・一般社員基本技能、稼働日数、社会保険
中位450万〜700万円資格を持つ職長・主任・現場代理人資格、担当範囲、賞与実績
上位700万〜1,000万円超の余地元請比率の高い会社の管理職・経営幹部候補役職、取引先、管理責任
改善途上現職比50万〜150万円の上振れ目安資格化、大手転職、独立、管理職化を進める段階職務経歴と証拠の整理

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」、公開求人、各社有価証券報告書、ケンテク編集部の求人分析をもとにした目安。

低位の人がすぐ上位へ飛ぶのは難しいですが、中位へ移る道は比較的はっきりしています。資格を取る、担当範囲を広げる、評価される現場に入る、手取りを削る要因を減らす。この4つのうち、どれが自分に足りないかを確認してください。高い年収を実現している人は、技能だけでなく、管理、説明、記録、交渉を持っています。

年収が伸びない典型パターン

中小建設会社の社員で年収が伸びない人には、いくつか共通点があります。代表的なのは、額面年収だけを見て、手取り・休日・賞与実績を確認しないことです。建設業の給与は、経験年数だけで自動的に上がるものではありません。会社にとって配置価値が上がる、取引先から指名される、現場の利益を守れる、若手を育てられるといった形で、給与の根拠を作る必要があります。

もう一つのパターンは、社内評価に必要な記録を残していないことです。現場では毎日忙しく、終わった仕事を振り返る時間が取りにくい。それでも、担当案件、工事金額、工期、改善した点、取得資格、トラブル対応は記録しておくべきです。年収交渉や転職活動の場面で、記録がある人と記憶だけの人では説得力が変わります。

年収が伸びない会社に長くいることもリスクです。資格を取っても手当がない、職長になっても給与が変わらない、賞与の基準がない、休日が少なく残業代で年収を作っている会社では、本人の努力が収入に反映されにくい。会社を責める前に、給与が伸びる仕組みがあるかを冷静に確認しましょう。

転職・独立前に集めるべき証拠

転職や独立で年収を上げる人は、経験を証拠に変えるのが上手です。中小建設会社の社員の場合、特に使いやすい証拠は、資格、担当工事金額、粗利改善、元請経験、評価面談の記録です。これらを職務経歴書、ポートフォリオ、面接資料、社内面談メモとして整理しておくと、給与交渉の材料になります。

数字があると評価者は判断しやすくなります。「大型現場を担当」より「工事金額3億円、協力会社12社、工期10か月の現場で工程・安全・品質を担当」のほうが伝わります。「腕には自信がある」より「年間20棟の造作を担当し、是正指摘を減らした」のほうが強い。職人系でも技術職でも、経験を数字に翻訳することが重要です。

独立を考える場合は、さらに取引先、支払いサイト、保険、税務、道具、車両、未入金時の資金繰りを確認します。独立後の年収は、単価ではなく継続受注と利益管理で決まります。売上が増えても、経費と税金で手取りが残らなければ意味がありません。

会社側が給与表を作る場合の考え方

中小建設会社が給与表を作る場合、世間相場だけを見ても使いにくいことがあります。大切なのは、自社の利益構造に合う形で、技能、資格、役職、担当範囲を給与に結びつけることです。たとえば資格手当だけでは、資格を持っているが現場を任せられない人と、資格は少ないが粗利を守れる人の差がつきません。

給与表には、基本給、資格手当、役職手当、現場手当、賞与評価を分けて置くと説明しやすくなります。社員にとっても、何を伸ばせば年収が上がるかが分かります。採用市場では、給与額だけでなく「昇給の根拠がある会社」が選ばれやすくなっています。求人票で年収レンジを出すなら、どの経験・資格・役割でそのレンジに入るのかを併記してください。

3年単位で見る年収改善プラン

年収改善は、1年で完結させるより3年で設計したほうが現実的です。1年目は現状把握と資格・記録の整備、2年目は担当範囲の拡大、3年目は昇給交渉または転職・独立判断という流れです。焦って会社を変える前に、自分の市場価値を上げる材料がそろっているかを確認してください。

1年目にやることは、給与明細、賞与明細、資格手当、残業時間、休日、担当案件を整理することです。2年目は、上位資格、職長、所長補佐、取引先対応など、給与の根拠になる役割を取りに行きます。3年目に、社内で評価されるなら残り、評価されないなら外へ出る。この順序なら、感情的な転職ではなく、年収を上げるための判断になります。

数字を見て判断を誤りやすいポイント

中小建設会社の年収を調べると、検索結果には高い年収の事例が目立ちます。けれども、建設業平均565.3万円だけを見て判断すると、実際の待遇とずれることがあります。年収は、基本給、賞与、手当、残業、休日、社会保険、勤務地、担当範囲の組み合わせです。額面が高くても、休日が少なく、移動が多く、手当込みで基本給が低い場合は、長期的な満足度が下がることがあります。

確認すべき項目は、基本給、賞与、手取り、休日、評価制度です。これらを分けて見ると、自分の年収が低いのか、手取りが低いのか、働き方の負荷が高いのかが整理できます。同じ500万円でも、賞与が安定している500万円と、残業・休日出勤に依存する500万円では意味が違います。同じ700万円でも、転勤が多い700万円と、地元で家族と暮らせる700万円では選び方が変わります。

もう一つの落とし穴は、年収上限だけを見ることです。求人票の上限は、経験者、資格保有者、管理職、特殊案件を想定していることがあります。自分がその条件に当てはまるかを見ないまま応募すると、面接後の提示額が想定より低くなります。求人票では「上限」より「自分の経験ならどのレンジに入るか」を確認してください。

家族・生活コストまで含めた手取り感

建設業の年収は、生活コストとの相性も大きいです。都市部へ移れば年収が上がる可能性はありますが、家賃、駐車場、通勤、単身赴任、帰省費が増えることがあります。地方に残れば額面は抑えられても、住居費が低く、家族の支援を受けやすく、地域で長く働ける利点があります。転職や独立の判断では、年収だけでなく年間の可処分所得を見てください。

可処分所得を計算するときは、税金と社会保険だけでなく、仕事に必要な自己負担も入れます。車両、工具、作業着、資格講習、出張時の食費、通信費、保険料などです。会社員なら会社が負担しているものが、独立後には自分の負担に変わることもあります。手取りの計算をせずに額面だけで比べると、思ったほど生活が楽にならないことがあります。

年収を上げる前に整えるべき順序

年収を上げたいときは、転職、資格、独立のどれか一つを急ぐより、順序を決めるほうが成果につながります。現在の給与内訳を把握し、足りない資格や経験を埋め、実績を数字で残し、そのうえで社内交渉か転職を選ぶ。この流れを踏むと、提示額が上がりやすくなります。

社内に昇給余地があるなら、いきなり退職を考える必要はありません。評価制度があり、資格手当があり、役職に応じた給与表がある会社なら、1年単位で年収を上げられる可能性があります。反対に、制度がなく、何をしても給与が変わらない会社なら、資格取得後に外へ出るほうが合理的です。

読者別の次の行動

20代なら、資格と基本技能を固めながら、担当した現場を記録してください。30代なら、職長・主任・所長補佐のように、責任範囲を広げる動きが必要です。40代以降なら、管理、育成、原価、取引先対応を持てるかが年収維持の鍵になります。

採用担当者や経営者が読む場合は、相場より少し高い給与を出すだけでなく、なぜその給与になるのかを説明できる制度を作ってください。求職者は年収データを見ています。根拠のある給与表、資格手当、評価基準、賞与実績を示せる会社は、採用でも定着でも有利になります。

よくある質問

建設業の中央値と平均年収は何が違いますか?
平均年収は全員の年収を足して人数で割った値で、スーパーゼネコンや管理職など高年収層に引っ張られます。中央値は年収順に並べた真ん中の値で、中小・地方の実感に近い指標です。本記事では建設業の中央値を450万円台の目安として整理しています。
中小建設会社の年収平均はいくらですか?
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、建設業の10〜99人規模の平均年収は485.2万円です。職種や地域で差があり、施工管理は420万〜650万円、大工・職人は330万〜550万円、事務・総務は280万〜450万円程度が目安です。
建設業の手取りはどう計算すればよいですか?
会社員の場合は、額面年収から健康保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税を差し引きます。扶養や自治体で変わりますが、手取りは額面の75〜82%程度が目安です。個人事業主や一人親方は経費、保険、税金を自分で引く必要があります。

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