この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150社以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

鳶職 年収は、見習い、1人前、職長、親方で大きく変わります。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、鳶職に近い「建設躯体工事従事者」の平均年収は506.0万円です。ただし、足場鳶、鉄骨鳶、重量鳶、送電線鳶では単価もリスクも違います。

本記事では、公的統計を土台に、年代別、段階別、雇用形態別、専門分野別に鳶職の年収を整理します。独立して1,000万円を目指すルートも扱いますが、売上と手取りを分け、労災・社会保険・取引先確保まで現実的に見ていきます。職種横断の比較は建設業 年収データベースを参照してください。

鳶職の年収の全体像 — 平均506.0万円を基準に見る

鳶職は厚労省統計では「建設躯体工事従事者」に含まれます。令和6年調査では、建設躯体工事従事者の平均年収は506.0万円、月額給与は36.8万円、年間賞与は64.2万円です。建設業全体平均565.3万円より低いものの、大工の448.7万円より高い水準です。

比較対象平均年収・目安月額給与読み方
全産業平均485.0万円前後33.0万円前後産業横断の平均
建設業全体565.3万円38.4万円技術職・職人・事務職を含む
建設躯体工事従事者506.0万円36.8万円鳶・鉄筋などに近い職種分類
見習い鳶300万〜400万円日給月給が多い技能習得段階
職長・親方600万〜1,000万円目安手当・請負で変動班を持つと上振れ

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」建設躯体工事従事者データ、公開求人、専門工事会社の募集条件をもとにした目安。

鳶職は危険度が高く、技能と安全意識が年収に直結します。高所作業ができるだけでなく、足場計画、玉掛け、クレーン合図、職長教育、安全書類、協力会社調整まで担えると、単価と役職が上がります。

段階別 — 見習い、1人前、職長、親方の年収カーブ

鳶職の年収は、年齢よりも段階で見るほうが実態に近くなります。20代でも職長補佐に入る人は上振れし、40代でも見習いに近い仕事しかできなければ伸びません。

段階年収目安主な役割次の壁
見習い300万〜400万円手元、資材運搬、基本作業安全動作、道具、現場用語
1人前400万〜550万円足場組立、解体、鉄骨建方補助スピードと品質の両立
職長550万〜750万円班の指揮、安全確認、段取り人員管理、元請対応
親方700万〜1,000万円目安班持ち、請負、取引先管理労務、保険、資金繰り
法人化親方役員報酬+利益複数班、営業、採用経営管理が必要

出典: 厚労省職種別統計、公開求人、鳶・土工専門工事会社の採用条件をもとにした目安。

職長に上がると、求められる力が変わります。自分が動けるだけでは足りず、他の職人を安全に動かし、資材を切らさず、工程を守り、元請の指示を現場に落とす必要があります。この段階で年収が一段上がる一方、責任も重くなります。

年代別の鳶職年収

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鳶職は若いうちから稼ぎやすい職種ですが、体力だけに頼ると40代以降の伸びが止まります。職長、親方、施工管理寄りへ広げられるかが分岐点です。

年代社員鳶の目安一人親方・親方の所得目安主な状態
20代前半300万〜420万円独立前が中心見習い、基本技能
20代後半380万〜520万円450万〜650万円1人前、資格取得
30代450万〜650万円550万〜850万円職長、班長、独立検討
40代500万〜720万円650万〜1,000万円親方、複数現場、若手育成
50代480万〜700万円600万〜950万円管理寄り、営業、育成

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」建設躯体工事従事者・年齢階級別データ、公開求人をもとにした目安。

40代以降は、体力勝負から段取り勝負へ移ることが年収維持につながります。足場の組立等作業主任者、玉掛け、職長・安全衛生責任者教育を取り、班を任される側へ移ると、現場に出ながら収入の上限を広げやすくなります。

雇用形態別 — 社員、一人親方、独立親方

鳶職の雇用形態は、年収だけでなくリスクの持ち方が変わります。社員は安定、一人親方は単価、独立親方は経営力が収入を左右します。

雇用形態年収・所得目安強み注意点
社員鳶350万〜600万円社会保険、労災、安定受注給与上限は会社規程に左右される
職長社員500万〜750万円手当、評価、若手育成責任と残業が増えやすい
一人親方所得450万〜800万円単価交渉、稼働の自由保険、税金、道具、車両を自分で負担
独立親方所得700万〜1,000万円目安班持ち、請負、元請との関係労務管理、資金繰り、事故対応が必要

出典: 厚労省統計、一人親方労災特別加入制度、公開求人、専門工事会社の募集条件をもとにした目安。

一人親方になると、日当が上がっても手取りが増えるとは限りません。国民健康保険、国民年金、労災特別加入、賠償責任保険、車両費、道具、税金を自分で負担します。独立判断では、売上ではなく手取りと事故リスクで見てください。

専門分野別 — 足場鳶、鉄骨鳶、重量鳶、送電線鳶

鳶職は専門分野によって単価が変わります。危険度が高い分野、特殊技能が必要な分野、出張が多い分野は上振れしやすい一方、体力負荷や安全責任も重くなります。

分野年収目安特徴上振れ条件
足場鳶350万〜700万円建築・改修で需要が広い職長、作業主任者、班持ち
鉄骨鳶450万〜800万円大型建築、クレーン連携建方経験、玉掛け、合図
重量鳶450万〜850万円機械据付、重量物移動特殊技能、夜間・出張対応
送電線鳶500万〜900万円高所・インフラ保守専門訓練、出張、希少性

出典: 厚労省「建設躯体工事従事者」統計、公開求人、専門工事会社の採用情報をもとにした目安。

高単価分野に移るほど、安全教育と体調管理が重要になります。給与が高いからという理由だけで選ぶのではなく、自分の適性、家族との生活、出張への耐性、会社の安全体制を確認してください。

地域別の鳶職年収

鳶職の単価は、都市部の再開発、大型物流施設、プラント、公共インフラ工事で上がりやすくなります。地方でも送電線、橋梁、プラント保全のように希少性が高い現場では高単価が出ることがあります。

地域社員鳶の目安親方・一人親方の所得目安特徴
首都圏420万〜700万円650万〜1,000万円再開発、改修、物流施設
関西圏400万〜680万円600万〜950万円商業施設、鉄道、再開発
中部圏380万〜650万円550万〜900万円工場、物流、プラント
九州350万〜600万円500万〜850万円福岡都市圏と地方部で差
東北・北海道330万〜580万円480万〜800万円季節性、インフラ、出張

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」都道府県別データ、公開求人の地域別提示年収をもとにした目安。

都市部で年収が上がっても、住居費や移動時間で手取り感が下がることがあります。逆に地方でも、職長として元請・ゼネコンから信頼されている班は安定して仕事を取れます。地域を選ぶときは、単価、稼働日数、移動距離、安全体制を合わせて確認しましょう。

鳶職の年収を上げる3つの分岐点

鳶職の年収は、1人前到達、職長就任、独立判断の3つで大きく変わります。この分岐点を意識せずに年数だけ重ねると、体力負荷だけが増えて収入が伸びにくくなります。

分岐点目安時期年収への影響やること
1人前到達2〜5年日当・月給が上がる基本作業、安全動作、道具管理を固める
職長就任5〜10年手当・評価がつく職長教育、作業主任者、段取り力
独立判断8年以降上限は広がるがリスクも増える取引先、保険、税務、資金を準備

出典: 公開求人、専門工事会社のキャリアパス、厚労省統計をもとにした目安。

一番大きい分岐点は職長です。職長になると、自分の技能だけでなく、班全体の安全と生産性で評価されます。資格取得の費用対効果を見ながら、玉掛け、足場の組立等作業主任者、職長・安全衛生責任者教育、鳶技能士を順に整えると、会社からの評価も転職市場での評価も上がります。

鳶職の独立で失敗しないための準備

独立は年収の上限を広げますが、準備不足だと手取りが残りません。特に労災、社会保険、取引先、資金繰りは、独立前に確認する必要があります。

準備項目確認内容不足した場合のリスク
労災特別加入一人親方として加入する事故時の補償が弱くなる
賠償責任保険物損・第三者被害に備える一度の事故で資金が飛ぶ
取引先2〜3社以上を確保仕事が切れると収入が止まる
資金生活費6か月分を確保入金遅れに耐えられない
税務開業届、帳簿、インボイス対応手取りが読めなくなる

出典: 厚生労働省の一人親方労災特別加入制度、国税庁の個人事業主手続き、建設業実務の確認項目。

鳶職は事故リスクが高い仕事です。独立後に単価が上がっても、事故対応や保険が弱いと事業が続きません。取引先の確保も、知人紹介だけに頼るより、施工実績、資格、保険加入状況を提示できる状態にしておくと安定します。

必要資格と年収への影響

鳶職の資格は、年収を直接押し上げるというより、任せられる作業と職位を広げます。結果として日当、手当、職長登用、独立後の信用に効いてきます。

資格・講習年収への影響目安役割
玉掛け技能講習年数万円〜十数万円の評価目安クレーン作業との連携
足場の組立等作業主任者職長・班長評価に影響足場作業の指揮
職長・安全衛生責任者教育職長登用の前提になりやすい班の安全管理
とび技能士技能の証明公共・大手現場で評価材料
1級建築施工管理技士管理側への転換に有効現場監督・管理職への道

出典: 厚生労働省・労働安全衛生法に基づく技能講習制度、公開求人の資格要件、主要建設会社の資格手当相場。

現場に出続けるなら、玉掛け、足場作業主任者、職長教育を優先したいところです。将来、管理側へ移るなら施工管理技士も選択肢に入ります。資格の難易度と年収貢献度は建設業の資格おすすめランキングで比較できます。

1,000万円を目指す独立ルート

鳶職で1,000万円を目指すなら、単価の高い現場に入るだけでなく、班を持つことが現実的です。自分一人の稼働時間には限界があるため、職長・親方として複数人をまとめ、元請や専門工事会社から継続受注する形が必要になります。

ルート条件年収・所得の見方
高単価一人親方重量鳶、鉄骨鳶、出張対応所得700万〜900万円目安
班持ち親方3〜5人を安定稼働所得800万〜1,000万円超の余地
法人化採用、保険、複数現場管理役員報酬+会社利益
管理職転換施工管理・安全管理へ安定性を高めやすい

出典: 厚労省統計、公開求人、専門工事会社の請負構造、ケンテク編集部の業界ヒアリング観点をもとにした目安。

1,000万円という数字だけを追うと、稼働を詰め込みすぎる危険があります。鳶職では安全を削って収入を取りに行く判断は長続きしません。保険、休み、若手育成、取引先分散を整えたうえで、持続する所得を作ることが重要です。

鳶職の給与で確認したい日給と月給の違い

鳶職の求人には、日給制、日給月給制、月給制が混在しています。日給が高く見えても、雨天、現場都合、移動日、待機日が多いと月収は下がります。月給制は安定しやすい一方、残業や休日出勤の扱いを確認しないと、実働に対して割に合わないことがあります。年収を見るときは、日給だけでなく年間稼働日数で計算してください。

たとえば日給18,000円で月22日稼働なら月39.6万円、年収換算では475万円前後です。ここに賞与や手当があるかで大きく変わります。日給20,000円でも月18日稼働なら月36万円です。単価だけでなく、現場の安定性、移動距離、手当、保険、賞与を合わせて見ないと、実際の年収は読めません。

安全体制は年収と同じくらい重要

鳶職は高所作業を伴うため、安全体制の弱い会社を選ぶと、短期的に収入が高くても長く働けません。安全帯、フルハーネス、足場点検、朝礼、KY活動、職長教育、労災対応、健康診断が整っているかは、年収と同じくらい重要です。事故が起きたときに本人だけでなく家族の生活にも影響します。

安全に投資している会社は、元請やゼネコンからの信頼も得やすく、結果として仕事が安定します。単価の高い現場ほど安全書類や資格要件も厳しくなるため、資格と安全意識を持つ鳶職は評価されやすい。高収入を目指すほど、安全を軽視しない会社を選ぶ必要があります。

親方になる前に必要な数字管理

親方になると、現場で動けることに加えて数字を見る力が必要になります。人件費、交通費、車両費、道具、保険、待機日、入金サイトを管理しないと、売上があっても利益が残りません。班を持つ場合は、若手の教育コストや欠勤時の穴埋めも考えます。

請負金額から、何人で何日かかるか、移動費はいくらか、道具や消耗品はいくらか、事故や手直しが起きた場合にどこまで自社負担かを計算します。ここを曖昧にしたまま独立すると、忙しいのにお金が残らない状態になりやすい。親方の年収は、技能だけでなく見積と労務管理で決まります。

体力に頼りすぎないキャリア設計

鳶職は若いうちから稼ぎやすい一方、体力負荷の高い仕事です。40代、50代でも安定して稼ぐには、職長、安全管理、施工管理、若手育成、営業、見積の力をつける必要があります。現場に出続けるとしても、段取り側へ回れるかどうかで年収の維持しやすさが変わります。

早い段階で職長教育や作業主任者を取り、現場の安全と工程を見られる人になると、年齢を重ねても評価されます。独立しない場合でも、会社内で職長、工事部の管理者、安全担当に移る道があります。鳶職のキャリアは、体が動くうちに次の役割を作ることが大切です。

ケース別に見る年収シミュレーション

鳶職の年収は、同じ職種名でも担当範囲によって大きく変わります。低位、中位、上位を分けて考えると、自分が次に何を伸ばすべきかが見えます。ここでの金額は、公的統計と公開求人を土台にした目安であり、個人の能力や会社の給与規程で上下します。

ケース年収・所得目安状態次に見る指標
低位300万〜450万円見習い・手元作業中心の若手基本技能、稼働日数、社会保険
中位450万〜700万円1人前の鳶職・職長補佐資格、担当範囲、賞与実績
上位700万〜1,000万円超の余地班持ち親方・高単価分野の職長役職、取引先、管理責任
改善途上現職比50万〜150万円の上振れ目安職長就任、特殊技能、班持ち独立を進める段階職務経歴と証拠の整理

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」、公開求人、各社有価証券報告書、ケンテク編集部の求人分析をもとにした目安。

低位の人がすぐ上位へ飛ぶのは難しいですが、中位へ移る道は比較的はっきりしています。資格を取る、担当範囲を広げる、評価される現場に入る、手取りを削る要因を減らす。この4つのうち、どれが自分に足りないかを確認してください。高い年収を実現している人は、技能だけでなく、管理、説明、記録、交渉を持っています。

年収が伸びない典型パターン

鳶職で年収が伸びない人には、いくつか共通点があります。代表的なのは、日給だけを見て、稼働日数・保険・事故リスクを見落とすことです。建設業の給与は、経験年数だけで自動的に上がるものではありません。会社にとって配置価値が上がる、取引先から指名される、現場の利益を守れる、若手を育てられるといった形で、給与の根拠を作る必要があります。

もう一つのパターンは、社内評価に必要な記録を残していないことです。現場では毎日忙しく、終わった仕事を振り返る時間が取りにくい。それでも、担当案件、工事金額、工期、改善した点、取得資格、トラブル対応は記録しておくべきです。年収交渉や転職活動の場面で、記録がある人と記憶だけの人では説得力が変わります。

年収が伸びない会社に長くいることもリスクです。資格を取っても手当がない、職長になっても給与が変わらない、賞与の基準がない、休日が少なく残業代で年収を作っている会社では、本人の努力が収入に反映されにくい。会社を責める前に、給与が伸びる仕組みがあるかを冷静に確認しましょう。

転職・独立前に集めるべき証拠

転職や独立で年収を上げる人は、経験を証拠に変えるのが上手です。鳶職の場合、特に使いやすい証拠は、資格、担当現場、職長経験、班人数、安全管理、取引先です。これらを職務経歴書、ポートフォリオ、面接資料、社内面談メモとして整理しておくと、給与交渉の材料になります。

数字があると評価者は判断しやすくなります。「大型現場を担当」より「工事金額3億円、協力会社12社、工期10か月の現場で工程・安全・品質を担当」のほうが伝わります。「腕には自信がある」より「年間20棟の造作を担当し、是正指摘を減らした」のほうが強い。職人系でも技術職でも、経験を数字に翻訳することが重要です。

独立を考える場合は、さらに取引先、支払いサイト、保険、税務、道具、車両、未入金時の資金繰りを確認します。独立後の年収は、単価ではなく継続受注と利益管理で決まります。売上が増えても、経費と税金で手取りが残らなければ意味がありません。

会社側が給与表を作る場合の考え方

中小建設会社が給与表を作る場合、世間相場だけを見ても使いにくいことがあります。大切なのは、自社の利益構造に合う形で、技能、資格、役職、担当範囲を給与に結びつけることです。たとえば資格手当だけでは、資格を持っているが現場を任せられない人と、資格は少ないが粗利を守れる人の差がつきません。

給与表には、基本給、資格手当、役職手当、現場手当、賞与評価を分けて置くと説明しやすくなります。社員にとっても、何を伸ばせば年収が上がるかが分かります。採用市場では、給与額だけでなく「昇給の根拠がある会社」が選ばれやすくなっています。求人票で年収レンジを出すなら、どの経験・資格・役割でそのレンジに入るのかを併記してください。

3年単位で見る年収改善プラン

年収改善は、1年で完結させるより3年で設計したほうが現実的です。1年目は現状把握と資格・記録の整備、2年目は担当範囲の拡大、3年目は昇給交渉または転職・独立判断という流れです。焦って会社を変える前に、自分の市場価値を上げる材料がそろっているかを確認してください。

1年目にやることは、給与明細、賞与明細、資格手当、残業時間、休日、担当案件を整理することです。2年目は、上位資格、職長、所長補佐、取引先対応など、給与の根拠になる役割を取りに行きます。3年目に、社内で評価されるなら残り、評価されないなら外へ出る。この順序なら、感情的な転職ではなく、年収を上げるための判断になります。

数字を見て判断を誤りやすいポイント

鳶職を調べると、検索結果には高い年収の事例が目立ちます。けれども、親方の売上だけを見て判断すると、実際の待遇とずれることがあります。年収は、基本給、賞与、手当、残業、休日、社会保険、勤務地、担当範囲の組み合わせです。額面が高くても、休日が少なく、移動が多く、手当込みで基本給が低い場合は、長期的な満足度が下がることがあります。

確認すべき項目は、日給、稼働日数、職長経験、安全体制です。これらを分けて見ると、自分の年収が低いのか、手取りが低いのか、働き方の負荷が高いのかが整理できます。同じ500万円でも、賞与が安定している500万円と、残業・休日出勤に依存する500万円では意味が違います。同じ700万円でも、転勤が多い700万円と、地元で家族と暮らせる700万円では選び方が変わります。

もう一つの落とし穴は、年収上限だけを見ることです。求人票の上限は、経験者、資格保有者、管理職、特殊案件を想定していることがあります。自分がその条件に当てはまるかを見ないまま応募すると、面接後の提示額が想定より低くなります。求人票では「上限」より「自分の経験ならどのレンジに入るか」を確認してください。

家族・生活コストまで含めた手取り感

建設業の年収は、生活コストとの相性も大きいです。都市部へ移れば年収が上がる可能性はありますが、家賃、駐車場、通勤、単身赴任、帰省費が増えることがあります。地方に残れば額面は抑えられても、住居費が低く、家族の支援を受けやすく、地域で長く働ける利点があります。転職や独立の判断では、年収だけでなく年間の可処分所得を見てください。

可処分所得を計算するときは、税金と社会保険だけでなく、仕事に必要な自己負担も入れます。車両、工具、作業着、資格講習、出張時の食費、通信費、保険料などです。会社員なら会社が負担しているものが、独立後には自分の負担に変わることもあります。手取りの計算をせずに額面だけで比べると、思ったほど生活が楽にならないことがあります。

年収を上げる前に整えるべき順序

年収を上げたいときは、転職、資格、独立のどれか一つを急ぐより、順序を決めるほうが成果につながります。現在の給与内訳を把握し、足りない資格や経験を埋め、実績を数字で残し、そのうえで社内交渉か転職を選ぶ。この流れを踏むと、提示額が上がりやすくなります。

社内に昇給余地があるなら、いきなり退職を考える必要はありません。評価制度があり、資格手当があり、役職に応じた給与表がある会社なら、1年単位で年収を上げられる可能性があります。反対に、制度がなく、何をしても給与が変わらない会社なら、資格取得後に外へ出るほうが合理的です。

読者別の次の行動

20代なら、資格と基本技能を固めながら、担当した現場を記録してください。30代なら、職長・主任・所長補佐のように、責任範囲を広げる動きが必要です。40代以降なら、管理、育成、原価、取引先対応を持てるかが年収維持の鍵になります。

採用担当者や経営者が読む場合は、相場より少し高い給与を出すだけでなく、なぜその給与になるのかを説明できる制度を作ってください。求職者は年収データを見ています。根拠のある給与表、資格手当、評価基準、賞与実績を示せる会社は、採用でも定着でも有利になります。

鳶職の場合は、安全体制も年収条件の一部として扱ってください。フルハーネス、安全教育、作業主任者の配置、元請の安全基準が整った現場は、短期の単価だけを見ると厳しく見えることがあります。それでも事故で働けなくなるリスクを考えると、安全に投資している会社や取引先のほうが、長期の手取りを守りやすくなります。高所作業を続けるには、収入、休養、装備、教育のバランスが欠かせません。

よくある質問

鳶職の年収相場はいくらですか?
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、鳶職に近い建設躯体工事従事者の平均年収は506.0万円です。見習いは300万〜400万円、1人前は400万〜550万円、職長は550万〜750万円、親方は700万〜1,000万円目安まで幅があります。
鳶職で1,000万円稼げますか?
社員鳶の給与だけで到達するケースは限られます。現実的には、職長から親方になり、班を持って継続受注する、重量鳶・送電線鳶など高単価分野に特化する、法人化して複数現場を管理するルートが必要です。
未経験スタートの鳶職の年収はいくらですか?
未経験の見習いは300万〜400万円程度から始まる求人が多く、地域や会社、日給月給制か月給制かで変わります。2〜5年で1人前になり、玉掛けや足場の組立等作業主任者、職長教育を取得すると年収が伸びやすくなります。

参考情報


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