この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

「ホームページを作りたいが費用がかさむ」「チラシや会社案内を刷新したいが予算が厳しい」「CADやICTツールを入れたいが一歩踏み出せない」。こうした悩みを持つ小規模建設会社・工務店の経営者にとって、小規模事業者持続化補助金は選択肢として真っ先に検討すべき制度です。

補助率は3/4と高く、上限は通常枠で50万円、インボイス特例などの特例枠では最大200万円に達する(特定の枠では250万円まで)。他の補助金と比べて申請書類が少なく、商工会・商工会議所のサポートを受けながら進められる点も、事務負担の重い中小建設会社には大きな利点です。

日本商工会議所の発表では、小規模事業者持続化補助金の採択率は過去複数の公募回で50〜60%台で推移している。建設業は採択実績のある業種のひとつで、マーケティング強化やデジタル化を目的とした計画書が評価されやすい傾向にあります。

出典: 小規模事業者持続化補助金 公募要領・採択結果 — 日本商工会議所

この記事では、小規模建設会社・工務店の経営者・担当者を対象に、持続化補助金の仕組みから申請手順、採択されやすい計画書の書き方まで具体的に解説します。2026年度の最新情報と建設業特有の活用事例も取り上げる。

小規模事業者持続化補助金とは — 対象・上限額・補助率

小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際にかかる経費の一部を補助する制度です。経済産業省・中小企業庁が所管し、商工会議所地区では日本商工会議所が、商工会地区では全国商工会連合会が実施機関として運営している。

制度の目的は「小規模事業者の持続的な発展を支援すること」にあり、2013年度の創設以来、累計で数十万件を超える採択実績があります。建設業・工務店も申請件数の多い業種として知られており、ホームページ制作・チラシ制作・ICTツール導入など幅広い用途で活用されている。

補助率と補助上限額(2026年度)

補助枠補助上限額補助率
通常枠50万円3/4
賃金引上げ枠200万円3/4(赤字事業者は4/5)
卒業枠200万円3/4
後継者支援枠200万円3/4
創業枠200万円3/4
インボイス特例(上乗せ)+50万円(最大250万円)3/4

補助率3/4というのは、100万円の経費に対して75万円が補助されるということです。自己負担は25万円で済む計算になる。

インボイス特例は、免税事業者が2023年10月1日〜2025年9月30日の間にインボイス発行事業者として登録した場合、補助上限額に50万円が上乗せされる特例です。建設業では下請け・一人親方のインボイス対応が急速に広まったため、この特例を活用できる事業者は多く存在します。

対象となる「小規模事業者」の定義

持続化補助金が対象とする「小規模事業者」の定義は業種によって異なる。建設業は「製造業その他」に分類されるため、常時使用する従業員数が20人以下の会社または個人事業主が対象になる。

業種常時使用従業員数
商業・サービス業(宿泊・娯楽除く)5人以下
サービス業(宿泊・娯楽)20人以下
製造業その他(建設業を含む)20人以下

「常時使用する従業員」とは、正社員や無期雇用労働者を指し、短期の日雇い労働者は含まれません。建設業は一人親方・下請け活用が多いため、自社の常時雇用人数が20人以下であれば対象になるケースは多く存在します。役員は含まれないため注意が必要です。

他の補助金との根本的な違い

ものづくり補助金やデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)と比較したとき、持続化補助金の特徴は「小規模事業者に特化した設計」にあります。

ものづくり補助金は設備投資・革新的な製品・サービス開発が目的で、最低賃金引上げや付加価値向上の達成コミットを求められる。申請書の分量も多く、認定支援機関の確認が必要です。これに対して持続化補助金は「販路開拓や業務効率化の取り組み」を幅広く対象にしており、ホームページ制作・チラシ・展示会出展・機器購入など日常的な経営改善の費用を補助できる。

申請書は「経営計画書」と「補助事業計画書」の2点が中心で、商工会・商工会議所の支援を受けながら作成できる体制が整っている。中小建設会社の経営者が「補助金に初めてチャレンジする」場合、持続化補助金は入り口として適している制度です。

建設業が持続化補助金で採択されやすい事業計画の特徴

採択率50〜60%台というのは、申請者の半数以上が採択されることを意味する。しかし裏を返せば、採択されない申請が3〜5割存在する。何が採択・不採択を分けるのかを把握しておくことが重要です。

審査項目と配点の構造

持続化補助金の審査は、公募要領に記載されている審査基準に基づいて行われる。大きく分けると以下の観点で評価される。

  • 自社の経営状況・課題の分析が的確か(経営計画書の質)
  • 補助事業の内容が販路開拓・業務効率化に直結しているか
  • 補助事業の実施によって期待される効果が明確か
  • 実施体制・スケジュールが現実的か

「なぜこの取り組みが必要か」という論理的な根拠と、「取り組みによって何がどう変わるか」という定量的な見通しが審査で重視される。「ホームページを作りたいから補助金を使います」という記述では採択されにくく、「自社の強みと競合との差別化を分析した結果、Web経由の問い合わせが0件であることが課題であり、ホームページ制作によって年間〇件の問い合わせを目指す」という構成が求められる。

建設業で採択されやすい事業計画の3つの特徴

建設業の採択事例を見ると、評価の高い計画書には共通するパターンがあります。

1点目は、「顧客への訴求力の弱さ」を課題として明確に定義していることです。建設業は技術力・施工品質が高くても、顧客が情報収集できる接点が少ない企業が多くあります。施工事例の写真が整理されていない、ホームページが10年前から更新されていない、価格比較される前に断られるといった状況を具体的に描写することで、補助事業の必要性を説得力を持って伝えられる。

2点目は、補助後に継続できる仕組みまで計画書に書き込んでいることです。「チラシを1回刷って終わり」ではなく、「チラシ配布のPDCAサイクルを設計し、反応率に基づいて改善していく」という中長期の運用方針が伴う計画は審査官の印象がよい。

3点目は、数値目標が具体的なことです。「問い合わせが増えることを期待する」ではなく、「補助事業実施後1年以内に新規問い合わせ件数を月5件から10件に倍増させる」のように、現状値と目標値、計測方法を明記した計画は審査が通りやすい。

建設業が計画書に記載すべき「強み」の具体例

商工会・商工会議所の支援担当者によると、自社の強みの記述が曖昧な申請が不採択の多くを占める。建設業で「強み」として書きやすいテーマを以下に挙げる。

  • 施工歴・実績年数(〇〇年の地域密着施工実績など)
  • 資格保有状況(一級建築士・施工管理技士・解体業許可など)
  • 対応できる工種の幅(リフォーム・外構・エクステリア・店舗改装など)
  • 地域特性への対応(積雪地域・海岸近くの塩害対応・軟弱地盤対応など)
  • 施工事例の写真・動画を豊富に保有している強み
  • 迅速な見積もり・現地調査対応

「他社と何が違うのか」を一言で表現できれば、計画書の核になる。

補助枠の種類と建設業に合った選び方

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補助金の活用を相談する

持続化補助金には複数の補助枠があり、自社の状況によって選択できる枠が異なります。補助上限額も枠によって大きく変わるため、どの枠が自社に合うかを最初に確認することが重要です。

各補助枠の詳細と建設業への適合度

通常枠(補助上限50万円)

補助枠の中で最も利用件数が多く、特定の条件を満たさなくてもよい汎用的な枠です。ホームページ制作・チラシ・DM送付・展示会出展など、販路開拓に関する幅広い経費が対象になる。50万円の上限内で取り組める施策を計画する場合はこの枠から検討する。

インボイス特例の適用があれば上限は100万円になる。小規模な工務店や一人親方が初めて持続化補助金を申請するケースでは、通常枠+インボイス特例の組み合わせが現実的な選択肢です。

賃金引上げ枠(補助上限200万円)

事業場内最低賃金を申請時点の地域別最低賃金より50円以上高く設定している、または補助事業期間終了時点で50円以上引き上げることを条件に、補助上限が200万円になる枠です。

人手不足が深刻な建設業では、賃金を引き上げて技能者を確保したいと考える経営者は多い。すでに地域最低賃金+50円以上を払っているか、賃上げを計画している場合は、通常枠ではなく賃金引上げ枠を選ぶことで補助額を一気に拡大できる。

赤字(直近1期の決算が赤字)の事業者は補助率が4/5に上がるため、採算が厳しい時期にこそ活用を検討する価値があります。

卒業枠(補助上限200万円)

補助事業実施によって「小規模事業者」の定義を超える規模(建設業なら従業員21名以上)に成長することをコミットする枠です。「会社を大きくしながら補助金を活用したい」という成長段階の建設会社向けで、採択件数は限られるが、規模拡大を具体的に計画している会社には有力な選択肢になる。

後継者支援枠(補助上限200万円)

アトツギ甲子園(中小企業庁が主催する後継者のビジネスプランコンテスト)への応募、または都道府県知事から「後継者」として認定・推薦されている者が対象になる。建設業でも事業承継のタイミングで補助金を活用し、新しい顧客層の開拓や社内システムの刷新を行うケースがあります。

創業枠(補助上限200万円)

産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業」による支援を受けた後、2023年1月以降に開業した小規模事業者が対象です。独立した職人や元大手建設会社の社員が工務店として独立した場合など、創業後に販路開拓のための投資が必要な時期に活用できる。

インボイス特例の適用確認

インボイス特例は、2023年10月1日〜2025年9月30日の間に免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)に転換した事業者に、補助上限額を50万円上乗せする特例です。

建設業では元請けから「インボイスに対応しないと取引を続けられない」というプレッシャーを受けてインボイス登録した下請け・一人親方が多く、この特例の対象になるケースが広くある。自社のインボイス登録年月日が上記期間内かどうかを確認してほしい。

インボイス特例は枠の選択とは別に適用されます。通常枠にインボイス特例が加わると補助上限100万円、賃金引上げ枠に加わると250万円になります。インボイス登録の時期を確認してから申請枠を選ぶと、受け取れる補助額が大きく変わります。

建設業での活用事例 — ホームページ・チラシ・CADソフト導入

持続化補助金で補助の対象になる経費は広い。建設業でよく活用されるカテゴリと、実際の活用事例を紹介します。

補助対象となる経費の種類

経費区分具体的な例建設業での活用頻度
広報費ホームページ制作・更新、チラシ・会社案内の制作、SNS広告高い
展示会等出展費建設・住宅関連の展示会への出展費用中程度
旅費販路開拓のための国内・海外出張費低い
開発費新サービス・新製品の開発費(試作品含む)中程度
資料購入費補助事業に必要な書籍・資料低い
雑役務費アルバイト・パートの人件費(補助事業に従事した分)中程度
借料展示会会場・機材レンタル費低い
設備処分費補助事業を行うための既存設備撤去費低い
委託・外注費ホームページ制作・印刷・広告制作の外注高い
機械装置等費機械設備・ICTツールの購入費高い

建設業で最も活用頻度が高いのは「広報費」「委託・外注費」「機械装置等費」の3カテゴリです。

活用事例1: 工務店のホームページ制作(通常枠+インボイス特例)

埼玉県の外壁塗装専門工務店(従業員8名)は、受注の大半が既存顧客からの紹介で、新規顧客の獲得経路がほぼなかった。Webでの問い合わせはゼロで、近隣の競合他社がホームページを通じた集客を強化していることに危機感を覚えた。

持続化補助金(通常枠)を活用し、施工事例集を中心にしたホームページを制作した。外壁塗装の種類別の説明ページ、Before/Afterの写真ギャラリー、地域別の施工実績マップを盛り込んです。総費用100万円のうち75万円(補助率3/4)が補助された。インボイス特例の適用により補助上限が100万円になったため、全額補助となりました。

公開から6ヶ月でWeb経由の問い合わせが月0件から月4〜5件に増加。そのうち2件が成約につながり、初年度で補助事業への自己投資(25万円)を回収した。「ホームページを見てから電話してくる見込み客は、既に自社のことを調べているのでクロージングが早い」という経営者のコメントが印象的です。

活用事例2: 解体業者のチラシ・DM配布キャンペーン(賃金引上げ枠)

神奈川県の解体専門会社(従業員12名)は、マンション大規模修繕・老朽建築物の解体ニーズが高まる中で、地域の管理組合や不動産会社へのアプローチを強化したかった。これまでは完全に口コミだけで受注してきたが、受注の安定性に不安があった。

賃金引上げ枠を活用し、管理組合向けのリーフレット5,000枚制作・DM送付500通・不動産会社向けの提案資料制作を一括で補助対象とした。補助事業の総費用160万円に対し120万円(補助率3/4)が補助され、自己負担は40万円だった。

DM送付後3ヶ月で不動産会社5社から相見積もりの依頼が来て、そのうち2社と新規取引を開始した。「広告のやり方が一切わからなかった。補助金を活用することで、失敗しても損失を小さく抑えながら実験できた」という声があった。

活用事例3: 設備工事会社のCAD・施工管理ソフト導入(通常枠)

大阪府の電気設備工事会社(従業員15名)は、図面作成と現場管理に紙とExcelを使い続けており、ミスや手戻りが頻発していた。CADソフトと施工管理アプリへの移行を検討していたが、ソフト購入費と研修費がネックになっていた。

持続化補助金(通常枠)でCADソフト(1台分ライセンス)と施工管理アプリの年間ライセンス費用を補助対象とした。「機械装置等費」として計上し、合計費用60万円のうち45万円が補助された。

導入後、図面作成時間が従来比で約40%削減され、現場の進捗共有がリアルタイムになったことで手戻りコストが大幅に下がった。DX化の費用を持続化補助金でまかなったことで、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)を別の投資に充当できたという。

持続化補助金は「販路開拓・業務効率化」が目的の補助金です。CADや施工管理ソフトは「業務効率化による販路開拓への間接的な貢献」として計上できますが、計画書にその論理をきちんと書き込む必要があります。「業務効率化で空いたリソースを営業活動に充てる」という繋がりを明示することが採択のポイントです。

補助対象にならない経費

以下の経費は補助対象外です。申請前に確認してほしい。

  • 補助事業期間外に支出した経費
  • 仮払い・前払いした経費(例外規定あり)
  • 借入金・リース費用・光熱費・電話代などの通常運転資金
  • 代表者・従業員・役員への人件費(雇用アルバイトを除く)
  • 公的機関への申請手数料・印紙代
  • フランチャイズ加盟料・特許使用料(場合による)
  • 汎用性が高すぎる設備(パソコン・スマートフォン等、補助事業以外にも使用する場合)

特に注意が必要なのは「汎用品」の扱いです。ノートパソコンは「補助事業専用に使用する」と証明することが難しいため、採択されても経費認定で問題になるケースが多くあります。専用CADソフトのライセンスや、工事現場でのみ使用するタブレット(専用ケース・落下防止対策付き)のように、補助事業との紐付けが明確なものが安全です。

申請手順と必要書類 — 経営計画書・補助事業計画書の書き方

持続化補助金の申請は「電子申請(Jグランツ)」または「郵送申請」で行う。手順は大きく5ステップに分けられる。

ステップ1: 商工会・商工会議所への相談と「支援確認書」取得

申請にあたって最初に行うべきことは、事業所の所在地を管轄する商工会または商工会議所への相談です。持続化補助金の申請には、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必須書類として求められる。

相談は無料で、補助金申請の専門担当者(経営指導員)がついてくれる。経営計画書の書き方、補助事業の内容の整理、審査観点からの記述アドバイスなど、実務的な支援を受けられる。特に初回申請の場合は商工会・商工会議所への相談を先行させることを強く推奨する。

申請締め切りの2〜3週間前を目安に相談を開始すると余裕を持って書類を準備できる。

ステップ2: 経営計画書(様式2)の作成

経営計画書は持続化補助金の申請書の中心となる書類で、審査で最も重視される。記載項目を整理します。

  1. 会社概要(名称・所在地・業種・従業員数・資本金・創業年)
  2. 顧客ニーズと市場の動向(自社の市場環境・ターゲット顧客の特性)
  3. 自社の強みの分析(競合との差別化ポイント)
  4. 経営課題と今後の取り組み(課題を明確化し、補助事業につなげる)

「3. 自社の強みの分析」では、SWOT分析の枠組みを使って整理すると採択担当者にとって読みやすい計画書になる。建設業であれば、施工技術・地域密着性・対応工種の幅などを強みとして、一方で集客力の弱さ・Web集客の未着手などを弱みとして記述する。

「4. 経営課題」の記述では、課題を数値で示すことが重要です。「新規顧客からの問い合わせが年10件以下に留まっており、売上の80%が既存顧客のリピートに依存している」のように、現状の課題を定量的に表現することで、補助事業の必要性が説得力を持っています。

ステップ3: 補助事業計画書(様式3)の作成

補助事業計画書は、補助金を使って何をするかを具体的に記述する書類です。審査で見られる観点は「補助事業の内容が経営課題の解決に直結しているか」「費用対効果が適切か」「実施スケジュールが現実的か」の3点です。

記載項目を整理します。

  1. 補助事業で行う取り組み内容(誰に・何を・どのように)
  2. 取り組みの効果(数値目標を含む)
  3. 経費明細(費目・金額・算出根拠)
  4. 実施スケジュール(月次の工程表)

経費明細は「見積書を取得した金額」と「算出根拠」を丁寧に書くことが重要です。相見積もりを2社以上から取得していると、費用の合理性を示しやすい。

実施スケジュールは「補助事業期間内(交付決定〜完了報告)に確実に実施できる」スケジュールを作る。期間をオーバーすると補助対象外になるため、余裕を持った工程を書く。

ステップ4: 必要書類の準備

持続化補助金の申請に必要な書類は申請枠によって異なるが、基本的なものを整理します。

書類備考
小規模事業者持続化補助金交付申請書(様式1)所定の様式
経営計画書(様式2)A4・2〜3ページ程度
補助事業計画書(様式3)A4・2〜3ページ程度
事業支援計画書(様式4)商工会・商工会議所が発行
補助金交付申請額集計表(様式5)経費明細の集計
貸借対照表・損益計算書(直近1期分)法人は決算書、個人は青色申告決算書
登記事項証明書(法人のみ)発行から3ヶ月以内
確定申告書(個人事業主のみ)直近1期分
賃金引上げ枠の場合: 賃金台帳賃金水準の証明
インボイス特例の場合: 登録確認書類e-Taxの登録番号通知書等

ステップ5: 電子申請(Jグランツ)または郵送で提出

申請はJグランツ(https://www.jgrants-portal.go.jp/)を通じた電子申請が推奨されている。法人はGビズIDプライム(法人向けのGビズID)が必要になるため、取得していない場合は申請締め切りの4〜5週間前に手続きを始める。取得には郵送での本人確認が必要で、2〜3週間かかる場合があります。

郵送申請も可能だが、電子申請に比べて記入する書類が若干多くなる場合があります。今後の補助金申請でもGビズIDは必要になることが多いため、この機会に取得しておくことを推奨する。

採択率を上げるためのポイント

採択率は50〜60%台とはいえ、計画書の質次第で採択の可否が変わることは審査担当者も認めている。採択率を高めるための具体的なポイントを整理します。

計画書の質を左右する3つの核心

採択されやすい計画書には共通の構造があります。「経営課題(現状の数値的な問題)→ 原因分析(なぜそうなっているか)→ 補助事業(具体的な打ち手)→ 期待効果(数値目標)」という流れが一貫していることです。

よくある失敗は、課題の記述と補助事業の内容がつながっていないことです。「売上が停滞している(課題)→ ホームページを作る(補助事業)」という飛躍した計画書は審査を通りにくい。「Web経由の問い合わせがゼロで年間50件の潜在顧客を取り逃がしている(課題)→ 原因は自社の施工事例や強みが顧客に伝わっていない(原因)→ 施工事例を中心にしたホームページを制作し、月10件の問い合わせを目指す(補助事業と目標)」という論理の連鎖が重要です。

2点目は、審査担当者が「この取り組みで本当に成果が出そう」と感じられる内容になっているかどうかです。実現可能性のある具体的な数値目標(「問い合わせ月3件増」「新規顧客5社開拓」など)を設定し、その根拠(地域の競合調査、既存顧客への聞き取りなど)も添えると説得力が増す。

3点目は、補助事業後の継続的な取り組みまで記述することです。「補助事業が終わったらそれで終わり」ではなく、「ホームページ公開後は月1回の施工事例更新とSNS連携で継続的に集客する」という持続性が見える計画書は評価が高い水準です。

商工会・商工会議所の経営指導員をフル活用する

採択されている事業者の多くは、商工会・商工会議所の経営指導員から複数回のフィードバックを受けて計画書を仕上げている。「書いたものを持参してレビューしてもらう」「指摘を受けて修正し、再度確認してもらう」というサイクルを2〜3回繰り返すことで、計画書の完成度が大幅に上がる。

経営指導員は過去の採択事例を多数見ているため、「どんな表現が審査担当者に刺さるか」という実務的な知見を持っている。このサポートは無料で受けられるため、積極的に活用しない手はない。

写真・図表を活用した計画書の視覚的な整理

経営計画書・補助事業計画書はテキストのみで構成する必要はない。施工前後の写真、自社の競合比較表、問い合わせ経路の現状を示した図などを適切に挿入することで、審査担当者が状況を直感的に理解しやすくなる。

ただし、写真や図表を入れることが目的にならないよう注意する。「この写真があることで何が伝わるか」を考え、説明の補強に使う。

申請タイミングと公募回の選択

持続化補助金は年に複数回の公募が設定されており、それぞれに締め切りがあります。採択率は公募回によって若干異なる場合があるが、締め切り間際に急いで作成した計画書は完成度が下がりやすい。

直近の公募回に間に合わなかった場合は、次の公募回に向けて余裕を持って準備する方が採択率は高くなる。商工会・商工会議所に相談すれば次回の公募予定日も教えてもらえる。

IT導入補助金・ものづくり補助金との使い分け

建設業が活用できる補助金は複数あり、目的と規模に応じて使い分けることが重要です。持続化補助金、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)、ものづくり補助金の3つを比較します。

3つの補助金の比較表

項目持続化補助金デジタル化・AI導入補助金ものづくり補助金
対象規模小規模事業者(建設業20名以下)中小企業全般中小企業全般
補助上限50〜250万円(枠による)50〜450万円(類型による)750〜1,250万円(枠による)
補助率3/4(一部4/5)1/2〜2/31/2〜2/3
主な対象経費広報費・機器購入・委託費などITツール導入費(認定IT製品)設備投資・システム開発
申請難易度低め中程度高め
認定支援機関商工会・商工会議所IT導入支援事業者認定経営革新等支援機関
採択率目安50〜60%非公開(高め)30〜50%

持続化補助金が向いているケース

持続化補助金は「販路開拓・業務効率化の取り組みを幅広くカバーしたい」場合に適している。特に以下のケースで選択する価値があります。

  • 従業員20名以下の小規模建設会社・工務店
  • ホームページ制作・チラシ・DM・展示会出展などのマーケティング投資
  • CADソフト・施工管理アプリなど、中規模のITツール導入
  • 補助金申請が初めてで、申請難易度が低い入り口として使いたい場合

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が向いているケース

建設業のIT導入補助金活用ガイドで詳しく解説しているが、デジタル化・AI導入補助金は「認定されたITツール・ソフトウェアの導入」に特化している。対象となる製品は補助金の事業者側で認定リストを持っており、施工管理アプリ・会計ソフト・勤怠管理システムなど建設業向けの認定製品も多数あります。

持続化補助金と最大の違いは「汎用性のあるソフトウェアも対象になる」点です。持続化補助金でパソコン・スマートフォン本体は補助対象外になりやすいが、デジタル化・AI導入補助金では認定製品の導入費用として一括で申請できる。

ものづくり補助金が向いているケース

ものづくり補助金 建設業向けガイドで詳しく解説しているが、ものづくり補助金は「革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善のための設備投資」に向いている。補助上限が最大1,250万円(通常枠)と大きく、大型の機械設備や独自システムの開発に使いたい場合はものづくり補助金を選ぶ。

ただし申請書類の分量・難易度が高く、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必要になる。中小企業診断士や金融機関のコンサルタントと連携して申請するケースが多い。

複数の補助金を組み合わせて活用する

注意すべきは、同一経費を複数の補助金で申請することは認められない点です。ただし、異なる事業・異なる経費であれば、同一年度に複数の補助金を申請することは可能です。

たとえば「ホームページ制作(持続化補助金)+ 施工管理アプリ導入(デジタル化・AI導入補助金)」を同時期に申請する建設会社は実際にある。各補助金の対象経費が明確に分離されていれば問題ありません。建設業で使える補助金・助成金の全体像は建設業で使える補助金・助成金一覧で整理しているので、まず全体像を把握してから申請する補助金を選ぶことを推奨する。

よくある質問

よくある質問

建設業の一人親方でも持続化補助金を申請できますか?
申請できます。一人親方(個人事業主)も小規模事業者の定義に該当する場合は申請対象です。建設業では常時使用する従業員数が20人以下の個人事業主が対象になります。一人親方本人は「従業員」ではなく「事業主」のため、ひとりで事業を行っている場合は従業員数0人として対象になります。申請には確定申告書(直近1期分)が必要です。青色申告をしている個人事業主は青色申告決算書(2〜4表)を用意してください。
ホームページ制作費は全額補助されますか?
補助率は3/4のため、全額補助にはなりません。ただし通常枠で補助上限50万円、インボイス特例適用で100万円になります。費用が100万円を超える場合は通常枠だと50万円を超えた分は自己負担です。ホームページ制作会社と事前に見積もりを取り、補助上限内に収まる範囲で計画を設計することが重要です。なお、SEOやコンテンツマーケティングの運用費用(毎月の更新費)は補助対象外が多いため、制作費(初期費用)に絞って申請する方が確実です。
採択されてから何ヶ月で補助金が振り込まれますか?
申請から補助金受取までの期間は通常6〜12ヶ月かかります。採択結果の発表(申請締め切りから2〜3ヶ月)→ 交付決定(採択から1〜2ヶ月)→ 補助事業の実施(交付決定後6〜12ヶ月)→ 完了報告・精算請求→ 補助金振込という流れです。補助金は後払いのため、先に自己資金で経費を支払う必要があります。資金繰りを考慮した上で申請時期を選んでください。
経営計画書は何ページ書けばよいですか?
公募要領に明記されたページ数の制限がある場合はそれに従います。一般的には経営計画書(様式2)はA4で2〜4ページ程度が目安です。少なすぎると内容が薄く見られ、多すぎると読みにくくなります。重要なのはページ数ではなく「課題→原因→補助事業→期待効果」の論理が明確であることです。商工会・商工会議所の経営指導員に見てもらいながら適切な分量に仕上げることを推奨します。
採択後に補助事業の内容を変更できますか?
変更できる場合と、変更申請が必要な場合があります。補助額の増額や対象経費の大幅な変更は「変更承認申請」が必要です。変更が認められる前に経費を支出してしまうと補助対象外になる可能性があるため、変更が生じた場合はすぐに商工会・商工会議所または実施機関に相談してください。小規模な変更(同じ費目内での金額調整など)であれば事後報告で認められるケースもありますが、事前確認が最も安全です。
過去に採択されたことがある場合、再申請できますか?
再申請は可能です。持続化補助金は1事業者あたりの申請回数に制限はありません。ただし、直近1年度に採択・交付を受けた事業者が再申請する場合には、一部の枠で「前回の補助事業との差別化」を計画書に明示することが求められる場合があります。過去の採択内容と重複しないよう、今回の取り組みの新規性・必要性を丁寧に説明することが重要です。

参考情報

出典: 小規模事業者持続化補助金のご案内 — 中小企業庁


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