この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150社以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

「補助金は製造業のもの」と思っていませんか。建設業でもDXツール導入、採用力の強化、設備投資、人材育成に使える補助金・助成金は数多くあります。問題は「種類が多すぎて、自社に合う制度がわからない」こと。

中小企業庁が公表しているデータによると、補助金・助成金を活用した中小企業の約60%が「申請したことがない」と回答しています。活用していない理由の1位は「どの制度が使えるかわからない」で、情報へのアクセス不足が最大のハードルになっています。

この記事では経営課題ごとに使える制度を整理し、補助額・補助率・建設業での具体的な活用例をまとめました。

経営課題別 — 使える補助金の早見表

どの補助金を使うかは「何を解決したいか」で決まります。

経営課題おすすめ制度補助率補助額の目安
施工管理・勤怠のDXデジタル化・AI導入補助金1/2〜3/45万〜450万円
ICT建機・ドローン導入ものづくり補助金1/2〜2/3100万〜1,250万円
採用サイト・集客強化小規模事業者持続化補助金2/350万〜200万円
新規事業への進出中小企業新事業進出補助金1/2〜3/4100万〜1.5億円
省力化・自動化省力化投資補助金1/2200万〜1,500万円
社員の資格取得人材開発支援助成金45〜75%訓練経費+賃金助成
離職率の低下人材確保等支援助成金57万円
非正規の正社員化キャリアアップ助成金57万円/人
未経験者の試用雇用トライアル雇用助成金最大12万円/人

補助率・補助額は年度により変更の可能性があります。最新の公募要領で必ず確認してください。

DX・IT導入に使える補助金

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

項目内容
概要ITツール導入費用の一部を補助
補助率1/2〜3/4
補助額5万〜450万円
対象中小企業・小規模事業者
建設業での活用例施工管理アプリ、会計ソフト、勤怠管理、受発注システム
申請時期年間複数回の公募。スケジュールは公式サイトで確認

建設業のDXに最も使いやすい補助金です。施工管理アプリや勤怠管理システムを導入するなら、まずこの制度を検討してください。インボイス枠は補助率が最大3/4と高く、会計ソフトの導入に特に適しています。

2025年度の採択実績では、建設業が製造業に次ぐ第2位の採択数となっており、業種的な親和性の高さが数字にも表れています。申請から採択まで最短1〜2ヶ月と他の補助金より審査が速いため、急ぎのIT投資にも対応できます。

詳しい活用方法と申請のコツは建設業のIT導入補助金活用ガイドで解説しています。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

項目内容
概要革新的なサービス開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援
補助率1/2〜2/3
補助額100万〜1,250万円
対象中小企業・小規模事業者
建設業での活用例ICT建機の導入、BIM/CIMの環境構築、ドローン測量機器の購入
申請時期年間複数回の公募。スケジュールは公式サイトで確認

IT導入補助金よりも大きな投資(ハードウェアの購入)に向いています。ドローンやICT建機、3Dスキャナーなど、数百万円規模の設備投資をカバーできるのが強みです。

たとえばICT建機(自動制御ブルドーザー)の購入価格は1台1,500〜3,000万円程度ですが、補助率2/3の場合は最大1,250万円まで補助が出るため、自己負担を大きく抑えられます。生産性向上の効果が証明されており、採択率も安定しています。

事業計画書の作成が求められるため、認定支援機関(税理士・中小企業診断士等)のサポートを受けると採択率が上がります。

小規模事業者持続化補助金

項目内容
概要小規模事業者の販路開拓・業務効率化を支援
補助率2/3
補助額50万〜200万円
対象従業員20名以下(建設業の場合)
建設業での活用例ホームページ制作、営業ツール制作、展示会出展、チラシ制作
申請時期年間複数回の公募。スケジュールは公式サイトで確認

小規模な建設会社の「集客力強化」に使えます。自社採用サイトの制作も対象になるため、求人に苦戦している会社にとっては採用投資の一部をカバーできる貴重な制度です。

補助上限の50万円(通常枠)を活用してホームページと採用サイトをリニューアルした場合、自己負担は17万円程度に抑えられます。賃金引上げ枠・後継者支援枠などの特例枠では補助上限が200万円まで拡大するため、大きなリニューアルを計画する場合は枠の選択が重要です。

商工会議所を通じて申請するため、まだ入会していなければ加入を検討してください。補助金以外の経営相談サービスも受けられます。

採用・人材確保に使える助成金

ここまで読んだ方へ

建設業のDX・採用・補助金活用について、無料でご相談いただけます。150社以上の支援実績をもとに、御社に合った解決策をご提案します。

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建設業の人手不足対策に使える助成金は4つあります。いずれも厚生労働省の管轄で、ハローワークを通じて申請します。

補助金と助成金の違いを押さえておくと便利です。補助金は「事前に計画を提出し、採択されてから支出する」後払い型。助成金は「要件を満たした後に申請する」届出型で、採択審査がない分、要件を満たせばほぼ確実に受け取れます。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

項目内容
概要雇用管理制度の導入を通じて離職率を低下させた事業主を助成
助成額57万円(制度導入+離職率低下で支給)
対象雇用保険適用事業所
建設業での活用例評価・処遇制度の導入、研修制度の導入、メンター制度の導入

離職率を一定以上低下させることが支給条件です。制度導入の計画書を提出してから1年後に離職率を測定するため、長期的な取り組みが前提になります。ただし57万円は「制度を作って成果が出たら支給」という成果報酬型のため、リスクなく取り組めます。

制度導入の対象として認められるのは評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度の5種類です。これらを組み合わせて導入すると助成額が増加する場合があります。

人材開発支援助成金

項目内容
概要労働者のキャリア形成を効果的に促進する事業主を助成
助成額訓練経費の45〜75% + 賃金助成(760円/時間〜)
対象雇用保険適用事業所
建設業での活用例施工管理技士の資格取得研修、安全衛生教育、DXスキル研修

社員の資格取得支援に使える助成金です。施工管理技士の講習費用の大部分を補助してもらえる可能性があります。研修中の賃金も助成対象になるため、「研修に出すと現場が回らない」というコスト懸念を軽減できます。

具体的な数字で示すと、1人の社員が施工管理技士2級の受験対策講習(外部、費用15万円、20時間)を受けた場合、訓練経費の助成が約7〜11万円、賃金助成が約1.5万円となり、合計約9〜13万円が戻ってきます。複数名をまとめて研修に送ることでさらに効果が高まります。

キャリアアップ助成金

項目内容
概要非正規雇用労働者の正社員化やスキルアップを行う事業主を助成
助成額正社員化1人あたり57万円(中小企業の場合)
対象雇用保険適用事業所
建設業での活用例パート・契約社員の正社員化、有期雇用から無期雇用への転換

建設現場で働く契約社員やパートを正社員に転換する際に活用できます。1人あたり57万円と金額が大きいため、複数名をまとめて正社員化すれば数百万円の助成を受けられます。

注意点として、有期雇用期間中に就業規則に転換制度を明記しておくことが要件のため、正社員化の6ヶ月以上前から制度整備が必要です。社会保険労務士に相談して就業規則を整備しておくことをすすめます。

トライアル雇用助成金

項目内容
概要未経験者を試行的に雇用する事業主を助成
助成額月額最大4万円×3ヶ月(1人あたり最大12万円)
対象ハローワークを通じた採用
建設業での活用例建設業未経験者の試用期間中の人件費を補助

未経験者の採用に踏み切れない経営者にとって、3ヶ月のトライアル期間の人件費を補助してもらえるのは心理的なハードルを下げてくれます。ハローワーク経由の採用が条件のため、IndeedやSNSでの採用には使えません。建設業専用の若年者・女性コースは上乗せ助成があります。詳しくは建設業若年・女性トライアル雇用の詳細解説をご覧ください。

建設業の採用全般については建設業の人手不足を解消する採用・定着の実践策をご覧ください。

働き方改革推進支援助成金(建設業種別課題対応コース)

項目内容
概要2024年問題対応の時間外削減・週休2日化を支援
助成額最大250万円
補助率3/4〜4/5
対象中小建設事業主
建設業での活用例ICT工具導入・社労士委託費・就業規則整備費用

2024年問題(時間外労働の上限規制)に対応するための制度です。週休2日化や長時間労働削減の取り組みに使えます。詳しくは働き方改革推進支援助成金の建設業向け解説をご覧ください。

業務改善助成金

項目内容
概要最低賃金引上げに伴う設備投資を支援
助成額最大600万円
補助率最大4/5
対象最低賃金引上げを行う中小企業
建設業での活用例施工管理ソフト・建設機械の導入

賃上げと設備投資を組み合わせることで高い補助率を得られます。詳しくは業務改善助成金の建設業向け活用ガイドをご覧ください。

両立支援等助成金

項目内容
概要育休・介護休業取得を促進する事業主を助成
助成額最大57万円/人(出生時両立支援コース)
対象雇用保険適用事業所
建設業での活用例男性育休取得促進・介護離職防止

建設業の男性育休取得率は全産業平均を大きく下回っており、取り組む余地が大きい制度です。詳しくは両立支援等助成金の建設業向け解説をご覧ください。

65歳超雇用推進助成金

項目内容
概要65歳以上の定年引上げ・廃止・継続雇用制度の整備を支援
助成額最大160万円(65歳超継続雇用促進コース)
対象65歳超の雇用制度整備を行う事業主
建設業での活用例熟練技能者の定年廃止・勤務形態見直し

建設業は60歳以上が約26%を占め、熟練技能者の活用が急務です。詳しくは65歳超雇用推進助成金の建設業向けガイドをご覧ください。

人材確保等支援助成金(若年者・女性コース・建設分野)

項目内容
概要若年者・女性の採用環境整備を行う建設事業主を助成
助成額最大20万円
対象建設業振興基金に計画届を提出した建設事業主
建設業での活用例女性専用設備・メンター制度・賃金改定

助成額は少額ですが、経審W点の加点効果があります。詳しくは人材確保等支援助成金(若年者・女性コース)の解説をご覧ください。

人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース・建設分野)

項目内容
概要遠隔地工事での作業員宿舎・訓練施設の整備を支援
助成額最大200万円(石川県コース)
対象建設業許可を受けた事業主
建設業での活用例宿舎賃借費用・女性専用宿舎の設置費用

「宿舎付き」で外国人材や遠隔地採用の競争力を高められます。詳しくは作業員宿舎等設置助成コースの解説をご覧ください。

建設業専用の人材育成助成金

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)

建設業振興基金が窓口の建設業固有コースです。フルハーネス・玉掛け・移動式クレーンなどの技能講習・特別教育の費用を助成します(経費の2/3〜1/3、賃金助成770〜960円/時間)。CCUSの段位取得訓練との連動で助成額を最大化できます。詳しくは建設労働者技能実習コースの解説をご覧ください。

一般的なBIM・IT研修への活用(人材育成支援コース・リスキリング支援コース)については人材開発支援助成金の建設業向けガイドをご覧ください。

設備投資・事業拡大に使える補助金

中小企業新事業進出補助金(旧 事業再構築補助金)

項目内容
概要新分野展開や業態転換を行う中小企業を支援
補助率1/2〜3/4
補助額100万〜1.5億円(枠による)
対象中小企業
建設業での活用例リノベーション事業への進出、不動産管理事業の立ち上げ、太陽光施工事業の開始

大規模な事業転換に使えます。建設業から隣接事業(不動産・エネルギー・リノベーション等)に進出する場合に有効です。補助額が最大1.5億円と大きいため、事業計画の精度が問われます。認定支援機関との共同申請が必須です。

建設業での活用事例として多いのは、一般建築工事から太陽光発電の設置工事へのシフト、新築施工から中古住宅のリノベーション事業への転換、建設から不動産管理・オーナー業への横展開などです。既存の技術・人材を活かしながら収益源を多角化できるため、将来の事業安定化につながります。

詳しくは事業再構築補助金の活用法をご覧ください。

省力化投資補助金

項目内容
概要人手不足解消のための省力化投資を支援
補助率1/2
補助額200万〜1,500万円(従業員数による)
対象中小企業・小規模事業者
建設業での活用例建設用ロボット、自動墨出し機、AIを活用した検査システム

人手不足が深刻な建設業にとって、省力化投資は経営課題に直結します。従業員数に応じて補助上限が変わるため、自社の規模で受けられる金額を事前に確認しましょう。

自動墨出し機は1台50〜150万円程度で、墨出し工程の省人化・高精度化に効果があります。AIを使った外壁・コンクリートのひび割れ検査システムも対象になり得るため、設備の導入計画がある場合は事前に相談機関に確認することをすすめます。

CEV補助金(クリーンエネルギー自動車補助金)

建設工事の現場移動用車両(営業車・工事車両)のEV・PHV化を支援します。白ナンバー車両が対象で、緑ナンバーは別制度を使います。詳しくはCEV補助金の建設業向け活用ガイドをご覧ください。

省エネ設備導入補助金(省エネ・非化石転換補助金)

本社・倉庫・現場事務所の空調・照明LED化・変圧器更新に使えます。補助率1/3〜1/2、上限1億円。省エネ診断を先行受診すると採択率が上がります。詳しくは省エネ設備導入補助金の建設業向けガイドをご覧ください。

エイジフレンドリー補助金

転倒防止・暑熱対策・腰痛対策設備の導入費用の1/2〜2/3を補助(上限100万円)。高齢化が進む建設現場での安全対策に直結します。詳しくはエイジフレンドリー補助金の建設業向けガイドをご覧ください。

高度安全機械等導入支援補助金(建災防)

建設業労働災害防止協会(建災防)が運営する補助金です。高所作業車・移動式クレーン等の安全機械の導入費用の1/2を補助します。詳しくは高度安全機械等導入支援補助金の解説をご覧ください。

CCUS活用促進助成金

建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を促進する助成金です。技能者1人あたり最大16万円、年間最大160万円の助成が受けられます。詳しくはCCUS活用促進助成金の申請ガイドをご覧ください。

みらいエコ住宅2026事業

戸建て住宅の新築・リフォームを手がける工務店・建設会社向けの省エネ住宅補助金です。GX志向型新築で最大125万円。登録事業者になることで受注活動の差別化にもなります。詳しくはみらいエコ住宅2026事業の工務店向け活用ガイドをご覧ください。

建設業特有の補助金・支援制度

建設業振興基金の助成事業

建設業振興基金では、建設業の人材確保・育成に関する助成事業を実施しています。建設業の担い手確保・育成事業、建設技術者の継続教育、建設業のイメージアップ事業などが対象です。

業界団体(建設業協会等)を通じて情報が流れるケースが多いため、加入団体の案内を定期的にチェックしてください。建設業協会会員向けの優遇措置がある制度も存在します。

建設キャリアアップシステム(CCUS)関連の支援

国土交通省はCCUSの普及を推進しており、導入費用の一部を助成する自治体もあります。CCUS登録料(事業者登録・技能者登録)の補助は都道府県や市区町村が独自に実施しているケースがあるため、自社の所在地の自治体ウェブサイトを確認しましょう。

2023年度からCCUS登録が公共工事の入札要件になる自治体が増えており、補助金の有無に関わらず導入の優先度は上がっています。CCUSに登録している技能者が多いほど元請けへのアピール材料になるため、段階的に登録を進めることをすすめます。ケンテクでは全国の入札公告を無料で検索できるため、自社がCCUS登録によって参加できる案件の相場感を事前に把握しておくと、投資判断がしやすくなります。

技能者登録には1人あたり2,500〜4,900円(カードの種類によって異なる)がかかります。従業員20人の会社であれば合計5〜10万円程度の初期費用です。この費用が自治体補助の対象になれば実質無料で整備できます。

出典: 建設キャリアアップシステム(CCUS) — 一般財団法人建設業振興基金

i-Construction推進に関連した支援

国土交通省が推進するi-Construction(ICTを活用した生産性革命)では、公共工事においてICT施工を採用した場合に補正係数が加算されます。測量・設計・施工・検査の各工程でICT技術を活用すると、工事費に10〜20%程度の補正が認められる仕組みです。

ドローン測量・3Dスキャナー・ICT建機を導入してi-Construction対応の施工体制を整えれば、公共工事の単価が実質的に上がります。初期投資のコスト回収という観点でも、IT系の補助金と組み合わせることで費用対効果が高まります。

自治体独自の補助金 — 見落としがち

国の制度に加えて、都道府県や市区町村が独自に実施している建設業向け補助金があります。たとえば東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」や、各県の建設業振興施策が該当します。「〇〇県 建設業 補助金」で検索するか、商工会議所に相談すると情報が得られます。

自治体独自の補助金は競争率が低く、採択率が国の制度より高いケースがあります。地域限定のため、地元の金融機関(信用金庫・信用組合)や商工会議所の担当者が詳しい情報を持っていることが多いです。

補助金申請のスケジュール管理

年間スケジュールの目安

時期主な公募
4〜5月デジタル化・AI導入補助金(第1次公募)、ものづくり補助金
6〜7月小規模事業者持続化補助金、人材開発支援助成金
8〜9月デジタル化・AI導入補助金(第2次公募)、中小企業新事業進出補助金
10〜11月各種助成金(下半期の公募)
12〜1月次年度の概算要求・制度設計の発表
2〜3月次年度の公募開始準備

スケジュールは年度によって変わります。2026年度の具体的な日程は各補助金の公式サイトで確認してください。

申請準備に必要な期間

準備項目必要期間備考
gBizIDプライムの取得2〜3週間ほぼ全ての補助金で必須
事業計画書の作成2〜4週間ものづくり・事業再構築は特に入念に
見積書の取得1〜2週間複数社から取得するとベター
申請書の作成・提出1〜2週間支援事業者・認定機関と連携

公募開始後に準備を始めると間に合わないことがあります。gBizIDの取得と事業計画の骨子は、公募前から準備しておきましょう。特にgBizIDは一度取得すれば複数の補助金で使い回せるため、今日取得しておいて損はありません。

複数の補助金・助成金を組み合わせる戦略

補助金と助成金は同時に複数申請することができます。1つの制度で得られる恩恵は限られますが、適切に組み合わせることで投資コストを大幅に圧縮できます。

組み合わせの具体例

施工管理アプリと勤怠管理システムの導入(合計300万円の投資)を考えるケースで試算します。

まずデジタル化・AI導入補助金(補助率1/2)を活用すると150万円が補助されます。これだけでも十分ですが、同時に未経験者を1名採用してトライアル雇用助成金(最大12万円/人)を申請し、社員の施工管理技士受験対策講習に人材開発支援助成金(訓練費の45〜75%)を活用すると、さらに20〜30万円が上乗せできます。

3つの制度を並行して活用することで、300万円の投資に対して実質的な自己負担を120〜130万円台まで圧縮できる計算です。

制度概算補助・助成額
デジタル化・AI導入補助金150万円
トライアル雇用助成金(1名)12万円
人材開発支援助成金(研修2名)10〜20万円
合計172〜182万円

申請のタイミングがそれぞれ異なるため、年間の資金繰りを含めた計画が必要ですが、専門家(税理士・社労士)に相談すれば整理できます。

採択率を上げる申請のポイント

補助金の採択率は申請書の質に大きく左右されます。経済産業省が公表する採択率データでは、ものづくり補助金の採択率は概ね40〜60%で推移しています。つまり全員が通るわけではなく、申請書の内容で明確に差がつきます。

採択されやすい申請書に共通するのは、現状の課題が具体的な数値で示されている(「受注件数が年間20件だが、業界平均は35件」など)、導入する設備・ツールとの因果関係が明確(「施工管理アプリを導入することで書類作成時間を月30時間削減し、受注可能件数を25件に増やす」など)、投資対効果が計算されている、という3点です。

「より良い製品・サービスを作りたいから」という抽象的な記述は評価されません。建設業の具体的な課題(人手不足、残業超過、工程遅延など)と補助金で実現する生産性改善を、数字で語ることが重要です。

情報収集と相談先 — 一人で全てを把握する必要はない

建設業で使える補助金・助成金は年間で数十種類あります。全てを自社で把握するのは現実的ではないため、情報収集のチャネルを複数持つことが大切です。

相談先費用得意分野
商工会議所・商工会無料補助金全般の相談・申請支援
税理士・中小企業診断士顧問契約内ものづくり補助金・事業計画書の作成
社会保険労務士顧問契約内助成金(人材確保・キャリアアップ等)
補助金コンサルタント成果報酬型(採択額の10〜15%)採択率の向上・申請書の添削

税理士に補助金、社労士に助成金、と専門領域が分かれている点に注意してください。「うちの顧問税理士に聞いたら知らないと言われた」という場合、それは助成金(厚労省管轄)の話である可能性があります。

補助金コンサルタントは成果報酬型(採択額の10〜15%が相場)のため、採択されなければ費用が発生しない場合がほとんどです。自社で申請書を書く時間がない経営者や、大型補助金(ものづくり補助金・事業再構築補助金)に挑戦したい場合は、専門家に依頼することも一つの選択です。

採択後の注意点 — 補助金を安全に活用するために

補助金は採択されてからも注意が必要です。申請書に記載した内容通りに事業を進めること、補助対象経費を適切に管理すること、報告書を期限までに提出することが求められます。これを怠ると、採択後でも補助金が受け取れなくなる、または返還を求められるケースがあります。

よくある失敗パターン

補助対象外の経費を誤って計上するミスは頻発しています。たとえばデジタル化・AI導入補助金では、ハードウェアの購入費が対象外(一部の枠を除く)であるにもかかわらず、PC本体の費用を含めて申請してしまうケースがあります。申請前に「何が補助対象で何が対象外か」を公募要領で必ず確認してください。

発注・契約のタイミングにも注意が必要です。補助金は原則として「採択通知を受け取った後」に発注・契約することが条件です。採択前に契約・発注してしまうと補助対象外になります。「早く進めたい」という気持ちは理解できますが、採択通知の受け取りを待ってから動き始めることが原則です。

証憑書類の管理

補助金の実績報告には、領収書・請求書・振込証明書・導入したツールのスクリーンショットなどの証憑書類が必要です。事業完了後5〜10年間は保管義務があるため、補助金用のフォルダを作って関連書類を一元管理する習慣をつけておきましょう。

クラウドストレージ(Googleドライブなど)でデジタル保管するのが紛失防止の面でもすすめです。税理士と連携して管理体制を作っておくと、実績報告の作業がスムーズになります。

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補助金以外の経営制度・事業再編に関連する記事は次のとおりです。

参考情報

よくある質問

建設業で最も使いやすい補助金は何ですか?
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が最も使いやすいです。施工管理アプリ、会計ソフト、勤怠管理システムなどの導入費用を補助してもらえます。年間複数回の公募があり、申請から採択まで1〜2ヶ月と比較的スピーディーです。
建設業の採用に使える助成金はありますか?
トライアル雇用助成金(最大12万円/人)、キャリアアップ助成金(正社員化で57万円/人)、人材確保等支援助成金(57万円)、人材開発支援助成金(研修費の45〜75%)が活用できます。助成金は厚生労働省管轄で、社会保険労務士に相談するのが効果的です。
補助金の申請にgBizIDは必要ですか?
はい、ほとんどの補助金申請にgBizIDプライムが必要です。取得には2〜3週間かかるため、補助金の利用を検討している段階で早めに手続きを始めてください。一度取得すれば複数の補助金で使い回せます。
ものづくり補助金は建設業でも使えますか?
はい、使えます。ICT建機の導入、BIM/CIMの環境構築、ドローン測量機器の購入などに活用可能です。補助率1/2〜2/3、補助額100万〜1,250万円で、IT導入補助金よりも大きな設備投資に向いています。
補助金の申請は自社でできますか?
自社での申請も可能ですが、事業計画書の作成には専門知識が必要です。商工会議所(無料相談)や認定支援機関(税理士・中小企業診断士)に相談することで採択率が上がります。補助金コンサルタント(成果報酬型で採択額の10〜15%が相場)も選択肢です。
小規模事業者持続化補助金は建設業で何に使えますか?
ホームページ制作、採用サイト制作、営業ツール制作、展示会出展、チラシ制作などの販路開拓に使えます。補助率2/3、補助額50〜200万円で、従業員20名以下の建設会社が対象です。商工会議所を通じて申請します。

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