この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金・助成金の活用支援も手がける。

クレーンの実技講習場。木製の台に置いたH形鋼にワイヤーロープとフックが掛けられ、奥に移動式クレーンとカラーコーンが見える

技能講習・特別教育の受講料と、受講日の賃金の一部が助成される

毎年春になると「フルハーネスの特別教育を受けさせたいが費用が高い」「足場の組立作業主任者の資格取得に助成金が使えると聞いた」という問い合わせが各地の労働局に殺到する。人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は、まさにこうした建設業固有の技能講習を対象にした助成制度です。

このコースは、計画届と支給申請書を管轄の都道府県労働局に提出する仕組みです。計画届が不要になる講習機関の条件や、令和8年度に引き上げられた賃金助成の単価を知らないまま進めると、手続きや資金計画を誤りやすくなります。この記事では、支給要領にもとづいて要件・助成額の計算・提出期限の管理方法を順に整理します。

出典: 建設事業主等に対する助成金 — 厚生労働省

建設労働者技能実習コースとは — 建設業専用の助成ルート

人材開発支援助成金は複数のコースで構成されているが、そのなかで建設業専用として設けられたコースが「建設労働者技能実習コース」です。労働安全衛生法や建設業法に基づく技能講習・特別教育など、建設現場で求められる法定の訓練を中心に、経費と賃金の両方を助成する。

制度の骨格は「中小建設事業主が雇用する建設労働者に、賃金を支払って技能実習を受講させた場合に、その費用と賃金の一部を助成する」という仕組みです。採択枠を競う補助金とは異なり、支給要件を満たしていることが労働局の審査で確認されれば支給の対象になります。

一般コースとの根本的な違い

同じ「人材開発支援助成金」という名称であっても、「人材育成支援コース」や「事業展開等リスキリング支援コース」とは制度の性格が異なります。主な相違点を整理しておく。

比較項目建設労働者技能実習コース人材育成支援コース
対象業種建設業のみ全業種
申請窓口計画届・支給申請書とも管轄の都道府県労働局(計画届はハローワーク経由でも提出可)都道府県労働局
対象訓練支給要領の別表に掲げる特別教育・技能講習など職務に関連した訓練(職業訓練実施計画に沿って実施)
計画届登録教習機関等(登録教習機関・登録基幹技能者講習実施機関・職業訓練法人・指定教育訓練実施者)が実施する場合は不要。それ以外は3か月前から原則1週間前まで訓練開始日の6か月前から1か月前まで
助成上限年間500万円年間1,000万円
経費助成率(中小企業)20人以下は75%(21人以上は年齢で70%・45%)訓練の種類と賃金要件等で45〜100%
賃金助成日額8,550〜10,450円(中小建設事業主のみ)時間額800〜1,000円(中小企業以外は400〜500円)

建設業で受講させる安全衛生教育・技能講習のうち、支給要領の別表に掲げられたものは、このコースの対象になります。講習が1〜2日でも、経費助成(助成額は一つの技能実習につき1人10万円が上限)に加えて日額の賃金助成を受けられる点がほかのコースと異なります。実際の負担は、受講日に支払う賃金や移動費を含めて比べてください。

提出先は管轄の都道府県労働局

計画届と支給申請書の提出先は、雇用保険の適用事業所の所在地を管轄する都道府県労働局です。計画届は、労働局長の指揮監督するハローワーク(公共職業安定所)を経由して提出することもできます。

出典: 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)支給要領(令和8年4月8日施行) 0401 — 厚生労働省

受給要件 — 対象になる事業主と労働者の条件

助成金を申請するには、事業主と訓練対象となる労働者の双方が一定の要件を満たす必要があります。

対象となる事業主の要件

要件具体的な内容
業種「建設の事業」の雇用保険料率が適用されている建設事業主(Aの建設事業主)。建設業許可を受けて「一般の事業」等の料率が適用されている建設事業主(Bの建設事業主)にも対象になる場合がありますが、受講者などに追加の要件があります。Bに当たる場合は、支給要領と管轄労働局で要件を確認してください
雇用管理責任者建設労働者の雇用の改善等に関する法律にもとづく雇用管理責任者を選任していること
中小規模資本金3億円以下または常時雇用労働者300人以下
労働保険料未納・滞納がないこと
賃金法定の最低賃金・割増賃金を適正に支払っていること
労働者名簿等法定帳簿(賃金台帳・出勤簿等)を整備・保管していること

中小企業以外の建設事業主(資本金3億円超かつ常時雇用301人以上)も制度の対象外ではないが、対象は女性建設労働者に係る技能実習に限られ、経費助成(3/5)のみで賃金助成はありません。対象となる技能実習と実施方法の組み合わせにも条件があり、支給要領の表1で定められています。中小建設事業主向けの制度として設計されていると理解してよい。

対象となる労働者の要件

助成の算定対象になるのは、事業主に雇用される建設労働者で、原則として訓練期間を通して雇用保険の被保険者である人です(労働者の都合による退職や死亡などで訓練期間中に被保険者でなくなった場合の扱いは、支給要領で定められています)。経費助成では、さらに訓練の受講時間数が総訓練時間数の7割以上であることが必要です。

賃金助成は、通学制または同時双方向型の通信訓練で、1日の訓練時間が3時間以上の日が対象です(2時間45分以上3時間未満は3時間とみなされます)。eラーニングや通信制で実施する訓練は賃金助成の対象外です。

一人親方・外注先の技能者は対象外

一人親方や業務委託で働く技能者は雇用関係がないため、雇用保険の被保険者にはなれません。そのため建設労働者技能実習コースの対象から外れる。現場に常駐している技能者でも、「雇用」か「請負・委託」かで助成の可否が変わる点に注意が必要です。

一人親方が助成を受けるための唯一の方法

完全な一人親方(従業員をまったく雇用していない場合)は、現行制度では人材開発支援助成金を利用できません。従業員を雇用し、雇用保険への加入や建設事業主の区分、雇用管理責任者の選任など、支給要領の要件を満たす場合には、その従業員の技能実習について申請を検討できます。

人材開発支援助成金の建設業関連コースを使いたい一人親方は「雇用を生み出す」ことが条件になります。将来的に従業員採用を検討しているケースでは、採用のタイミングに合わせて技能実習の計画を立てると、採用後すぐに助成を活用できる。

助成内容 — 経費助成と賃金助成の2本立て

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補助金の活用を相談する

建設労働者技能実習コースの助成は「経費助成(受講料の補填)」と「賃金助成(訓練中の賃金補填)」の2種類で構成される。両方を合算して受け取れるため、短時間の講習でも実質的な自己負担を大幅に圧縮できる。

経費助成(受講料の助成)

技能実習の実施に要した費用(支給対象費用)に助成率を掛けた額が支給されます。支給額は、一つの技能実習について1人あたり10万円が上限です。

企業規模(雇用保険被保険者数)対象年齢経費助成率
20人以下の中小建設事業主年齢問わず3/4(75%)
21人以上の中小建設事業主35歳未満7/10(70%)
21人以上の中小建設事業主35歳以上9/20(45%)
中小企業以外女性建設労働者のみ(実施方法の条件あり)3/5(60%)

「雇用保険被保険者数」は技能実習の開始日時点の、企業全体の人数で判定されます。35歳未満かどうかも技能実習の開始日時点の年齢で確認されます。アルバイトや短時間労働者でも雇用保険に加入していれば被保険者数に含まれる点を踏まえて、自社の規模区分を確認しておく必要があります。

賃金助成(訓練中の賃金補填)

技能実習を受講させた日数に応じて助成されます。通学制または同時双方向型の通信訓練で1日3時間以上(2時間45分以上は3時間とみなす)受講した日が対象で、一つの技能実習につき1人あたり20日分が上限です。受講させた日に、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上を支払っていることが支給の条件です(所定労働時間外や休日に受講させた場合は、所定の賃金額の支払いが必要です)。

企業規模(雇用保険被保険者数)一般の賃金助成額CCUS登録技能者への助成額
20人以下の中小建設事業主9,500円/日・人10,450円/日・人
21人以上の中小建設事業主8,550円/日・人9,405円/日・人

建設キャリアアップシステム(CCUS)に技能者情報を登録している従業員を対象にする場合、1日あたりの賃金助成額が20人以下で950円、21人以上で855円高くなります(令和8年4月8日施行の支給要領)。CCUSの技能者登録には登録料がかかります(後述の「CCUSとの連動活用」を参照)。

賃金向上助成・資格等手当助成(賃上げで上乗せ)

経費助成または賃金助成の支給決定を受けたうえで、受講者の賃金を引き上げた場合は、次の上乗せを受けられます。

要件の区分満たす必要がある条件
賃金向上助成訓練終了日の翌日から1年以内に、算定対象の全ての建設労働者について、毎月決まって支払われる賃金を5%以上増加させている
資格等手当助成資格等手当を就業規則・労働協約・労働契約等に規定し、訓練修了の翌日から1年以内に算定対象の全ての建設労働者へ実際に支払い、賃金を3%以上増加させている

どちらの場合も、訓練開始日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、事業主都合による離職(解雇等)を出していないことが条件です。

上乗せの対象上乗せ額
経費助成経費助成の支給対象費用として算定した合計額(助成率を掛ける前の額)の3/20。一つの技能実習につき1人2万円まで
賃金助成(20人以下の中小建設事業主)1人1日あたり2,000円
賃金助成(21人以上の中小建設事業主)1人1日あたり1,750円

1事業所あたり年度500万円の上限は、経費助成・賃金助成・この上乗せの合計に対してかかります。年度は支給申請年月日を基準に、4月1日から翌年3月31日までで数えます。

出典: 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)支給要領(令和8年4月8日施行) — 厚生労働省/人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース) — 宮城労働局

対象訓練の全体像 — どの講習が助成を受けられるか

建設労働者技能実習コースの対象となる訓練は、主に労働安全衛生法・建設業法・能開法に基づくものです。実施できる者は訓練の区分ごとに定められています。たとえば技能講習は登録教習機関、登録基幹技能者講習は登録基幹技能者講習実施機関が実施するものです。自社で実施できる区分もあるため、対象になるかは支給要領の別表と管轄労働局で確認してください。

技能講習(代表的なもの)

技能講習は修了証の交付が伴う資格で、玉掛け・クレーン運転・フォークリフトなど現場での作業に必要なものが多い。

  • 玉掛け技能講習
  • 小型移動式クレーン運転技能講習
  • 床上操作式クレーン運転技能講習
  • 高所作業車運転技能講習
  • ショベルローダー等運転技能講習
  • ガス溶接技能講習
  • 足場の組立て等作業主任者技能講習

対象になる業務の範囲と講習日数は、講習ごとに定められています。受講前に登録教習機関で確認してください。

特別教育(代表的なもの)

特別教育は、労働安全衛生法にもとづき一定の危険・有害業務に就かせる前に行う安全衛生教育です。助成の対象になる特別教育は、支給要領の別表5に掲げられたものに限られます。代表的なものは次のとおりで、対象業務の範囲と講習時間は講習ごとに法令で定められています。受講前に実施機関と管轄労働局で確認してください。

  • フルハーネス型墜落制止用器具特別教育
  • 足場の組立て等特別教育
  • 低圧電気取扱業務特別教育
  • 酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育
  • 粉じん作業特別教育
  • 石綿取扱い作業従事者特別教育
  • アーク溶接等特別教育
  • 巻上げ機(ウインチ)運転特別教育

たとえばフルハーネス型墜落制止用器具特別教育の対象は、高さ2m以上で作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型を用いて行う作業に係る業務です。標準の講習時間は学科4.5時間・実技1.5時間の計6時間です。一定の作業経験や他の特別教育の受講歴がある場合は一部の科目を省略できる扱いがあるため、実施機関に確認してください。

講習室の机に置かれたフルハーネス型墜落制止用器具とランヤードの大型フック、白いヘルメット
フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育は、標準で学科4.5時間・実技1.5時間の計6時間です。助成の対象になるかは、支給要領の別表と実施機関で確認します。

建設業法に基づく登録基幹技能者講習

施工管理の中核を担う熟練技能者を対象とした登録基幹技能者講習も対象に含まれる。鉄筋・型枠・とび・土工・舗装・電気工事など職種ごとに講習が設定されており、受講要件(実務経験10年以上等)を満たした上級技能者のスキルアップに活用できる。

計画届が不要になる実施機関

支給要領では、次の機関が実施する技能実習を受講させる場合、計画届の提出が不要とされています。

  • 登録教習機関
  • 登録基幹技能者講習実施機関
  • 職業訓練法人
  • 指定教育訓練実施者

計画届が要るかどうかは、団体の名前ではなく、その講習の実施者が上の区分に当たるかで決まります。申し込む前に、講習の実施機関に区分を確認してください。判断がつかない場合は管轄労働局に確認するのが確実です。

出典: 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)支給要領(令和8年4月8日施行) 0401 — 厚生労働省

助成額の具体的な計算方法と試算例

実際にどのくらいの助成を受けられるか、複数のパターンで試算する。

試算1: フルハーネス特別教育を5人受講させる場合(被保険者20人以下)

フルハーネス特別教育の受講料は実施機関によって異なります。ここでは仮に1人12,000円(税込)として計算します。

項目計算金額
受講料合計12,000円 × 5人60,000円
経費助成(75%)60,000円 × 75%45,000円
賃金助成(9,500円/日 × 5人 × 1日)47,500円
助成合計92,500円
受講料の自己負担60,000円 − 45,000円15,000円

5人分の受講料60,000円に対して、経費助成だけで45,000円が戻ります。受講料の自己負担は15,000円で、これに受講日の賃金を支払ったうえで賃金助成47,500円を受け取る形です。

試算2: 玉掛け技能講習を1人受講させる場合(被保険者20人以下)

玉掛け技能講習の受講料も実施機関や受講者の保有資格によって異なります。ここでは仮に3日間・30,000円(税込)として試算します。

項目計算金額
受講料30,000円 × 1人30,000円
経費助成(75%)30,000円 × 75%22,500円
賃金助成(9,500円/日 × 1人 × 3日)28,500円
助成合計51,000円
受講料の自己負担30,000円 − 22,500円7,500円

3日間の技能講習なので賃金助成も3日分(9,500円 × 3日 = 28,500円)が積み上がります。助成合計は受講料30,000円を上回りますが、賃金助成を受けるには受講日の賃金を通常どおり支払う必要があります。移動費なども含めた会社全体の負担は別に見積もってください。

試算3: 複数の安全衛生教育を組み合わせた年間計画(被保険者21〜100人規模)

従業員30人規模の中堅建設会社が年間で複数の講習を受講させる場合のシミュレーションです。

訓練内容受講人数受講料小計経費助成率助成額(経費)助成額(賃金)
フルハーネス特別教育(1日)10人130,000円70%(35歳未満)91,000円85,500円
足場特別教育(1日)8人88,000円70%(35歳未満)61,600円68,400円
玉掛け技能講習(3日)3人90,000円45%(35歳以上)40,500円76,950円
合計308,000円193,100円230,850円

年間合計で423,950円の助成になる計算です(賃金助成は21人以上の単価8,550円で算出)。講習費用308,000円を上回るのは賃金助成が加算されるためで、受講日に通常の賃金の額以上を支払っていることが前提です。

申請手順 — 段階別の詳細ガイド

建設労働者技能実習コースの申請は、「計画届(一部の機関では不要)」「受講」「支給申請」の3フェーズで進む。

1

受給資格の事前確認

管轄の都道府県労働局に連絡し、自社が雇用保険・労働保険料の要件を満たしているか確認します。労働保険料の滞納などがあると不支給になる場合があるため、事前に確認します。

2

訓練機関の選定と受講申込み

受講させたい技能講習・特別教育を実施している機関を選びます。実施機関が登録教習機関・登録基幹技能者講習実施機関・職業訓練法人・指定教育訓練実施者のいずれかなら計画届は不要です。受講料の見積りを取り、助成率を掛けた経費助成額が1人10万円の上限を超えないかも確認します。

3

計画届の提出(必要な場合のみ)

登録教習機関等(登録教習機関・登録基幹技能者講習実施機関・職業訓練法人・指定教育訓練実施者)以外が実施する場合は、技能実習開始日の3か月前から原則1週間前までに計画届を管轄の労働局へ提出します。様式は厚生労働省または労働局のウェブサイトからダウンロードできる。

4

賃金を支払って技能実習を実施

対象の技能講習・特別教育を受講させます。受講させた日には、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上を支払います(所定労働時間外・休日の受講は所定の賃金額の支払いが必要)。出席簿・受講証明書・修了証のコピーを必ず保管すること。

5

支給申請書と必要書類の準備

技能実習終了日の翌日から2か月以内(賃金の支払日から期限まで2週間に満たない場合は、賃金の支払日から2週間以内)に、支給申請書・賃金台帳のコピー・出勤簿・受講証明書・領収書などを揃える。CCUSの登録を助成加算に使う場合はCCUS登録確認書類も必要です。

6

管轄の労働局へ支給申請書を提出

揃えた書類を管轄の都道府県労働局(雇用保険担当部署)へ提出する。提出は持参または郵送が可能です。支給申請の期限(実習終了翌日から2か月以内。賃金の支払日から期限まで2週間に満たない場合は賃金の支払日から2週間以内)を守ります。

7

審査・支給決定・振込

労働局による審査を経て支給決定が出ます。審査にかかる期間は労働局や申請内容によって異なるため、目安は管轄労働局に確認してください。決定通知書が届いたら、記載の助成額を確認します。

主な提出書類の一覧

実際の申請で求められる書類は受講内容や申請内容によって異なるが、一般的に以下の書類が必要になる。

書類名用途・備考
人材開発支援助成金支給申請書厚生労働省の様式
建設労働者技能実習コース計画届計画届が必要な機関の場合のみ
賃金台帳(訓練期間分)受講日の賃金支払いの確認に使う
出勤簿または出席記録受講日の出勤を証明する
受講証明書・修了証のコピー機関が発行するもの
受講料の領収書(コピー可)対象経費の根拠
支払方法・受取人住所届初回申請または口座変更時のみ
支給要件確認申立書共通要領様式第1号
CCUS技能者情報確認書類CCUS加算を希望する場合のみ

申請で失敗しないための5つのポイント

ポイント1: 計画届の期限は「1週間前(必着)」

計画届が必要な場合、提出期間は「訓練を実施しようとする日の3か月前から原則1週間前まで」です。「1週間前に郵送した」では間に合わない場合もあります。余裕をもって10日〜2週間前に郵送するか、直接持参することを勧める。

期限の例外は限られている

支給要領では、天災など事業主にも労働者にも責任のない理由で期限内に提出できなかった場合に限り、理由を記した書面を添えて随時提出できるとされています。その場合でも、訓練開始日の前日までに提出する必要があります。日程が決まったら、提出期限を社内カレンダーに登録しておきましょう。

ポイント2: 訓練中の賃金支払いは必須

受講させた日には、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上を支払う必要があります。所定労働時間外や休日に受講させた場合も、所定の賃金額の支払いが必要です。無給扱いで受講させると、不支給になるおそれがあります。賃金台帳に受講日の賃金が明記されていることを支給申請前に確認します。

建設会社の事務所の机。バインダーと書類、電卓、ヘルメットが置かれ、窓の外に建物が見える
受講日の賃金の支払いは、賃金台帳などで確認されます。支払いが確認できない場合は助成を受けられません。

ポイント3: 経費助成の上限は「助成額」で1人10万円

10万円は、支給対象費用に助成率を掛けたあとの支給額の上限です。たとえば支給対象費用が12万円で助成率が75%なら、支給額は9万円で上限の範囲に収まります。支給対象費用が15万円なら、75%を掛けると11万2,500円になるため、支給額は10万円になります。

ポイント4: 支給申請は「実習終了日の翌日から原則2か月以内」

支給申請書は、技能実習が終了した日の翌日から起算して2か月以内に提出します。ただし、技能実習の期間に係る賃金の支払日から支給申請期限までが2週間に満たない場合は、賃金の支払日から2週間以内です。訓練が終わったら書類をすぐに準備し、余裕をもって提出してください。

ポイント5: 賃金台帳・出勤簿の整備が助成の前提

支給申請時に賃金台帳・出勤簿が整備されていないと審査が長引いたり不支給になる。就業規則・賃金規定・出勤管理の整備は助成金申請の基盤として事前に整えておくことが重要です。

CCUSとの連動活用 — 登録者は賃金助成の単価が上がる

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設技能者の就業履歴・保有資格・受講歴などを電子的に蓄積するシステムです。技能者情報をCCUSに登録している従業員を対象に技能実習を受講させると、賃金助成の単価が上乗せされる。

被保険者規模CCUS未登録CCUS登録済み1日あたりの差額
20人以下9,500円10,450円950円
21人以上8,550円9,405円855円

10人に3日間の技能講習を受講させる場合(20人以下の事業主で全員CCUS登録済み)、賃金助成は次のように計算される。

  • CCUS未登録: 9,500円 × 10人 × 3日 = 285,000円
  • CCUS登録済み: 10,450円 × 10人 × 3日 = 313,500円
  • 差額: 28,500円

1回の受講で2万8千円以上の差が出ます。CCUSの技能者登録料はインターネット申請で簡略型2,500円・詳細型4,900円です。2027年4月1日からは詳細型に一本化され、登録料は当分の間4,000〜4,500円程度に引き下げる想定と案内されています。登録料や事業者側の費用と比べても、技能実習を繰り返し受講させる会社ほど加算の効果が積み上がります。

CCUSを活用した処遇改善を支援する制度として、人材確保等支援助成金の「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」もあります。技能実習コースとは別の制度なので、同じ取組や同じ経費で両方を申請できるかどうかは、申請前に管轄労働局に確認してください。

出典: 建設キャリアアップシステム 利用方法・料金技能者登録方式の詳細型一本化に関するお知らせ(2026年9月10日) — 建設キャリアアップシステム事業本部

「建設労働者技能実習コース」と「人材育成支援コース」の選択フロー

どちらのコースを使うべきか迷ったとき、以下のフローで判断できる。

受講させたい訓練が、支給要領の別表に掲げる建設工事に直接関連する技能実習か確認する

支給要領の別表に掲げる技能講習・特別教育などで、建設工事における作業に直接関連し、実施者・実施方法の条件も満たすもの(玉掛け・フルハーネス・足場等)→ 建設労働者技能実習コースを検討

BIM研修・施工管理ソフト研修など一般的な職業訓練か確認する

法定資格を伴わないIT系・スキルアップ研修 → 人材育成支援コースを検討(対象訓練・計画届・訓練中の賃金などの要件を満たす場合)

新分野(DX・脱炭素等)への事業展開を伴う訓練か確認する

新規事業展開に関連するスキルアップ研修 → 事業展開等リスキリング支援コースを検討(制度上の対象訓練などの要件と助成率は、厚生労働省の最新のご案内で確認してください)

建設業の安全衛生教育・技能講習を受講させるときは、まずこのコースの対象になるか(別表への掲載、実施者・実施方法の条件)を確認し、対象外なら一般のコースを検討する順番が確認しやすくなります。建設業で活用できる助成金の全体像は建設業の補助金・助成金一覧で確認できる。

よくある質問

建設労働者技能実習コースの申請窓口はどこですか?
計画届も支給申請書も、雇用保険の適用事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。計画届は、労働局長の指揮監督するハローワーク経由でも提出できます。
フルハーネス特別教育は計画届なしで申請できますか?
実施機関によって異なります。登録教習機関・登録基幹技能者講習実施機関・職業訓練法人・指定教育訓練実施者が実施する講習なら計画届は不要です。それ以外の機関が実施する場合は、訓練を実施する日の3か月前から原則1週間前までに計画届を提出します。団体名だけでは判断できないため、申し込む前に実施機関の区分を確認してください。
1人あたりの助成上限はいくらですか?
経費助成は1人あたり1つの技能実習につき上限10万円です。賃金助成は最大20日分で、20人以下の事業主であれば1日9,500円(CCUS技能者情報登録者は10,450円)、21人以上なら1日8,550円(同9,405円)です。なお、経費助成の10万円は助成率を掛けたあとの支給額の上限で、受講料そのものの上限ではありません。なお、年間合計の上限は500万円です。
同じ年度に複数回申請できますか?
できます。同じ年度に複数の技能実習について申請できます。年度は支給申請年月日を基準に4月1日から翌年3月31日までで数え、経費助成・賃金助成・賃金向上助成等の合計で500万円が上限です。訓練の種類・対象者・実施時期が異なれば、それぞれ個別に申請を行います。毎月のように安全衛生教育を実施している企業であれば、複数回に分けて申請することで年間を通じて助成を積み上げられます。
申請の相談はどこにできますか?
要件や書類については、管轄の都道府県労働局(助成金の担当窓口)に問い合わせられます。書類作成や期限管理を外部に任せたい場合は、社会保険労務士に依頼する方法もあります。報酬は事務所ごとに異なるため、依頼前に見積もりを取ってください。
技能実習中に業務連絡を受けた場合はどうなりますか?
訓練時間中に通常の業務へ従事させないことが前提です。賃金助成は1日の訓練時間が3時間以上(2時間45分以上は3時間とみなす)の日が対象で、受講日には通常の賃金を支払う必要があります。受講した日に訓練時間外の勤務を組み合わせる場合の扱いは、賃金台帳・出勤簿の記録方法も含めて管轄労働局に事前に確認してください。
支給申請の提出期限はいつですか?
技能実習が終了した日の翌日から起算して2か月以内です。ただし、技能実習の期間に係る賃金の支払日から支給申請期限までが2週間に満たない場合は、賃金の支払日から2週間以内になります。訓練が終わったら、すぐに申請の準備を始めてください。
玉掛け技能講習の費用はいくら戻ってきますか?
雇用保険被保険者20人以下の事業主が35歳未満の従業員を1人受講させた場合、受講料(仮に30,000円)の75%(22,500円)の経費助成と3日間分の賃金助成(9,500円×3日=28,500円)が受け取れます。合計51,000円の助成になり、受講料30,000円を上回ります。受講させた日に、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の額以上を支払っていることが支給の条件です(所定労働時間外や休日に受講させた場合は、所定の賃金額の支払いが必要です)。

2026年度の制度改正ポイントと確認事項

人材開発支援助成金は毎年4月に制度内容が見直される。2026年度(令和8年度)の最新情報は下記の点を特に確認しておきたい。

令和8年度の支給要領は令和8年4月8日に施行され、賃金助成の日額が引き上げられました。20人以下の中小建設事業主は1日9,500円(CCUS技能者情報登録者は10,450円)、21人以上は1日8,550円(同9,405円)です。

申請様式は、計画届を出した日(計画届が不要な技能実習は開始した日)で使い分けます。令和8年4月8日以降なら令和8年度の様式、令和7年4月1日から令和8年4月7日までなら令和7年度の様式です。

経費助成・賃金助成に加えて、受講後に賃金を引き上げた場合の賃金向上助成・資格等手当助成があります。CCUSを活用した処遇改善を支援する制度としては、別に建設キャリアアップシステム等活用促進コースがあります。

最新の助成額・様式は毎年4月に更新

助成単価(賃金助成の日額等)は最低賃金の引き上げに連動して変更されることがあります。この記事の数値は令和8年4月8日施行の支給要領にもとづいています。申請時は厚生労働省または管轄労働局の最新の支給要領・パンフレットで確認してください。

申請サポートの活用 — どこに相談すればいいか

相談先得意な相談内容費用
管轄の都道府県労働局計画届の書き方・受給要件の確認無料
ハローワーク雇用保険の被保険者資格確認無料
社会保険労務士申請代行・書類作成・期限管理の委託有料(事務所ごとに異なる)
中小企業診断士・認定支援機関複数助成金の戦略的組み合わせ設計有料

「どのコースを使えばいいかわからない」という段階なら、まず管轄の労働局に問い合わせてください。書類の準備や期限管理に手が回らない場合は、社会保険労務士への依頼も選択肢になります。

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