採用してもすぐに辞めていく。3ヶ月持てば良いほうで、「また1から採用活動をやり直しか」と頭を抱える—中小建設会社の経営者から、こうした話を頻繁に聞く。
厚生労働省の調査によれば、建設業における新卒入職者の3年以内離職率は高卒で43.2%、大卒でも30.7%に上る。全産業平均と比較して高卒で約15ポイント、大卒で約10ポイント高い水準です。「入っても辞める」という悪循環が慢性化している業界において、採用にかけたコストがそのまま損失になるリスクは無視できません。
こうした状況に対して、厚生労働省は「トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)」という制度を設けている。未経験者や経歴にブランクのある35歳未満の若年者・女性を最長3ヶ月間試験的に雇用し、双方が合意すれば本採用に移行する仕組みです。この試用期間中、事業主に対して月額最大4万円が助成される。採用リスクを制度的に軽減できる点で、中小建設会社にとって活用価値が高い制度といえる。
この記事では、制度の正確な要件から申請フロー、OJTの設計ポイント、他の助成金との組み合わせ方まで、実務で使える情報を整理します。
出典: 建設業における若年入職者の離職率 — 厚生労働省職業安定局雇用開発企画課 建設・港湾対策室(令和7年10月15日時点)
建設業の若年・女性採用が難しい理由—数字で見る現状
制度の話に入る前に、なぜ建設業において若年・女性の採用と定着がこれほど難しいのかを数字で確認しておく。
建設業就業者の年齢構成をみると、2024年時点で55歳以上が全体の約37%を占める一方、29歳以下はわずか約12%に過ぎありません。全産業平均と比較しても高齢化の度合いが際立っており、このまま団塊世代の大量離職が続けば、現場の担い手が一気に失われる構造的リスクを抱えている。
女性の状況も厳しい。国土交通省の「令和6年度建設産業における女性定着促進に関する実態等調査」によると、技術者における女性割合は約20%まで上昇してきたものの、現場の技能者では約6%にとどまっている。施工管理職では女性採用が少しずつ広がりつつあるが、日常的な業務環境の整備がまだ途上にある企業が多い実態があります。
令和6年(2024年)の建設業の入職者数は294千人、離職者数は250千人となり、3年ぶりに入職数が離職数を上回った。しかし、これは決して楽観できる数字ではない。採用できても定着させられない—この課題が解消されない限り、数字の逆転は一時的なものにとどまる。
この背景を踏まえると、若年者・女性の採用における「ミスマッチによる早期離職リスクを下げる」アプローチが、中小建設会社の持続可能な採用戦略の核心になる。トライアル雇用はそのための具体的な手段として機能する。
出典: 4. 建設労働|建設業の現状 — 日本建設業連合会
トライアル雇用制度の全体像—通常雇用との違い
トライアル雇用とは、原則として最長3ヶ月間の有期雇用契約で求職者を試験的に雇い入れ、双方の適性を確認した上で本採用(常用雇用)に移行するかどうかを判断する制度です。厚生労働省が管轄し、ハローワークの「トライアル求人」を通じて運用される。
通常の試用期間と混同されやすいが、両者には決定的な違いがあります。試用期間は最初から本採用を前提として雇用契約を締結し、試用期間中に解雇するには合理的な理由が必要になる。これに対してトライアル雇用は、あくまでも「有期雇用契約」として始まる。3ヶ月間の試行雇用が終了した時点で、事業主・求職者の双方が合意した場合に常用雇用へ移行する。双方が「合わない」と判断すれば、契約終了という選択肢も取りやすい構造になっている。
採用リスクの観点からみると、この差は大きい。未経験者や長期離職者、業界未経験者を迎え入れる際、最初から正社員として雇用すれば、万が一ミスマッチが発覚しても対処に苦慮する場面が出てくる。トライアル雇用であれば、試行期間中の実際の働きぶりをもとに、双方が納得した上で本採用の可否を判断できる。
一般トライアルコースとの関係性
トライアル雇用助成金には複数のコースがあります。その中で建設業が活用できるのが、以下の2コースの組み合わせです。
- 一般トライアルコース(またはの障害者トライアルコース): 月額最大4万円(母子家庭の母等は5万円)
- 若年・女性建設労働者トライアルコース: 月額4万円(上乗せ)
重要なのは、若年・女性建設労働者トライアルコースは単独で申請できない点です。一般トライアルコースまたは障害者トライアルコースの支給決定を受けた後に、初めて上乗せ申請が可能になる。言い換えれば、建設業の対象者であれば最大で月額8万円(一般コース4万円+建設コース4万円)、3ヶ月で最大24万円の助成を受けられる計算になる。
ただし、一般コース分が不支給になると建設コース分も支給されない連動条件があります。申請の順序と書類管理を正確に行うことが、両コースを確実に受給するための前提条件です。
若年・女性建設労働者トライアルコースの要件を確認する
制度を活用する前に、事業主側・対象者側の双方で要件を満たしているかを確認する必要があります。要件を誤解したまま採用を進めると、申請後に支給対象外と判定されるリスクがあります。
事業主(建設会社)側の要件
中小建設事業主であることが前提で、具体的には以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 「建設の事業」の雇用保険料率の適用を受けていること(建設業の事業主として登録されていること)
- 資本金の額・出資の総額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下であること
- 雇用管理責任者を選任していること
- 過去3年以内に助成金の不正受給をしていないこと
「雇用管理責任者の選任」は見落とされやすいポイントです。建設業では、建設労働者雇用改善法に基づいて雇用管理責任者の選任が義務付けられている。ただし選任しているだけで届け出は不要であり、社内で担当者を明確にしておけば要件を満たす。
一人親方は対象外となる点にも注意が必要です。雇用保険の適用事業主である法人または個人事業主として、労働者を雇用している状態が前提になる。
対象労働者の要件
採用する側だけでなく、採用される求職者にも要件があります。
- トライアル雇用開始日の時点で35歳未満であること、または女性であること(年齢は35歳以上の女性も対象)
- 主として建設工事現場での現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工など)に従事する、または施工管理を行う方であること
- 実労働時間の半分を超える時間を、建設現場業務に従事すること
施工管理職はオフィスワークが含まれるが、現場巡回や安全管理などの業務が実労働時間の半分超を占めていれば対象になる。一方で、純粋に内勤の事務職・経理職として採用する場合は、建設コースの対象から外れる。
また、一般トライアルコースの対象者要件も同時に満たしている必要があります。一般コースでは「職業経験の不足などから就職が困難な求職者」が対象とされており、ハローワークが紹介を行う段階で適否を判定する。
申請の流れ—ハローワークから受給まで
トライアル雇用の申請は、ハローワークを起点として進む。流れを正確に把握していないと、タイミングを逃して申請できなくなるリスクがあります。
ハローワークにトライアル求人を提出する
通常の求人票ではなく、「トライアル雇用併用」を指定した求人票を提出する。ハローワークインターネットサービスの求人者マイページから、「トライアル雇用希望」にチェックを入れて申し込む。既存の求人票を変更して対応することも可能です。
ハローワークを通じて求職者を紹介してもらう
ハローワークが対象者要件を確認した上で求職者を紹介します。事業主と求職者が面談を行い、双方が合意した場合に有期雇用契約を締結する。このステップはハローワークの紹介を経ることが必須で、独自ルートで採用した後にトライアル求人へ変更することはできません。
雇用開始から2週間以内に実施計画書を提出する
トライアル雇用を開始したら、2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」をハローワークへ提出する。この期限を過ぎると助成金の対象外になるため、採用後すぐに準備を進める必要があります。
最長3ヶ月のトライアル雇用を実施する
原則として1〜3ヶ月の有期雇用契約でOJTを中心とした業務を行う。期間中に求職者の業務適性・建設現場への適応状況を確認しながら、本採用の判断材料を積み上げていく。
トライアル終了後2ヶ月以内に支給申請する
トライアル雇用終了日の翌日から起算して2ヶ月以内に、一般トライアルコースの支給申請書と若年・女性建設労働者トライアルコースの申請書を同時提出する。提出先は都道府県労働局またはハローワークの担当窓口。
審査・支給決定
書類審査の後、支給決定の通知が届く。一般コース分の支給が確定した後に、建設コースの上乗せ分が支給される。
ひとつ注意しておきたいのは「本採用への移行は必須ではない」という点です。トライアル雇用はあくまで試行雇用であり、3ヶ月の試用の結果として「合わない」と判断した場合でも、助成金の申請要件上は問題ありません。ただし、ハローワークとの関係性や次回以降の求人活動への影響を考えると、本採用移行の意思をもって制度を活用することが望ましい。
試用期間中に建設会社がすべきOJT設計のポイント
トライアル雇用の3ヶ月間は、事業主にとっての「評価期間」であると同時に、求職者にとっての「育成期間」でもあります。この期間のOJT設計が、本採用後の定着率を大きく左右する。
現場OJTで確認すべき4つの観点
未経験者や業界未経験者を受け入れる際、「向いているかどうか」を漠然と評価しても判断基準が曖昧になる。あらかじめ評価の軸を設けることで、3ヶ月後の本採用判断を迷いなく行える。
- 安全意識の定着: ヘルメット・安全帯の着用習慣、危険予知活動(KY活動)への参加態度。現場の安全規律は入職初期に形成される傾向が強い
- 指示への対応力: 現場監督や職長の指示を正確に理解し、不明点を確認できるかどうか。「分からなければ聞く」姿勢は教育で身につけさせる
- 体力・持続力: 季節によっては炎天下・厳冬の屋外作業が続く。体力的な適応力は実際に体験させる以外に評価する方法がない
- 協調性: 職人・協力業者・現場監督との関係構築力。チームで動く建設現場では個人の技術力だけでなく周囲との連携が重要になる
若年者・女性向けの育成で意識すること
35歳未満の若年者、とりわけ20代前半の入職者は「建設業の当たり前」に慣れていありません。言葉で言えば済むと思っている側と、何も分からない状態で放置された側では、認識のギャップが大きく生まれる。
- 最初の2週間は「見習い期間」として位置づけ、工具の名称・現場のルール・安全手順を体系的に教える
- 週に1回、担当の職長または現場監督と1対1で振り返りの時間を設ける(15〜20分程度で良い)
- 分からないことを聞きやすい雰囲気を意図的につくる。質問しやすい先輩を特定して「メンター」として配置するのが有効
女性入職者の場合、トイレ・更衣室などの施設面への配慮が基本の前提になる。国土交通省の「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」では、女性専用設備の整備を推奨しており、施設面の準備なしに女性のトライアル雇用を開始しても、早期離職につながりやすい。
試用期間中のドキュメント管理
本採用の判断を根拠のある形で行うためには、OJTの記録を残しておく必要があります。後から「あの3ヶ月間に何を学んで、どう成長したか」を振り返れる材料がなければ、評価が感覚的なものになりがちです。
週次の作業記録、安全確認のチェックリスト、担当職長の所見メモ—これらを蓄積しておくことで、本採用の可否判断に客観的な根拠を持てるようになる。また、不採用を選択した場合でも、その判断を求職者に説明できる材料になる。
トライアル終了後の本採用判断基準
3ヶ月間の試用期間が終了したとき、事業主はどのような基準で本採用の可否を判断すべきか。「感触が良かったから採用」「なんとなく合わなかったから不採用」では、人材マネジメントの観点から問題があります。
本採用を推奨するケース
- 安全規律が習慣化しており、上長への報告・連絡・相談が適切に行えている
- 同年代・同経験年数の新入社員と比較して遜色のない技術習得速度を示している
- 職長・現場監督から「一緒に働き続けたい」という具体的な評価が出ている
- 欠勤・遅刻がなく、体力的な適応も問題ない
不採用を検討すべきケース
- 安全意識の向上が見られず、指摘を繰り返しても改善が起きない
- 指示の理解度に著しい問題があり、単純作業以外を任せることが難しい
- 本人自身が「建設業の仕事は自分には合わない」と明確に意思表示している
重要なのは、「不採用」の選択肢は本人・会社双方にとって悪い結果とは限らないということです。建設業が合わないと早めに分かれば、求職者は別の業種で活躍できる可能性があります。本採用前に気づける制度設計であるトライアル雇用の本質は、まさにここにあります。
本採用を決定した場合は、常用雇用への転換にあたって雇用条件(賃金・勤務時間・職種)を明確に書面で交わすことが必要です。口頭だけの合意は後々のトラブルになりやすい。
未経験者採用の現実と本制度の解決策
建設業において未経験者を採用する際、事業主が直面する問題は共通している。「どこまで教えれば使えるようになるか見えない」「採用費用をかけても半年で辞めたら元が取れない」という不安です。
ハローワーク経由のトライアル雇用では、紹介段階でハローワークの相談員が求職者のバックグラウンドを把握している。職歴・離職理由・体力面の不安・希望職種への本気度—こうした情報が事前にある程度整理された上で紹介されるため、採用担当者が初歩的なスクリーニングにかける時間を削減できる側面があります。
また、採用にかかるコストの観点でも制度が機能する。求人媒体への掲載費が不要(ハローワーク経由のため)で、採用した場合も試用期間中は助成金が入る。仮にトライアル終了後に本採用しない結果になったとしても、その3ヶ月分の人件費の一部は助成金で補填される。完全なリスクゼロとは言えないが、未経験者採用のコスト構造を変えられる制度設計になっている。
異業種転職者の受け入れパターン
近年、建設業への異業種転職者が増えている。飲食・小売・製造業など、別の業種でキャリアを積んだ30代前後が建設業に転職するケースです。体力面の不安が少なく、社会人経験として報告・連絡・相談のスキルがある点では即戦力に近い部分もあるが、現場特有の安全知識や工具の扱い方は一から習得させる必要があります。
こうした異業種転職者にとって、トライアル雇用は「建設業が自分に合うかどうか確かめられる機会」として機能する。3ヶ月で双方が納得した上で正社員になれるなら、入社後の「こんなはずじゃなかった」というギャップが生まれにくくなる。
採用側にとっても、「仕事ができるかどうか分からないまま正社員として受け入れる不安」が解消される。採用リスクの最小化と優秀な人材の確保を両立できる点で、異業種転職者との相性は良い。
よくある採用失敗パターンと本制度での回避策
建設業での採用失敗は、特定のパターンに集中する傾向があります。制度を活用する前に、自社がそのパターンに陥りやすい構造になっていないか確認しておく必要があります。
パターン1: 現場に放り込んで「見て覚えろ」
未経験者に対して、初日から現場に連れて行き「周りを見て動け」という指導スタイルは、離職率を高める典型的なパターンです。何をすれば良いか分からないまま1週間が過ぎると、「自分は必要とされていない」と感じて離職につながる。
回避策は、前述のOJT設計にある。最初の2週間は「見て学ぶ期間」として明示し、学ぶ内容をリスト化して渡す。何も分からない状態を前提にした育成計画があるだけで、入職者の不安は大きく減る。
パターン2: 賃金条件の不一致
「日給制が条件」と求人票に書いていても、実態では天候不順による休業日が多く、月収が安定しないと感じた入職者が離職するケースがあります。
トライアル雇用期間中に実際の収入水準を体験させることで、本採用前に「これで生活できるか」を本人が判断できる。給与体系についての誤解が解消された状態で本採用に進める点で、トライアル雇用は双方の期待値を一致させる機能を持っています。
パターン3: 現場の人間関係
ベテラン職人の言葉がきつい、年功序列意識が強い—こうした職場風土が若年者・女性の早期離職を招いているケースは少なくありません。3ヶ月のトライアル期間中にこれが表面化した場合は、職場環境の改善課題として捉えるべきです。本採用後に離職するよりも、試用期間中に発覚したほうが、会社全体の採用定着率改善につながる情報になる。
キャリアアップ助成金・人材確保等支援助成金との組み合わせ
トライアル雇用助成金は単体で活用するだけでなく、他の雇用関係助成金と組み合わせることでさらに効果を高められる。
キャリアアップ助成金との連動
トライアル雇用で本採用に至った場合、その後の雇用形態の転換にキャリアアップ助成金(正規雇用等転換コース)を活用できる可能性があります。
キャリアアップ助成金の正規雇用等転換コースでは、有期雇用から正規雇用へ転換した場合に1人あたり最大57万円(中小企業)が支給される。トライアル雇用の3ヶ月間を有期雇用として開始し、本採用時に正社員(無期雇用)へ転換する流れは、この要件を満たす構造になっている。
ただし、キャリアアップ助成金の申請にはいくつかの前提条件があります。就業規則に正規雇用への転換規程が明記されていること、転換の6ヶ月前から継続して有期雇用で勤務していること(すなわち、3ヶ月のトライアル期間だけでは期間が不足する場合がある)などが要件に含まれる。詳細はキャリアアップ助成金の解説記事で確認してほしい。
人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)との組み合わせ
人材確保等支援助成金では、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録してレベルアップした技能者の賃金を5%以上増額した場合に、上限160万円の助成を受けられる。
トライアル雇用で採用した若年者・女性をCCUSに登録し、3ヶ月の試用期間を経て本採用後に技能レベルの向上に合わせて賃金を引き上げるという流れは、この制度と自然に連動する。若い技能者の育成と賃金改善を同時に進めながら、複数の助成金で費用を補填できる活用例になる。
この2つの組み合わせは、採用→定着→育成→処遇改善という一連の人材マネジメントのサイクル全体をカバーする。制度の掛け合わせを最初から設計した上で採用計画を立てることで、助成金の総受給額は大きく変わる。
まずは建設業で使える補助金・助成金の一覧ページで全体像を確認し、自社の状況に合った組み合わせを検討することをすすめる。
よくある質問
よくある質問
- トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)は誰でも申請できますか?
- 中小建設事業主(資本金3億円以下または従業員300人以下)であること、「建設の事業」の雇用保険料率の適用を受けていること、雇用管理責任者を選任していることが前提です。一人親方は対象外になります。また、採用する求職者がハローワークの紹介を受けた35歳未満の若年者または女性であり、主として建設工事現場の現場作業または施工管理業務に従事することも要件です。
- トライアル雇用後に本採用しなかった場合でも助成金は受け取れますか?
- はい、受け取れます。トライアル雇用助成金は、本採用への移行を必須条件としていません。3ヶ月の試行雇用を実施し、所定の申請書類を期限内に提出すれば、本採用の有無にかかわらず支給対象になります。ただし、一般トライアルコースの支給が確定することが若年・女性建設労働者トライアルコースの支給の前提になります。
- トライアル期間は必ず3ヶ月ですか?
- 最長3ヶ月ですが、1ヶ月または2ヶ月で本採用に移行することも可能です。その場合、助成金は実際のトライアル雇用期間(月数)分のみ支給されます。3ヶ月に満たない期間のトライアル雇用でも、就労日数等に応じた金額で申請できます。
- 施工管理職として採用する場合も建設コースの対象になりますか?
- なります。建設工事現場での現場作業だけでなく、施工管理業務に従事する場合も対象です。ただし、実労働時間の半分を超える時間が建設現場業務(現場巡回・安全管理・品質確認など)に充てられていることが条件です。内勤中心の事務職や経理職として採用する場合は対象外になります。
- ハローワーク以外のルート(求人媒体・紹介会社)で採用した場合も使えますか?
- 使えません。トライアル雇用助成金は、ハローワーク等の職業紹介機関が「トライアル雇用求人」として紹介した求職者が対象です。求人媒体や人材紹介会社経由で採用した場合は、後からトライアル求人に切り替えることはできません。制度を活用する場合は、最初からハローワークに「トライアル雇用希望」の求人票を提出する必要があります。
- キャリアアップ助成金と同時に申請できますか?
- トライアル雇用助成金とキャリアアップ助成金は別制度であり、併用可能です。ただしキャリアアップ助成金の正規雇用等転換コースを申請するには、転換前に6ヶ月以上の有期雇用実績が必要なケースがあります。3ヶ月のトライアル期間後すぐにキャリアアップ助成金を申請できるかどうかは、転換のタイミングと雇用形態の変遷によって異なるため、管轄のハローワークまたは社会保険労務士に確認することをすすめます。
申請前に確認すべきチェックリスト
助成金申請の失敗の多くは、「要件を満たしていると思っていたが実は外れていた」という見落としから起きる。以下の項目を申請前に確認しておくことで、申請後の不支給リスクを下げられる。
- 雇用保険の適用事業主として登録済みで、建設の事業の保険料率が適用されているか
- 雇用管理責任者を選任しているか(就業規則等に記載があるか)
- ハローワークにトライアル求人票を提出し、そこからの紹介を受けているか
- 採用する求職者がトライアル雇用開始日時点で35歳未満または女性であるか
- 対象者の主たる業務が建設現場業務(実労働時間の過半)であるか
- 雇用開始から2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」を提出したか
- トライアル終了から2ヶ月以内に支給申請書を提出する準備ができているか
必要書類の様式(建ト様式第1号等)は、管轄の都道府県労働局またはハローワークの窓口で取得できる。申請書類の書き方に不明点がある場合は、社会保険労務士への相談が確実です。助成金申請に精通した社労士であれば、書類準備の代行から申請タイミングの管理まで対応できる。
建設業向け補助金・助成金のポータルページでは、活用できる制度の全体像をまとめている。トライアル雇用と組み合わせて申請できる制度も含めて確認してほしい。
参考情報
- 建設事業主等に対する助成金 — 厚生労働省
- トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)について — 愛知労働局(制度詳細・申請書類の参考)
- 建設業における若年入職者・離職率に関する資料 — 厚生労働省職業安定局雇用開発企画課 建設・港湾対策室、令和7年10月15日
- 4. 建設労働|建設業の現状 — 日本建設業連合会
- 令和6年度建設産業における女性定着促進に関する実態等調査 — 国土交通省、令和6年
- トライアル雇用|厚生労働省 — 厚生労働省(制度の公式説明ページ)
あわせて読みたい
- キャリアアップ助成金 建設業の活用ガイド — トライアル雇用後の正規転換と連動
- 建設業の人手不足を解消する7つの対策 — 人材確保戦略の全体像
- 若手人材の確保・育成助成金 — 若手向けの併用制度
- 建設業退職金共済(建退共)の仕組み — 採用後の福利厚生整備
- 建設業で使える補助金・助成金一覧 — 41制度の早見表