この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金・助成金の活用支援も手がける。

「若い子を採っても1年持たない」「女性に応募してもらっても、現場に着いたら辞めていく」—採用担当者からそんな話を聞くたびに、問題の根が施設・制度・職場文化の整備不足にあると感じる。

建設業の有効求人倍率は2025年時点で5.04倍。躯体工事に限れば7.65倍という水準で、全産業の中でも特に深刻な人手不足が続いている。しかし、働く環境が整っていない職場に若年者や女性が定着するのは難しい。どれだけ採用活動に費用をかけても、職場の受け入れ態勢が整備されていなければ、採用コストは消えていくだけです。

厚生労働省はこの課題に対して、「人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース・建設分野)」という制度を設けている。若年者・女性の入職・定着を図るために必要な職場環境の整備を行った中小建設会社に対して、かかった費用の一定割合(最大3/4)を助成する仕組みです。

経審(経営事項審査)への加点効果や他の助成金との組み合わせも含めて、経営判断に役立つ情報をまとめた。

出典: 建設事業主等に対する助成金 — 厚生労働省

建設業の若年者・女性不足—数字で見る現状

助成金の活用を検討する前に、建設業の人手不足の実態を数字で把握しておく。問題の深刻さを理解することが、制度活用の動機につながる。

建設業就業者数は1997年のピーク時の685万人から、2024年には477万人まで減少した。ピーク時の約70%の水準にとどまっている。このうち建設技能者は1997年の464万人から2024年には303万人へと、35%近く減った。

年齢構成の偏りも問題です。2024年時点で55歳以上が全体の約37%を占める一方、29歳以下はわずか約12%に過ぎありません。この30年で、29歳以下の若年層は約88万人から約56万人へと減少した。高度経済成長期に建設業を支えた技能者が2030年代にかけて一斉に引退することを考えると、若年者の確保・定着は急務です。

女性の状況も厳しい。技術者では女性比率が約10%まで上昇しつつあるが、現場の技能者では6%未満にとどまる。女性専用のトイレや更衣室がない現場、長時間残業が常態化した職場環境では、女性が働き続けることは難しい。

有効求人倍率という観点からも、建設業は全産業の中で突出している。全産業の有効求人倍率が1倍台で推移する中、建設業は5.04倍。採りたくても採れない—というのが多くの中小建設会社の現実です。

こうした状況を打開するには、採用力を上げると同時に、採った後の定着率を改善することが不可欠です。人材確保等支援助成金の建設分野コースは、その「定着率改善」を後押しする制度として設計されている。

出典: 4. 建設労働|建設業の現状 — 日本建設業連合会

人材確保等支援助成金とは—建設分野コースの位置づけ

人材確保等支援助成金は、厚生労働省が管轄する雇用関係助成金の一つで、複数のコースで構成されている。全産業向けのコースと、建設・港湾業に特化したコースがあり、建設業向けのコースとしては以下が設けられている。

コース名対象主な目的
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)中小建設事業主・団体若年・女性の入職・定着促進
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)中小建設事業主宿舎・女性専用設備の整備
建設キャリアアップシステム等活用促進コース中小建設事業主CCUS活用・雇用管理改善

このうち本記事が対象とするのは、一番上の「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)」です。制度名が長いため、以降は「若年・女性コース(建設分野)」と表記する。

このコースの特徴は、「雇用管理の整備」そのものを助成の対象としている点にある。例えば、社内相談窓口の設置、メンター制度の導入、育休取得の推進といった雇用管理改善措置を一定数実施し、その取り組みに要した経費の一定割合が助成される。「設備を作ったら助成金がもらえる」というシンプルな仕組みではなく、「職場の環境を総合的に改善した場合に助成する」という設計です。なお、CCUS等活用促進コースと組み合わせることで、技能者のキャリア管理と雇用環境整備を同時に進めることもできる。

作業員宿舎や女性専用更衣室・トイレ等の設置に対する「作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)」と組み合わせることで、施設整備と雇用管理改善の両面をカバーする活用が可能です。詳細は記事末尾で解説します。

正式名称と管轄窓口を確認する

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若年・女性コース(建設分野)は、一般的な雇用関係助成金と申請先が異なる点に注意が必要です。

正式名称: 人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース・建設分野)

主な管轄窓口は「各都道府県労働局 需給調整部門」だが、計画の認定・届け出の段階では「一般財団法人建設業振興基金」が関与する場合があります。通常の雇用関係助成金はハローワーク経由で手続きを進めるのが基本だが、このコースは建設業特有の制度設計に基づいているため、手続き窓口が通常とは異なる部分があります。

最新の申請書類・提出先は厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」ページと、管轄の都道府県労働局に事前確認することを強くすすめる。特に計画届の提出タイミングは先行手続きが必要で、スケジュールを誤ると申請資格を失う。

出典: 人材確保等支援助成金のご案内 — 厚生労働省

助成額と助成率—具体的にいくらもらえるか

若年・女性コース(建設分野)の助成は、主に「経費助成」と「研修受講加算」の2つで構成される。

経費助成

雇用管理改善措置の実施に要した費用を、一定の助成率で助成する仕組みです。

区分助成率(通常)助成率(賃金要件あり)上限
中小建設事業主支給対象経費の3/5支給対象経費の3/4200万円/年度
中小以外の建設事業主支給対象経費の9/20支給対象経費の3/5同上

賃金要件とは、助成対象期間内に在籍する全建設労働者の賃金を一定率以上引き上げた場合に認められる加算要件です。通常より助成率が高くなるため、賃上げを計画している場合は積極的に検討したい。

「中小建設事業主」の定義は、資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下のいずれかに該当する建設事業主です。多くの中小建設会社がこの定義に該当する。

研修受講加算

若年・女性労働者の雇用管理改善のための研修を受講させた場合、対象労働者1人あたり日額8,550円が加算される。研修は最長6日間まで対象となるため、1人の研修受講で最大51,300円(8,550円×6日)の上乗せが可能です。

複数の従業員に研修を受講させれば、その分だけ上積みされる。10名が6日間の研修を受講した場合、経費助成に加えて513,000円の上乗せになる計算です。

建設事業主団体向けの助成額

建設事業主の団体(組合等)が若年・女性の入職定着事業を行う場合は、経費助成の助成率が異なります。

区分助成率上限
中小建設事業主団体支給対象経費の2/31,000万〜3,000万円
中小以外の建設事業主団体支給対象経費の1/2同上

個々の企業が単独で取り組むよりも大規模な事業を、団体としてまとめて展開できる点が団体向け制度の利点です。業界団体・組合として活動している場合は、この枠組みの活用を関係者と検討する価値があります。

対象事業主の要件—申請できる会社かを確認する

助成金の申請には、事業主側でいくつかの基本要件を満たす必要があります。事前にすべての条件を確認しておくことで、手続きを進めた後で「対象外だった」という事態を避けられる。

基本要件(必須)

  • 雇用保険の適用事業主であること
  • 建設の事業の雇用保険料率が適用されていること(建設業として雇用保険に加入していること)
  • 雇用管理責任者を選任していること
  • 過去3年以内に助成金の不正受給がないこと
  • 暴力団関係事業主でないこと

雇用管理責任者の選任は、建設労働者雇用改善法に基づく義務だが、規模の小さい会社では対応が漏れていることがあります。選任自体に届け出は不要で、社内で担当者を任命して記録しておけば良い。まだ選任していない場合は、助成金申請の前に整備しておく必要があります。

一人親方は雇用保険の適用対象外のため、この助成金の対象にはなりません。労働者を雇用している建設事業主であることが前提です。

確認しておきたい追加事項

過去に同一の助成金(若年・女性コース建設分野)の支給を受けている場合、同一の雇用管理改善措置に対して重複して申請することはできません。ただし、異なる年度に異なる措置を実施した場合は申請可能です。

同一事業年度内に複数の雇用管理改善措置を組み合わせて申請することで、より多くの経費を対象とすることができる。

助成対象となる雇用管理改善措置—何をすれば良いか

若年・女性コース(建設分野)の核となるのが「雇用管理改善措置」です。若年者・女性の入職・定着を促進するための具体的な取り組みとして、以下のような措置が対象となっています。

対象となる措置の例

処遇・制度の整備

  • 賃金の見直し・各種手当の整備(休暇手当、住宅手当など)
  • 育児休業・介護休業制度の整備と取得促進
  • 短時間勤務制度・フレックスタイム制度の導入
  • 退職金制度・企業年金制度の整備

職場環境・サポート体制の整備

  • 社内相談窓口(ハラスメント・育休相談等)の設置
  • 女性専用設備(更衣室・休憩室)の整備(作業員宿舎等設置助成コースと整理が必要)
  • 保育サービスとの連携・費用補助の整備
  • 健康管理・産業医との連携体制の構築

育成・キャリアサポートの整備

  • メンター制度・OJT担当者制度の整備
  • キャリアアップ計画の策定・定期的なキャリア面談の実施
  • 資格取得支援制度の整備
  • 雇用管理改善のための研修の実施

採用・定着支援

  • 求人票の改善・採用プロセスの見直し
  • 入職後のフォローアップ体制の整備
  • 職場見学・インターンシップの実施

これらの措置を複数組み合わせて実施することが要件になります。具体的に何項目必要かは申請年度・改正内容によって変わるため、管轄の都道府県労働局に事前に確認することを推奨する。

雇用管理改善措置は「計画届を提出した後」に実施することが原則です。計画届を提出する前にすでに実施した措置は対象外になります。「やってから申請する」ではなく「計画して届け出てから実施する」という順序を守ることが、助成金受給の前提条件です。

申請の流れ—ステップごとに確認する

若年・女性コース(建設分野)の申請は、計画届の提出から始まる事前届け出型の制度です。一般的な「実施後に申請する」助成金とは手続きの順序が異なるため、正確に把握しておく必要があります。

1

事前相談—都道府県労働局に問い合わせる

自社の状況が助成要件を満たすか、実施を予定している雇用管理改善措置が対象になるかを、管轄の都道府県労働局(需給調整部門)に事前確認します。窓口に相談することで、計画届の書き方や必要書類の準備に関するアドバイスを受けられる。制度の細部は年度ごとに改定される場合があるため、最新の要領を確認することが不可欠です。

2

雇用管理改善計画の作成・提出(計画届)

実施予定の雇用管理改善措置を記載した計画書を作成し、都道府県労働局へ提出する。計画は措置の実施開始日より前に提出する必要があります。建設業特有のコースでは、建設業振興基金が関与するケースもあるため、提出先と必要書類を事前に確認しておく。計画届が受理されて初めて、助成対象となる措置の実施を開始できる。

3

雇用管理改善措置の実施

計画届の認定・受理後、計画書に記載した措置を実施する。研修の実施、相談窓口の設置、制度の整備等を行いながら、実施状況を記録しておく。領収書・出席記録・社内規程の整備記録など、後の申請に必要な証拠書類を漏れなく保管することが重要です。

4

実施期間終了後に支給申請書を提出

計画届で定めた実施期間が終了した後、定められた期間内(通常は期間終了月の翌月から2〜3ヶ月以内)に支給申請書を提出する。申請時には、実施した措置の証拠書類(領収書・就業規則の改定版・研修受講証明書等)をまとめて添付する。書類に不備があると審査が延長されるため、事前に提出書類チェックリストを確認しておくこと。

5

審査・支給決定

都道府県労働局が書類審査を行い、要件を満たしていると判断された場合に支給決定通知が届く。支給決定後、指定口座への振込が行われる。審査から支給まで数ヶ月かかることが一般的なため、資金繰りの計画に組み込んでおく必要があります。

申請で失敗しやすいポイント—よくあるミスと対策

この助成金を申請する際、中小建設会社が陥りやすいミスがあります。事前に把握しておくことで、申請後の不支給・再審査要求を防げる。

計画届の前倒し漏れ

最も多いミスが「措置を先に実施してから計画届を出す」ケースです。この助成金は、計画届の受理後に実施した措置が対象になります。「いい制度があると知って、もう相談窓口を設置してしまった—でも申請したい」という場合、残念ながらその措置は助成対象になりません。

新しい措置の実施を検討し始めた時点で、すぐに都道府県労働局に連絡することが、タイミングを逃さないための最善策です。

証拠書類の不備

経費助成では、実施した措置にかかった費用の証拠が必要です。研修の場合は領収書と受講証明書のセット、就業規則の改定では改定前後の規程と施行日を示す記録が必要になる。「お金を使った証拠があればいいだろう」という感覚で進めると、用途の明示が足りず審査で指摘されることがあります。

実施の計画を立てる段階から「この措置ではどの書類が必要か」を確認し、意識的に記録を残す習慣をつけることが重要です。

支給申請の期限切れ

計画の実施期間が終了した後、支給申請には提出期限があります。この期限を過ぎると、どれだけしっかり措置を実施していても申請できなくなる。「後でやろう」と先送りにしているうちに期限が来てしまうケースは少なくありません。

措置の実施スケジュールに合わせて「支給申請の期限」もカレンダーに入れておき、担当者が変わっても引き継がれる体制を整えることが対策になる。

賃金台帳・雇用保険の管理不備

申請審査では、雇用保険の適用状況や賃金台帳の確認が行われる場合があります。建設業では日払い・週払いの労働者も含め、雇用保険の適用が適切に行われているかを事前に整理しておくことが望ましい。

経審(経営事項審査)W点との関係—助成金の「副次効果」

若年・女性コース(建設分野)に取り組む際、見落とされやすい経営上の副次効果があります。経営事項審査(経審)のW点(社会性等)への影響です。

経審のW点は「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」「福祉・環境への対応」「雇用の状況」といった項目で構成される。若年技術者の確保・定着に関する取り組みは、W点の一部に影響を与える。

具体的には、技術職員名簿に占める35歳未満の若年技術者の割合が一定以上の場合に加点対象になります。単に助成金を受け取るだけでなく、雇用環境整備の取り組みを通じて実際に若年者の入職・定着が進めば、経審の得点改善にもつながる。

さらに、育児休業等の環境整備に取り組む「えるぼし認定」(女性活躍推進法に基づく認定)を取得した場合も、経審W点の加算対象になる。若年・女性コースの取り組みと並行して、えるぼし認定の取得を検討することで、経審評価の底上げを図ることができる。

公共工事への参入・継続を重視する建設会社にとって、経審点数は受注競争に直結する。助成金の受給額だけで費用対効果を評価するのではなく、雇用環境整備が経審評価を通じて受注につながる中長期的な視点で制度活用を捉えることが重要です。

出典: 経審W(社会性等)とは?点数改善の仕組みと上げるための実践ポイント

他の助成金・制度との使い分けと組み合わせ

若年・女性コース(建設分野)は、他の雇用関係助成金や建設業向け制度と組み合わせることで、より効果的に活用できる。どの制度と組み合わせるかは、自社の課題・状況によって判断したい。

トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)との組み合わせ

若年者・女性の採用そのものに不安がある場合は、採用と定着の両面を組み合わせるアプローチが有効です。

トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)は、35歳未満または女性の求職者を最長3ヶ月間試行雇用した中小建設事業主に対して、月額最大4万円×3ヶ月(最大12万円)を助成する制度だ(一般トライアルコースとの組み合わせで月額最大8万円、3ヶ月で最大24万円)。

採用段階でトライアル雇用助成金を活用して入職リスクを下げながら、定着段階で若年・女性コース(建設分野)の雇用管理改善措置に取り組む—という流れが、2つの制度を組み合わせた活用イメージです。

ただし、同一人物・同一期間について両制度を重複して申請することはできないため、それぞれの制度の対象範囲を事前に確認しておく必要があります。

両立支援等助成金との使い分け

育児・介護と仕事の両立支援に特化した助成金として「両立支援等助成金」があります。男性の育児休業取得促進(出生時両立支援コース)や育休中の代替要員確保(育休中等業務代替支援コース)など、育休・介護休業の整備・取得促進に特化したコースが設けられている。

若年・女性コース(建設分野)は「雇用環境の総合的な整備」に対する助成であり、両立支援等助成金は「育休・介護休業の取得推進」に対する助成です。育休制度の整備そのものは若年・女性コースの対象にもなり得るが、男性育休の取得実績に応じた助成を受けたい場合は両立支援等助成金のほうが適している。

自社の優先課題が「若年者・女性の採用・定着全般の改善」なのか「育休取得率の向上」なのかを整理し、どちらの助成金を優先するかを判断することが重要です。

作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)との組み合わせ

同じ人材確保等支援助成金の中に「作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)」があります。女性専用の作業員宿舎・更衣室・洗面・トイレ設備の設置・整備に対して、経費の一定割合を助成する制度です。

若年・女性コースで雇用制度・相談窓口・研修を整備しながら、設備面では作業員宿舎等設置コースで女性専用施設を整備する—という組み合わせが、職場環境整備として最も包括的なアプローチです。

施設整備には初期費用がかかるため、両コースの上限を確認しながら年度計画を立てることが現実的な進め方です。

中小建設会社が今すぐ着手できる雇用環境整備の優先順位

助成金の活用を決めたとして、「何から手をつければいいか」がわからず動けない会社が多い。実態として費用や手間が小さく、かつ若年者・女性の定着効果が高い措置から始めることを推奨する。

優先度が高い措置(費用・手間が少なく効果が出やすい)

社内相談窓口の設置

ハラスメントや職場の悩みを相談できる窓口を設けることは、就業規則に1条加え、担当者を1人指名するだけで基本的には対応できる。費用はほぼかからないが、若年者・女性が「相談できる場所がある」と感じることで心理的安全性が高まる。

週次の1on1面談の実施

入職から3ヶ月間、週1回15〜20分の面談を担当職長や現場監督が行う仕組みを作るだけで、早期離職率は改善する傾向があります。特に20代前半の若年入職者は「自分が評価されているかわからない」状態で不安を抱えやすい。定期的な対話の機会は、コストをほぼかけずに実施できる定着施策として有効です。

キャリアアップ計画の策定と共有

「3年後、5年後にどのような技術者・職長を目指せるか」という見通しを示すことで、若年者の在職意欲が高まる。具体的には、入職後の資格取得のルート(施工管理技士・安全衛生責任者等)と、それに対応した賃金テーブルをセットで用意すると効果的です。人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)を併用すれば、資格取得の費用負担を抑えながらキャリアパスを提示できる。

優先度が中程度の措置(費用・手間は中程度)

育児休業・介護休業規程の整備

就業規則に育休・介護休業の規定がない場合や、法定の最低水準のみの場合は、規程の整備から始めたい。社労士への依頼費用はかかるが、一度整備すれば継続的に機能する。育休規程の整備は両立支援等助成金の申請につながる可能性もあります。

資格取得支援制度の整備

施工管理技士・安全衛生管理者等の資格取得費用を会社が一定割合補助する制度を設けると、若年者の入職動機・定着意欲が高まる。会社の教育投資として位置付けることで、採用競争力にもつながる。

メンター制度の導入

入職後の若年者・女性に対して、近い年代の先輩社員をメンターとして配置し、相談しやすい環境をつくる。制度として設計することで、助成金の対象措置として計上しやすくなる。

いずれの措置も「計画届の提出後に実施する」という順序が重要です。「動いてから申請」ではなく「計画して届け出てから実施する」という手順を守ることが、助成金を確実に受給するための絶対条件です。

申請を進める前の事前確認チェックリスト

以下の項目を確認してから、都道府県労働局への相談・計画届の提出に進むことを推奨する。

  • 雇用保険に建設事業として加入しているか
  • 雇用管理責任者を社内で選任・記録しているか
  • 過去3年以内に助成金の不正受給がないか
  • 実施を予定している雇用管理改善措置のリストを整理したか
  • 各措置の実施予定スケジュールと概算経費を把握しているか
  • 証拠書類として何が必要かを確認したか
  • 計画届の提出先(都道府県労働局の担当部署)を確認したか

これらをチェックした上で窓口に相談に行くと、手続きがスムーズに進む。「窓口に相談してみる」というアクションが、助成金活用の最初の一歩です。

よくある質問

よくある質問

一人親方でも申請できますか?
一人親方は雇用保険の適用事業主ではないため、対象外です。労働者を雇用している建設事業主であることが申請の前提条件です。
計画届を提出する前に実施した措置は対象になりますか?
対象にはなりません。計画届の受理後に実施した措置のみが助成対象です。措置の実施を検討し始めた段階で、すぐに都道府県労働局に相談することをすすめます。
申請窓口はハローワークですか?
主な窓口は都道府県労働局の需給調整部門です。通常の雇用関係助成金とは窓口が異なる場合があります。最寄りの都道府県労働局に事前確認してください。
他の助成金と重複して申請できますか?
同一の措置・費用に対して複数の助成金を重複申請することは原則できません。ただし、措置・費用が明確に異なる場合や、制度の対象が異なる場合は組み合わせが可能です。事前に労働局に確認することを推奨します。
助成金を受け取るまでどのくらいかかりますか?
支給申請から支給決定まで、通常数ヶ月かかります。措置の実施から最終的な入金まで半年以上かかるケースも想定されるため、資金繰り上はあくまでも「後払い」として計画することが重要です。
建設業許可を持っていないと申請できませんか?
建設業許可の有無ではなく、建設の事業の雇用保険料率が適用されているかどうかが要件です。建設業許可がなくても、雇用保険に建設事業として加入していれば申請できる場合があります。詳細は管轄の労働局に確認してください。

採用費用を増やす前に、職場の受け入れ態勢を整える。この順序を踏まえた建設会社が、若年者・女性が「ここで働き続けたい」と思える現場をつくり、5年後・10年後も人材を維持できる。都道府県労働局への相談が、制度活用の最初の一歩です。建設業で活用できる他の助成金・補助金の全体像は建設業の補助金・助成金一覧で確認できる。

参考情報


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