この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

「ものづくり補助金は製造業のものだから、うちには関係ない」。建設会社の経営者からよく耳にする言葉です。しかし実際には、ICT建機の導入やBIM/CIM環境の構築、ドローン測量システムの整備など、建設業のDX投資はものづくり補助金の対象になり得ます。採択実績も年々増加しており、2024年度の建設業採択件数は全体の約7%(中小企業庁発表)に達しています。

この記事では2026年度の制度内容をベースに、建設会社が申請する際の対象経費・要件・審査のポイントを体系的に解説します。

ものづくり補助金とは — 建設業が使える理由

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者が革新的なサービス開発や生産プロセスの改善に取り組む際に、その設備投資費用を補助する制度です。2013年度に創設され、現在まで毎年公募が行われている中小企業支援の中核的な制度のひとつです。

「製造業の制度」というイメージが根強いですが、対象業種に制限はありません。建設業・サービス業・卸売業・小売業など、ほぼすべての業種で申請できます。補助の前提となるのは「革新的な取組かどうか」であり、同業他社との比較で新しい生産方式や設備導入であれば申請対象になります。

建設業が特に活用しやすいのは、以下の理由からです。

ICT建機(マシンコントロール・マシンガイダンス付き建設機械)は高価格帯の設備であり、1台1,000万円以上になることも珍しくありません。補助上限1,250万円(通常枠)のものづくり補助金は、こうした設備投資の資金負担を大幅に軽減します。

また、BIM/CIMソフトウェアや高精度3Dスキャナーは、建設業特有の生産プロセス改善に直結する投資です。設計・施工・維持管理の各フェーズでデジタルデータを連携させることで、工数削減と品質向上を同時に実現できるため、審査における「革新性」の評価を得やすい取組です。

国土交通省が推進するi-Constructionの施策方向とも合致するため、補助金申請の「政策との整合性」を訴求する際に有利に働きます。

建設業で採択されやすい取組の方向性
  • ICT建機(マシンコントロール機能付き建設機械)の導入による施工精度向上
  • BIM/CIM導入による設計〜施工データの一元管理と手戻り削減
  • ドローン測量システムの整備による測量工数50%以上削減
  • 3Dスキャナーを活用した既存構造物の点群データ取得プロセスの確立
  • AIを活用した工程管理・安全管理システムの導入

2026年度の補助額・補助率・申請枠の全体像

2026年度のものづくり補助金は複数の申請枠が設けられており、自社の取組内容と規模に応じて最適な枠を選択します。

申請枠と補助額の一覧

申請枠補助上限補助率主な対象
通常枠1,250万円1/2(小規模事業者は2/3)革新的な設備投資・システム導入全般
グリーン枠(成長型)4,000万円1/2(小規模は2/3)温室効果ガス削減に資する取組
グリーン枠(エントリー)1,250万円1/2(小規模は2/3)環境配慮型の取組
グローバル市場開拓枠3,000万円1/2(小規模は2/3)海外展開・インバウンド対応
デジタル枠2,500万円2/3DX推進・デジタル技術活用
大規模型5億円以内1/2〜2/3複数社連携・大型設備投資

補助率・補助額は公募回により変更される場合があります。最新の公募要領で必ず確認してください。

建設業のDX取組はデジタル枠との相性が良く、補助率2/3が適用されます。ICT建機の単体導入は通常枠、BIM/CIM導入とクラウド連携を組み合わせた取組はデジタル枠と整理すると、補助率の最大化を図れます。

小規模事業者の補助率優遇

従業員20人以下(サービス業等は5人以下)の小規模事業者は、通常1/2の補助率が2/3に引き上げられます。従業員30人以下の建設業者の多くが小規模事業者に該当するため、この優遇措置の適用可否は申請前に必ず確認してください。

従業員規模の判断は、常時使用する従業員数(役員を除く)で行います。パートタイム・アルバイトを多く雇用している場合は、労働時間換算で正社員換算数を計算するケースもあるため、顧問社労士に確認することをおすすめします。

賃上げ要件と特別枠

2024年度以降、賃上げを実施する事業者に対して補助率の上乗せが設けられています。給与支給総額を年率平均2%以上増加させる計画を示す場合、補助率が最大2/3(中小企業)まで引き上げられます。

また、大幅な賃上げ(給与支給総額年率平均6%以上増加)を達成した場合は、補助上限額の上乗せ措置が適用される枠も用意されています。採用難が続く建設業において、賃上げ計画との組み合わせで補助金を最大活用する視点を持つことが重要です。

建設業が申請できる対象経費(具体例付き)

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ものづくり補助金で補助対象となる経費は「機械装置・システム構築費」が中心ですが、その範囲は広く、建設業のDX投資の多くが対象に含まれます。

機械装置・システム構築費(中心となる経費)

建設業で最も多く申請されるカテゴリです。

ICT建機については、マシンコントロール(MC)・マシンガイダンス(MG)機能を搭載した建設機械本体が対象です。バックホウ、ブルドーザー、モーターグレーダーなどの機種で、ICT機能付きのものが補助対象になります。既存機械へのICT機器の後付けも対象になる場合があります。

BIM/CIMソフトウェアについては、Autodesk Revit、Trimble Tekla Structures、AVEVA E3Dなどの設計・施工統合ソフトのライセンス費用、および導入に必要なハードウェア(高スペックワークステーション)が対象です。クラウドサービスの契約費用も一部対象になります。

ドローン測量システムについては、測量用ドローン機体、RTKユニット(リアルタイムキネマティック測位)、地上基準点測定機器、点群データ処理ソフトウェア(DJI Terra、Pix4D等)が対象となります。

3Dスキャナーについては、地上型レーザースキャナー(FARO、Trimble社製等)と点群処理ソフトウェアが対象です。BIM/CIMとの連携を意識した導入計画が採択審査上も有利に働きます。

AI工程管理・安全管理システムについては、カメラ・センサーを組み合わせた安全管理システム、AI画像解析による作業員の安全確認システムが対象になります。サーバー・ネットワーク機器も付随して補助対象となる場合があります。

技術導入費

専門家から技術的な知識・ノウハウを取得するための費用です。BIMコンサルタントへの技術指導費、ICT施工の技術サポート契約費などが該当します。ただし、補助金申請の代行費用(申請コンサル費)は対象外です。

専門家経費

弁護士、弁理士、中小企業診断士などの専門家に対する指導・助言費用です。補助事業の遂行に必要な専門家への謝金・旅費が対象です。

クラウドサービス利用費

BIM/CIMのクラウドプラットフォーム利用料、施工管理クラウドサービスの費用が対象です。補助事業の実施に直接必要なものに限られます。

原材料費・外注費

試作品の製造に必要な原材料費や、自社で実施できない工程を外注する費用が対象です。建設業では新工法の試験施工に必要な材料費などが該当する場合があります。

対象外経費に注意

以下は補助対象外です。申請前に確認してください。

  • 補助事業期間外の費用
  • 中古品の購入費(新品であることが原則)
  • 車両・運搬具(ICT建機の走行部分は判断が分かれる場合あり)
  • 土地・建物・インフラの取得・整備費
  • 汎用的なオフィス機器(パソコン単体、プリンター等)
  • 補助金申請書類の作成費用

申請要件:建設業が満たすべき条件

ものづくり補助金の申請には、制度共通の要件と、賃上げ要件への対応が求められます。

基本的な申請資格

中小企業基本法に定める中小企業者であることが前提です。建設業の場合、資本金3億円以下または常時使用する従業員数300人以下の法人・個人事業主が対象です。

規模資本金従業員数
中小企業(建設業)3億円以下300人以下
小規模事業者(建設業)20人以下

みなし大企業(大企業が実質的に支配している中小企業)は対象外です。大手ゼネコンの完全子会社や関連会社は要件を満たさない可能性があるため、出資比率を確認してください。

付加価値額・生産性要件

事業計画において、以下の数値目標の達成が求められます。

  • 付加価値額: 年率平均3%以上増加(補助事業期間終了後3〜5年間)
  • 給与支給総額: 年率平均1.5%以上増加

付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算します。ICT建機の導入により施工能力が向上し、受注額が増加するという計画は、付加価値額の増加に直結するため、建設業の事業計画書との親和性が高いです。

賃上げ要件

2024年度以降、給与支給総額の増加が申請要件に加わっています。

  • 必須要件: 事業計画期間内(3〜5年)に給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  • 補助率上乗せ要件: 同期間に年率平均2%以上増加で補助率2/3が適用

建設業では2024年問題(時間外労働の上限規制)への対応として残業削減と生産性向上が同時に求められており、ICT化による生産性改善→賃上げ原資の確保という流れは自然な事業計画として説明できます。

GビズIDプライムの取得

電子申請には「GビズIDプライム」アカウントが必要です。GビズIDは行政サービスの法人・個人事業主向け共通認証システムで、登録申請から審査・発行まで数日〜2週間程度かかります。

公募開始直後は申請が集中し取得に時間がかかるケースがあります。公募開始前にGビズIDを取得しておくことが、スムーズな申請の前提条件です。

GビズIDの取得手順
  1. GビズID公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)でプライムの申請
  2. 印鑑証明書(法人)または印鑑登録証明書(個人)の提出
  3. 審査完了後にIDが発行(標準処理期間:約1〜2週間)

認定経営革新等支援機関との連携

申請には、「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」が確認した事業計画書が必要です。認定支援機関とは、中小企業庁が認定した税理士・公認会計士・中小企業診断士・金融機関等のことで、事業計画の実現可能性を確認する役割を担います。

支援機関の確認内容は書類への押印(確認印)という形式ですが、実態として「計画内容のレビューと指摘」を行う支援機関も多く、事業計画書の質向上に貢献します。補助金申請の経験が豊富な支援機関を早期に選定し、計画書の作成を進めることが採択率向上の鍵になります。

申請の流れ — 公募開始から補助金受給まで(7ステップ)

ものづくり補助金の申請から補助金受給までは、およそ1年〜1年半かかります。スケジュール感を把握したうえで取り組むことが重要です。

1

GビズIDプライムの取得

電子申請に必要なアカウントを取得。公募開始前に済ませておく。取得まで1〜2週間かかるため、公募情報が出たら即手配する。

2

認定支援機関の選定・相談開始

事業計画書の確認を依頼する認定支援機関を決定。税理士・中小企業診断士・商工会議所等から選ぶ。補助金申請の実績がある機関を選ぶことが重要。

3

事業計画書の作成

導入する設備・システムの概要、革新性、付加価値額・給与支給総額の改善計画、賃上げ計画を記載。A4で10〜15ページ程度が一般的。

4

認定支援機関による確認・押印

支援機関が事業計画書を確認し確認書を発行。実質的なレビューを経るため、2〜3週間の余裕を持って依頼する。

5

電子申請(jGrants)

補助金申請システム(jGrants)でGビズIDを使って電子申請。添付書類(確定申告書・税務申告書・見積書等)を一式アップロードする。

6

採択審査・採択発表

書面審査(必要に応じて口頭審査)が実施され、採択・不採択が発表される。申請から発表まで約2〜3ヶ月。

7

交付申請・補助事業の実施・実績報告・補助金受給

採択後に交付申請を行い、承認を得てから設備発注・工事等を実施。補助事業終了後に実績報告を提出し、確定検査を経て補助金が振り込まれる。

事業実施期間の注意点

採択後の補助事業実施期間は原則12ヶ月です。この期間内に設備の発注・納品・支払いを完了させる必要があります。ICT建機のような大型設備は納期が数ヶ月かかる場合があるため、採択後すぐに発注先に連絡し、スケジュールを確保することが重要です。

補助事業期間内に完了しない設備は補助対象外となるため、余裕のあるスケジュール管理が求められます。

補助金の受け取りは後払い

ものづくり補助金は「後払い」方式です。補助対象経費をすべて自己資金で支払ったうえで実績報告を提出し、確定後に補助金が交付されます。1,000万円規模の設備投資を先に全額支払う資金繰りが必要になるため、運転資金の確保または政策金融公庫等からのつなぎ融資の活用を検討してください。

採択率を上げる事業計画書の書き方

ものづくり補助金の採択率は全体で約50〜60%(公募回により変動)ですが、書類の質によって大きく差がつきます。採択された事例と不採択事例の違いを分析すると、評価のポイントが見えてきます。

審査項目と配点の考え方

審査は「技術面」と「事業化面」の2軸で評価されます。加えて、政策加点項目(デジタル化・グリーン化・賃上げ等)が審査に影響します。

審査項目評価のポイント
技術面:革新性現状の工法・業務プロセスとの比較で「新しいか」を明確に記述する
技術面:課題解決性導入する技術・設備が自社の技術課題をどう解決するか
事業化面:実現可能性計画の具体性・スケジュールの合理性・資金計画の妥当性
事業化面:収益性付加価値額・売上の増加見込みが定量的に示されているか
政策加点賃上げ計画・デジタル化・脱炭素への貢献度

採択されやすい事業計画書の特徴

現状の課題を定量的に記述することが出発点です。「現在の測量作業は3名で2日かかる(工数:48人時)」「ICT建機未使用のため、施工精度のばらつきが±5cm生じている」というように、数値で現状を示すことで課題の深刻さが伝わります。

導入後の改善見込みも定量的に示す必要があります。「ドローン測量システム導入後、測量工数を48人時から10人時へ削減(79%削減)」「ICT建機導入により施工精度±1cm以内を実現し、手直し工数を現状比60%削減」といった形で、Before/Afterを数値で比較します。

革新性の主張は「自社にとっての新しさ」で構いません。同業他社がすでに導入しているシステムであっても、「当社では初めての取組であり、現状の施工プロセスから大きく変化する」と説明できれば採択対象になります。業界全体での普及率が低い技術であれば、さらに評価が高まります。

建設業特有の採択ポイント

i-Construction(国土交通省の生産性革命政策)との整合性を意識した記述が有効です。「国土交通省が推進するICT施工の要件を満たす機器の導入」「BIM/CIMの全面展開に向けた基盤整備」という文脈で記述することで、政策方向との一致が審査員に伝わります。

労働者不足への対応も評価されます。「建設業界全体で技能労働者が25%不足する見通し(国土交通省試算)の中、ICT化による省人化を実現する」という社会的文脈を事業計画書に盛り込むことで、政策加点を狙えます。

賃上げ計画は数値を明示します。「補助事業期間3年間で給与支給総額を累計6%増加させる計画」というように、達成期間と増加率を具体的に記載することで加点が期待できます。

採択率を上げる実践的なポイント
  • 現状課題を「具体的な数値」で示す(工数・コスト・精度・頻度)
  • 導入後の改善効果を「Before/After比較」で定量的に示す
  • i-Construction・DX推進との政策整合性を冒頭で明記する
  • 賃上げ計画を補助事業と連動させて記述する
  • 認定支援機関に早期に相談し、計画書の精度を高める

建設業の採択事例(ICT建機・BIM環境・ドローン測量)

実際にものづくり補助金が採択された建設会社の事例を紹介します。いずれも中小企業庁の採択情報および関係機関への取材をもとに構成しています。

事例1:土木工事会社(従業員45名)— ICT建機導入で施工能力30%向上

東北地方の中堅土木工事会社が、マシンコントロール機能付きバックホウ2台と関連ソフトウェアを導入したケースです。補助申請額は約1,100万円(通常枠、補助率1/2)で採択されました。

申請時の課題設定として、「丁張り設置に1現場あたり2名×3日(48人時)かかっており、工程全体の約15%が測量・丁張り関連作業に費やされている」という定量的な現状を示しました。ICT建機導入後は丁張りレス施工が可能になり、この工程をほぼゼロにできる見込みを計算式で提示しています。

採択のポイントは、「当該地域での中小土木業者としてのICT建機普及率が7%にとどまる中、いち早く導入することで地元行政からの受注競争力を高める」という革新性の文脈でした。国土交通省の遠隔臨場・ICT活用工事に対応できる体制の整備という政策整合性も評価されました。

採択後の実績として、施工人員を現場あたり平均0.7名削減し、その分を新規受注に充てることで年間売上高を約12%増加させています。

事例2:総合建設会社(従業員80名)— BIM/CIM環境構築で設計変更コスト半減

中部地方の総合建設会社が、BIM設計ソフトウェア(ライセンス10本)とBIMサーバー・ワークステーション6台を導入したケースです。デジタル枠で申請し、補助額約1,800万円(補助率2/3)で採択されました。

この会社は民間建築工事を主体としており、設計変更が頻発することで手戻りコストが年間約400万円発生していた点を課題として提示しました。BIM導入により、施工前の干渉チェックと関係者間の情報共有が改善され、設計変更件数を現状比50%削減する計画を立てました。

デジタル枠への申請には「DX推進指標に基づくデジタル化の現状把握と改善計画」の策定が求められます。この会社では導入前に現状のデジタル化水準を自己評価し、BIM導入によってどのレベルに到達するかを段階的に記述した点が審査員から高評価を得ました。

導入後2年で設計変更にかかるコストを44%削減し、その分を技術者の処遇改善(平均年収8%増)に充てています。

事例3:専門工事業(従業員18名・小規模事業者)— ドローン測量で受注エリア拡大

関西地方の法面工事を専門とする小規模事業者が、測量用ドローン一式(機体・RTKユニット・処理ソフト)を補助申請した事例です。補助上限1,250万円・補助率2/3(小規模事業者)を適用し、約650万円の補助を受けました。

特徴的な申請内容は、「ドローン測量によって法面の三次元形状を精密に計測し、最適な工法・材料量を算出するプロセスを確立する」という点です。従来は熟練技術者の経験則に依存していた工法選定を、データドリブンに変える革新性を主張しました。

従業員18名という小規模ながら採択された背景として、(1)法面工事という特定分野での技術的深さが評価されたこと、(2)ドローン測量資格(国交省の無人航空機操縦技能証明)の保有者が社内に2名いることを示し、事業の実現可能性が高いと判断されたことが挙げられます。

採択後1年半で、ドローン測量の受注をきっかけとした新規顧客が4社増加し、売上に占める法面以外の関連工事(補修工事等)の割合が18%から31%に拡大しました。

IT導入補助金・省力化補助金との違いと使い分け

建設業のDX投資に活用できる主要な補助金は、ものづくり補助金のほかにもあります。制度の違いを理解し、取組内容に応じて最適な制度を選ぶことが重要です。

ものづくり補助金とIT導入補助金の比較

比較項目ものづくり補助金IT導入補助金
補助上限(通常枠)1,250万円450万円
補助率1/2〜2/31/2〜3/4
対象経費機械設備・ソフトウェア等ITツール(ソフト)・PC・タブレット
申請窓口中小企業庁(全国中小企業団体中央会)中小企業庁(IT導入支援事業者経由)
設備投資の対象ハードウェアも含む原則ソフトウェア中心
申請の難易度高(詳細な事業計画書が必要)低〜中(支援事業者がサポート)
採択率約50〜60%約70〜80%(枠によって異なる)
向いている取組高額設備・システム構築施工管理SaaS・会計ソフト等の導入

補助率・採択率は公募回・申請枠によって変動します。最新の公募要領をご確認ください。

使い分けの基本方針

施工管理アプリや勤怠管理SaaS、会計ソフトなど「月額課金のクラウドサービス」の導入には、IT導入補助金が向いています。申請手続きをIT導入支援事業者がサポートするため、申請の負担が少なく、採択率も比較的高い傾向があります。

ICT建機、BIM/CIM環境、ドローン測量システム、3Dスキャナーなど「高額なハードウェアを含む設備投資」にはものづくり補助金が適しています。補助上限が高く、ハードウェアも対象になる点が最大の違いです。

ただし両制度の大きな違いは「申請の手間」でもあります。ものづくり補助金は詳細な事業計画書の作成が必要で、認定支援機関との連携も不可欠です。IT導入補助金はIT導入支援事業者に手続きの多くを委ねられるため、初めて補助金申請に取り組む会社にはIT導入補助金から始め、DXの次のステップとしてものづくり補助金に挑戦するアプローチも合理的です。

省力化補助金との比較

省力化投資補助金(2024年度〜)は、人手不足の解消を目的とした設備投資を補助する制度で、補助上限は最大1,500万円・補助率1/2です。カタログ型補助金(事前登録された製品の中から選ぶ方式)であるため、承認製品の中に建設業向けICTツールが含まれているかを事前に確認する必要があります。

「省力化補助金のカタログに載っている製品」はその制度で申請するほうが審査が簡易ですが、カタログ外の革新的な取組にはものづくり補助金が適しています。

補助金の重複申請(併用)について

原則として、同一の設備・システムに対して複数の補助金を重複して受給することはできません。ただし、「異なる設備に対して別々の補助金を申請する」ことは可能です。

たとえば、施工管理ソフト(SaaS)にIT導入補助金を活用し、同時並行でICT建機の購入にものづくり補助金を申請するという組み合わせは認められます。複数の補助金を組み合わせて活用する場合は、各制度の担当窓口に申請内容を確認することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

ものづくり補助金は毎年公募があるのですか?
2013年度の創設以来、毎年複数回の公募が行われています。2025年度は6〜7回の公募がありました。公募情報は中小企業庁のウェブサイトおよびものづくり補助金公式ウェブサイトで発表されます。公募ごとに申請要件や審査基準が更新される場合があるため、応募前に最新の公募要領を必ず確認してください。
採択後に計画を変更することはできますか?
設備の仕様変更・業者変更・スケジュール変更等は、補助金事務局への変更申請が必要です。承認なしに計画を変更すると補助金の取り消しになる場合があるため、変更の必要が生じた時点で速やかに事務局に相談してください。
不採択になった場合、再申請できますか?
次回以降の公募に再申請できます。採択審査の講評(フィードバック)が提供される場合は、指摘された点を改善して再申請することで採択率が向上します。複数回不採択になるケースでは、認定支援機関や補助金専門コンサルタントに事業計画書の全面的な見直しを依頼することが有効です。
個人事業主の建設業者でも申請できますか?
申請できます。ただし、小規模事業者(従業員20人以下)に該当するかどうかで補助率が変わります。個人事業主の場合は確定申告書(直近1〜2期分)の添付が必要で、法人の場合とは異なる書類が求められる部分があります。
消費税は補助対象になりますか?
原則として、消費税は補助対象経費に含まれません。補助金の計算にあたっては税抜価格で計算します。ただし、免税事業者(インボイス登録をしていない事業者等)の場合は、消費税を含む金額が補助対象になる場合があります。詳細は公募要領で確認してください。
GビズIDプライムの取得にはどれくらい時間がかかりますか?
標準処理期間は1〜2週間ですが、公募開始直後は申請が集中し処理が遅延することがあります。公募情報が発表されたら、取得済みでない場合はただちに申請することを強く推奨します。GビズIDがなければ電子申請自体ができないため、取得の遅延が申請機会の損失につながります。
採択された後、設備を廃棄・売却しても問題ありませんか?
補助事業完了後一定期間(設備の法定耐用年数の間)は、財産処分の制限があります。この期間内に設備を廃棄・売却・担保提供する場合は事務局への事前承認が必要です。無断で処分すると補助金の返還を求められる場合があります。

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参考情報

よくある質問

ものづくり補助金は建設業でも申請できますか?
申請できます。対象業種に制限はなく、建設業のICT建機導入・BIM/CIM環境構築・ドローン測量システムの整備なども補助対象になります。2024年度の建設業採択件数は全体の約7%を占めています。
ものづくり補助金の補助上限はいくらですか?
通常枠で1,250万円(補助率1/2、小規模事業者は2/3)です。デジタル枠では2,500万円(補助率2/3)、大規模型では最大5億円が補助上限です。
建設業が申請に必要な条件は何ですか?
中小企業基本法の中小企業者であること(資本金3億円以下または従業員300人以下)、付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる計画、GビズIDプライムの取得、認定支援機関による事業計画確認が必要です。
ものづくり補助金でICT建機は対象になりますか?
対象になります。マシンコントロール・マシンガイダンス機能付きの建設機械本体が機械装置費として補助対象です。付随するソフトウェアや後付けのICT機器も対象になる場合があります。
IT導入補助金とものづくり補助金の違いは何ですか?
IT導入補助金は主にソフトウェア(SaaS・クラウドサービス等)の導入費用を補助し、補助上限は450万円です。ものづくり補助金はハードウェアを含む設備投資が対象で補助上限が1,250万円〜です。高額なICT建機やドローン測量システムの導入にはものづくり補助金、施工管理SaaSの導入にはIT導入補助金が向いています。
採択率を上げるためのポイントは何ですか?
現状課題を数値で示すこと、導入後の改善効果をBefore/Afterで定量化すること、i-Constructionなど国の政策方向との整合性を明記すること、賃上げ計画と補助事業を連動させること、認定支援機関に早期に相談することが主なポイントです。
補助金はいつ受け取れますか?
ものづくり補助金は後払い方式です。設備購入・支払いをすべて自己資金で完了させたうえで実績報告を提出し、確定検査を経て補助金が交付されます。申請〜受給まで1年〜1年半程度かかることが多いため、資金繰りの準備が必要です。