この記事の監修 山本 貴大 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ 代表取締役

建設業×DXの専門メディア「ケンテク」編集長。中小建設会社のDX導入支援・マーケティング支援に従事。

「土曜日も現場を開けないと工期が間に合わない」「職人さんは日給だから休みを増やすと収入が減る」。中小建設会社の経営者なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。国土交通省が公共工事で週休2日を原則化し、大手ゼネコンが相次いで4週8閉所を達成する一方、中小企業の現場では依然として土曜出勤が当たり前という会社も少なくありません。

しかし、2024年4月から建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用され、休日の確保は「努力目標」ではなく「経営課題」に変わりました。週休2日に対応できない会社は、公共工事の受注で不利になるだけでなく、若手人材の採用でも競合に後れを取ることになります。

この記事では、建設業における週休2日制(4週8休)の現状データから、段階的な導入ステップ、工期設定の見直し方、活用できる支援制度まで、中小建設会社が明日から動けるレベルで解説します。

1

現状把握と目標設定

自社の休日実態を調査し、4週6休→4週7休→4週8休と段階目標を設定します。

2

工期と原価の再計算

週休2日前提で工程表を組み直し、労務費の補正係数を反映した積算に切り替える。

3

現場オペレーションの効率化

施工管理アプリやクラウド勤怠で稼働日の生産性を引き上げ、5日間で完結する段取りをつくる。

4

協力会社・発注者との調整

下請け・元請け・発注者に対して工程表を共有し、週休2日前提のスケジュールで合意を取る。

5

運用開始と定着

まず1現場でパイロット運用し、問題点を洗い出してから全社展開する。

建設業の週休2日制 — 何がどこまで進んでいるのか

建設業の週休2日は、ここ数年で急速に広がっています。ただし「広がっている」と一口に言っても、公共工事と民間工事、大手と中小では状況がまったく異なります。

公共工事と民間工事のギャップ

国土交通省の直轄工事では、2024年度から月単位の週休2日が原則化されました。4週8閉所(4週間で8日以上の現場閉所)の達成率は、直轄土木工事で約6割に達しています。5年前と比較すると、およそ2倍の水準です。

一方、民間工事の実態は大きく異なります。国交省の調査によると、民間工事で4週8休以上を確保できている技能者はわずか8.6%にとどまり、最も多いのは4週6休(44.1%)です。公共工事と民間工事の間には、依然として大きなギャップが存在しています。

休日取得の実態データ

建設業全体の休日取得状況を、他産業と比較してみましょう。

指標建設業製造業全産業平均
年間出勤日数約244日約223日約222日
年間休日数約104日約117日約116日
4週8休の達成率約25.8%
年間総労働時間約1,978時間約1,840時間約1,836時間

出典: 建設業のいま - 日本建設業連合会、厚生労働省「毎月勤労統計調査」

建設業の年間出勤日数は全産業平均より約22日多く、これは概ね月2回の土曜出勤に相当します。「うちはまだ4週6休」という会社は、業界全体の中央値に近い位置にいるということです。

企業規模による差

大手ゼネコン(日建連会員企業)では、4週8閉所率が年々上昇し、土木工事では88.4%に達したという2023年度のデータがあります。しかし、従業員30人以下の中小建設会社では4週6休以下にとどまるケースが多く、規模による格差が顕著です。

この格差は「大手だから休めるのは当然」で片づけられる話ではありません。中小建設会社が週休2日を実現できない構造的な要因を理解し、一つひとつ対処していくことが必要です。

国土交通省の方針と制度の変遷

国土交通省は、建設業の週休2日推進をどのような方針で進めてきたのか。制度の変遷を把握しておくと、今後の流れが読みやすくなります。

2017年〜2023年: 週休2日モデル工事の拡大

2017年に閣議決定された「働き方改革実行計画」を受け、国交省は直轄工事で「週休2日モデル工事」を試行し始めました。当初は対象工事を限定していましたが、徐々に対象を拡大し、2023年度には直轄土木工事の大半が週休2日工事として発注されるようになっています。

2024年4月: 罰則付き上限規制の適用

2024年4月から、建設業にも改正労働基準法に基づく時間外労働の罰則付き上限規制が適用されました。

項目上限
月の時間外労働原則45時間
年の時間外労働原則360時間
特別条項(月)100時間未満(休日労働含む)
特別条項(年)720時間
2〜6ヶ月平均80時間以内(休日労働含む)

違反した場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。建設業には5年間の猶予期間が設けられていましたが、その猶予はすでに終了しました。

これにあわせて国交省は、直轄工事で「月単位の週休2日」を原則化。通期ではなく月ごとに4週8休を達成することが求められるようになり、「年度末に帳尻を合わせる」やり方は通用しなくなっています。

2025年以降: 「量」から「質」への転換

2025年度以降、国交省は休日の「量」だけでなく「質」を重視する方針を打ち出しています。

具体的には、土曜日・日曜日を休む「完全週休2日」を推進し、土日休みを実現した工事には工事成績評定で加点するインセンティブを導入。平日に振替休日を設けるだけでは不十分という考え方に移りつつあります。

さらに2026年度からは「多様な働き方の実現」に軸足を置き、猛暑対策を踏まえた夏季の勤務形態や、変形労働時間制を活用した柔軟な働き方も支援対象に含める方針です。

出典: 国土交通省 — 週休2日の取組方針について

地方自治体の動き

国交省の直轄工事だけでなく、都道府県や市区町村の発注工事でも週休2日は広がっています。東京都は「週休2日促進工事」として労務費の補正係数を適用し、神奈川県・大阪府なども同様の制度を運用しています。

ただし、全ての自治体が足並みを揃えているわけではありません。発注者によって補正の有無や対象工事の範囲が異なるため、自社が受注する地域の制度を個別に確認する必要があります。

なぜ中小建設会社の週休2日は進まないのか

ここまで読んだ方へ

建設業のDX・採用・補助金活用について、無料でご相談いただけます。150プロジェクト以上の支援実績をもとに、御社に合った解決策をご提案します。

無料相談はこちら

国交省が旗を振り、大手ゼネコンが先行して取り組んでいるにもかかわらず、中小建設会社で週休2日がなかなか進みません。その背景にある構造的な課題を整理します。

日給月給制と「休むと給料が減る」問題

建設業の技能労働者の多くは日給月給制で雇用されています。月の稼働日が22日から18日に減れば、月収は約18%減少する計算です。年収ベースでは50万〜70万円の減収になり得ます。

会社側が「来月から土曜休み」と宣言しても、職人からすれば生活に直結する収入減です。「休みより稼ぎが大事」という声が上がるのは、経済合理性を考えれば自然な反応と言えます。

この問題を解決しないまま休日だけ増やしても、優秀な職人が他社に移ってしまうリスクがあります。後述する労務費の補正や日給単価の見直しとセットで進める必要があります。

民間工事の工期問題

公共工事では発注者(国・自治体)が週休2日前提で工期を設定し、労務費の補正も行います。しかし民間工事では、施主が短工期を求めるケースが依然として多く、「土曜も動かないと引き渡しに間に合わない」という状況が生まれがちです。

特に住宅やマンションの内装工事など、引き渡し日が固定されている工事では、天候遅延を土曜出勤で取り戻す慣行が根強く残っています。

協力会社との調整の難しさ

自社だけで週休2日に踏み切っても、協力会社(下請け)が同じ体制でなければ現場は回りません。元請けが土曜閉所を決めても、下請けの職人が「土曜も働きたい」と別の現場に行ってしまえば、月曜の人員確保に支障が出ます。

週休2日は、サプライチェーン全体で足並みを揃えなければ機能しにくい施策です。元請け・下請け間の事前調整と合意形成が欠かせません。

経営者自身の意識

「建設業は休めない業種」という意識が、経営者自身に染みついているケースも少なくありません。自分が若手のころに土曜出勤が当たり前だった世代ほど、「週休2日なんて甘い」という感覚を持ちやすい傾向があります。

しかし、若手人材の採用市場では「週休2日」は最低条件に近づいています。国交省の調査でも、建設業への入職を検討する若年層が重視する条件の上位に「休日の多さ」が入っており、週休2日に対応しない会社は採用競争で不利になる一方です。

4週8休を実現するための段階的な導入ステップ

「いきなり完全週休2日は無理」という中小建設会社のために、段階的に導入するステップを具体的に示します。

Phase 1: 現状把握と目標設定(1〜2ヶ月目)

まず、自社の休日実態を数字で把握するところから始めます。

やるべきことは3つあります。

  1. 過去6ヶ月間の現場別・職種別の稼働日数を集計する
  2. 4週あたりの平均休日数を算出する(現在が4週何休なのかを確認)
  3. 12ヶ月後の目標(4週8休)に向けた中間マイルストーンを設定する

目標設定の目安として、現在4週4休の会社であれば、3ヶ月ごとに1日ずつ休日を増やすイメージです。4週4休 → 4週5休 → 4週6休 → 4週7休 → 4週8休と、12ヶ月かけて段階的に移行します。

Phase 2: 工期と積算の見直し(2〜4ヶ月目)

休日が増えれば、その分だけ稼働日が減ります。稼働日が減っても工事を完成させるには、工期の延長か、1日あたりの生産性向上のいずれか(あるいは両方)が必要です。

工期設定の見直しでは、週休2日前提の工程表を作成し、従来の工程表と比較します。国交省の直轄工事では、週休2日対象工事の工期を1.03〜1.05倍程度に設定しているケースが一般的です。

積算の見直しでは、労務費に週休2日の補正係数(1.02〜1.05程度)を反映します。元請けとして受注する場合は見積段階で織り込み、下請けとして受注する場合は元請けとの交渉材料にします。

Phase 3: 現場の生産性向上(3〜6ヶ月目)

休日を増やしながら工事の質を維持するには、稼働日の生産性を引き上げる必要があります。

生産性向上の具体策をいくつか挙げます。

  • 施工管理アプリの導入 — 日報・写真整理・工程管理をスマホで完結させ、事務所での書類作成時間を削減する
  • 朝礼の効率化 — 全体朝礼を15分以内に短縮し、安全指示はアプリで事前配信する
  • 資材の事前配置 — 翌日の作業に必要な資材を前日夕方に配置し、朝一から作業に入れる段取りを組む
  • ICT建機の活用 — 丁張りレスのICT施工を導入すれば、測量の手間が減り、オペレーター1人で作業できる範囲が広がる

広島県三次市の大津建設株式会社では、ICT建機を導入して測量・丁張りの工程を省力化し、3人必要だった作業を1人でこなせるまで効率化した結果、4週6休から4週8休への移行に成功しています。

Phase 4: 賃金体系の調整(4〜6ヶ月目)

日給月給制の職人にとって、休日増は収入減に直結します。この問題を放置したまま休日だけ増やすと、人材の流出を招きます。

対処の方法は大きく3つです。

  1. 日給単価の引き上げ — 稼働日が減った分を日給単価に反映し、月収を維持する。たとえば月22日稼働・日給15,000円(月収33万円)を、月18日稼働・日給18,300円(月収約33万円)に変更する
  2. 月給制への移行 — 繁閑に関わらず月収を安定させる月給制に切り替える。ただし一気に全員を月給制にするのではなく、希望者から段階的に移行するのが現実的
  3. 賞与・手当での調整 — 週休2日を達成した月に「閉所達成手当」を支給するなど、休日確保にインセンティブを設ける

Phase 5: パイロット運用と全社展開(6〜12ヶ月目)

全現場で一斉にスタートするのではなく、まず1〜2現場で試験的に運用します。

パイロット運用では、次のポイントを重点的に確認します。

  • 工期内に完成できたか
  • 品質に問題は出なかったか
  • 職人の収入は維持できたか
  • 協力会社との連携に支障はなかったか
  • 想定外のトラブルは何だったか

パイロット運用で得た知見をもとに運用ルールを修正し、順次他の現場に展開していきます。

成功事例に学ぶ — 中小建設会社の取り組み

実際に週休2日を導入した中小建設会社の事例を紹介します。

事例1: ICT施工で生産性を上げて休日を確保(大津建設株式会社・広島県)

従業員数十名規模の土木工事会社である大津建設は、ICT建機の導入を週休2日実現の起点にしました。

大津建設が実践した取り組みの流れを見てみましょう。

  1. ドローン測量とICT建機を導入し、測量・丁張りの工程を大幅に短縮
  2. 従来3人で行っていた作業を1人で完結できるようになり、人工(にんく)を削減
  3. 浮いた人工を他の工程に回すことで、全体の工程に余裕が生まれた
  4. 段階的に4週6休から4週8休に移行

導入後、従業員からは「土曜日に子どもの部活動の応援に行けるようになった」という声が上がり、社員の定着率も改善したとのことです。

出典: 厚生労働省 働き方改革特設サイト — 建設業の事例

事例2: 全建協会員企業の4週8休好事例

一般社団法人 全国建設業協会は、会員企業の中から4週8休を実現した好事例を収集・公開しています。成功企業に共通する特徴として、以下のような点が挙げられています。

  • 経営者がトップダウンで「4週8休を達成する」と宣言している
  • 閉所日を現場ごとにバラバラにせず、全社で統一している
  • 月初に翌月の閉所日カレンダーを協力会社に共有している
  • 雨天中止の振替出勤を最小限に抑えるため、雨天でもできる作業(屋内作業・書類整理)を事前にリスト化している

出典: 全国建設業協会 — 4週8休実現企業の好事例

事例3: 安全成績の向上という副次効果

週休2日導入企業からは、安全成績の改善が報告されるケースが少なくありません。現場を閉所することで、疲労が蓄積した状態での作業が減り、熱中症の発生件数がゼロになった、着工以来の無事故無災害を継続できたという声があります。

労働災害は企業にとって経済的損失が大きく、1件の重大災害で数千万円の損害が発生することもあります。週休2日の「コスト」ばかりに目を向けがちですが、安全成績の改善によるコスト削減効果も含めて評価すべきでしょう。

工期設定の見直し方 — 週休2日でも工事を回すために

週休2日に踏み切る際、最大の懸念は「工期に間に合うのか」という点です。工期設定をどう見直せばよいか、実務的なポイントを整理します。

補正工期の考え方

国交省の直轄工事では、週休2日工事の工期を以下の考え方で設定しています。

補正工期 = 従来工期 × 補正係数

補正係数は工事の種類や規模によって異なりますが、概ね1.03〜1.05(3〜5%増)の範囲です。たとえば、従来200日で組んでいた工程であれば、206〜210日が週休2日前提の工期になります。

民間工事での交渉ポイント

民間工事の場合、発注者が週休2日前提の工期を自動的に設定してくれるわけではありません。受注者側から働きかける必要があります。

交渉のポイントは3つです。

  1. 見積段階で週休2日前提の工程表を提出し、根拠を示す — 「5日/週で何日かかるか」を具体的な数字で説明する
  2. 安全面のメリットを伝える — 「週休2日で事故リスクが減る → 工事の中断リスクも減る → トータルの工期遅延リスクが小さくなる」というロジック
  3. 契約書に閉所日の扱いを明記する — 悪天候による閉所と週休の閉所を区別し、天候遅延時の対応を事前に取り決めておく

工程の「圧縮」ではなく「密度」を上げる

週休2日にすると月の稼働日は約22日から約18日に減ります。この差を「工程を圧縮して取り返す」と考えると、残業や手戻りが増えて逆効果です。

発想を変えて「1日あたりの作業密度を上げる」アプローチを取りましょう。

  • 段取りの前倒し — 翌日の作業準備(資材配置・足場移動・揚重計画)を前日夕方に済ませる
  • 並行作業の増加 — 従来は直列で進めていた工程を、安全が確保できる範囲で並行作業にする
  • 手待ち時間の削減 — クレーンや資材の到着待ちをなくすため、日別・時間別の揚重計画を策定する
  • 書類作業の現場完結 — 施工管理アプリで写真台帳・日報・安全書類を現場でリアルタイムに作成し、事務所に戻ってからのデスクワークをゼロに近づける

建設業のDXによる生産性向上の全体像については、建設業の働き方改革 — 残業規制への対応と中小建設会社がやるべきことも参考にしてください。

活用できる支援制度と補助金

週休2日の導入にはコストがかかります。工期の延長、日給単価の引き上げ、ICT機器の導入など、追加の投資が必要です。これらのコストを軽減する支援制度を紹介します。

公共工事の労務費補正

国交省の直轄工事および多くの自治体発注工事では、週休2日工事に対して労務費・共通仮設費・現場管理費に補正係数が適用されます。

項目補正係数(完全週休2日の場合)
労務費1.02〜1.05
共通仮設費(率分)1.01〜1.04
現場管理費(率分)1.01〜1.03

この補正により、休日増に伴うコスト増を予定価格に反映する仕組みです。自社が受注する発注者がどの補正を適用しているか、入札前に確認しておきましょう。

出典: 週休2日制による労務費補正の積算方法 — 楽王

工事成績評定の加点

2025年度以降、国交省の直轄工事では完全週休2日(土日休み)を達成した工事に対して、工事成績評定で加点措置が導入されています。工事成績が高い企業は次回の入札で有利になるため、週休2日の取り組みが受注力の強化にもつながります。

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

週休2日の実現に欠かせない生産性向上ツール(施工管理アプリ、クラウド勤怠管理、工程管理ソフトなど)の導入費用は、デジタル化・AI導入補助金の対象となります。

補助率は1/2〜3/4で、中小企業であれば数十万円〜数百万円の補助を受けられる可能性があります。申請スケジュールは年度ごとに異なるため、中小企業庁のサイトで最新情報を確認してください。

建設業で活用できる補助金の全体像については、建設業の補助金一覧で詳しくまとめています。

人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

厚生労働省の人材確保等支援助成金には、働き方改革に取り組む中小企業を支援するコースがあります。時間外労働の削減や休日増加に取り組んだ企業に対し、取り組みにかかった費用の一部が助成される制度です。

対象となる取り組みには、労務管理用ソフトウェアの導入、就業規則の変更、研修の実施などが含まれます。

建設業振興基金の各種支援

建設業振興基金では、中小建設企業の経営基盤強化を支援する各種プログラムを実施しています。週休2日の導入に直接的な補助金はありませんが、経営改善計画の策定支援や、生産性向上に関するセミナー・相談会が開催されています。

よくある疑問と対処法

よくある質問

週休2日にすると工事原価が上がって利益が減りませんか?
公共工事では労務費・共通仮設費・現場管理費に補正係数が適用されるため、適正に積算すればコスト増は吸収できます。民間工事でも見積段階で週休2日前提の工期・原価を提示し、発注者の理解を得ることが重要です。生産性向上による効率化で、稼働日あたりの出来高を引き上げれば、利益率を維持しながら週休2日を実現している企業もあります。
日給月給の職人の収入が減ってしまいます。どう対応すればよいですか?
日給単価の引き上げ、月給制への段階的移行、閉所達成手当の新設などの方法があります。たとえば日給15,000円・月22日稼働(月収33万円)を、日給18,300円・月18日稼働(月収約33万円)に見直すことで月収を維持できます。公共工事の労務費補正を活用すれば、単価引き上げの原資を確保しやすくなります。
繁忙期だけ週休1日にすることは可能ですか?
変形労働時間制を活用すれば、繁忙期と閑散期で労働日数を調整することが可能です。ただし、月単位の週休2日を評価する国交省の直轄工事では、特定の月だけ週休1日にすると評価が下がります。繁忙期に備えて閑散期に多めに休日を取る計画を立てるか、変形労働時間制の届出を行った上で運用しましょう。
協力会社(下請け)が土曜出勤を希望する場合はどうすればよいですか?
まず、工事着手前の施工体制打合せの段階で閉所日カレンダーを共有し、合意を取ることが基本です。協力会社の職人が土曜に別現場で稼働したい場合は、それ自体を妨げる必要はありませんが、自社の現場は閉所するというルールを明確にしておきましょう。
中小企業にも週休2日の義務はありますか?
2026年3月時点で、週休2日そのものを義務づける法律はありません。ただし、時間外労働の上限規制は企業規模に関係なく適用されており、週休1日で長時間労働を続ければ上限を超過するリスクが高まります。また、国交省の公共工事では週休2日が発注条件に組み込まれるケースが増えているため、実質的に対応を求められる場面は広がっています。

週休2日は「コスト」ではなく「投資」

週休2日の導入を検討する際、多くの経営者がまず「コスト増」を心配します。工期が延びる、日給単価を上げなければならない、生産性向上のためにICT機器を導入する必要があります。たしかに短期的には支出が増える可能性があります。

しかし、週休2日を「コスト」ではなく「投資」として捉えると、見え方が変わります。

採用面では、建設業の有効求人倍率は5倍を超えており、他産業と比べても人手不足が深刻です。若手人材が就職先を選ぶ際、「週休2日」は応募の前提条件になりつつあります。週休2日を実現した会社は、求人への応募数が増え、採用コストの削減につながったという報告が複数あります。

定着面では、休日が増えることで疲労の蓄積が緩和され、離職率の低下が期待できます。建設業は入職3年以内の離職率が高い業種ですが、休日の確保は若手の定着に直結する要素です。人材の定着と育成の関係については、建設業の人材定着に必要な取り組みでも詳しく解説しています。

安全面では、前述のとおり週休2日導入企業から労働災害の減少が報告されています。1件の重大災害にかかるコスト(補償費・工事中断・行政処分)を考えれば、休日確保の「投資」は十分にペイする可能性があります。

受注面では、工事成績評定の加点により、中長期的に公共工事の受注力が強化されます。

週休2日は、経営者が腹をくくって「やる」と決めれば、段階的に実現できる取り組みです。全てを一度に変える必要はありません。まず1現場、まず4週6休から。小さく始めて、成果を確認しながら広げていくアプローチが、中小建設会社にとっては最も現実的な進め方です。

参考情報

建設業のDX・採用でお悩みですか?

ケンテクでは、中小建設会社向けにDX導入や人材確保のご相談を無料で承っています。

無料で相談する