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用語集

建設ロボット

けんせつろぼっと

この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

人手不足時代の現場を変える自動化技術

鉄筋を結束する作業員の隣で、黙々と同じ作業をこなすロボットが稼働している。SFのような光景が、すでに大手ゼネコンの建設現場では現実のものになっています。

建設ロボットとは、建設現場における施工作業を自動的に、あるいは人間の操作を補助しながら行う機械やシステムの総称です。工場の製造ラインで活躍する産業用ロボットの技術を建設分野に応用したもので、人手不足の解消と生産性向上を目的として開発が進んでいます。

従来の建設機械(バックホウ、クレーンなど)との違いは、センサーやAI技術によって作業の一部を自律的に判断・実行できる点にあります。完全な無人施工はまだ限定的ですが、人間とロボットが協調して作業する「半自律型」の活用が現実的な段階に入っています。

建設業界がロボット技術に注目する背景

建設業の人手不足は年々深刻化しており、特に技能労働者の減少は業界全体の生産能力に影響を及ぼしています。国土交通省の推計では、2040年までに建設業の就業者数がピーク時の約半数にまで減少する可能性が指摘されています。

建設業の将来性を考えたとき、人の手だけでは対応しきれなくなる将来を見据えて、ロボット技術による作業の自動化・省力化は、業界が生き残るための現実的な解決策として注目されています。

危険作業の代替という観点も重要です。高所での溶接作業や、有害物質の取り扱い、災害現場での復旧作業など、人が行うとリスクの高い作業をロボットに置き換えることで、労働災害の低減が期待されています。

建設ロボットの主な種類と用途

建設ロボットの種類は作業内容に応じて多岐にわたります。現在開発・実用化が進んでいる主なカテゴリーを紹介します。

施工作業ロボットは、溶接、鉄筋結束、コンクリート打設仕上げ、天井ボード張りなどの反復的な施工作業を自動化するロボットです。大手ゼネコン各社が自社開発を進めており、一部は実際の工事現場で稼働実績を積んでいます。

測量・墨出しロボットは、自動追尾型のトータルステーションやレーザー墨出し器にロボット技術を組み合わせ、墨出し作業(施工の基準線を現場に印す作業)を自動化するものです。従来2人がかりで行っていた墨出し作業を1台のロボットで完結できる製品も登場しています。

搬送ロボットは、建設現場内での資材運搬を自動化するロボットです。建築現場のエレベーターを自動で乗り降りし、指定した階に資材を配送するシステムが実証段階にあります。

巡回・点検ロボットは、四足歩行型や車輪走行型のロボットにカメラやセンサーを搭載し、現場の巡回点検や出来形計測を自動で行うシステムです。

大手ゼネコンの導入実績と数値で見る効果

大手ゼネコンの導入実績が蓄積されるにつれ、具体的な効果が数値で語られるようになってきました。

鉄筋結束ロボットの導入現場では、従来は作業員2〜3名が1日8時間かけて行っていた鉄筋結束作業を、ロボット1台が同等量を処理できるようになっています。ある大手ゼネコンの報告では、鉄骨造マンション工事の配筋工程で作業時間を約40%削減できたとされています。

自動墨出しロボットは、2名1組で1日に行っていた墨出し量を1名でこなせるようになり、人件費コストを実質半減させた事例が報告されています。測量精度についても、人手による作業と比較してミスが大幅に減り、手戻り工事の発生率が低下したという効果も確認されています。

コンクリート床仕上げロボットについては、熟練職人に依存していた工程を機械化することで、職人不足の現場でも仕上がりの均一性を保てるようになった事例が複数あります。一部のゼネコンでは、1台のロボットが熟練職人2〜3名分の仕上げ面積をこなすと報告しています。

類似概念との違い

建設ロボットと混同されやすい概念に「ICT建機」があります。ICT建機とは、GPSや自動制御技術を搭載した建設機械(バックホウ、ブルドーザーなど)のことで、人間が操作しながら精度の高い施工を行うための支援機器です。建設ロボットが「人間の作業を代行する」ことを志向するのに対し、ICT建機は「人間の操作精度を高める」ことに重点が置かれている点で本質が異なります。

ドローンも建設現場で活用が進む技術ですが、測量・点検・空撮が主な用途であり、物理的な施工作業を行うものではありません。建設ロボット、ICT建機、ドローンは互いに補完し合いながら、建設現場のデジタル化を構成する要素として位置づけられます。

導入コスト・費用の目安

建設ロボットの導入費用は機種によって大きく異なります。自動墨出しロボットは100万円〜400万円程度の製品が市場に出てきており、比較的手が届きやすい価格帯です。一方、鉄筋結束ロボットや大型の施工支援ロボットは数千万円の投資が必要となるケースが多く、大規模現場でなければ費用対効果が成立しにくい状況があります。

レンタル・リースでの提供を行う事業者も登場しており、大規模工事の一工程だけ必要な期間だけ借りるという選択肢が広がっています。月額20万〜50万円程度の短期レンタルプランを設けているサービスも存在します。また、IT導入補助金や建設業向けのものづくり補助金を活用することで、導入コストの一部を補助金で賄える可能性もあります。

最新動向(2024〜2026年)

国土交通省は2024年度から「建設現場の生産性向上施策」の一環として、建設ロボットの導入を促進するための実証事業を拡大しています。ゼネコン各社のロボット開発投資も加速しており、清水建設の「シミズ・スマート・サイト」や大成建設の「T-iROBO」シリーズなど、各社独自のロボット体系が整備されつつあります。

2025年以降の注目領域は人間協調型ロボット(コボット)の普及です。従来の産業用ロボットは安全柵で人間と作業スペースを分離する必要がありましたが、コボットは人間の近くで安全に動作できるよう設計されており、建設現場の複雑な環境でも活用しやすい特性を持っています。

AI技術の進化により、施工ロボットが3次元モデル(BIM/CIM)のデータを直接参照しながら自律的に作業する方式も実用化に向けた開発が進んでいます。データ連携によるロボットの「知能化」が次のフェーズの焦点となっています。

建設ロボット導入に関連する補助金・支援制度

建設ロボットの導入コストは高額になりやすいため、活用できる補助金・支援制度の確認が重要です。

ものづくり補助金は、革新的な設備・システムの導入に対して最大1,500万円(2024年度基準)の補助が受けられる制度です。建設ロボットが「生産性向上に寄与する革新的な設備」に該当すれば申請対象となります。採択審査では、導入による具体的な生産性向上の数値目標が求められるため、ロボット導入前の作業時間・コストを正確に把握しておくことが前提です。

国土交通省のi-Construction関連の実証事業に参加することで、ロボットの試験導入機会を得られる場合もあります。国交省や地方整備局が公募する「新技術活用促進制度」や「建設現場の生産性向上事業」に応募し、実証フィールドとして現場を提供する形式です。補助金とは異なりますが、ロボット開発企業の最新機材を実質的な費用負担なしで試用できるケースがあり、中小建設会社にとっては貴重な体験機会となります。

建設業振興基金が実施する「建設業経営基盤強化のための助成金」も確認すべき制度の一つです。ロボット導入そのものが直接対象になるわけではありませんが、生産性向上に資する設備投資の一部として申請できる場合があります。

導入時のよくある誤解と注意点

「建設ロボット」という言葉は広義に使われることが多く、自動化の程度によって実態が大きく異なります。完全自律型のロボットはごく限られた用途に留まっており、多くは人間が監視・管理しながら特定の動作を反復する「半自律型」です。

導入を検討する際は「どの作業の何時間を削減できるか」を具体的に試算することが重要です。漠然とロボット化を追うのではなく、自社の現場で最もコストのかかっている反復作業を洗い出し、そこに適合するロボットが存在するかを調べるアプローチが現実的です。

中小建設会社の現段階での取り組みとしては、ロボット技術に対応した現場管理体制の整備が先決です。ロボットが導入された現場への協力会社として参画する機会が増えれば、オペレーションの知見が自然と蓄積されます。

中小建設会社への影響

現時点では建設ロボットの多くは開発段階や大規模現場での試験運用の段階にあり、中小建設会社が自前で導入するにはコスト面のハードルが高いのが実情です。

しかし、ゼネコンの現場で建設ロボットの活用が進めば、協力会社として参画する中小建設会社の業務にも変化が及ぶことは確実です。ロボットと協調して作業を行うための知識や、ロボットが施工したあとの品質確認スキルなど、新しい能力が求められるようになる可能性があります。

中小建設会社が今から取り組めることとしては、ICT施工ドローン測量などロボット技術の前段階にあたる技術の習得が挙げられます。こうした技術に対応できる人材を育成しておくことが、将来のロボット活用にもスムーズに移行するための布石となります。

建設ロボット導入の費用対効果の考え方

ロボット導入の費用対効果を試算する際の基本的な考え方として、「削減できる人件費 ÷ 導入コスト」で回収期間を算出する方法があります。たとえば、月額30万円の自動墨出しロボットを導入して月12万円の人件費削減効果が得られる場合、回収期間は約30ヶ月となります。

ただし、建設現場での費用対効果は工事の種類・規模・継続性によって大きく異なります。同じロボットを複数の現場で継続的に活用できる事業構造であるほど費用対効果が高まります。単発の工事のみでロボットを導入するよりも、年間を通じて類似工事を繰り返す事業者の方が投資回収しやすい構造です。

参考情報

よくある質問

建設ロボットで人間の仕事がなくなりますか?
現時点のロボット技術は、反復的な単純作業の自動化が中心であり、人間の判断力や臨機応変な対応が求められる作業の完全な代替は難しい状況です。むしろ、人手不足を補い、危険作業を代替する「人間の助手」としての活用が進んでおり、技能者の仕事がなくなるというよりは、仕事の内容が変化していくと考えるのが現実的です。
建設ロボットの導入費用はどのくらいですか?
ロボットの種類によって大きく異なります。自動墨出しロボットは数百万円台から導入可能な製品もありますが、大型の施工ロボットは数千万円規模の投資が必要です。レンタルやリースで利用できるサービスも登場しつつあり、購入以外の選択肢も広がっています。

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