この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

従来の測量では、トータルステーションやGNSS受信機を使った手作業で数日かかっていた現場の地形測量が、ドローンを使えば数時間で完了します。国土交通省のi-Construction推進によりICT施工の導入が進むなか、ドローン測量は建設業のDXの中核技術として急速に普及しています。この記事では、建設会社がドローン測量を導入する際の選択肢を比較します。

ドローン測量が建設業に広がっている背景

国土交通省が推進するi-Constructionでは、測量・設計・施工・検査の各段階でICT技術の活用が求められています。とくに土工事では、ドローン測量による3D点群データの活用が標準的な手法になりつつあります。

比較項目従来測量(人力)ドローン測量
測量時間(1ha)2〜3日30分〜2時間
必要人員2〜3名1〜2名
測量精度高精度(ミリ単位)土工精度は十分(センチ単位)
3Dデータ生成別途測量・作図が必要点群データから自動生成
危険箇所の測量立ち入りリスクあり遠隔操作で安全に測量
費用(1回あたり)測量技師の人件費外注で10〜50万円/回
自社保有か外注委託かの選択

ドローン測量を導入する方法は、自社でドローンを購入してオペレーターを育成する方法と、ドローン測量サービス会社に外注する方法の2つがあります。年間の測量件数が10件以下であれば外注委託、10件を超える場合は自社保有を検討するのが一般的な判断基準です。

ドローン測量の導入方法と選び方

外注委託型(測量サービス会社に依頼)

自社でドローンを保有せず、測量サービス会社に都度依頼する方法です。初期投資が不要で、資格取得やオペレーター育成の手間もかかりません。測量件数が少ない中小建設会社に向いています。

自社保有型(機体+ソフトウェアを購入)

ドローン機体とデータ処理ソフトウェアを自社で購入し、社内のオペレーターが測量を行う方法です。1回あたりのコストは低くなりますが、初期費用(機体+ソフト+研修で200〜500万円程度)がかかります。

データ処理ソフトウェア型

ドローンの飛行・撮影は自社で行い、撮影データの処理(点群生成・地形モデル作成)のみをクラウドソフトで行う方法です。機体は比較的安価な汎用機を使い、データ処理ソフトに投資するパターンで、コストバランスが良い選択肢です。

ドローン測量サービス・ソフト6選 — 比較一覧

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サービス名料金主な機能補助金対応
Terra Mapper 要問合せ
  • 点群データ生成
  • 出来形管理
  • 土量計算
  • クラウド処理
  • i-Construction対応
対応
KUMIKI 月額50,000円〜
  • クラウド点群処理
  • 出来形帳票
  • 土量計算
  • 横断図生成
  • ICT対応
対応
DJI Terra 年額約88,000円〜
  • 3Dモデル生成
  • 点群データ
  • オルソ画像
  • ミッション計画
対応
Pix4D 月額約35,000円〜
  • 写真測量
  • 点群生成
  • 3Dモデル
  • 精度検証
  • クラウド処理
対応
TREND-POINT 要問合せ
  • 点群処理
  • 出来形管理
  • 土量計算
  • 3D設計データ連携
対応
ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW) 要問合せ(外注型)
  • 測量代行
  • 点群データ納品
  • 出来形帳票
  • コンサルティング
未対応

各サービスの詳細

Terra Mapper — 国産のクラウド点群処理プラットフォーム

テラドローン株式会社が提供する国産のドローン測量データ処理プラットフォームです。ドローンで撮影した写真データをクラウドにアップロードするだけで、点群データ・オルソ画像・3D地形モデルが自動生成されます。

i-Constructionに準拠した出来形管理帳票の自動出力機能があり、公共土木工事を受注する建設会社に適しています。国産サービスのため、日本語でのサポートが充実している点も安心材料です。

KUMIKI — 出来形管理に特化したクラウドサービス

スカイマティクス社が提供するクラウド型の点群処理・出来形管理サービスです。月額50,000円からとクラウドサービスとしてのコスト感が明確で、必要な期間だけ利用できる柔軟性があります。

横断図の自動生成や土量計算、出来形帳票の出力など、ICT施工に必要な一連の処理をブラウザ上で完結できます。専門的な測量知識がなくても操作しやすいUI設計で、ドローン測量を始めたばかりの建設会社にも導入しやすいサービスです。

DJI Terra — DJI製ドローンとの親和性が高い

ドローンメーカー最大手のDJIが提供するデータ処理ソフトです。DJI製ドローン(Phantom 4 RTK、Matrice 300 RTK等)との連携が最適化されており、飛行計画からデータ処理までシームレスに処理できます。

年額約88,000円からとコストパフォーマンスが高く、DJI製ドローンを自社保有している建設会社にとっては有力な選択肢です。ただし、i-Construction対応の帳票出力機能はやや限定的で、別途出来形管理ソフトとの組み合わせが必要になる場合があります。

Pix4D — 精度の高い写真測量処理

スイスのPix4D社が開発する写真測量ソフトウェアです。世界中で研究・産業利用されており、精度の高さに定評があります。

写真測量(SfM処理)の精度検証機能が充実しており、GCP(地上基準点)を用いた精度補正の結果をレポートとして出力できます。測量精度を重視する公共工事で、検査時にデータの信頼性を証明する際に有効です。

TREND-POINT — 福井コンピュータの点群処理ソフト

福井コンピュータ社が提供する点群データ処理ソフトです。同社のCADソフト(TREND-CORE、TREND-ONE)との連携が強みで、点群データから3D設計データへの変換がスムーズに行えます。

土木設計CADの分野で高いシェアを持つ福井コンピュータのエコシステム内で統一する場合に最適な選択肢です。

ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW) — 測量代行サービス

NTTグループが出資するドローン測量の代行サービスです。ドローンの飛行から点群データの処理、出来形帳票の作成まで一括で委託できるため、自社にドローンのオペレーターがいなくても利用可能です。

自社でドローンを保有する予定がなく、年間の測量件数が限られている中小建設会社に適した選択肢です。

建設業でドローン測量が活用される主な場面

ドローン測量は「土工事の3D地形測量」だけが使い道ではありません。建設業の多様な現場で活用されています。

土工事・造成工事: 掘削量・盛土量の計算(土量計算)が最も多い用途です。測量データから土量を自動計算でき、工期中に定期的に測量して出来形を記録します。

橋梁・トンネル点検: 人が近づけない高所・狭所の損傷検査に活用されます。高解像度カメラで撮影した写真から損傷の程度を記録・管理します。

仮設計画の検討: 3D地形モデルを使って建設機械の動線や仮設道路のルートを事前に検討できます。想定外の地形に気づかず施工に入るリスクを減らせます。

竣工測量・出来形管理: 工事完了後の出来形確認(設計通りに施工されたか)のための竣工測量に使われます。帳票の自動生成機能があるサービスを使えば、提出書類の作成工数を削減できます。

太陽光・風力発電所の開発計画: 造成計画や配置設計に3D地形モデルを活用する事例が増えています。

ドローン測量精度に影響する要因と対策

ドローン測量の精度は機体性能だけでなく、現場環境や飛行条件によっても大きく左右されます。精度を安定させるためのポイントを整理します。

撮影時の飛行高度と地上解像度の関係

飛行高度が高くなるほど1枚の写真がカバーするエリアは広がりますが、地上解像度(GSD: Ground Sampling Distance)は低下します。一般的なドローン測量では飛行高度60〜100mが採用されますが、精度が求められる工事では50m以下で撮影する場合もあります。

飛行高度地上解像度(GSD)の目安向いている用途
30m約0.8cm/pixel高精度が必要な土木工事
60m約1.6cm/pixel標準的な出来形管理
100m約2.7cm/pixel広域の地形把握・計画用
150m約4.0cm/pixel概略測量・環境調査

ICT施工の出来形管理では一般的に100m以下での飛行が推奨されています。高精度が求められる場合は60m以下で飛行し、GCPを4点以上設置するのが標準的な運用です。

天候・気象条件の影響

快晴すぎると影のコントラストが強くなり、SfM処理でのマッチングに失敗することがあります。薄曇りの日(直射日光がない状態)が最も安定した測量データを生成できる気象条件とされています。風速5m/sを超えると機体の揺れが大きくなり、写真ブレが発生しやすくなります。日本の気象条件では春(3〜5月)と秋(10〜11月)が飛行適期です。

現場環境が精度に与える影響

深い植生や茂みがある場所では、地表面への到達点数が減り、地盤高さの精度が低下します。造成・土工工事の多い裸地状態では高精度が得やすく、草が生えている現場ではレーザースキャン(LiDARドローン)との併用を検討する価値があります。

水面(池・ダム・河川)は点群処理に失敗しやすい対象です。水辺の測量が多い場合は、LiDARドローンまたはEchoSounder(音波測深)との組み合わせが必要です。

ドローン測量の導入コスト試算

外注委託と自社保有のどちらが経済合理性が高いかは、年間の測量依頼件数で判断します。

比較項目外注委託自社保有(DJIドローン + クラウドソフト)
初期費用0円約250〜400万円(機体+ソフト+研修費)
1件あたりコスト15〜30万円2〜5万円(ランニングのみ)
損益分岐点年間約10〜15件
習熟コストなし操縦・解析スキルの習得が必要(3〜6ヶ月)

年間10件未満であれば外注委託が合理的です。10件を超える場合、自社保有によるコスト削減効果が大きくなります。また、元請けから「自社でドローン測量ができる」ことを評価される場面も増えており、受注力の観点からも自社保有を検討する価値があります。

導入方式別のおすすめ

導入方式おすすめ初期費用目安
外注委託(まず試したい)JIW / 地域のドローン測量会社1回10〜50万円
クラウド処理(ドローンは自社保有)KUMIKI / Terra Mapper月額5〜10万円
ソフト購入(DJIドローン保有)DJI Terra / Pix4D年額9〜42万円
CAD連携重視TREND-POINT要問合せ

ドローン測量導入後の運用フロー

外注委託型の場合と自社保有型で運用フローが異なります。自社保有を選んだ場合の標準的な運用フローを確認しておきましょう。

  1. 飛行計画の作成: 測量範囲の地図を用意し、ドローンの飛行経路を設計します。飛行管理アプリ(DJI GS Pro等)を使って自動飛行ルートを設定します。高度は建物・電線との衝突リスクを考慮して、一般的に60〜100mに設定します。

  2. 地上基準点(GCP)の設置: 測量精度を高めるためのGCP(コントロールポイント)を現場に設置します。GNSSを用いて正確な座標を記録します。RTK対応機では測量中にリアルタイム補正ができるため、GCPの数を減らせます。

  3. 飛行・撮影: 設定した飛行ルートに沿って自動飛行し、オーバーラップ率80%以上で写真撮影します。1haあたり200〜400枚程度の写真を撮影します。飛行時間は現場規模によりますが、0.5〜5haで30分〜2時間程度です。

  4. 点群データの処理: 撮影した写真をクラウドソフト(Terra Mapper、KUMIKI等)にアップロードします。SfM(Structure from Motion)処理により3D点群データとオルソ画像が自動生成されます。処理時間はクラウドサービスで1〜3時間程度です。

  5. 出来形管理帳票の作成: 3Dモデルと設計データを比較し、出来形管理帳票を作成します。i-Construction対応のサービスでは帳票テンプレートが用意されており、自動出力が可能です。

一連の作業で最も時間がかかるのは点群データの処理と帳票確認ですが、クラウドサービスを活用することで現場外の事務所でも対応できます。オペレーターが飛行に集中できる体制を作ることで、測量業務全体の効率化が実現します。測量士との連携を維持しつつ、日常的な出来形確認にドローン測量を組み込むことで、従来比40〜60%の測量時間削減を達成している建設会社も報告されています。

導入直後に起きやすいトラブルと対策

クラウド処理ソフトに写真をアップロードしたが点群生成に失敗するケースは、写真のオーバーラップ率不足が主な原因です。隣接する写真同士で80%以上のオーバーラップ(縦横ともに)を確保できていれば、処理失敗はほぼ防げます。飛行計画ソフトで事前にオーバーラップ率を設定し、出発前に確認してから飛行するのが鉄則です。

精度が想定より低いという問題は、GCPの設置数不足か座標取得誤差が原因であることが大半です。GCPは少なくとも4〜6点、現場の外周に分散して配置します。GNSS受信時の固定解(FIX解)が得られているかを確認してから座標を記録してください。チェックポイント(独立検証点)を別途1〜2点取得しておくと、精度評価が客観的に行えます。

飛行バッテリーの消費が速すぎて計画どおりに飛行できない問題は、気温が低い冬季に発生しやすいです。バッテリーは飛行直前まで温めておき、低温時は飛行計画の面積を20〜30%減らして余裕を持たせましょう。予備バッテリーを2〜3本用意することも重要です。現場に近い場所で充電できる環境を整えておくと、1日の測量面積を最大化できます。

従業員規模別おすすめ選択肢

ドローン測量の導入方式は、企業規模や年間の測量件数によって大きく異なります。

従業員10名以下(年間測量件数が少ない)

自社オペレーターを育成するには訓練期間とコストがかかります。年間の測量件数が5件以下であれば、外注委託型(JIW等)を選ぶほうが経済合理性は明確です。1回あたりの費用は高くなりますが、機体・ソフト・研修への初期投資を避けられます。

元請けからICT施工の実績を要求されるようになった段階で、自社保有への移行を検討するのが現実的なステップです。外注委託で実際の測量データとICT帳票の出し方を経験しておくと、自社保有に移行した際に運用がスムーズになります。

従業員11〜50名(年間測量件数10〜30件程度)

この規模になると年間10件以上の測量が発生するケースも多く、自社保有への移行を本格的に検討する時期です。DJI Phantom 4 RTKなどのRTK対応ドローンと、KUMIKI またはTerra Mapperのクラウドサービスを組み合わせる構成が最もコストパフォーマンスに優れます。

オペレーター1名を育成し、年間15〜20件の測量を内製化すれば、外注費と比較して年間150〜300万円程度のコスト削減が見込めます。IT導入補助金を活用すれば、データ処理ソフトの初年度費用を補助できます。

従業員51名以上(年間測量件数30件以上)

測量業務が常態化している規模では、オペレーターを複数名育成し、CADソフトとの連携まで含めた体制を構築することが競争力の源泉になります。TREND-POINTや福井コンピュータのエコシステムで統一するか、点群処理は外部クラウドに委ねてオペレーターは飛行と現場判断に集中させる分業体制が有効です。

元請けからBIM/CIMの活用を求められているケースでは、点群データをRevitやCivil 3Dに取り込む能力が差別化要因になります。この段階では専任の測量担当者の採用と並行してDJI EnterpriseシリーズやZENMUSE P1等の高精度機体への投資も検討に値します。

無料トライアル・試験飛行が可能なサービス

サービス試用の可否内容
DJI Terraあり30日間の無料トライアル(機能制限なし)
Pix4Dあり15日間の無料トライアル(クレジットカード不要)
KUMIKI要問合せデモフライトへの立ち会いが可能な場合あり
Terra Mapper要問合せ1案件の試験処理に対応(問合せベース)
JIW要問合せ試験測量の見積もりのみで契約前に実績を確認可能

クラウド処理ソフトの場合、無料トライアル期間中に実際の現場写真をアップロードして点群データを生成できるため、精度と使い勝手を自社環境で確認できます。購入前に必ずトライアルを行い、自社のPCスペックでの処理速度も確認してください。

導入前の注意点と失敗しない選び方

よくある失敗パターン

ドローン測量の導入失敗事例として最も多いのは「安い機体を選んだために精度が出なかった」というケースです。RTK(リアルタイムキネマティック)非対応の機体では、GCPを多数設置しても土工精度の保証が難しくなります。公共工事の出来形管理に使う場合は、最初からRTK対応機体を選ぶことを強くおすすめします。

「ソフトだけ買って飛行は別の会社に頼む」という分割発注も、データ形式の互換性問題が発生しやすいため注意が必要です。飛行から処理まで同じエコシステムで統一するか、各社のデータ受け渡し仕様を事前に確認してください。

精度保証の確認ポイント

  • GCP(地上基準点)を使った精度検証が記録できるか
  • 水平精度・鉛直精度のレポートが出力できるか(Pix4Dは標準機能)
  • i-Constructionの出来形管理基準(許容値プラスマイナス50mm)を満たすデータが出せるか
  • 測量士の監修が必要か、オペレーターだけで運用可能か

運用継続のためのコスト管理

クラウドサービスは月額費用が発生し続けるため、繁忙期と閑散期で使用量が変動する場合は、従量課金型と定額型のどちらが有利かを年間で試算してください。現場件数が少ない冬季(北日本の場合)は一時停止できるサービスを選ぶとコストを抑えられます。

IT導入補助金を使った導入費用削減

ドローン測量のソフトウェアは補助金対象になりうる

クラウド型の点群処理ソフトウェアはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になる場合があります。ドローン機体そのものは補助金の対象外ですが、データ処理ソフトのクラウド利用費は申請可能なケースがあります。

2026年度の公募スケジュールは公式サイトでご確認ください。

補助金を使った導入コスト試算(従業員20名・年間測量件数15件の場合):

費用項目補助なし補助あり(補助率1/2)
DJI Phantom 4 RTK(機体)約100万円100万円(補助対象外)
Terra Mapper(初年度)約60万円約30万円
操縦者講習・研修費約30万円約15万円
合計初年度費用約190万円約145万円
年間削減効果(外注費比較)約150〜200万円

機体は補助対象外ですが、クラウドソフトと研修費をセットで申請することで初年度の持ち出しを30〜40万円程度圧縮できます。gBizIDプライムの取得には2〜3週間かかるため、導入計画の3ヶ月前には準備を始めてください。

施工管理ソフト・BIMとの連携

ドローン測量で生成した点群データを単独で使うだけでなく、施工管理ソフトやBIM/CIMと連携させることで価値が大きく高まります。

連携先連携の効果対応サービス
施工管理アプリ(ANDPAD等)出来形確認データを施工管理と一元管理ANDPAD連携実績あり
BIMソフト(Revit等)点群から既存地形を3Dモデル化Pix4D → Revitが一般的
土木設計CAD(TREND-CORE等)設計データと点群を照合して出来形確認TREND-POINT連携
写真管理アプリオルソ画像を施工写真として管理API連携またはPDF出力
帳票作成ツール出来形帳票の自動出力Terra Mapper/KUMIKI標準機能

施工管理ソフトとの連携については「施工管理アプリ比較」の記事に詳しい解説があります。データの二重入力を防ぐには、ドローン測量から出来形帳票の提出まで一つのエコシステムで完結するサービス構成を設計することが重要です。

資格・法規制について

ドローン測量を自社で行う場合は、航空法に基づく飛行許可・承認の取得が必要です。2022年12月からはドローンの機体登録(リモートID搭載)が義務化されています。

ドローン飛行に必要な手続き

重量100g以上のドローンは機体登録が必須です。また、人口集中地区(DID地区)や空港周辺、高度150m以上での飛行には国土交通省への許可申請が必要です。建設現場の多くはDID地区外にありますが、市街地に近い現場では申請が必要なケースもあるため、事前の確認を忘れないでください。

デジタル化・AI導入補助金の活用

ドローン測量のソフトウェアは補助金対象になりうる

クラウド型の点群処理ソフトウェアはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になる場合があります。ドローン機体そのものは補助金の対象外ですが、データ処理ソフトのクラウド利用費は申請可能なケースがあります。

2026年度の公募スケジュールは公式サイトでご確認ください。

ドローン測量に関するよくある質問

「まず1台だけ試したい場合」は何を選べばよいか

初めてドローン測量を社内で始める場合、機体はDJI Mavic 3 Enterprise(約60万円、RTK対応)またはDJI Phantom 4 RTK(約100万円)が中小建設会社の入門機として多く選ばれています。データ処理ソフトはDJI Terraで統一すると初期設定が簡単です。処理精度に不満が出たらKUMIKIやTerra Mapperへの移行を検討する順序が現実的です。

工事発注者からICT測量の提出データ仕様を指定された場合

元請けや発注機関から「TSデータで提出してください」「LandXMLで納品してください」と指定される場合があります。Terra Mapper、KUMIKI、TREND-POINTはいずれも主要な出力形式(点群LAS、オルソGeoTIFF、LandXML等)に対応しています。納品前に発注者の仕様書を確認し、ソフトが対応しているか事前に確認してください。

測量士資格がなくてもドローン測量はできるか

法律上、測量業務を業として行う場合は測量士または測量士補の資格が必要です(測量法第55条)。ただし、ICT施工の出来形管理目的の計測(「測量」ではなく「計測」の位置づけ)については資格不要で実施できます。元請けが受注している公共工事で出来形管理にドローン計測を使う場合は、ほとんどのケースで資格不要で対応できますが、一般的な地形測量の委託を受ける場合は測量士の監修が必要になります。

RTK対応機体とGCP方式の精度の違いは

RTK(リアルタイムキネマティック)対応機体は、飛行中にGNSSの補正データをリアルタイム受信し、写真の撮影位置を高精度に記録します。GCP方式は飛行後にGCPの座標を入力して精度補正を行います。RTKのほうが現場設置物が減り作業効率は高いですが、GNSS受信状態が悪い環境(谷間や建物密集地)ではGCP方式のほうが安定した精度が得られる場合もあります。両者を組み合わせたRTK+GCPチェックポイント方式が最も精度保証に有効です。

まとめ

ドローン測量の導入は、測量時間の大幅短縮と3Dデータの活用による生産性向上が期待できるICT施工の入口です。

まずは外注委託で1〜2件の現場にドローン測量を試験導入し、効果を確認してからソフトウェアの導入や自社保有を検討するステップアップ方式がリスクの少ない進め方です。i-Construction普及に伴い、元請けからのICT施工要求が増加する中、今のうちに社内にドローン測量の知見を蓄積しておくことが競争力の維持につながります。

ドローン測量導入後の効果検証と継続活用

投資対効果を測る3つの指標

ドローン測量を導入した後、「本当に効果があったか」を検証するために以下の3指標を継続的に追ってください。

測量時間の削減率は最も直接的な指標です。従来の人力測量で2日かかっていた1haの測量がドローンで3時間に短縮されたなら、削減率は80%以上になります。月次で集計し、機体・ソフトの維持費と対比して投資回収状況を把握します。

積算・出来形管理の手戻り件数も重要な指標です。ドローン測量で作成した3Dモデルを使えば、土量計算の誤差が減り、設計変更時の再計算も迅速に対応できます。手戻り発生件数が減少するほど、測量以外の業務(会議調整、設計変更書類の作成など)にかかる時間も削減されます。

受注競争力の変化(ICT評価加点)も見逃せません。国交省の総合評価落札方式では、ICT活用の実績に加点される場合があります。自社で行ったドローン測量・ICT施工の実績を適切に記録・アピールすることで、入札評価の向上につながります。

継続活用のアイデア

ドローン測量のデータ活用は測量単体にとどまりません。蓄積されたオルソ画像と3Dモデルは、以下のような用途にも展開できます。

施工進捗の可視化は、定期的にドローン撮影を行い、同じアングルから撮影した写真を時系列で並べることで施工の進捗を視覚的に記録できます。発注者への報告資料として活用している建設会社が増えています。

現場の安全確認にも応用できます。工事前後の3Dモデルを比較することで、地盤の沈下や法面の変状を早期に発見できます。特に梅雨や台風の季節前後に定期測量を実施している現場では、安全確認の精度が高まります。

土量管理のリアルタイム把握は、掘削・盛土工事で特に効果を発揮します。設計値との差分を週次で確認することで、過剰掘削や不足盛土を早い段階で是正でき、材料費と工期の超過を防げます。

建設業でのドローン活用拡大 — 測量以外の用途

ドローンは測量以外にも建設現場の様々な局面で活用が進んでいます。測量用に導入した機体をそのまま転用できるケースもあるため、投資対効果をさらに高めたい場合に参考にしてください。

現場の空撮・施工写真の効率化

工事の全体像を俯瞰で記録したい場面は少なくありません。施工管理アプリと組み合わせれば、日次・週次の施工写真として空撮画像を活用でき、地上からでは撮影が難しい箇所も効率的に記録できます。

インフラ点検(橋梁・法面・擁壁)

橋梁の下部工、法面、擁壁など、人が近づくことが難しい箇所の損傷点検にドローンを活用する事例が増えています。高解像度カメラで撮影した画像を管理記録として保存し、次回点検時の比較資料として活用できます。

資材・仮設の数量確認

砂利・砕石などの山積み材料の在庫量を定期的にドローンで計測し、土量計算ソフトで数量を算出する用途も広がっています。目視での在庫確認よりも精度が高く、棚卸し作業の省力化につながります。

4K映像を活用した施主・発注者向けプレゼン

着工前後や工事中の様子を4K映像で記録し、竣工時に施主にお渡しすることで付加価値の向上につながります。実績資料として営業活動にも活用できるため、測量以外の場面での使い道として積極的に検討してみてください。

参考情報

よくある質問

ドローン測量の精度はどのくらいですか?
RTK(リアルタイムキネマティック)対応のドローンとGCP(地上基準点)を併用すれば、水平精度・鉛直精度ともに数センチの精度が得られます。i-Constructionの出来形管理基準(土工で許容範囲プラスマイナス50mm)を十分に満たせます。
ドローン測量の費用はどのくらいですか?
外注の場合は1回10〜50万円程度(面積や難易度により変動)。自社保有の場合は初期費用200〜500万円(機体+ソフト+研修)、ランニングコストは月額5〜10万円程度です。
ドローン測量を行うのに資格は必要ですか?
法的に必須の資格はありませんが、2022年12月に創設された国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を取得しておくと飛行許可の申請が簡略化されます。また、測量データの精度管理には測量の基礎知識が必要です。
雨天でもドローン測量はできますか?
一般的なドローンは防水性能が限定的であり、雨天での飛行は推奨されていません。風速5m/s以上の場合も飛行を見合わせることが一般的です。天候を考慮したスケジュール管理が必要です。
小規模な工事現場でもドローン測量のメリットはありますか?
面積が1,000平米以上であればドローン測量のメリットが出やすくなります。それ以下の小規模現場では、従来のトータルステーション測量のほうが効率的な場合もあります。
ドローン測量のデータはBIMと連携できますか?
はい。ドローン測量で生成した点群データは、BIMソフト(Revit、ARCHICAD等)にインポートして既存地形のモデル化に活用できます。土木分野ではCIM(3次元モデルを活用した建設生産システム)との連携が進んでいます。

ドローン測量の将来展望 — LiDARと自律飛行の普及

2024〜2026年にかけて、建設現場向けドローン技術の進化が加速しています。特に注目すべきは2点です。

LiDAR(レーザースキャナ搭載ドローン)の低価格化が進み、従来は数百万円以上していた機材が100〜150万円台で入手できるようになってきました。LiDARドローンは植生貫通能力があるため、草地や森林が多い現場での測量精度が写真測量より格段に向上します。土木工事だけでなく、農地・山岳工事・道路維持管理への用途拡大が見込まれます。

自律飛行技術の進化も著しく、GPS電波が届かない建物内部や橋梁下部での自律飛行が実用化されつつあります。点検業務への活用が先行して進んでおり、定期的な構造物点検の自動化という需要が、今後数年で建設会社にとっても身近なものになると予測されています。

国土交通省は2025〜2030年にかけてBIM/CIM活用の範囲を公共工事全体に広げる方針を示しており、測量データの3D化はその基盤として不可欠です。ドローン測量への投資は、こうした業界全体のデジタル化の流れに先行して対応するという側面も持ちます。

出典: 国土交通省 BIM/CIM活用推進ロードマップ — 2021年策定、2023年改訂

まとめ — ドローン測量サービス選びのポイント

建設現場へのドローン測量導入は、ICT施工加点・工期短縮・安全性向上の3点で着実な効果をもたらします。ただし、どのサービスが自社に合うかは現場の地形・測量頻度・内製か外注かという方針によって変わります。

初めて導入する場合は、内製化より外注から始める企業が多く、まず1現場で試して効果を確認してからオペレーター育成に移行するのが失敗の少ないアプローチです。ドローン測量サービスの比較では精度や機材だけでなく「担当者のサポート体制」と「データ納品フォーマットが施工管理ソフトに対応しているか」が実務上の重要ポイントになります。

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になるサービスも複数あるため、導入前に補助金の活用可否を確認しておくと費用負担を軽減できます。測量から施工管理、BIM連携まで一気通貫で対応するサービスを選ぶことが、長期的なコスト最適化につながります。


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