この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

「積算に3日かかる」を、半日に変える方法

ある地方の建設会社では、1件の公共工事の積算に担当者が丸3日を費やしていました。設計書を読み解き、数量を拾い出し、最新単価を調べ、Excelに入力し、経費を計算する。この一連の作業をベテラン社員が一人で担い、繁忙期には深夜まで残業が続いていたそうです。

こうした状況は、中小建設会社では珍しくありません。国土交通省が推進する「建設業の働き方改革」では、ICTの活用による生産性向上が柱のひとつに据えられていますが、積算業務に関してはExcelや手計算に頼っている企業がまだ多いのが実態です。

積算ソフトを導入すると、設計書の取り込みから数量の拾い出し、単価の反映、経費計算までを自動化・半自動化でき、作業時間を大幅に圧縮できます。あるメーカーの公表データでは、導入企業が積算業務を従来比で最大65%削減した事例も報告されています。

「自社の工事に合った積算ソフトはどれか」を判断できるよう、10製品を「対応工種」「料金」「主要機能」の3軸で比較し、企業規模や工事種別ごとの選び方を整理しました。

積算ソフトとは何か — 基本的な役割を整理する

積算ソフトとは、建設工事に必要な材料費・労務費・経費を積み上げて工事原価を算出するためのソフトウェアです。手作業では数日かかる積算業務を、データベースと計算エンジンの力で効率化します。

積算と見積もりの違い

建設業では「積算」と「見積もり」が混同されがちですが、この2つは工程が異なります。

項目積算見積もり
目的工事にかかる原価を正確に算出する発注者に提示する価格を決定する
算出方法設計図から数量を拾い、単価×数量で計算積算結果に諸経費・利益を上乗せ
基準公共工事: 公共建築工事積算基準民間工事: 自社の利益率方針
使うデータ歩掛り、公共単価、材料単価積算結果、過去の受注実績

積算の精度が低いと、見積もり段階で利益を確保できなくなります。「受注はできたが赤字だった」という事態を防ぐには、積算段階での正確性が不可欠です。

積算ソフトが自動化する業務

積算ソフトを導入すると、以下の業務を自動化または半自動化できます。

業務手作業の場合ソフト導入後
数量拾い出し図面を目視で読み、電卓で計算CAD/PDF図面を取り込み自動算出
単価の反映単価本や公表資料を手動で検索単価マスタから自動引用
経費計算共通仮設費・現場管理費を手動積算経費率テーブルで自動計算
内訳書作成Excelで手入力・整形テンプレートから自動生成
過去案件の参照紙の書類やファイルを探すキーワード検索で即座に表示

特に公共工事を受注する企業にとっては、最新の歩掛りや公共単価が自動更新される点が大きなメリットです。単価改定のたびに手動で差し替える手間がなくなり、常に最新データで積算できます。

積算ソフトの導入で何が変わるのか

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1. 積算精度の向上で赤字工事を防止する

手作業の積算では、数量の拾い漏れや単価の転記ミスが発生しがちです。とりわけ大規模工事になるほど項目数が増え、ヒューマンエラーのリスクが高まります。積算ソフトは数量を自動算出し、単価マスタと連動して金額を計算するため、こうした計算ミスを大幅に減らせます。

2. 積算業務にかかる時間を短縮する

冒頭で触れたとおり、積算ソフトの導入で業務時間を50〜65%削減できたという報告があります。特に設計書の自動解析機能を持つソフトでは、PDFやExcel形式の設計書を取り込むだけで工種・数量を自動抽出し、積算の初期設定を大幅に省力化できます。

3. 属人化を解消し、組織で積算ノウハウを共有する

多くの中小建設会社では、積算業務がベテラン社員に集中しています。その社員が退職・異動すると積算の質が一気に低下するリスクがあります。積算ソフトに蓄積されたデータやテンプレートは組織の資産として残り、新任担当者でも過去の実績を参照しながら一定の精度で積算を行えます。

4. 複数案件を同時に管理しやすくなる

繁忙期には複数の入札案件が重なることがあります。手作業では物理的に対応件数に限りがありますが、ソフトを使えば過去案件のデータを流用しながら複数案件を並行して進められます。Gaia Cloudのように複数工事の同時編集に対応した製品もあり、限られた人員で多くの案件をさばく体制を構築できます。

5. 補助金を活用して導入コストを抑えられる

積算ソフトの導入には、中小企業・小規模事業者デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)やものづくり補助金が活用できます。補助率は最大で導入費用の2/3に達するケースもあり、初期投資のハードルを下げられます。補助金の活用については記事の後半で詳しく解説します。

積算ソフトの選び方 — 失敗しないためのチェックポイント

積算ソフトは製品によって得意分野が大きく異なります。導入してから「自社の工事に合わなかった」と後悔しないために、以下の5つの観点で検討してください。

チェック1: 対応工種(建築・土木・設備)

積算ソフトは、大きく「建築向け」「土木向け」「設備向け」に分かれます。建築積算であれば構造・仕上げの数量拾いに強いNCS/HELIOSや楽王Crewが候補に入り、土木積算であればATLUS NEXTやGaia Cloudが選択肢になります。自社が手がける工事種別を棚卸しし、メインの工種に対応したソフトを選びましょう。

チェック2: 公共工事か民間工事か

公共工事が主力の企業は、国土交通省の積算基準に準拠し、最新の歩掛り・公共単価が定期更新されるソフトを選ぶ必要があります。ATLUS NEXTやRIBC2はこの分野に強い製品です。一方、民間工事がメインであれば、自社単価の自由な設定や利益率の逆算機能を持つ楽王Crewや建築みつも郎17が使いやすいでしょう。

チェック3: 提供形態(クラウド型 vs オンプレミス型)

比較項目クラウド型オンプレミス型
初期費用低い(月額課金)高い(ライセンス購入)
運用コスト月額料金が継続発生保守費用のみ
データ保管ベンダーのサーバー自社サーバー/PC
アクセス場所インターネット環境があればどこでも社内ネットワークに限定
アップデート自動更新手動で適用
向いている企業複数拠点、現場からのアクセスが多いセキュリティ要件が厳しい大手

中小建設会社の場合、初期費用を抑えられるクラウド型やサブスクリプション型が導入しやすい傾向にあります。Gaia Cloudやサクミルはクラウド対応で、現場からでもデータにアクセスできる点が利点です。

チェック4: 既存システムとの連携

すでに工事管理ソフトや原価管理ソフトを使っている場合、積算ソフトとのデータ連携が可能かどうかを確認してください。BIMを導入済みの企業であれば、IFCファイルの取り込みに対応したNCS/HELIOSのようなソフトが積算の手間をさらに削減します。

チェック5: 導入コストと費用対効果

積算ソフトの価格帯は幅広く、月額数千円のサブスクリプション型から、パッケージ購入で100〜200万円規模の製品まであります。高額なソフトほど機能は充実していますが、中小規模の企業が使い切れない機能に投資するのは非効率です。自社の積算件数や工事規模に見合った投資判断が重要です。

コスト判断の目安
  • 年間積算件数が50件以下 → サブスク型(月額1〜3万円)で十分なケースが多い
  • 年間積算件数が100件以上、公共工事中心 → パッケージ型の導入で精度と速度を両立
  • BIMを活用している → BIM連携対応の製品で積算工程を一気通貫に

建設業向け積算ソフト10選 — 比較一覧表

今回取り上げる10製品を、対応工種・料金・提供形態で整理しました。

製品名対応工種料金目安提供形態公共工事対応
ATLUS NEXT土木要問い合わせオンプレミス
NCS/HELIOS建築要問い合わせオンプレミス
Gaia Cloud土木要問い合わせクラウド
楽王Crew建築・設備月額8,800円〜クラウド(サブスク)
建築みつも郎17建築要問い合わせオンプレミス
GOLDEN RIVER土木要問い合わせオンプレミス
ランド2025土木165,000円〜オンプレミス
みつもりくんie2設備要問い合わせオンプレミス
RIBC2建築(営繕)無料オンプレミス
サクミル建築・土木月額9,800円〜クラウド

「○」は公共工事の積算基準・歩掛りに標準対応、「△」は対応可能だが主力機能ではないことを示します。料金は2026年3月時点の公表情報に基づきます。最新の価格は各公式サイトでご確認ください。

各製品の特徴と選定ポイント

ATLUS NEXT(コンピュータシステム研究所)

ATLUS NEXTは、公共土木工事の積算に特化したシステムで、前身の「ATLUS REAL Evo」から大幅に機能強化されています。

特筆すべきは設計書の自動解析機能です。Excel形式やPDF・画像形式の設計書を取り込み、OCR技術で工事名や積算条件を自動抽出します。これにより、設計書を手入力する工程を省略できます。

「積算アシスト」機能は、過去に蓄積した積算データをもとに条件を自動設定する仕組みで、処理速度は前バージョンと比較して最大53倍向上したと公表されています。画面遷移速度は最大7倍、検索速度は最大10倍に高速化されており、大量の案件を処理する企業には大きなアドバンテージです。

「ナレッジBOX」機能では、ベテラン担当者の積算ノウハウをクラウド上にデータ化して共有できます。技術承継が課題となっている企業にとって、経験値の見える化は実務上のメリットが大きいでしょう。

経費計算では、積み上げと同時にリアルタイムで工事価格を算出し、最大10案のシミュレーションを同時に比較できます。入札戦略の検討に役立つ機能です。

対応工種は公共土木工事が中心で、国土交通省の積算基準に準拠しています。最新の単価・歩掛りデータは定期的に更新されるため、常に最新基準で積算を行える点が強みです。

NCS/HELIOS(日本積算センター / バル・システム)

NCS/HELIOS(ヘリオス)は、建築積算ソフトとして国内トップクラスのシェアを誇る製品です。スーパーゼネコン4社を含む全国800社以上に導入されており、建築積算の業界標準ともいえる存在です。

構造積算・仕上積算・見積書作成をワンパッケージで提供しており、建築工事の積算を一気通貫で処理できます。数量算出は国土交通省の「公共建築工事標準仕様書」と「建築数量積算基準」に準拠し、出力される帳票には数量根拠が明確に記載されるため、発注者への説明資料としてもそのまま使えます。

BIM連携にも力を入れており、IFC形式やST-Bridge形式のデータを取り込めます。BIMモデルから積算データを直接連動させることで、手入力の工数を大幅に削減できます。設計変更が発生した場合も、BIMモデルの更新に合わせて積算データを効率的に修正可能です。

価格は非公開で、導入規模に応じた見積もり対応となります。大規模建築を手がけるゼネコンや設計事務所に適した製品で、中小規模の建設会社にとっては導入コストが課題になる可能性があります。

Gaia Cloud(ビーイング)

Gaia Cloudは、35年以上の歴史を持つ土木積算ソフト「Gaiaシリーズ」のクラウド版です。クラウド型のため、インターネット環境があれば事務所でも現場でも積算作業ができます。

設計書の自動解析機能を備え、取り込んだ設計書から積算条件を自動で抽出します。ユーザーからは「従来8時間かかっていた積算業務が約2時間に短縮された(約58%削減)」という声も報告されています。

複数工事の同時編集に対応しているため、繁忙期に複数案件が重なっても効率的に処理できます。過去案件のデータ再利用も容易で、類似工事の積算を流用することで作業時間をさらに圧縮可能です。

コメント機能を使えば、積算データにメモを残してチーム内で共有できます。ベテランが若手に積算のポイントを伝える手段としても活用でき、ナレッジの蓄積に役立ちます。

クライアント・地域ごとの積算基準・単価・歩掛りに対応しており、発注機関ごとのルールの違いにも柔軟に対応できます。土木工事を中心に手がける企業で、クラウド型の利便性を求める場合に有力な候補です。

楽王Crew(アークシステム)

楽王Crewは、建築・電気・設備工事向けの積算見積ソフトで、月額8,800円(税込)から利用できるサブスクリプション型です。初期投資を抑えたい中小建設会社にとって、導入ハードルの低さが魅力です。

操作画面はExcelに似たインターフェースを採用しており、Excel操作に慣れた担当者であれば短期間で習得できます。Excelからの移行を検討している企業にとって、学習コストが低い点は見逃せないメリットでしょう。

階層構造による見積作成に対応し、材料の選択と数量の入力で費用を自動算出します。自社オリジナルの材料マスタに加え、「全日出版社」の単価情報も収録されており、単価調査の手間を削減できます。

楽王シリーズには、図面から数量を拾い出す「ヒロイくんIII」(月額3,800円)もラインアップされており、組み合わせることで図面拾い→積算→見積書作成の流れをカバーできます。

パッケージ版の「楽王3」も用意されており、買い切りでの導入も選択可能です。サブスク版で試してからパッケージ版に移行する、といった段階的な導入も現実的です。

楽王シリーズの料金体系(税込)
  • ヒロイくんIII(図面拾い): 月額3,800円
  • 楽王Crew(積算見積): 1ライセンス月額8,800円 / 2ライセンス月額25,800円
  • 楽王3(パッケージ版): 要見積もり

建築みつも郎17(コベック)

建築みつも郎17は、建築工事の積算・見積に特化したパッケージソフトで、最大6階層の見積書を作成できます。20行×約3,000ページ、総金額9,999億円まで対応するキャパシティがあり、小規模なリフォームから大規模建築まで幅広い工事に使えます。

「金額調整機能」は、目標とする粗利率から逆算して見積金額を自動調整する仕組みです。利益を確保しながら競争力のある価格を提示する必要がある民間工事の場面で、この機能は実務的に役立ちます。

法定福利費の自動計算機能も搭載しており、社会保険料を正確に反映した見積書を作成できます。2012年の法改正以降、法定福利費の内訳明示は元請・下請間の取引で求められるようになっており、この対応が自動化されるのは実務上の負担軽減につながります。

見積進捗を管理する「ステータスチェック機能」や商談内容を記録する「工事コメント機能」も備えており、積算業務だけでなく営業管理にも活用できます。

民間の建築工事を主に手がける工務店・建設会社に向いた製品です。公共工事の積算基準には標準対応していないため、公共工事が中心の企業は他の選択肢を検討したほうがよいでしょう。

GOLDEN RIVER

GOLDEN RIVERは、公共土木工事の積算を効率化するシステムです。PDFやExcel形式の設計書を取り込み、必要な積算単価を自動反映する機能を備えています。

画面UIが刷新され、レスポンスの速さと操作性が向上しています。積算業務は同じ画面を長時間操作する作業であるため、UIの使いやすさは作業効率に直結します。

毎月更新される最新の建設価格・歩掛りデータを利用でき、単価改定への追従が容易です。複数の発注機関の基準に対応しており、地域や発注者ごとに異なるルールへの対応もスムーズに行えます。

公共土木工事を受注する中小建設会社が、手頃なコストで積算精度を上げたいときの選択肢のひとつです。

ランド2025(SYT)

ランド2025は、土木設計監理の実務ノウハウを活かして開発された土木積算ソフトです。標準価格は275,000円ですが、公式サイトからの注文で165,000円の特別価格が適用されます。パッケージ型の積算ソフトとしては比較的低価格で、予算に制約のある中小企業でも導入しやすい設定です。

直接工事費の計算、最低制限価格・調査基準価格の逆算、経費計算、内訳書・単価表・実行予算書の作成といった、土木積算に必要な一通りの機能を備えています。施工パッケージ型の積算方式にも対応しており、国土交通省が推進する新しい積算体系にも追従できます。

毎月提供される最新の建設価格・歩掛りデータにより、常に最新の単価で積算を行えます。

高機能な大型ソフトを導入するほどの予算はないが、Excelでの手作業から脱却したいという企業にとって、費用対効果の高い選択肢です。

みつもりくんie2(コンプケア)

みつもりくんie2は、電気・空調・衛生設備工事に特化した積算見積ソフトです。建築や土木の積算ソフトは多数ありますが、設備工事に絞った製品は選択肢が限られるため、設備業を営む企業にとっては貴重な専門ツールです。

歩掛りに対応した積算が可能で、過去の見積データを再利用することで類似案件の積算を効率化できます。直感的なインターフェースにより、特別な研修なしでも操作を覚えられると評価されています。

設備工事は材料の種類が多く、配管・ダクト・配線の数量拾いに手間がかかる工種です。専用ソフトを使うことで、設備特有の積算項目を漏れなくカバーできます。

電気設備・空調設備・衛生設備の積算が主業務の企業には、汎用的な建築積算ソフトよりも専門特化した本製品のほうが使い勝手がよいでしょう。

RIBC2(建築コスト管理システム研究所)

RIBC2は、国土交通省の官庁営繕部が監修する営繕積算システムで、公共建築工事の積算に使われる準公式ツールです。発注機関向けに無料で提供されており、建設会社側も公共建築工事の入札に際してRIBC2の積算体系を理解しておくことは有益です。

RIBC2は公共建築工事標準仕様書に完全準拠しており、数量算出から単価設定、内訳書の作成まで、営繕工事の積算フローをそのままシステム化しています。単価データは建設物価調査会から提供されるRIBC2用単価データを利用します。

公共建築工事を受注する機会のある企業は、発注者側と同じ積算基盤を使うことで、数量や単価の根拠を共有しやすくなります。ただし操作画面のUIは業務システム寄りで、民間向けの積算ソフトと比べると直感的とはいえない部分もあります。

無料で利用できる点は大きなメリットですが、あくまで公共建築の営繕工事に特化しているため、土木工事や民間工事には向きません。

サクミル

サクミルは、月額9,800円から利用できるオールインワン型の業務管理ソフトです。積算・見積作成だけでなく、現場管理・工程管理・原価管理までを一元化できる点が他の積算専門ソフトとの大きな違いです。

積算機能単体では専門ソフトに及ばない部分もありますが、「積算から施工管理、原価管理まで1つのツールで完結させたい」というニーズを持つ中小建設会社には適しています。

クラウド型のため、事務所でもスマートフォンやタブレットからでもアクセス可能です。現場と事務所の情報共有がスムーズになり、積算データをもとにした原価管理をリアルタイムで行えます。

業界でも安価とされる月額料金で多機能を利用でき、「まず1つのツールで業務全体をデジタル化したい」というDXの第一歩として検討する価値があります。

企業規模・工事種別ごとのおすすめ製品

従業員10名以下の小規模工務店

工事件数が限られる小規模工務店には、初期費用が低いサブスクリプション型がおすすめです。楽王Crew(月額8,800円)は操作がExcelに近く、学習コストが低い点で導入しやすいでしょう。積算だけでなく現場管理まで一括で管理したい場合はサクミル(月額9,800円)も選択肢に入ります。

従業員10〜50名の中小建設会社

ある程度の案件数をさばく必要がある中小建設会社では、工事種別に応じた製品選びが重要です。

工事種別おすすめ製品理由
公共土木中心ATLUS NEXT / Gaia Cloud公共積算基準に完全準拠、設計書自動解析で時短
民間建築中心建築みつも郎17 / 楽王Crew利益率逆算、自社単価の自由な管理
設備工事中心みつもりくんie2電気・空調・衛生に特化した積算体系
土木+現場管理ランド2025 + サクミル低コストで積算と現場管理を両立

従業員50名以上の中堅〜大手

BIMを導入済み、または導入予定の企業であれば、NCS/HELIOSのBIM連携機能が真価を発揮します。IFCファイルから積算データを自動連動できるため、設計変更時の積算修正工数を大幅に削減できます。

公共土木工事の大型案件を多数手がける場合は、ATLUS NEXTの「積算アシスト」やナレッジBOXを活用することで、社内の積算ノウハウを組織的に管理・活用する体制を構築できます。

積算ソフト導入の進め方

ステップ1: 現状の積算業務を棚卸しする

導入前に、現在の積算業務にどれくらいの時間と人手がかかっているかを把握してください。「1件あたりの積算時間」「月間の積算件数」「ミスの発生頻度」「担当者の人数」を数字で整理しておくと、ソフト導入後の効果測定がしやすくなります。

ステップ2: 自社の要件を明確にする

対応工種、公共工事 vs 民間工事の比率、既存システムとの連携、利用人数、予算を洗い出します。この段階で要件が曖昧だと、ベンダーからの提案を正しく比較できません。

ステップ3: 候補製品を2〜3に絞り、デモを依頼する

多くのベンダーは無料のデモンストレーションや試用版を提供しています。実際の操作感は画面を触ってみないとわかりません。自社の実案件のデータを持ち込んでデモを受けると、導入後のイメージがより具体的になります。

ステップ4: 補助金の申請を並行して進める

後述するデジタル化・AI導入補助金を活用する場合、申請から採択まで数か月かかることがあります。ソフトの選定と並行して補助金の申請準備を進めておくと、スケジュールを効率化できます。認定支援機関やIT導入支援事業者と連携すると手続きがスムーズです。

ステップ5: 運用ルールを決めて段階的に移行する

いきなり全業務をソフトに切り替えるのではなく、特定の工種や案件から試験運用を始めることをおすすめします。並行運用期間を設けてExcelとソフトの結果を突合し、問題がないことを確認してから全面移行に進むと安全です。

補助金を活用して導入コストを下げる

積算ソフトの導入にあたっては、以下の補助金制度が活用できる可能性があります。

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

2026年度から名称が変更されたこの補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を補助する制度です。積算ソフトは「業務効率化」の類型で申請でき、補助率は1/2〜2/3、補助上限額は最大450万円(枠により異なる)です。

申請にはIT導入支援事業者を通じて行う必要があり、対象製品がIT導入支援事業者のカタログに登録されていることが条件です。導入を検討している積算ソフトが補助金対象かどうか、事前にベンダーに確認しておきましょう。

デジタル化・AI導入補助金の詳細は「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を建設業で活用する方法」で解説しています。

ものづくり補助金

革新的なサービス開発・生産プロセスの改善に取り組む中小企業を支援する補助金です。積算業務の抜本的な改革(BIM連携による積算自動化など)を伴う導入であれば、この枠で申請できる場合があります。補助率は1/2〜2/3、補助上限額は750万円〜1,250万円です。

補助金制度全般の比較は「建設業で使える補助金一覧 — 種類・金額・申請のコツを総まとめ」を参照してください。

補助金活用のポイント
  • 申請は「導入前」に行うのが原則。先に購入すると対象外になる場合がある
  • 認定支援機関やIT導入支援事業者と連携すると申請がスムーズ
  • 採択率を上げるには「導入による定量的な効果見込み」を具体的に記載する

よくある質問

よくある質問

積算ソフトとExcelでの積算、どちらがよいですか?
年間の積算件数が少なく、工種も限定的であればExcelでも対応可能です。ただし、案件数が増えてくると単価管理の手間やミスのリスクが高まるため、月に5件以上の積算を行う企業はソフトの導入を検討したほうが効率的です。
無料の積算ソフトはありますか?
RIBC2は公共建築の営繕積算に特化した無料ソフトです。ただし対応範囲が営繕工事に限られるため、民間工事や土木工事には向きません。有料ソフトの無料体験版で操作感を確認してから導入を決めるのがおすすめです。
積算ソフトの導入に補助金は使えますか?
はい。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)やものづくり補助金が活用できる可能性があります。補助率は最大2/3で、導入費用の負担を大幅に軽減できます。申請は導入前に行う必要があるため、早めにベンダーや認定支援機関に相談してください。
クラウド型とオンプレミス型、どちらを選ぶべきですか?
複数拠点での利用や現場からのアクセスが必要ならクラウド型、社内ネットワーク内での利用が中心でセキュリティ要件が厳しい場合はオンプレミス型が適しています。中小建設会社であれば、初期費用が低いクラウド型やサブスク型が導入しやすいでしょう。
建築と土木で同じ積算ソフトを使えますか?
建築と土木では積算体系が異なるため、1つのソフトで両方をカバーするのは難しいのが現状です。サクミルのように幅広い工種に対応する製品もありますが、積算精度を重視するなら工種ごとに専門のソフトを選ぶほうが確実です。

積算ソフトの導入は「コスト」ではなく「利益を守るための投資」です。自社の工事種別と規模に合った製品を選び、補助金の活用も視野に入れながら、積算精度の向上と収益改善を両立させてください。

見積ソフトとの違いや選び方については「建設業向け見積ソフト比較 — 積算・見積作成を効率化するおすすめ6選」も併せてご覧ください。建設業のDX全般について知りたい方は「建設DXとは?中小建設会社のための導入ガイド」が参考になります。

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