この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

建設会社の事務所で、採用にかかった費用の書類を確認する担当者

採用単価は「何人採るか」と「何人残るか」で決まる

建設業の採用コストは、採用チャネルの構成を変えることで下げられる可能性があります。人材紹介に依存している会社なら1人あたり80〜175万円かかっているところを、自社採用サイトとリファラル採用に軸を移していくかたちです。ただし初年度は採用サイトの制作費がかかるため単価はすぐには下がらず、採用人数が増える2年目以降に効いてきます。自社チャネルは立ち上げにも数ヶ月かかるので、紹介を今日やめるという話ではありません。順番があります。

この記事では、まず自社の採用単価を出す方法を示し、次に採用人数が増えたときにコストがどう伸びるかをチャネル別に比較し、最後に何から着手するかを並べます。

建設業の採用コスト — 相場と内訳

建設業の採用コスト(1人あたり)は、全産業平均と比べて高止まりしています。リクルートの「就職白書」によると、中途採用の1人あたり平均採用コストは全産業で約103万円(2023年度)。建設業は人材紹介への依存度が高い傾向にあり、施工管理技士など有資格者の採用には年収の30〜35%の紹介手数料が発生するケースも珍しくありません。年収500万円の1級施工管理技士を人材紹介で採用すると、それだけで150〜175万円のコストがかかる計算です。

直近の調査でも高止まりが確認できます。ネオキャリア(みんなの採用部)が2026年4月に公表した「施工管理職の採用に関する実態調査」では、施工管理職1名あたりの採用コストは「50〜99万円」が28.4%で最多、「100万円以上」も38.2%にのぼりました。前年(2024年)と比べて採用コストが「増加した」と答えた企業は57.9%です。

ただしこの調査は、2025年に施工管理職を10名以上中途採用した建設業(従業員1,000名未満)の採用担当者102名が対象です。年10名以上を採る会社の数字なので、年数名の採用が中心の会社にそのまま当てはまるわけではありません。自社の位置を知るには、次の節の計算式で自社の実額を出すのが先です

採用手法1人あたりコスト特徴
人材紹介会社80〜175万円年収の25〜35%が手数料。経験者は確保しやすいが高額
求人広告(大手媒体)20〜80万円/掲載掲載費は固定。応募がゼロでも費用が発生
ハローワーク0円無料だが、若年層へのリーチが弱い
Indeed(有料掲載)5〜30万円/月クリック課金。運用次第でコスパが良い
リファラル(社員紹介)10〜30万円紹介報奨金のみ。定着率が最も高い
自社採用サイト制作費のみ(30〜100万円)初期投資は必要だが、中長期で最もコスパが良い
人材紹介に依存するリスク

人材紹介会社に頼り切ると、1人採用するたびに100万円以上のコストが発生します。年間5人採用すれば500万円以上。これを「自社で採用できる仕組み」に転換すれば、同じ予算で3倍の人数を採用できる可能性があります。

採用コストの現状を「見える化」する

コスト削減の第一歩は、自社の採用コストを正確に把握することです。意外と多くの建設会社が「何にいくらかかっているか」を把握できていません。

採用コストの計算式

採用コスト(1人あたり)= 年間の採用費用合計 / 年間の採用人数

見落とされやすいのが社内工数です。面接や日程調整に使った時間も採用の費用で、社内工数を入れないと、単価は実態より低く出ます

自社の採用単価を出す外部費用媒体費・紹介手数料説明会・採用サイト+社内工数面接・日程調整の時間× 担当者の時給÷年間の採用人数内定辞退は含めない1人あたりの採用単価これが自社の実額2026年調査の水準(年10名以上採用する会社)50〜99万円 28.4%100万円以上 38.2%
自社の採用単価を出したうえで、調査の水準と照らす。調査値は年10名以上採用する会社のもので、母集団が違う点に注意する(出典: ネオキャリア(みんなの採用部)調べ)。

費用合計に含めるべき項目を整理します。

費用項目内容
求人広告費求人媒体への掲載料、Indeed有料掲載費
人材紹介手数料エージェントへの紹介手数料
合同企業説明会ブース出展費、資料制作費、交通費
採用サイト関連費制作費、撮影費、維持費
選考にかかる人件費面接官の工数(時間×時給)
内定者フォロー費入社前研修、懇親会

この表を使って、自社の採用コストを棚卸ししてください。数字が出れば、どこを削るかは自ずと決まります

採用コストを下げる6つの方法

採用・定着の課題を相談しませんか

求人の設計から定着の施策まで、建設業の採用を無料でご相談いただけます。

採用の課題を相談する

方法1: 自社採用サイトを構築する(中長期で最もコスパが良い)

自社の魅力を伝える専用の採用サイトを作り、Indeed等の無料求人媒体と連携します。

なぜ効果があるかといえば、求人媒体では伝えきれない「会社の雰囲気」「社員の声」を自由に発信できるためです。Indeedは自社サイトの求人情報を自動で取り込む仕組みがあり、無料で掲載が可能です。「この会社で働きたい」と思って応募する人が増えるため、入社後のミスマッチも減ります。一度作れば追加の掲載費なしで常時募集できるのが効きます。採用サイトを軸に自社の魅力を発信する考え方は建設業の採用ブランディングにまとめています。

費用対効果の実例をシミュレーションしてみましょう。

項目自社採用サイト人材紹介
初期費用50万円0円
1年目の採用人数2人2人
1年目の総コスト50万円200万円
2年目の採用人数3人3人
2年目の総コスト0円(維持費のみ)300万円
3年間累計コスト50万円+α750万円
3年間で7人の1人あたり約7万円約107万円

制作費50万円の投資は、人材紹介1人分の手数料より安い金額です。2年目以降は維持費(月数千円程度)しかかからないため、採用するほどコスパが良くなります。詳しくは「建設業の採用サイトの作り方」をご覧ください。

方法2: リファラル採用(社員紹介制度)を導入する

既存社員の知人・友人を紹介してもらう制度です。建設業では「仲間を連れてくる」文化があるため、制度化すると効果的。厚生労働省の調査でも、縁故採用(知人の紹介)は建設業の採用チャネルとして上位に入っています。

導入のポイントは、紹介報奨金を設定すること。入社後3ヶ月勤務で20万円支給が一般的な水準です。全社員に制度を周知するため、朝礼での案内やポスター掲示を行ってください。紹介した社員にも紹介された社員にもメリットがある仕組みにすることで、制度が自走しやすくなります。

リファラル採用のメリット

採用コストは人材紹介の1/5以下。社風を知っている人が紹介するためミスマッチが少なく、定着率は通常採用より20〜30%高い傾向があります。

リファラル採用を活性化するための工夫

制度を作っただけでは紹介は増えません。以下の施策を組み合わせてください。

施策内容
定期的なリマインド月1回の朝礼で「紹介募集中」を案内
紹介カードの配布社員が知人に渡せる名刺サイズの紹介カード
成功事例の社内共有「Aさんの紹介でBさんが入社しました」と全社に共有
段階的な報奨金入社時5万円+3ヶ月継続で15万円の2段階方式
紹介した社員の表彰年間表彰で「リファラル貢献賞」を設ける

方法3: SNS採用(Instagram/TikTok)を活用する

10〜20代の若手にリーチするにはSNSが最も効果的。費用はほぼゼロ(運用の工数のみ)。建設業のSNS採用は、2023年頃から急速に広がっています。

SNSコンテンツ例効果投稿頻度の目安
Instagram施工事例のビフォーアフター、職人の仕事風景「かっこいい」「やってみたい」を訴求週2〜3回
TikTok若手職人の一日密着、「建設業あるある」動画10〜20代への圧倒的リーチ週2〜3回
YouTube社長メッセージ、社員インタビュー、現場ツアー会社の雰囲気を深く伝える月2〜4回

SNS採用で成果が出るまでには3〜6ヶ月かかりますが、フォロワーが増えるほど「常時採用チャネル」として機能するようになります。建設業のSNSアカウントで数千人のフォロワーを持つ企業も増えており、求人を投稿するとDMで応募が来るケースもあります。

方法4: 求人票を徹底的に改善する

同じ媒体でも、求人票の書き方で応募数は2〜3倍変わります。

項目改善前改善後
給与月給25〜45万円未経験25万円、3年目32万円、10年目42万円(モデル年収付き)
仕事内容建築工事の施工管理業務全般木造住宅リフォームの施工管理。1日の流れを詳細に記載
応募方法履歴書をお送りくださいまずはカジュアル面談(30分・オンラインOK)から
休日週休2日制年間休日120日。完全週休2日制(土日祝休み。年6回程度土曜出勤あり)
福利厚生各種社会保険完備社保完備、退職金制度、資格取得支援(受験料全額+合格祝金10万円)、作業服支給

求人票の改善はコストゼロで今日からできる施策です。詳しくは「建設業の求人が集まらない5つの理由と改善策」をご覧ください。

方法5: 助成金を活用して採用コストを補填する

採用に使える助成金を活用すれば、実質的な採用コストを大幅に下げられます。

助成金金額活用場面申請の難易度
トライアル雇用助成金月4万円×3ヶ月 = 12万円未経験者の試用期間低い
キャリアアップ助成金57万円/人パート→正社員化中程度
人材確保等支援助成金57万円雇用管理制度の導入中程度
人材開発支援助成金研修費の45〜75%資格取得支援中程度
65歳超雇用推進助成金最大160万円シニア人材の活用中程度

助成金の活用で見落としがちなのは、申請のタイミングです。多くの助成金は「事前に計画を提出する」必要があり、採用した後から申請しても認められません。社会保険労務士に相談し、採用計画と助成金の申請スケジュールを連動させておくのが確実です。

詳しくは「建設業で使える補助金・助成金一覧」をご覧ください。

方法6: 学校とのつながりを採用チャネルにする

media を買わずに若手に届く経路として、工業高校・専門学校・大学との関係づくりがあります。求人媒体や紹介と違って掲載料も手数料も発生せず、コストはほぼ訪問と対応の工数だけです。地域の学校と関係ができると、毎年決まった時期に候補者が来る状態を作れます。

高卒採用は日程と手順が決まっているので、そこに合わせて動く必要があります。全国的な申合せに基づく標準的な日程は次のとおりです(地域により一部異なる場合があります)。

時期やること
6月1日〜ハローワークへ求人申込
7月1日〜求人票の交付を受け、学校への求人提出・訪問を開始
9月5日〜学校からの推薦が始まる
9月16日〜選考開始(この日より前の選考は不可)

出典: 令和8年度 新規高等学校卒業者の求人申込みについて — 東京労働局(ハローワーク八王子)

7月に求人票を持って訪問しても、その年に採れるとは限りません。進路指導の先生が生徒に薦めるのは、会社の中身が分かっている企業です。実習の受け入れ、現場見学、卒業生が在籍していればその話、といった積み重ねが翌年以降に効いてきます。単年の施策ではなく、3年かけて関係をつくるものと考えてください

専門学校や大学の場合は、キャリアセンター(就職課)が求人受付の窓口です。学校によってはWeb上の求人受付システムを用意しており、登録も求人掲載も無料というところがあります。建築・土木系の学科を持つ学校をリストアップし、各校の受付方法と送付先を毎年更新しておくだけでも接点が生まれます。学科の就職担当の先生と直接つながれると、学生への声かけまで届きやすくなります。

なお大学生協は学生向けのキャリア支援や就活講座を手がけていますが、企業からの求人を受け付ける窓口は各校のキャリアセンターであるのが一般的です。求人を出す先を間違えないよう、最初に各校の採用担当ページで受付方法を確認してください

リファラル採用とも相性が良いところがあります。自社の若手社員の出身校であれば、その社員に母校訪問へ同行してもらうと説得力が違います。社員紹介制度の対象に「母校の後輩の紹介」を明示的に含めておくと、学校との関係とリファラルが一本につながります。

学校連携で押さえておくこと

高卒採用には「1人1社制」(応募解禁の当初は生徒が1社ずつ応募する運用)など地域ごとのルールがあります。日程・運用は管轄のハローワークと高校で確認してから動いてください。

採用チャネル別のROI比較

主な採用チャネルを、投資回収期間と定着率の観点で比較します。

採用チャネル1人あたりコスト投資回収期間定着率の傾向即効性
自社採用サイト7〜20万円6ヶ月〜1年高い低い
リファラル採用10〜30万円即時非常に高い中程度
学校連携(高校・専門・大学)ほぼ0円(訪問工数のみ)1〜3年高い低い
SNS採用ほぼ0円3〜6ヶ月高い低い
Indeed(無料)0円即時普通中程度
ダイレクトリクルーティング30〜80万円3〜6ヶ月普通中程度
人材紹介80〜175万円普通高い

ダイレクトリクルーティングは、データベースに登録された求職者へ企業から直接スカウトを送る方式です。媒体に掲載して待つのではなく、条件に合う人を探して声をかけます。中間に紹介会社が入らないぶん1人あたりは紹介より安く済みますが、送信と返信対応の工数が自社に乗ります。専任を置けない会社では続かないので、先に自社サイトとリファラルを整えてから検討します

この差は、採用人数が増えるほど開きます。人材紹介は1人採るごとに手数料が発生するため費用が人数にそのまま比例します。自社チャネルは制作費が先に出ていく代わりに、1人増えるごとの追加費用が人材紹介ほどは増えません。

採用人数が増えたときの年間採用費人材紹介のみ(120万円/人)自社チャネル中心020040060012070240903601104801306001501人2人3人4人5人年間の採用人数 / 縦軸は年間の採用費(万円)
外部に払う費用だけの簡易試算です(社内工数・サイトの維持費・Indeed等の運用費は含みません。実額を出すときは前掲の計算図のとおり社内工数も足してください)。自社チャネル中心は採用サイト制作費50万円(初年度のみ)とリファラル報奨20万円/人、人材紹介は、後述の職種別の表と同じく年収400万円の経験者を採用し、紹介手数料を年収の30%とした場合の120万円/人で計算(手数料率は紹介会社との契約で決まります)。自社チャネルは作った初年度から同じように採れるわけではなく、応募が集まるまで6ヶ月〜1年を見込む必要があります。

人材紹介は「今すぐ1人ほしい」という緊急時には有効ですが、長期的なコスト構造としては最も割高です。自社採用サイト、リファラル、SNSの3つを並行して育て、人材紹介への依存度を段階的に下げていくのが、最も合理的なアプローチです

費用の「出方」で選ぶ — 課金方式の違い

同じ求人でも、費用がいつ・どう発生するかは方式で違います。予算が読めない会社ほど、ここを先に決めたほうが失敗しません。

課金方式費用の出方向いている会社注意点
掲載課金型(求人広告)掲載時に確定。20〜180万円/4週間程度予算を先に固定したい会社応募ゼロでも返金されない
応募課金型応募1件ごとに発生少人数を確実に採りたい会社応募の質が低いと単価が跳ねる
成功報酬型(人材紹介)入社時に年収の20〜35%急ぎで経験者が要る会社採用が続くと総額が膨らむ

中小建設会社では、採用予算が読めることの価値が大きいです。年に数名の採用で紹介を使うと、1人決まるたびに100万円単位で予算が動きます。掲載課金型や自社チャネルを軸にして、どうしても急ぐ枠だけ成功報酬型を使う。この組み方が現実的です

採用の担い手をどこに置くか

費用は「誰が採用実務をやるか」でも変わります。3つの置き方を年間で並べます。

置き方年間の費用感向き・不向き
人材紹介に任せる採用人数 × 80〜175万円人数が増えるほど比例して膨らむ
採用担当を1名雇う人件費で年400〜500万円年間の採用が数名だと1人あたりが高くつく
採用代行(RPO)を使う月5〜30万円(部分委託)実務は外に出しつつ費用を固定できる

年3〜4名の採用なら、紹介だけに頼ると年間300〜700万円。専任を1人置くほどの採用数がない会社が大半です。自社チャネルを育てながら、足りない実務だけ外に出す形に落ち着きます

選考を速くするだけでも単価は下がる

見落とされがちですが、選考が長引くと辞退が増え、同じ人数を採るのに何度も募集をかけることになります。募集を1回増やせば、その分だけ媒体費も社内工数も乗ります。

建設業は現場が忙しく、面接日程が2週間先になることが珍しくありません。面接日程が2週間先になれば、その間に他社で決まります。次の3つは費用をかけずに効きます。

  • 応募から一次面接までを1週間以内に収める(日程候補を先に3つ用意しておく)
  • 面接の回数を2回までにする
  • 条件提示までの期間を決めておく(最終面接から3営業日以内など)

内定を出してからの辞退も同じです。入社日までの間に現場見学や先輩との顔合わせを入れておくと、辞退が減ります。応募後の進め方は建設業の中途採用で詳しく整理しています。

採用単価は「残った人数」で割り直す

ここまでの単価は、採用した人数で割った数字です。ただし採用費の元が取れるのは、その人が現場で戦力になってからです。早い段階で辞められると、同じポジションを埋めるためにもう一度採用費がかかります。

割り算の分母を「採った人数」から「一定期間後も在籍している人数」に変えると、見え方が変わります。

3年後に残った人数で割り直す5人採用 × 120万円採用費の総額 600万円3年後も5人全員が在籍120万円 / 人採用した時のまま3年で2人が退職(残り3人)200万円 / 人1.7倍に膨らむ参考: 建設業に就職した新規学卒者の3年以内離職率は高卒 41.4% / 大卒 30.5%(令和4年3月卒・厚生労働省)
在籍人数は仮の置き方で、実際の定着率は会社ごとに違います。自社の数字を入れて計算してください。図中の離職率は新規学卒者の実測値で、中途採用者の離職率ではありません(出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」新規高卒・大学卒就職者の産業別離職状況、令和4年3月卒)。

新規学卒者の数字ではありますが、建設業では3年のうちに高卒で4割、大卒で3割が辞めています。中途採用でも、入社後のフォローがない会社ほど早期の離職は起きます。媒体を安いものに変えて単価を1割下げるより、辞める人を1人減らすほうが効きます。定着の施策は建設業の若手定着建設業の離職率対策にまとめています。

職種によって単価は大きく変わる

「1人あたりいくら」で管理していると、採るべき職種の判断を誤ります。人材紹介の手数料は理論年収に対する料率(25〜35%)で決まるため、年収の高い職種ほど単価がそのまま上がります

採用したい人材想定年収人材紹介の手数料(年収の30%)
1級施工管理技士(経験者)600万円180万円
2級施工管理技士500万円150万円
技能工(経験者)400万円120万円
未経験の若手300万円90万円

経験者を紹介で採るほど単価は上がる構造です。有資格者は自社チャネルとリファラルで採り、急ぐ場合だけ紹介を使う。この使い分けが現実的です。職種別の年収水準は建設業の年収データで確認できます。

採用コスト削減のロードマップ

1

求人票の改善(今すぐ・無料)

給与のモデル年収化、仕事内容の具体化、応募ハードルの低下。コストゼロで今日から改善可能。

2

リファラル採用制度の導入(1ヶ月)

紹介報奨金の設定と社内周知。制度を作るだけなので低コスト。

3

Indeed無料掲載の最適化(1ヶ月)

求人情報をIndeedに最適化して掲載。無料で始められる。

4

自社採用サイトの構築(2〜3ヶ月)

社員インタビュー、給与モデル、福利厚生を掲載。中長期で最もコスパが良い。

5

SNS採用の開始(3ヶ月〜)

InstagramやTikTokで定期発信。効果が出るまで3〜6ヶ月かかるが、若年層への効果は大きい。

よくある質問

建設業の採用コストの相場はいくらですか?
人材紹介会社で1人あたり80〜175万円、求人広告で20〜80万円/掲載、Indeed有料掲載で5〜30万円/月、リファラル採用で10〜30万円が相場です。全産業の中途採用平均は約103万円ですが、建設業は有資格者の紹介手数料が高いためさらに高額になる傾向があります。
建設業の採用コストを下げる最も効果的な方法は何ですか?
自社採用サイトの構築が中長期で最もコスパが良い方法です。制作費50万円で3年間に7人採用できれば、サイト経由分は1人あたり約7万円になります。ただしこれは制作費だけを人数で割った数字で、リファラル報奨や求人媒体の運用費、社内の選考工数は別に発生します。それらを含めても、人材紹介(1人100万円以上)に依存し続けるより低く抑えられるのが一般的です。
リファラル採用(社員紹介制度)は建設業で効果がありますか?
はい、非常に効果的です。紹介報奨金(例: 入社3ヶ月後に20万円)を設定し制度化すると、コストは人材紹介の1/5以下で、定着率も通常採用より20〜30%高くなります。建設業は仲間を連れてくる文化があるため、特に相性の良い手法です。
SNSで建設業の採用はできますか?
10〜20代の若手にリーチするにはSNSが最も効果的です。Instagramで施工事例のビフォーアフター、TikTokで若手職人の一日密着動画など、費用ほぼゼロで始められます。成果が出るまで3〜6ヶ月かかりますが、フォロワーが増えると常時採用チャネルとして機能します。
採用コスト削減に使える助成金はありますか?
トライアル雇用助成金(月4万円x3ヶ月)、キャリアアップ助成金(正社員化で57万円/人)、人材確保等支援助成金(57万円)、人材開発支援助成金(研修費の45〜75%)が活用できます。事前に計画を提出する必要があるため、社会保険労務士に相談するのがおすすめです。
人材紹介会社への依存を減らすにはどうすればよいですか?
自社採用サイト+Indeed連携+リファラル採用+SNS発信の仕組みを構築すれば、自社で採用できる体制が整います。段階的に取り組み、3〜6ヶ月で効果が見えてきます。人材紹介は緊急時に限定し、通常の採用は自社チャネルで行う体制を目指してください。

採用コストを抑えながら採用力を高めるための失敗パターン

コスト削減に取り組む際によくある失敗を3つ紹介します。これらを避けるだけでも、投資の無駄が減ります。

失敗パターン1: 採用サイトを作ったが更新しない

採用サイトは公開した時点では効果が限定的です。Indeedが採用サイトの情報を取り込み、SEOで上位表示されるようになるまでには3〜6ヶ月かかることが多く、その間にコンテンツが古くなると信頼性が低下します。

「採用サイトを作ったけど応募が来ない」という企業の多くは、制作会社に任せきりで内部スタッフが更新できない状態になっています。更新しやすいCMS(コンテンツ管理システム)を選択し、社員インタビューを半年ごとに追加できる体制を作ることが成功の条件です。

失敗パターン2: リファラル採用の報奨金を低く設定しすぎる

「紹介で入社したら5,000円」という設定では、社員が本気で紹介したいと思いません。相場は入社3ヶ月後に10〜30万円が一般的で、この金額でないと制度として機能しないことが多いです。

逆に、報奨金の金額を上げることで採用できれば、人材紹介会社への100万円以上の手数料と比べても十分に安いというロジックを経営者が理解することが重要です。

失敗パターン3: SNSを始めたが継続できなかった

TikTokやInstagramは、継続的な発信がなければフォロワーが増えません。「3ヶ月やってみたが結果が出なかったのでやめた」というケースが多いですが、SNS採用は6ヶ月〜1年のスパンで考える必要があります。

担当者を固定し、週2〜3回の投稿を1年継続できる体制を作ることが先決です。経営者が「いつやめてもいい」という姿勢でいると、現場の担当者もモチベーションを保てません。

採用コストを計画的に管理するための予算設計

採用活動は行き当たりばったりではなく、年間予算として計画することが重要です。

採用計画の立て方

  1. 今期の採用目標人数を決める(例: 施工管理技士2名、技能者3名)
  2. 職種ごとに適切なチャネルを設定する(施工管理は採用サイト+Indeed、技能者はリファラル+SNS等)
  3. チャネルごとのコストを積算する
  4. 助成金の活用で実質コストを下げる

以下は30名規模の建設会社が年間5名の採用を目標とした場合の予算モデルです。

費用項目年間予算備考
採用サイト維持費5万円レンタルサーバー+ドメイン等
Indeed有料掲載20万円閑散期を除いた掲載
リファラル報奨金50万円2名採用を想定(25万円×2)
SNS運用工数(内製)12万円月1万円相当の人件費換算
合同企業説明会10万円年2回参加
採用関連写真・動画制作10万円年1回の撮影
合計107万円5名採用で1人あたり約21万円

この計画通りに5名採用できれば、1人あたりのコストは約21万円。人材紹介に同じ5名を依頼した場合(1人平均100万円)の500万円と比べると、年間で400万円弱の削減になります。

採用チャネルごとのKPI設定

予算だけ決めても効果測定ができなければ改善できません。チャネルごとに計測指標を設けましょう。

チャネル計測指標目標値の目安
採用サイト月間訪問者数、応募率(訪問→応募)訪問300名/月、応募率2%以上
Indeed無料掲載閲覧数、応募数月100閲覧、応募2件/月
リファラル採用紹介数(月間)、採用率月2件の紹介
SNSフォロワー数、問い合わせ数6ヶ月でフォロワー500人
合同説明会来場者との接触数、応募転換数1回あたり接触30名・応募5名

月次でこの数字を確認し、目標を下回っているチャネルはコンテンツ改善や予算配分の見直しを行います。

人手不足が加速する中での中長期的な採用戦略

国土交通省の推計では、2030年までに建設業で約22万人の労働力が不足するとされています。人手不足が深刻化するほど、採用コストは上昇圧力がかかります。今から採用コストを抑制する仕組みを作ることは、3〜5年後の競争力に直結します。

重要な視点は「採用を一時的なコストと見るか、継続的な投資と見るか」です。人材紹介に依存する会社は、採用のたびにコストが発生する消耗型の構造になっています。採用サイト、リファラル制度、SNSを整備した会社は、採用人数が増えるほど1人あたりのコストが下がる投資型の構造です。

若年層の建設業離れが続く中で、採用力は経営の根幹です。コスト削減の文脈だけでなく、「どうすれば建設業という業界の魅力を求職者に伝えられるか」という発想で採用活動を設計してください。

投資型の構造に切り替えるには、採用サイトの整備や求人票の作り直し、SNSでの発信を並行して進める必要があります。現場を回しながら社内だけで着手するのが難しい場合は、建設業の採用支援サービスもご覧ください。ケンテクを運営するローカルマーケティングパートナーズが、採用単価を下げる打ち手の設計から実行までを伴走する形で支援しています。

あわせて読みたい

採用コスト圧縮と並行して活用したい採用関連助成金は次の記事で解説しています。

参考情報


あわせて読みたい: