「外国人技能者を長期で戦力化したい。できれば10年、20年と働いてほしい」。そう考える建設会社にとって、特定技能2号は制度上の強力な答えになります。在留期間に上限がなく、家族帯同も認められる2号は、1号(通算5年まで)とは根本的に性格が異なります。
ところが、2023年6月に建設分野で2号の受入れが開始されてから3年が経過した現在も、制度の詳細を把握できている企業は多くありません。出入国在留管理庁の統計によると、建設分野の特定技能2号在留者数は2024年末時点で約1,500人にとどまり、1号(約3万人超)と比べると普及は途上にあります。その背景には、移行要件の厳しさと、企業側の制度理解不足という2つの要因があります。
この記事では、特定技能2号の制度全体を整理し、建設業の経営者が「うちの外国人技能者は2号に移行できるのか」「企業として何を準備すればいいか」を判断できるよう解説します。特定技能1号の受入れ手続き全般については「特定技能1号 建設業」をあわせてご参照ください。
特定技能2号とは — 1号との違いと2023年拡大の背景
特定技能制度は2019年4月に創設されましたが、当初は建設と造船・舶用工業の2分野でのみ2号の受入れが予定されていました。しかしその後も建設分野での2号移行が制度上整備されていない状態が続き、実質的に運用が始まったのは2023年6月の閣議決定からです。
1号と2号の根本的な違い
| 区分 | 在留期間 | 家族帯同 | 技能水準 | 永住申請への道 |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 通算5年(更新不可) | 不可 | 相当程度の知識・経験 | 直接の算入なし |
| 特定技能2号 | 上限なし(3年ごと更新) | 可(配偶者・子) | 熟練した技能 | 在留期間に算入 |
在留期間の違いが最も重要なポイントです。1号は5年経過後に同じ在留資格で継続することができません。技能実習から1号に移行した場合でも、1号での在留期間は通算5年が上限のため、その後は帰国するか別の在留資格(日本語能力や学歴によっては「技術・人文知識・国際業務」等)に変更する必要があります。
2号に移行すれば、この「5年の壁」がなくなります。3年ごとの更新を繰り返すことで実質的に無期限の在留が可能になり、10年以上の在留実績を積むことで永住資格の申請要件を満たすことができます。
2023年6月の閣議決定で何が変わったか
2023年6月の閣議決定以前は、特定技能2号の対象は建設と造船・舶用工業の2分野のみに留まっていました(介護分野を除く)。この決定により、建設を含む11分野へ一気に拡大されました。
建設分野に関して具体的に変わった点は3つあります。第一に、業務区分の再編と2号試験の整備が加速したこと。第二に、受入れ機関(企業)側の申請手続きが明確化されたこと。第三に、建設特定技能受入計画の認定要件に2号用の記載欄が追加されたことです。
特定技能1号での採用段階から「2号移行を見据えたキャリア設計」を外国人技能者と共有しておくことが、長期定着の鍵になります。移行要件(試験・実務経験)を入社時から意識して教育・配置計画を立てると、5年後の移行がスムーズになります。
特定技能2号の現状 — 在留者数と普及の実態
出入国在留管理庁の統計によると、2024年12月末時点の建設分野特定技能2号在留者は約1,500人です。同時点の1号(約3万2,000人)と比較すると、全体の約4.5%にとどまります。
普及が限られている理由として、移行要件の高さがあります。試験の合格率は公表されていませんが、実務上は「監督者・職長レベルの技能」が求められるため、全員が移行できるわけではありません。一方で、制度開始から3年を経て試験の整備や企業側のノウハウ蓄積が進んでおり、今後は移行者数が増加すると見られています。
建設業の特定技能2号 対象職種一覧
建設分野の特定技能(1号・2号共通)は、2024年3月の閣議決定で「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3業務区分に再編されました。それ以前の細分化された職種区分は廃止されており、現在は区分内の複数作業に従事できます。
業務区分と主な職種
| 業務区分 | 主な職種・作業内容 |
|---|---|
| 土木 | 型枠施工、鉄筋施工、とび工事、コンクリート圧送、建設機械施工、土工、舗装、トンネル推進工、海上工事など |
| 建築 | 型枠施工、左官、内装仕上げ・表装、屋根ふき、建築板金、吹付ウレタン断熱、鉄筋施工(建築)など |
| ライフライン・設備 | 配管工事、電気通信工事、電気工事、保温保冷工事など |
2号の対象職種も、この3区分と同じです。区分再編前(2024年3月以前)は19の細かい職種区分に分かれており、型枠大工・左官・配管工・電気工事士・鉄筋施工といった職種ごとに試験が設定されていました。現在はそれらが3区分に統合されていますが、2号の技能試験は区分ごとに職種横断的な監督・管理能力を問う内容になっています。
2号試験の対象職種(移行前の旧区分との対応)
旧区分で試験を受けた外国人技能者は、新区分への読み替えが適用されます。たとえば旧「型枠施工」は「建築」または「土木」に読み替えられ、旧「配管」は「ライフライン・設備」に読み替えられます。移行申請時に確認が必要な場合は、国土交通省の窓口または行政書士に照会してください。
区分再編前に特定技能1号として採用した外国人技能者の業務区分は、自動的に新区分に読み替えられています。ただし、2号移行時の試験区分は新区分で受験する必要があるため、対応する区分を事前に確認してください。
特定技能1号から2号への移行要件
特定技能2号への移行は、在留資格の「変更許可申請」として行います。1号のような試験免除(技能実習修了者への特例)はなく、全員が定められた要件を満たす必要があります。
要件1 — 技能試験への合格
特定技能2号の移行に必要な最も重要な要件が、業務区分ごとの技能試験合格です。試験は国土交通省の認定を受けた試験実施機関が実施します。
| 業務区分 | 試験実施機関 | 試験の性格 |
|---|---|---|
| 土木 | 一般財団法人 建設業振興基金 | 施工管理・工程管理・品質管理の実務問題 |
| 建築 | 一般財団法人 建設業振興基金 | 同上 |
| ライフライン・設備 | 一般財団法人 建設業振興基金 | 設備工事の管理・施工監督の実務問題 |
試験内容は「熟練した技能を有する」ことの証明を目的としており、現場作業員としての技術だけでなく、複数の技能者を束ねて指示・管理できる監督者レベルの能力が問われます。具体的には、工程・品質・安全の管理、後進の育成・指導、トラブル対応などが評価対象です。
要件2 — 実務経験
技能試験への受験資格として、特定技能1号または技能実習での実務経験が必要です。「特定技能1号で2年以上の実務経験」が基本的な要件とされています。
ただし、技能実習2号・3号を修了した後に特定技能1号へ移行したケースでは、技能実習期間の一部を実務経験としてカウントできる場合があります。詳細は在留資格変更の申請時に出入国在留管理庁に確認が必要です。
実務経験の「内容」も問われます。単純作業の補助のみでは要件を満たさず、該当業務区分の中核的な作業に従事していた実績が必要です。職長・班長・現場リーダーとして他の技能者を指揮した経験が記録に残っていると、審査上も有利に働きます。
要件3 — CCUSでのレベル到達
建設分野の特定技能2号移行要件として、建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル3またはレベル4相当の技能者であることが評価の参考とされます。CCUS登録と就業履歴の継続的な蓄積が、移行申請のエビデンスになります。CCUSの仕組みについては「建設キャリアアップシステム(CCUS)とは」で詳しく解説しています。
2号移行を目標とする外国人技能者には、以下を意識した配置・記録管理が重要です。(1)中核作業への継続的な従事(補助作業のみにしない)、(2)職長・リーダーとしての指揮経験の記録、(3)CCUSへの就業履歴の毎日登録、(4)社内資格・技能検定の取得奨励。
1号から2号への移行の流れ
移行は在留資格変更許可申請として手続きします。大まかな流れを整理します。
- 2号技能試験への受験・合格
- 建設特定技能受入計画の変更申請(国土交通省)— 2号としての受入れ計画を改めて認定取得
- 雇用契約の変更(2号に相当する報酬額・処遇への改定)
- 出入国在留管理庁への在留資格変更許可申請
在留資格変更の審査期間は1〜3ヶ月です。1号の在留期限が切れる前に申請を完了させる必要があるため、期限の4〜5ヶ月前から準備を始めることが望ましいです。
特定技能2号のメリット — 企業・外国人労働者それぞれの視点
企業側のメリット
建設会社が特定技能2号に投資する最大の意義は、「人材の長期的な内製化」にあります。1号の5年間で現場技能を習得した外国人技能者を2号に移行させることで、その後も継続的に戦力として活用できます。
採用・教育コストの観点から考えると、新規採用者を1人前の現場技能者に育てるまでには3〜5年の時間と教育投資が必要です。1号で5年かけて育てた技能者を2号に移行させることで、その投資を長期にわたって回収できます。離職リスクも下がります。2号移行後は家族帯同が認められるため、家族を日本に呼び寄せた技能者は生活基盤が日本に定着し、定着率が高まる傾向があります。
また、施工管理や職長の人材難という建設業の構造的課題に対し、2号技能者が現場のマネジメント層として機能するという経路も考えられます。外国人技能者が職長・班長として他の技能者(日本人・外国人問わず)を束ねるモデルは、すでに一部の先進的な建設会社で実践されています。
外国人技能者側のメリット
外国人技能者にとって、特定技能2号は日本でのキャリアの「正式な継続」を意味します。
在留期間の上限がなくなることで、住宅ローンの審査や銀行口座の開設など、長期滞在を前提とした生活設計が立てやすくなります。家族帯同が可能になる点は、特にベトナム・インドネシア・ミャンマーなどの主要送出し国の技能者にとって大きなモチベーションです。
賃金水準の面でも、2号は1号を上回る処遇が期待されます。国土交通省の受入計画審査では、2号技能者の報酬が「熟練した技能を有する者に相当する水準」であることが求められます。地域・職種によりますが、月額26万〜35万円程度が一般的な目安です。技能実習生(月額15万〜18万円程度)や1号(月額22万〜28万円程度)と比べると、段階的な処遇改善のロードマップが描けます。
さらに、2号在留者は在留期間が永住申請の要件(通算10年以上)に算入されます。2号として5年在留した後に永住申請の条件が整う可能性が生まれ、日本への永住という選択肢が現実のものになります。
受入れ企業の義務と体制整備
特定技能2号の受入れ企業に課される義務は、1号と一部異なります。最も大きな違いは「義務的支援」の扱いです。
1号と2号の義務の違い
| 義務・要件 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 義務的支援(10項目) | 必須(登録支援機関への委託可) | 不要 |
| 建設特定技能受入計画の認定 | 必要 | 必要(2号用として改めて認定) |
| JACへの加入 | 必要 | 必要 |
| CCUS技能者登録 | 必要 | 必要 |
| 月給制 | 必要 | 必要 |
| 定期報告(国土交通省・入管) | 必要 | 必要 |
義務的支援(事前ガイダンス・住居確保・生活オリエンテーション・日本語学習支援・定期面談など10項目)は、特定技能1号特有の要件であり、2号には適用されません。そのため、2号移行後は登録支援機関への委託費が不要になります。月額2〜3万円の支援委託費がなくなる点は、企業にとってコスト削減のメリットになります。
ただし、義務的支援がなくなるからといって外国人技能者へのケアを減らすことは定着率の観点から逆効果です。面談・相談窓口の確保は引き続き重要です。
2号受入計画の認定要件
国土交通省への建設特定技能受入計画は、2号として受け入れる際に1号とは別に認定を受ける必要があります。認定申請で特に重視される項目を整理します。
まず報酬額です。2号は「熟練した技能を有する者に相当する水準」を満たす必要があります。職種・地域・経験年数によって異なりますが、国交省の審査実績から見ると、月額26万円を下回ると指摘を受けるケースが増えます。公共工事設計労務単価や「賃金構造基本統計調査」の職長相当の賃金データを根拠として用意してください。
次にキャリアアップ計画です。2号においても、就業期間に応じた昇給・昇格のロードマップを計画書に記載する必要があります。「3年後にレベル4相当」「5年後に職長として班の管理を担う」などの具体的な記述が評価されます。
CCUS登録の継続管理
1号から2号への移行後も、CCUSの就業履歴登録は継続義務です。2号技能者はCCUSのレベル3〜4に到達していることが多く、就業履歴の蓄積は経審(経営事項審査)の技術者評価にも間接的に影響します。1号の期間中から就業履歴を毎日記録する習慣をつけておくことが、2号移行後の管理運用を楽にします。
特定技能2号の取得後 — 永住・家族帯同への道
2号取得後のキャリアパスと生活設計を、外国人技能者本人と共有しておくことが定着率の向上につながります。
永住申請への道筋
永住資格の申請には、原則として10年以上の在留実績(うち5年以上の就労・居住資格での在留)が必要です。特定技能2号の在留期間は永住申請の要件に算入されます。
| 在留資格ルート | 永住申請まで |
|---|---|
| 技能実習3年 + 特定技能1号5年 + 特定技能2号 | 技能実習期間は原則不算入のため、1号5年 + 2号以降で10年到達 |
| 技能実習2年 + 特定技能1号5年 + 特定技能2号 | 同上 |
| 特定技能1号5年 + 特定技能2号5年 | 1号5年 + 2号5年で10年到達 |
技能実習期間(技術を習得するための資格)は原則として就労資格ではないため、永住申請の10年に算入されないのが基本です。特定技能1号の5年に加えて2号での在留期間を積み上げることで、最短で10〜12年程度で永住申請が視野に入ります。
なお、「高度専門職」などの高度人材資格の場合はポイント制で3〜5年での永住が可能ですが、建設現場の技能職でこれに該当するケースは限られます。
家族帯同の手続きと実務
特定技能2号移行後、配偶者と子(未成年)を日本に呼び寄せることができます。家族の在留資格は「家族滞在」となります。
実務上の手続きは、2号本人の在留資格変更許可後に、家族それぞれの在留資格認定証明書(COE)を申請し、本国からビザを取得して入国するという流れです。渡航費(一般的に企業負担ではなく本人負担)のほかに、家族分の住居の確保が必要になります。家族帯同を予定している技能者に対しては、住居の広さ・費用を事前に相談しておくと、移行後の生活立ち上げがスムーズです。
子どもの通学先として、地域の公立小・中学校への就学が可能です。自治体の教育委員会に就学相談を行うことで、日本語指導が必要な外国人児童への支援体制を案内してもらえます。
高度な資格取得による次のステップ
2号技能者が日本語能力試験N3以上を取得し、施工管理技士(2級・1級)などの国家資格を得た場合、「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更を検討する道もあります。この在留資格は建設業の技術者・事務職として就労するためのもので、永住に向けた在留期間算入も同様に行えます。
企業として外国人技能者のキャリアアップを後押しする姿勢を示すことは、採用競合が激しい外国人人材市場での差別化ポイントにもなります。
技能実習・特定技能1号からの移行ロードマップ
建設業で外国人技能者が特定技能2号に至るまでの典型的なルートを整理します。
ルートA — 技能実習からの王道ルート(最も多いパターン)
技能実習1号(1年)
→ 技能実習2号(2年)
→ 技能実習3号(2年、任意)
→ 特定技能1号(最大5年)
→ 特定技能2号(上限なし)
技能実習2号を良好に修了すれば特定技能1号の試験が免除されるため、多くの外国人技能者はこのルートで特定技能1号に移行します。技能実習1号・2号の3年間、あるいは3号まで修了した5年間を含めると、特定技能1号移行時点で日本での就労経験が3〜5年になります。
そこから特定技能1号で最大5年間、計画的に現場スキルと管理能力を磨き、2号技能試験を受験するのが王道のルートです。2号移行時点で通算10年以上の建設現場経験を持つ即戦力の監督者として機能できる人材が育ちます。
ルートB — 海外試験合格者の直接採用ルート
海外で特定技能1号の技能評価試験と日本語試験に合格した外国人を直接採用するケースも増えています。日本での経験がゼロの状態からのスタートになるため、2号移行には5年以上の現場経験蓄積が必要です。
このルートでは、入社直後の現場配置計画が特に重要です。どの職種区分で2号試験を受けさせるかを見越して、最初から一貫した業務区分で現場経験を積ませる設計が求められます。
ルートC — 育成就労制度(2027年〜)
2027年4月に技能実習制度が廃止され、「育成就労制度」に移行する予定です。新制度では「3年間の育成」を経て特定技能1号への移行を促す設計になっており、転籍(職場変更)の条件も一定の緩和が見込まれます。
育成就労制度が始まると、ルートAの「技能実習→特定技能1号→2号」という流れは「育成就労→特定技能1号→2号」に置き換わります。制度の名称や要件は変わりますが、特定技能2号への移行という最終目標は変わりません。育成就労制度への準備については「育成就労制度と技能実習の違い。建設業が2026年中に準備すべきこと」で解説しています。
企業が今から取り組むべきこと
2号移行を見据えた体制を整えるために、現在1号の外国人技能者を受け入れている企業は以下を今から実施してください。
- CCUS就業履歴の毎日登録の徹底(後付けはできない)
- 職長・リーダー業務を担わせる配置計画の策定
- 社内での日本語学習支援(週1回程度の日本語クラス等)
- 2号試験の情報収集と受験スケジュールの仮置き
- キャリアアップ計画を母国語で本人に説明
これらの取り組みは2号移行の要件を満たすだけでなく、外国人技能者の定着率そのものを高める効果があります。外国人採用全体の戦略については「建設業の外国人採用ガイド」をご覧ください。
特定技能2号の移行審査では、CCUSの就業履歴が実務経験の証拠として機能します。1号採用から就業履歴を毎日入力し、職種区分・担当業務・担当した現場を正確に記録し続けることが、数年後の移行申請を大幅に楽にします。「後で記録すればいい」という姿勢は禁物です。
受入れ費用と処遇水準 — 1号との比較
特定技能2号の受入れにかかる費用構造を、1号と比較して整理します。
費用構造の変化
| 費目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 | 差分 |
|---|---|---|---|
| 給与(月額目安) | 22〜28万円 | 26〜35万円 | 約4〜7万円増 |
| 社会保険料(会社負担) | 3.5〜4.5万円 | 4〜5.5万円 | 約0.5〜1万円増 |
| JAC受入負担金 | 1.25〜2万円 | 1.25〜2万円 | 変化なし |
| 登録支援機関委託費 | 2〜3万円 | 不要 | 約2〜3万円減 |
| 住居補助 | 2〜4万円 | 2〜4万円(家族帯同後は増加) | 家族帯同後に増加 |
登録支援機関への委託費がなくなる一方、給与水準が上昇するため、月額の総コストは1号より2〜5万円程度増加するのが一般的な見通しです。ただし、採用・教育コストを考えると、育成した人材をそのまま継続雇用できる2号のほうがトータルコストで合理的です。
賃金水準の相場感
国土交通省の公共工事設計労務単価(2025年度版)によると、建設業の職種別単価は全国加重平均で型枠工が27,400円/日、鉄筋工が28,600円/日、配管工が30,800円/日です。月22日稼働換算で月額60〜67万円程度になりますが、この単価は請負作業の労務費であり、直用社員の給与とは異なります。直用社員の場合、社会保険・賞与・退職金等を含んだトータルコストとして比較する必要があります。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2024年)」における建設業の職長・班長相当の賃金(月額所定内給与)は平均で約31〜33万円台です。特定技能2号の月額報酬水準として、月26〜33万円が実務的な目安となります。カイバット(キャリアアップ)助成金等を活用してコスト負担を抑える手法については「建設業のキャリアアップ助成金」で解説しています。
よくある質問
よくある質問
- 特定技能2号に移行するには何年かかりますか?
- 最短で特定技能1号での2年以上の実務経験が必要です。技能実習からの移行者の場合、技能実習期間を含めると日本入国から7〜10年程度が一般的な目安です。2号技能試験への合格も必要で、試験の準備期間も含めると1号での在留期間(最大5年)の後半に受験するケースが多くなります。
- 特定技能2号になると家族を日本に呼べますか?
- はい、特定技能2号に移行すると配偶者と未成年の子どもを「家族滞在」の在留資格で呼び寄せることができます。手続きは、2号在留資格取得後に家族それぞれの在留資格認定証明書(COE)を申請し、本国からビザを取得して入国する流れです。渡航費は一般的に本人負担です。
- 特定技能2号の技能試験の難易度はどれくらいですか?
- 1号よりも明らかに高い水準です。現場作業の技能だけでなく、複数の技能者を束ねる監督者・職長レベルの管理能力(工程管理・品質管理・安全管理)が問われます。合格率は公表されていませんが、実務上の準備として「職長として現場の采配を取った経験」の蓄積が不可欠です。日本語能力(読み書きを含む)も実質的に必要になります。
- 特定技能1号で雇用している外国人がいます。2号への移行はどう準備すればよいですか?
- 今から取り組むべきことは4点です。(1)CCUSの就業履歴を毎日登録させる(後付け不可)、(2)中核作業と職長・リーダー業務を担わせる配置計画を立てる、(3)2号技能試験の受験スケジュールを仮置きして逆算する、(4)キャリアアップ計画を母国語で本人に説明し、2号移行を共通目標にする。国土交通省の受入計画変更申請も別途必要になります。
- 特定技能2号に移行後、登録支援機関への委託は不要になりますか?
- はい、特定技能1号に課される義務的支援(10項目)は2号には適用されないため、登録支援機関への委託は不要になります。月額2〜3万円のコスト削減になります。ただし、外国人技能者との定期的な面談や相談窓口の確保は定着率の観点から継続して行うことを推奨します。
- 特定技能2号から永住申請はできますか?
- はい、特定技能2号の在留期間は永住申請の要件(原則10年以上の在留)に算入されます。特定技能1号の5年に加えて2号での在留期間を積み上げることで、最短10〜12年程度で永住申請の条件を満たす可能性があります。ただし永住申請には在留期間の要件のほか、素行・生計・納税等の要件も審査されます。
参考情報
- 特定技能制度(出入国在留管理庁) — 法務省・出入国在留管理庁、制度全般の解説
- 建設分野における特定技能外国人の受入れについて — 国土交通省、建設分野固有の要件・手続き(2026-04-27確認)
- 在留外国人統計(令和6年12月末) — 出入国在留管理庁、在留者数の統計データ
- JAC(建設技能人材機構)公式サイト — JACへの加入・受入負担金・各種支援
- 建設キャリアアップシステム(CCUS) — 技能者登録・就業履歴管理
- 公共工事設計労務単価(令和7年度) — 国土交通省、賃金水準の参考値として活用(2026-04-27確認)
- 賃金構造基本統計調査 — 厚生労働省、職種別・役職別の賃金データ
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- 特定技能1号 建設業 受入れ手順と実務ポイント — 1号の受入れ手続き全般
- 建設業のキャリアアップ助成金 — 外国人技能者のキャリアアップに使える助成金
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)とは — CCUSの仕組みと活用方法