この記事の監修 山本 貴大 / 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ 代表取締役

建設業×DXの専門メディア「ケンテク」編集長。中小建設会社のDX導入支援・マーケティング支援に従事。

2027年4月、建設業界で長年活用されてきた技能実習制度が終わりを迎えます。代わって始まるのが「育成就労制度」です。厚生労働省の統計によると、建設業で働く外国人労働者は約17.8万人(2024年10月時点)に達し、うち技能実習生は約10.7万人と過去最多を記録しました。これだけ多くの外国人材に依存している建設業にとって、制度の切り替わりは経営の根幹に関わる問題です。

「名前が変わっただけでしょ」と考えている経営者がいるとすれば、それは危険な認識かもしれません。転籍(職場変更)の容認、日本語能力の義務化、監理団体の再編など、実務に直結する変更が数多く含まれています。この記事では、技能実習と育成就労の違いを整理したうえで、建設会社が2026年中に着手すべき準備を具体的に解説します。

育成就労制度とは何か — 制度創設の背景

育成就労制度は、2024年6月に成立した改正出入国管理法に基づく新しい在留資格制度です。施行日は2027年4月1日と正式に決定されました。

現行の技能実習制度は1993年に創設され、建設業の人手不足を補う手段として広く利用されてきました。しかし制度上の目的はあくまで「技能移転を通じた国際貢献」であり、実態としての「労働力確保」とのあいだに大きなズレが指摘されてきた経緯があります。

低賃金、長時間労働、失踪、暴力的なハラスメントといった問題が繰り返し報道され、米国国務省の人身売買報告書でも言及されるなど、国際的な批判も受けていました。有識者会議での議論を経て政府が出した結論は、技能実習制度の廃止と新制度の創設です。

育成就労制度の目的は明確に二つあります。一つは「外国人材の育成」、もう一つは「人手不足分野での人材確保」です。国際貢献という建前を取り払い、日本が外国人労働者を必要としている現実を制度として正面から認めた格好です。

建設分野は育成就労制度の対象分野として指定されており、2028年度末までの2年間で12万3,500人の受入れ見込み数が設定されています。特定技能を含めると建設分野全体で約20万人に上る規模感で、制度移行のインパクトは極めて大きいと言えます。

技能実習制度との違い — 主要な変更点

育成就労制度が技能実習制度と異なる点は多岐にわたりますが、建設会社の経営に直結する変更点を7つに絞って整理します。

1. 制度の目的が変わる

技能実習制度の法的な目的は「開発途上地域への技能移転による国際貢献」でした。育成就労制度では「人材の育成」と「人材の確保」が正面から掲げられます。目的の変更によって、建前と実態の乖離が解消されることになります。

2. 在留期間と構造が変わる

技能実習は1号(1年)、2号(2年)、3号(2年)の3段階で最長5年でした。育成就労は原則3年間で、この期間を「特定技能1号の水準まで育てる育成期間」と位置づけています。段階の区分がなくなり、シンプルな構造に変わります。

項目技能実習(現行)育成就労(2027年4月〜)
目的技能移転による国際貢献人材育成と人材確保
在留期間最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)原則3年
段階構成3段階(1号・2号・3号)段階なし(一括3年)
転籍原則不可条件付きで可能
日本語要件なし入国時A1(N5相当)、修了時A2(N4相当)
監督機関外国人技能実習機構(OTIT)外国人育成就労機構(新設)
受入れ窓口監理団体監理支援機関(許可制で再編)

3. 転籍(職場変更)が認められる

技能実習制度で最も批判を受けてきたのが、実習先の変更が原則として認められない点でした。企業の倒産や深刻なハラスメントなど「やむを得ない事情」がある場合に限り認められていたものの、実態としては実習生が劣悪な環境から逃げられない構造を生んでいました。

育成就労制度では、やむを得ない事情による転籍に加えて、本人の意向に基づく転籍も同一業務区分内で認められます。転籍の要件として、就労期間が1年以上であること、技能検定試験への合格、一定の日本語能力の証明などが挙げられています。

建設会社にとっては「せっかく育てた人材が他社に移ってしまう」というリスクが生じます。一方で、働きやすい職場環境を整備している企業にとっては、他社からの転籍受け入れによって経験者を確保できる機会にもなります。

転籍にあたっては、転籍前の企業が負担した初期費用(送り出し費用、入国前研修費など)を転籍先の企業が育成就労期間に応じた額で補償する仕組みが設けられる予定です。一方的に人材を引き抜かれて損をする、という事態を防ぐためのルールです。

4. 日本語能力要件が新設される

技能実習制度では、入国時の日本語能力に関する法的な要件はありませんでした。育成就労制度では段階的な日本語能力が求められます。

入国時(就労開始前)には日本語能力A1相当(日本語能力試験N5レベル)の試験合格、もしくは認定日本語教育機関での講習受講が必要です。3年間の育成就労が終わり特定技能1号へ移行する段階では、A2相当(N4レベル)の試験合格が要件となります。

現場での安全確保という観点からも、日本語要件の導入は建設業にとってプラスに働くはずです。ただし、受け入れ企業側にも日本語教育の機会を提供する責務が課されるため、教育体制の整備が必要になります。

5. 監理団体が「監理支援機関」に再編される

現行の監理団体は、育成就労制度のもとで「監理支援機関」として再編されます。単なる名称変更ではなく、許可基準が厳格化されます。

受入れ企業と密接な関係を有する役職員の監理への関与が制限されるほか、外部監視の強化が行われます。形式的な監理にとどまっていた団体は淘汰される可能性があり、建設会社としても付き合いのある監理団体が新制度の許可を取得できるかどうか、早めに確認しておく必要があります。

監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から受付が始まっています。

6. 送出し費用の負担構造が変わる

技能実習制度では、外国人本人が母国の送出し機関に高額な手数料を支払うケースが常態化しており、借金を背負って来日する実習生が後を絶ちませんでした。

育成就労制度では、送出し機関の手数料のうち「適正な送出し手数料」の一部を日本側の受入れ企業が負担する仕組みに改められます。外国人本人の負担が軽減される反面、受入れ企業のコスト増要因となる点には留意が必要です。

7. 特定技能への接続がスムーズになる

技能実習修了後に特定技能1号へ移行するルートは現行制度にも存在しますが、制度間の接続は必ずしもスムーズではありませんでした。育成就労制度は特定技能1号水準までの育成を前提として設計されているため、3年間の育成就労を修了し技能試験と日本語試験に合格すれば、そのまま特定技能1号へ移行できる一貫した設計になっています。

建設業への具体的な影響 — 何が変わるのか

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制度変更が建設会社の日常業務にどう影響するのか、実務的な視点で整理します。

人材の流動性が高まる

転籍が認められることで、外国人材の流動性は確実に高まります。国土交通省の推計によれば、建設業では2030年までに約22万人の労働力不足が見込まれており、人材獲得競争は今後さらに激化する見通しです。

給与水準、安全衛生体制、住居環境、日本語教育の充実度などが、外国人材に「選ばれる企業」かどうかの判断基準になります。賃金が地域の最低水準に近い企業や、安全教育が不十分な企業からは人材が流出するリスクが高まるでしょう。

逆に、福利厚生や教育体制を充実させている中小企業にとっては、大手から転籍してくる人材を受け入れられる可能性も開けます。企業規模よりも職場環境の質が問われる時代に入ります。

教育コストの考え方が変わる

技能実習制度では3号まで含めて最長5年間の在籍が可能でしたが、育成就労は原則3年間です。在籍期間が短くなる分、3年間で特定技能1号の水準まで育成するという明確なゴール設定が求められます。

育成就労計画の認定を受ける際には、技能と日本語の育成計画を提出する必要があり、計画的な教育プログラムの策定が不可欠です。「現場で見て覚えろ」式のOJTだけでは要件を満たせません。

もっとも、育成就労を修了した人材が特定技能1号に移行し、さらに特定技能2号へステップアップすれば、在留期間の制限なく長期的に働き続けることが可能になります。3年間の育成コストを「将来の戦力への投資」と捉えられるかどうかが、企業の外国人材戦略の分かれ目です。

受入れコストの増加が見込まれる

送出し費用の企業負担分が増えることに加え、日本語教育の機会提供義務、監理支援機関への管理費など、受入れコストは現行制度と比べて増加が見込まれます。

現行の技能実習制度での年間コスト(給与、管理費、住居費、社会保険料含む)は1人あたり約350万〜500万円が目安とされています。育成就労制度では、送出し手数料の企業負担分や日本語教育費用が上乗せされるため、さらに数十万円単位の増加を見込んでおく必要があるでしょう。

ただし、補助金や助成金の活用によってコストを一部カバーできる可能性があります。人材開発支援助成金や建設業向けの助成制度については、関連記事で詳しく解説しています。

関連記事: 建設業で活用できる補助金・助成金の一覧

移行スケジュール — 2026年から2030年までのロードマップ

制度移行は一日で切り替わるのではなく、段階的に進行します。建設会社として押さえておくべきマイルストーンを時系列で整理しました。

時期内容
2024年6月改正出入国管理法が成立
2025年9月関係省令・告示が公布
2026年1月育成就労基本方針が閣議決定
2026年4月15日監理支援機関の許可申請受付が開始
2026年9月1日育成就労計画の認定申請受付が開始
2027年4月1日育成就労制度が施行。新規受入れは育成就労に切り替わる
2027年4月以降2027年3月までに入国した技能実習生は現行制度で実習を継続
2027〜2030年3年間の経過措置期間。技能実習と育成就労が併存
2030年頃経過措置終了。育成就労制度に完全移行

注目すべきは、2026年中にすでに重要な手続きが始まっている点です。監理支援機関の許可申請は2026年4月に開始済みで、育成就労計画の認定申請は2026年9月から始まります。「2027年4月に始まるからまだ先」と悠長に構えていると、施行日に間に合わない可能性があります。

また、2027年3月までに入国した技能実習生は現行制度のまま実習を継続できます。ただし新規の受入れは2027年4月以降、育成就労制度に切り替わるため、現行制度での受入れを検討している企業は早急に手続きを進める必要があります。

企業が2026年中に準備すべきこと

制度移行を円滑に進めるために、建設会社が2026年中に着手すべき準備を5つにまとめました。

自社の外国人材戦略を見直す

育成就労制度では転籍が認められるため、「安い労働力を確保する」という発想での受入れは成り立たなくなります。外国人材を3年間で特定技能1号の水準まで育成し、その後も自社に定着してもらうためのキャリアパスを設計する必要があります。

具体的には、以下の点を検討してください。

  • 自社で受け入れる人数と職種の計画策定
  • 育成期間3年間の技能習得ロードマップ
  • 特定技能1号への移行後の処遇(給与テーブル、キャリアパス)
  • 特定技能2号を目指す人材の長期的な育成方針

建設業の人手不足対策全般については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事: 建設業の人手不足を解消する7つの対策

監理団体(監理支援機関)の動向を確認する

現在付き合いのある監理団体が、監理支援機関としての許可を取得できるかどうかを確認してください。許可申請は2026年4月15日から開始されていますが、すべての団体が許可を取得できるとは限りません。

許可基準の厳格化によって淘汰される団体が出る場合、受入れのパイプラインに空白期間が生じるおそれがあります。複数の監理団体と接点を持っておくことも有効な対策です。

日本語教育体制を整備する

育成就労外国人は入国時にN5相当、修了時にN4相当の日本語能力が求められます。受入れ企業にも日本語教育の機会を提供する責務が課されるため、社内の教育体制を今から整えておくことが重要です。

検討すべき施策には、次のようなものがあります。

  • 地域の日本語教室、オンライン日本語学習サービスとの連携
  • 現場で使う専門用語(足場、養生、墨出しなど)の多言語マニュアル作成
  • 日本語学習の時間を業務時間内に確保する仕組みづくり
  • 日本語能力試験の受験費用補助

転籍に備えた職場環境の改善

転籍が認められるということは、外国人材が「働きたい」と思える職場でなければ人材が流出するということです。以下の観点で自社の環境を点検してください。

  • 賃金水準が同業他社と比べて適正か(日本人従業員と同等以上が前提)
  • 安全衛生教育を母国語または「やさしい日本語」で実施できているか
  • 住居の確保と生活支援(ゴミ出しルール、病院への同行など)が機能しているか
  • 相談窓口が設置されており、通訳やバイリンガルのスタッフがいるか
  • キャリアアップの道筋が外国人材にも示されているか

育成就労計画の認定申請に向けた準備

2026年9月1日から育成就労計画の認定申請受付が始まります。申請にあたっては、技能の育成計画と日本語の教育計画を含む育成就労計画の作成が必要です。

計画書の作成は監理支援機関と連携して行うことになりますが、自社側でも以下の情報を整理しておくとスムーズです。

  • 受入れ予定人数と配属先の現場体制
  • 育成担当者(メンター)の選定
  • 3年間の技能習得目標と評価基準
  • 日本語教育のカリキュラムと教育機関の選定
  • 住居の手配計画

特定技能との関係 — 一貫したキャリアパスの設計

育成就労制度は、特定技能制度と一体的に運用されることを前提として設計されています。外国人材のキャリアパスを整理すると、次のような階段構造になります。

ステージ在留資格期間求められる水準
育成期間育成就労3年入国時N5相当、技能は基礎レベルからスタート
即戦力期間特定技能1号最長5年N4相当以上、技能検定3級相当
熟練期間特定技能2号無期限(更新制)高度な技能、班長・職長レベル

この3段階を通じて、育成就労で入国した外国人材が最終的に在留期間の制限なく、家族帯同で日本に定着できるルートが開かれています。

建設会社としては、育成就労の3年間だけを見るのではなく、特定技能1号(5年)、特定技能2号(無期限)を含めた長期的な視点で人材戦略を立てることが重要です。仮に育成就労の3年間+特定技能1号の5年間で合計8年間、さらに特定技能2号に移行すれば10年、20年と自社の戦力として活躍してもらえる可能性があります。

国土交通省が2023年6月に建設業を含む11分野で特定技能2号の受入れを開始したことで、このキャリアパスは現実的な選択肢として定着しつつあります。

外国人材の受入れ全般について体系的に知りたい方は、以下の記事も参考になります。

関連記事: 建設業の外国人材活用ガイド

受入れコストの試算 — 何にいくらかかるのか

育成就労制度での受入れコストの全容はまだ確定していませんが、現行の技能実習制度のコスト構造をベースに、変更点を加味した試算を行います。

現行制度(技能実習)の年間コスト目安

費目年間概算(1人あたり)
給与(月額18〜22万円×12ヶ月)216万〜264万円
社会保険料(企業負担分)30万〜40万円
監理費(月額3〜5万円×12ヶ月)36万〜60万円
住居費補助24万〜48万円
入国・受入れ費用(初年度按分)20万〜30万円
合計326万〜442万円

育成就労制度で追加が見込まれるコスト

費目概算
送出し手数料の企業負担分10万〜30万円(初年度)
日本語教育費用(教材、講師、受験料)10万〜20万円/年
監理支援機関への管理費(基準厳格化により上昇の可能性)現行比+5万〜15万円/年
転籍対策としての福利厚生強化企業により異なる

合計すると、育成就労制度での年間受入れコストは1人あたり350万〜520万円程度になると見込まれます。初年度は入国関連費用や送出し手数料が加わるため、さらに上振れする可能性があります。

コストだけを見ると負担増に感じるかもしれません。ただし、日本人の若手人材を新規採用する場合のコスト(求人広告費、面接コスト、教育期間中の給与、早期離職リスク)と比較すると、外国人材の受入れが必ずしも割高とは言い切れません。とくに地方の建設会社で若手の応募がほとんどないケースでは、外国人材が唯一の選択肢になることもあります。

活用できる支援制度・補助金

育成就労制度への移行に伴い、企業の負担を軽減するための支援制度も整備が進んでいます。2026年3月時点で活用可能な主な制度を紹介します。

人材開発支援助成金(厚生労働省)

外国人材を含む従業員のスキルアップ研修に活用できます。OJT研修やOff-JT研修にかかる経費、研修期間中の賃金の一部が助成されます。中小建設会社の場合、経費助成率が高く設定されているケースが多いため、活用のメリットが大きい制度です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)関連助成

外国人建設技能者のCCUS登録は義務化されています。登録に伴う費用や、能力評価に関する助成措置が設けられています。CCUS上で技能レベルが可視化されることは、外国人材本人のモチベーション向上にもつながります。

外国人材受入れに関する自治体独自の支援

地方自治体によっては、外国人材の受入れ企業に対して住居費補助や日本語教育費の助成を行っているケースがあります。自社の所在地の自治体窓口に問い合わせてみてください。

建設業向けIT導入補助金

外国人材の教育や安全管理にITツールを活用する場合、IT導入補助金の対象になる可能性があります。多言語対応の安全教育アプリや、勤怠管理システムの導入などが該当するケースがあります。

建設業で活用できる補助金の全体像については、以下の記事でまとめています。

関連記事: 建設業の補助金・助成金一覧

よくある質問(FAQ)

よくある質問

現在受け入れている技能実習生はどうなりますか?
2027年3月までに入国した技能実習生は、現行制度のまま実習を継続できます。3年間の経過措置期間(2027年〜2030年頃)が設けられており、その間に技能実習と育成就労が併存します。実習途中で育成就労に切り替わるわけではないため、在籍中の実習生について慌てて対応する必要はありません。ただし、実習修了後に特定技能1号への移行を予定している場合は、新制度下での手続きを確認しておいてください。
育成就労制度で受入れ可能な建設業の職種は?
育成就労制度の対象業務区分は、特定技能の業務区分と整合するように設定されます。建設分野では土木、建築、ライフライン・設備など幅広い職種が対象になる見通しです。詳細な業務区分は出入国在留管理庁および国土交通省の公表資料で確認できます。
転籍されたら受入れ企業は損をするのでは?
転籍が発生した場合、転籍前の企業が負担した初期費用(送出し費用、入国前研修費など)を転籍先企業が育成就労期間に応じた額で補償する仕組みが設けられます。コスト面での一方的な損失は制度上緩和されています。とはいえ、人材流出を防ぐには職場環境の改善が最も効果的な対策です。
小規模の建設会社でも受入れは可能ですか?
育成就労制度は企業規模による制限を設けていません。監理支援機関を通じて適切な育成就労計画を策定し認定を受ければ、小規模企業でも受入れは可能です。ただし、受入れ人数の上限は企業の常勤職員数に応じて設定されるため、事前に確認が必要です。
日本語教育は企業が全額負担しなければならないのですか?
制度上、受入れ企業には日本語教育の機会を提供する責務が課されますが、全額を企業が負担しなければならないわけではありません。地域の日本語教室や自治体の支援制度、オンライン学習サービスなどを組み合わせることで、コストを抑えながら教育機会を確保することが可能です。人材開発支援助成金の活用も検討してください。

制度移行を「機会」に変えるために

育成就労制度への移行は、建設業にとって大きな制度変更です。転籍の容認によって人材流出のリスクが生じる一方で、外国人材の「育成から定着まで」を一貫してサポートする制度設計になっている点は、長期的な人材確保を目指す企業にとって追い風とも言えます。

2026年はまさに準備の年です。監理支援機関の許可申請は4月に開始済み、育成就労計画の認定申請は9月から始まります。自社の外国人材戦略の見直し、監理団体の動向確認、日本語教育体制の整備、職場環境の改善、そして育成就労計画の準備。やるべきことは明確です。

制度が変わっても、外国人材に「この会社で長く働きたい」と思ってもらえる職場をつくるという本質は変わりません。制度移行を受け身で待つのではなく、能動的に準備を進めることで、人材確保の面で競合に先んじることができるはずです。

参考情報

よくある質問

育成就労制度と技能実習制度の一番大きな違いは何ですか?
制度の目的が根本的に異なります。技能実習は「技能移転による国際貢献」が目的でしたが、育成就労は「人材の育成と確保」を正面から掲げています。また、転籍(職場変更)が条件付きで認められる点も大きな変更です。
育成就労制度はいつから始まりますか?
2027年4月1日に施行されます。ただし、監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から開始されているため、企業側の準備は2026年中に必要です。
現在の技能実習生は育成就労制度に強制的に切り替わりますか?
いいえ。2027年3月までに入国した技能実習生は現行制度のまま実習を継続できます。2027年から2030年頃まで3年間の経過措置期間が設けられ、その間は両制度が併存します。
育成就労で転籍が認められると人材が流出しませんか?
転籍のリスクはありますが、条件として就労期間1年以上や技能試験合格などが設けられています。また転籍先企業が初期費用を補償する仕組みもあります。働きやすい職場環境の整備が最も効果的な流出防止策です。
建設業の育成就労で求められる日本語能力は?
入国時にA1相当(日本語能力試験N5レベル)、3年後の特定技能1号移行時にA2相当(N4レベル)の合格が必要です。受入れ企業にも日本語教育の機会提供が求められます。
小規模な建設会社でも育成就労制度を利用できますか?
企業規模による制限はありません。監理支援機関を通じて育成就労計画の認定を受ければ、小規模企業でも受入れ可能です。ただし受入れ人数の上限は常勤職員数に応じて設定されます。

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