この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。認定支援機関と連携した補助金計画書の作成支援も手がける。

「売上はあるのに利益が残らない」。建設業の経営者がこの言葉を口にするとき、原因の多くは工事ごとの原価を正確に把握できていないことにあります。国土交通省の経営分析データによると、建設業の平均原価率は約76.5%で、完成工事総利益率は23〜25%前後を推移しています。つまり、原価が1%ずれるだけで利益が大きく変動する構造です。この記事では、中小建設会社が原価管理ソフトを選ぶための比較情報を、予実管理のシミュレーションやExcelからの移行手順とあわせて整理しました。

建設業の原価管理が難しい理由 — 利益率データから見る構造的な課題

一般的な製造業や小売業と異なり、建設業では案件ごとに原価構成が大きく変わります。材料費、外注費、労務費、機械損料、経費のバランスは工事の種類や規模によって異なるため、全社の損益計算だけでは個別工事の採算性が見えません。

国土交通省「建設業の経営分析」によると、建設業全体の売上高営業利益率は約3.8%です。大企業が約4.2%に対して、中小企業は約2.5%にとどまっています。この差は、大企業のほうが原価管理の仕組みが整っていることと無関係ではありません。

指標全体平均大企業中小企業
売上高総利益率23〜25%22〜24%24〜26%
売上高営業利益率約3.8%約4.2%約2.5%
平均原価率約76.5%約78%約75%

中小企業のほうが粗利率は高く見えますが、販管費の負担割合が大きいため営業利益率では逆転します。個別工事の原価を正しく把握し、赤字工事を早期に発見できるかどうかが利益率の明暗を分けています。

原価管理の3つの手法を比較 — Excel・専用ソフト・ERPの使い分け

原価管理の方法は大きく3つに分かれます。自社の規模と管理体制に合った手法を選ぶことが、無理なく継続できる運用の第一歩になります。

管理手法初期費用月額費用リアルタイム性向いている企業
Excel管理0円0円低い年間工事10件以下、1人親方〜5名程度
原価管理ソフト(クラウド型)0〜数万円15,000〜50,000円高い5〜50名、同時3現場以上
原価管理ソフト(オンプレミス型)50〜200万円保守費用のみ中程度20名以上、カスタマイズ重視
建設業ERP200〜1,000万円以上保守費用高い50名以上、年商10億円以上
Excelでの原価管理に限界を感じたら

同時に3現場以上を管理している場合、Excelだけでは入力漏れや転記ミスが増え、月次の原価集計に3日以上かかるケースも珍しくありません。リアルタイムで原価を把握できないと、赤字工事の早期発見もできなくなります。

原価管理ソフトを選ぶときに確認すべき判断基準

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自社の規模と工事件数で絞り込む

年間の完工件数が10件以下の小規模事業者であれば、Excel管理にクラウド会計ソフトを組み合わせる方法でも対応できます。一方、年間20件を超える中規模以上の建設会社では、原価管理専用のソフトを導入したほうが効率的です。

年間完工高が1億円を超えるあたりから、工事の同時進行数も増え、Excelのファイル管理が混乱し始めます。「○○工事_実行予算_v3_最終_修正2.xlsx」のようなファイルが乱立する状態になっていたら、専用ソフトへの移行を検討すべきタイミングです。

会計ソフトとの連携方式を確認する

原価管理ソフトと会計ソフトのデータ連携は、導入の成否を分ける重要なポイントです。仕訳データの二重入力は経理担当者の負担になるため、連携方式を事前に確認してください。

連携方式は主に3つあります。API連携はリアルタイムでデータが同期されるため最も効率的ですが、対応している組み合わせが限られます。CSV連携はほとんどのソフトで対応しており汎用性が高い反面、手動でのインポート・エクスポート作業が必要です。同一ベンダーの統合型(ERPタイプ)であれば連携の手間はゼロですが、既存の会計ソフトを変更する必要が出てきます。

経営事項審査(経審)への対応

公共工事を受注する建設会社にとって、経審対応は外せない要件です。工事経歴書や財務諸表のデータを自動出力できるソフトなら、経審の準備にかかる工数を大幅に削減できます。

民間工事のみの場合は経審対応は不要ですが、将来的に公共工事への参入を検討しているなら、経審対応のソフトを選んでおくことで追加投資を避けられます。経審対応の有無は、ケンテクの経営事項審査の仕組みと対策でも解説しています。

現場からの入力しやすさ

原価管理ソフトの導入で最も多い失敗パターンは「経理だけが使って、現場から情報が上がってこない」という状態です。現場の職長や工事担当者がスマートフォンやタブレットから日報・出面を入力できるかどうかは、運用の継続性に直結します。

クラウド型のソフトはブラウザやアプリから入力できるため、現場との情報連携に優れています。オンプレミス型の場合は、VPNやリモートアクセスの環境構築が別途必要になる点に注意してください。

建設業向け原価管理ソフト8選 — 機能・料金の比較一覧

サービス名料金主な機能補助金対応
どっと原価NEO クラウド版 年額240,000円〜
  • 工事原価管理
  • 工事台帳
  • 予実管理
  • 経審対応
  • 実行予算
  • モジュール選択式
対応
建設大臣NX 要問合せ(買切り型)
  • 建設業会計
  • 工事原価管理
  • 工事台帳
  • 経審対応
  • 財務諸表
対応
ガリバー匠 要問合せ
  • 原価管理
  • 工事台帳
  • JV会計
  • 予実管理
  • 経審対応
  • ERP統合
対応
SMILE V 建設業 要問合せ(個別見積り)
  • 原価管理
  • 工程管理
  • 購買管理
  • 経審対応
  • 導入支援付き
対応
レッツ原価管理Go2 クラウド版 年額240,000円〜
  • 原価管理
  • 工事台帳
  • 予実管理
  • 承認ワークフロー
  • 会計ソフト連携
対応
クラウド原価Pro 月額15,000円〜
  • クラウド原価管理
  • 工事台帳
  • 予実管理
  • レポート出力
対応
ANDPAD受発注 要問合せ
  • 受発注管理
  • 原価集計
  • 施工管理連携
  • 協力会社管理
対応
MoneyForward クラウド会計Plus 月額5,980円〜
  • クラウド会計
  • 部門別管理
  • プロジェクト別損益
  • API連携
対応

※価格は2026年3月時点の公開情報に基づきます。最新の料金は各製品の公式サイトでご確認ください。

各ソフトの詳細レビュー

どっと原価NEO — 9年連続導入数No.1の原価管理専門ソフト

建設ドットウェブが開発する原価管理専門のソフトです。2015〜2023年度まで9年連続で建設業向け原価管理パッケージの累積導入企業数第1位を達成しており、業界での実績は突出しています。

最大の特徴は、必要な機能だけを選んで導入できるモジュール選択方式を採用している点です。実行予算作成、発注管理、出来高管理、予実対比など、原価管理のワークフロー全体をカバーしつつ、不要な機能に費用をかけずに済みます。クラウド版は年額240,000円から、モジュールの追加に応じて段階的に費用が上がる構造です。

導入規模は20名以上の中規模建設会社が中心で、専門工事業・総合建設業のどちらにも対応可能です。操作画面はやや専門的ですが、建設業の原価管理に慣れた経理担当者であれば問題なく使いこなせる設計になっています。経審対応の帳票出力機能が標準搭載されており、公共工事を受注する企業にとっては工数削減の効果が大きいソフトです。

弥生会計やPCA会計など主要な会計ソフトとのCSV連携にも対応しているため、既存の会計環境を変えずに導入できる点もメリットといえます。

建設大臣NX — 会計と原価管理を1本で完結

応研株式会社が開発する建設業特化の会計ソフトです。会計処理と原価管理を1つのソフトで完結できるため、データの二重入力が発生しません。「原価管理は必要だが、会計ソフトも同時に見直したい」という企業に向いています。

買切り型のライセンス体系を採用しており、月額費用がかからない点が特徴です(保守費用は別途)。長期間使い続ける前提であれば、クラウド型よりもトータルコストが抑えられるケースもあります。オンプレミス型が中心ですが、クラウド版も提供されています。

工事台帳から完成工事原価報告書まで、建設業会計に必要な帳票を標準で出力でき、経審対応もカバーしています。応研の他シリーズ(給与大臣・販売大臣)と組み合わせれば、バックオフィス全体を統一環境で管理することも可能です。

ガリバー匠 — JV工事にも対応する中堅向けERP

あさかわシステムズが提供する建設業向けERPです。1996年の初版リリース以降、中堅建設会社を中心に導入実績を積み重ねてきました。JV(共同企業体)の配賦計算にも対応しており、大型公共工事を手がける企業で多く採用されています。

会計・原価・勤怠・給与をまとめて管理できるERP型のため、バックオフィス全体を一気にデジタル化したい企業に向いています。工事原価と会計データがリアルタイムに連動するため、月次決算の早期化にも貢献します。

導入費用はそれなりに高額になるため、年商10億円以上の企業が主なターゲットです。導入プロジェクトには通常3〜6か月を要し、業務フローの整理や現場への教育も含めた計画が必要になります。逆にいえば、この導入プロセス自体が業務改善のきっかけになるという声もあります。

SMILE V 建設業 — 大塚商会の導入支援付きERP

大塚商会が提供する建設業向けERPパッケージです。原価管理のほか、工程管理や購買管理も統合されており、現場と経理の情報を一元管理できます。

最大の特徴は、大塚商会の導入支援サービスが受けられる点です。ITに詳しい担当者がいない建設会社でも、ヒアリングから初期設定、操作研修まで手厚いサポートを受けながら導入を進められます。「ソフトを入れたものの使いこなせずに放置してしまった」という失敗を避けやすい製品です。

料金は個別見積りとなるため、事前に予算感の確認が必要です。大塚商会は全国に営業拠点を持っているため、地方の建設会社でも対面でのサポートが受けられる点は安心材料になります。

レッツ原価管理Go2 — 累計4,000社超の導入実績

株式会社レッツが1996年から開発を続けている建設業向け原価管理ソフトです。累計導入社数は4,000社を超えており、中小建設会社の現場に根ざした機能設計に定評があります。

見積書作成、工事登録、発注、仕入、出面管理、支払査定、請求、入金まで、原価管理の一連のフローをカバーしています。承認ワークフロー機能を搭載しており、利用者ごとに承認権限から閲覧のみまで細かい権限設定が可能です。内部統制を意識した運用にも対応できます。

Excelクリエート機能を備えており、自社様式の請求書や独自の工事一覧帳票を設計できる点も特徴です。「既存のExcel帳票をそのまま使いたい」という要望に応えられるため、Excel管理からの移行ハードルが低くなっています。

クラウド版は年額240,000円から利用可能で、弥生会計・PCA会計・勘定奉行などの主要会計ソフトとの連携にも対応しています。

クラウド原価Pro — 月額15,000円から始められる手軽さ

月額15,000円から利用できるクラウド型の原価管理ソフトです。インストール不要でブラウザから利用でき、小規模建設会社でも導入のハードルが低いのが魅力です。

工事台帳の自動作成や予実管理のレポート出力など、原価管理に必要な基本機能は揃っています。「大規模な機能は不要で、まず工事別の利益を見える化したい」という企業に適した製品です。

クラウド型のため、現場からスマートフォンやタブレットでアクセスできます。日報入力や出面管理を現場で完結できるため、事務所に戻ってからの転記作業が不要になります。

初期費用が抑えられるため、原価管理ソフトを初めて導入する企業のエントリーモデルとして選ばれるケースが多いです。ただし、経審対応の帳票出力は搭載されていないため、公共工事を受注する企業は別途確認が必要です。

ANDPAD受発注 — 施工管理アプリとの連携が最大の強み

施工管理アプリで導入企業数シェアが首位とされるANDPADが提供する受発注管理機能です。施工管理アプリとの連携が最大の強みで、現場の進捗情報と発注・原価情報をシームレスにつなげられます。

すでにANDPADを施工管理に使っている建設会社であれば、追加モジュールとして受発注機能を利用することで、別途原価管理ソフトを導入するよりも効率的です。現場の写真管理や工程管理と原価データが同じプラットフォーム上で確認できるため、工事の全体像を把握しやすくなります。

協力会社との受発注もANDPAD上で完結するため、発注漏れや金額の食い違いを減らす効果が期待できます。ただし、ANDPADの受発注機能は「原価管理専用ソフト」とは異なるポジションのため、実行予算の詳細な管理や経審対応が必要な場合は、原価管理ソフトとの併用を検討してください。

施工管理アプリについては施工管理アプリ比較で詳しく解説しています。

MoneyForward クラウド会計Plus — 小規模事業者の原価管理代替

一般向けクラウド会計ソフトのMoneyForwardに、プロジェクト別損益管理機能を追加したプランです。本格的な工事原価管理ソフトではありませんが、年間工事件数が少ない小規模事業者であれば、プロジェクト別管理で原価把握を代用できます。

月額5,980円からという価格は、原価管理ソフトとしては破格です。給与・経費・請求書との連携がスムーズなため、バックオフィス全体の効率化を優先したい企業に向いています。

API連携の対応サービスが豊富で、銀行口座やクレジットカードの自動取り込み、請求書作成サービスとの連動など、会計周辺の業務をまとめて効率化できます。ただし、工事台帳や経審対応の機能は搭載されていないため、建設業特有の帳票が必要な場合は専用ソフトとの併用が前提になります。

会計ソフトの選定については建設業向け会計ソフト比較も参考にしてください。

導入規模別のおすすめと選び方フロー

どのソフトが自社に合うかは、従業員数と年間完工件数から大まかに絞り込めます。

企業規模年間完工件数の目安おすすめソフト選定理由
1人親方〜5名10件以下MoneyForward + Excel工事件数が少なければExcelで補完可能。月額費用を最小限に抑えられる
5〜20名10〜30件クラウド原価Pro / レッツ原価管理Go2 / ANDPAD受発注クラウド型で初期費用を抑えつつ工事別原価管理を開始できる
20〜50名30〜100件どっと原価NEO / 建設大臣NX / レッツ原価管理Go2本格的な原価管理と経審対応が必要。モジュール選択で過不足なく導入
50名以上100件以上ガリバー匠 / SMILE V 建設業ERP型で会計・原価・勤怠を一体管理。JV対応が必要な場合はガリバー匠

選び方に迷ったときの判断ポイントは3つです。

1つ目は、公共工事を受注しているかどうか。受注しているなら経審対応は必須で、どっと原価NEO・建設大臣NX・ガリバー匠のいずれかが候補になります。

2つ目は、既存の会計ソフトを変えたいかどうか。変えたくないなら、CSV連携やAPI連携が豊富なソフトを選ぶべきです。会計ソフトごと見直してよいなら、建設大臣NXのような統合型も視野に入ります。

3つ目は、すでに施工管理アプリを使っているかどうか。ANDPADを使っているならANDPAD受発注、使っていないなら原価管理に特化したソフトを選んだほうが機能の過不足がありません。

予実比較シミュレーション — 原価管理で利益がどう変わるか

原価管理ソフトの導入効果を、具体的な数値で確認してみましょう。ここでは、年間完工高3億円の中小建設会社をモデルケースとして、原価管理の精度が利益にどう影響するかをシミュレーションします。

モデルケース: 住宅リフォーム工事(契約金額1,500万円)

原価項目実行予算実績(管理なし)実績(ソフト管理)
材料費450万円495万円(+10%)460万円(+2%)
外注費600万円630万円(+5%)610万円(+2%)
労務費225万円248万円(+10%)230万円(+2%)
経費75万円83万円(+10%)77万円(+3%)
原価合計1,350万円1,456万円1,377万円
粗利益150万円44万円123万円
粗利率10.0%2.9%8.2%

原価管理をしていない場合、材料の過剰発注や外注費の未確認追加、出面管理の甘さなどが積み重なり、予算を大幅に超過する結果になります。粗利率が10%の想定だった工事が、実際には2.9%まで下がるケースは珍しくありません。

原価管理ソフトを導入した場合、発注段階での予算チェック、日次の原価集計、予実乖離のアラートによって超過を早期に発見できます。結果として粗利率8.2%を維持でき、1工事あたり約79万円の利益改善につながります。

年間での効果試算

この差が年間20件の工事に蓄積すると、管理なしの場合は年間粗利880万円、ソフト管理の場合は年間粗利2,460万円となり、差額は約1,580万円です。月額数万円のソフト利用料は、1件の工事改善だけで十分に回収できる計算になります。

利益率の改善目安

原価管理ソフトの導入企業では、利益率が平均2〜5%改善したという報告があります。年間完工高3億円の企業で利益率が3%改善すれば、年間900万円の利益増に相当します。

Excel管理から原価管理ソフトへの移行手順

Excel管理から専用ソフトへの移行は、段階的に進めることが成功の鍵です。一気にすべてを切り替えようとすると、現場の混乱を招いて「やっぱりExcelに戻そう」となりかねません。

移行前の準備(1〜2週間)

現在のExcel管理で使っている帳票・テンプレートをすべて棚卸しします。工事台帳、実行予算書、支払管理表、出面表など、どのファイルが誰に使われているかを整理してください。この段階で「実は使われていない帳票」も見つかるはずです。

あわせて、直近1年分の工事データ(工事名・契約金額・原価実績・利益率)をまとめておきます。新しいソフトに過去データを移行する際に必要になります。

ソフト選定とトライアル(2〜4週間)

候補を2〜3製品に絞り、無料デモやトライアルを申し込みます。トライアルでは、実際の工事データを1〜2件入力してみて、操作感を確認してください。経理担当者だけでなく、工事担当者にも触ってもらうことが重要です。

チェックすべきポイントは、日常的に使う画面の操作手数(クリック回数)、既存の会計ソフトとの連携方法、帳票の出力形式です。高機能でも操作が煩雑なソフトは、現場に定着しません。

並行運用期間(1〜3か月)

新しいソフトとExcelを並行して運用する期間を設けます。新規の工事から順次ソフトに入力し、既存の進行中工事はExcelで管理を継続します。

並行運用中に操作マニュアルやFAQ集を整備し、よくある質問と対処法を社内で共有しておくと、本格移行後のトラブルが減ります。

本格移行と振り返り(移行完了後1か月)

すべての工事をソフトで管理する状態に移行したら、1か月後に振り返りの場を設けます。「入力に時間がかかる工程はどこか」「Excel時代より改善した点は何か」を関係者全員で共有し、運用ルールを微調整してください。

建設業のデジタル化の進め方については、建設DXの始め方ガイドで全体像を解説しています。

デジタル化・AI導入補助金を活用して導入コストを抑える

原価管理ソフトの導入には、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を活用できます。2026年度から名称が変更されましたが、建設業のITツール導入は引き続き支援対象です。

項目内容
補助額5万円〜450万円(業務プロセス数に応じて変動)
補助率1/2以内(小規模事業者は賃上げ要件等を満たすと最大4/5)
対象ツールIT導入支援事業者が登録したITツール
申請方法IT導入支援事業者と共同で申請

補助金を活用すれば、年額240,000円のクラウドソフトであれば実質120,000円、月額にすると10,000円程度で利用を開始できます。初期費用100万円のオンプレミス型でも、補助率1/2なら自己負担50万円で済む計算です。

原価管理ソフトも補助金の対象

申請にはIT導入支援事業者を通じた手続きが必要です。各ソフトの公式サイトで補助金対応状況を確認してください。2026年度の公募スケジュールは公式サイトに掲載されています。補助金の詳細は「建設業のIT導入補助金活用ガイド」をご覧ください。

原価管理ソフト導入で失敗しないための実務ポイント

導入目的を「利益率の可視化」に絞る

原価管理ソフトの導入目的は多岐にわたりますが、最初から欲張ると失敗します。「工事ごとの粗利率をリアルタイムに把握する」という1点に目的を絞り、まずは予実管理の運用を定着させることが優先です。

工程管理や勤怠管理との連携は、原価管理の運用が安定してから段階的に拡張すればよいのです。最初から全機能を使おうとすると、操作の学習コストが膨らんで現場が離脱します。

入力ルールを事前に決める

ソフトの導入前に、以下の入力ルールを決めておくことで運用が安定します。

  • 工事コードの採番ルール(年度+連番、部門コード+連番など)
  • 原価の費目区分(材料費・外注費・労務費・経費の分類基準)
  • 入力の頻度とタイミング(日次入力か週次入力か)
  • 承認フロー(誰が発注を承認するか)

これらを決めずにソフトだけ導入すると、担当者ごとに入力方法がバラバラになり、集計結果の信頼性が下がります。

定期的な予実レビューを仕組み化する

ソフトを入れても、予実データを見る習慣がなければ意味がありません。週に1回、工事担当者と経理で予実乖離レポートを確認するミーティングを設定してください。15〜30分程度で十分です。

赤字工事の兆候(材料費の超過、外注費の追加発注など)を早期に発見できれば、工期中に対策を打てます。完工後に「この工事は赤字だった」と気づくのでは手遅れです。

参考情報

よくある質問

原価管理ソフトの導入費用はどのくらいですか?
クラウド型で月額15,000〜50,000円程度、オンプレミス型で初期費用50〜200万円程度が相場です。デジタル化・AI導入補助金を活用すれば、補助率1/2〜4/5で導入費用の一部が補助されます。
Excelでの原価管理から移行するタイミングは?
同時に3現場以上を管理する場合や、月次の原価集計に丸1日以上かかる場合は、ソフト導入を検討すべきタイミングです。年間完工高が1億円を超えるあたりから、Excelのファイル管理が混乱しやすくなります。
原価管理ソフトと会計ソフトは別に必要ですか?
建設大臣NXやガリバー匠のように会計機能を内蔵しているソフトなら1本で完結します。どっと原価NEOやレッツ原価管理Go2のように原価管理に特化したソフトは、別途会計ソフトとのCSV連携やAPI連携が必要です。
経営事項審査(経審)対応は必須ですか?
公共工事を受注する建設会社には必須です。民間工事のみの場合は不要ですが、将来的に公共工事への参入を検討しているなら、経審対応ソフトを選んでおくと追加投資を避けられます。
クラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶべきですか?
初期費用を抑えて手軽に始めたいならクラウド型、カスタマイズ性や社内ネットワーク完結を重視するならオンプレミス型が適しています。現場からのモバイル入力を重視する場合はクラウド型が有利です。
工事台帳とは何ですか?
工事台帳は、工事ごとの契約金額・原価内訳・利益率を一覧管理する帳票です。建設業法で備え付けが義務付けられており、経営事項審査でも提出が求められます。原価管理ソフトでは自動作成されるため、手書きやExcelでの作成が不要になります。
原価管理ソフトを導入するとどのくらい効率が上がりますか?
月次の原価集計にかかる時間が3日から半日程度に短縮されるケースが一般的です。リアルタイムの予実管理により赤字工事の早期発見が可能になり、利益率が平均2〜5%改善したという導入事例も報告されています。
レッツ原価管理Go2とどっと原価NEOの違いは?
どちらも建設業向け原価管理の定番ソフトですが、どっと原価NEOはモジュール選択方式で機能を細かくカスタマイズできる点が特徴です。レッツ原価管理Go2はExcelクリエート機能で既存帳票をそのまま活用できる点に強みがあります。導入規模はどちらも20名前後からが目安です。

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