この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

150プロジェクト以上のマーケティング/コンサルティング支援実績。建設業の労務管理・DX導入支援に幅広く対応。

「建設業でテレワーク?現場に行かないと仕事にならないのでは?」という反応はよく聞く。確かに、型枠大工や配管工が自宅から現場作業をすることはできません。しかし、建設会社の仕事のすべてが現場作業で完結しているわけではありません。

見積もり作成・工程管理・安全書類の作成・図面の修正・発注業務・勤怠管理・採用対応——これらは本来、場所を選ばずに行えるデスクワークです。建設業では長年「現場がある以上、全員が事務所に出社すべき」という文化があったが、その思い込みが若手の採用難と離職率の高さに繋がっているという指摘も多くあります。

国土交通省の「建設業における働き方改革」調査(2024年度版)によれば、テレワークを「一部でも導入している」と回答した建設業者は全体の約38%にとどまる。製造業(57%)や情報通信業(83%)と比較すると、建設業のテレワーク普及は遅れた状態です。

この記事では、現場仕事を抱える建設会社がテレワークを導入するための実践的な手順・適切なツール・先行企業の取り組み・利用できる補助金まで、体系的に解説します。

建設業でテレワークが難しい理由と突破口

テレワークの導入に慎重な建設会社には、それぞれ合理的な理由があります。課題を正確に把握した上で、対策を設計することが導入成功の前提です。

紙と押印の書類文化

建設業では日報・施工体制台帳・安全衛生書類・工事完了届など、紙ベースの書類が数多く存在する。元請けへの提出書類に自社の角印が必要なケース、職人の作業日報を手書きで集めているケース、写真管理を紙台帳でやっているケース——これらがテレワークを困難にする直接的な原因になる。

突破口は「電子化」です。書類を電子化し、電子署名・電子印鑑を活用することで、押印のための出社が不要になる。建設業の電子書類・電子署名については国土交通省も普及を進めており、公共工事の電子入札・電子契約はすでに標準化されている。

現場情報の共有がリアルタイムでできない

施工管理者が現場にいなければ進捗が把握できない、という問題は依然として大きい。「現場に行かないと状況がわからない」という状態が続く限り、現場担当者のリモートワークは難しい。

突破口は「遠隔監視・現場情報の可視化」です。現場にカメラを設置し、施工管理ソフトで写真・日報・工程をリアルタイム共有することで、事務所や自宅からでも現場状況を把握できる環境を作れる。

属人的な業務フロー

「この書類はAさんしか作れない」「承認はBさんが現場で確認してから」という属人的なフローが残っていると、一人がリモートになるだけで業務が止まる。

突破口は「業務フローの標準化とシステム化」です。誰でも同じ手順で作業できるよう業務マニュアルを整備し、承認フローをワークフローシステムで自動化することで、人に依存しない業務体制ができる。

出典: 建設業における働き方改革の推進(2024年度調査) — 国土交通省(2026-04-27確認)

テレワークに向いている建設業の業務 — 職種別整理

まず「どの職種・どの業務がテレワーク可能か」を明確にすることが、導入の第一歩です。全員が完全リモートでなくても、部分的なテレワーク(週1〜2日の在宅)を実現するだけでも採用競争力と従業員満足度に大きな変化が生じる。

テレワーク適性が高い業務

  • 工事見積もりの作成・積算(CAD・積算ソフトを使う作業)
  • 施工図・詳細図の修正・チェック(BIMソフト・CADの活用)
  • 安全書類・施工体制台帳の作成(書類作成ソフトを使う作業)
  • 発注書・請求書・契約書の処理(クラウド会計・電子契約ソフト)
  • 工程表の更新・進捗管理(施工管理ソフトのクラウド機能)
  • 採用活動・求人対応(求人サイト管理・面接はオンライン対応可)
  • 顧客・取引先との打ち合わせ(Web会議ツールで代替可能)
  • 請求書の確認・経理処理(クラウド会計ソフト)

テレワークが難しい業務

  • 実際の現場施工作業(当然、現場への出向が必須)
  • 建設資材・機材の受け入れ・管理(現地確認が必要)
  • 現場の安全パトロール・立入検査
  • 職人への技術指導・OJT

「現場がある以上テレワークは無理」という判断は誤りで、正確には「現場での施工作業は現地が必要だが、それ以外のデスクワークの多くはテレワーク可能」です。

施工管理者・現場監督についても、「工程前半はほぼ事務作業、工程後半は毎日現場」という工事の性質を踏まえ、工程に応じてテレワーク日を設定するハイブリッド型が現実的な選択肢になる。

テレワーク導入に必要なITツール — 建設業向け選定ガイド

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テレワークの実現には、業務内容に応じた複数のツールの組み合わせが必要です。以下に建設業でテレワークを導入する際に必要なツールカテゴリと選定のポイントをまとめる。

コミュニケーション・Web会議ツール

日常的な業務連絡をチャット・音声・ビデオ会議で代替するためのツールです。テレワークの基盤として最初に導入するカテゴリになる。

代表的なツールには Microsoft Teams・Slack・Zoom・Google Meet があります。建設業ではスマートフォンからの利用が多いため、アプリの使いやすさとデータ通信量の観点でツールを選ぶことが重要です。

Microsoft 365を利用している会社はTeamsが自動的に使えるため、追加コストなく導入できる。職人が使うLINEとの連携を想定した場合は、LINE WORKSのように現場スタッフに使い慣れたUIを提供するビジネスチャットも選択肢になる。

施工管理・工程管理ツール(現場情報のクラウド共有)

施工管理ソフトをクラウド化することで、現場写真・日報・工程表・安全書類をリアルタイムで共有できる。これが建設業のテレワーク実現において最も重要なツールカテゴリです。

施工担当者が現場で撮影した写真がクラウド上に即時アップされ、事務所や自宅にいる管理者がリアルタイムで確認できる環境が整うと、現場への「確認のための出社」を大幅に削減できる。

建設業向け施工管理ソフト比較

書類作成・電子署名ツール

安全書類・施工体制台帳・契約書・発注書を電子化し、押印をクラウド上の電子署名で代替するツールです。「グリーンサイト」は建設業向けに特化した安全書類管理ツールで、元請けへの提出も電子化できる。

電子契約については「クラウドサイン」「DocuSign」「電子契約サービス(Adobe Acrobat Sign等)」が広く使われている。元請けがすでに電子契約を導入している場合は、そのシステムに合わせることが現実的です。

クラウド会計・経費精算ツール

経費精算・請求書の受領・仕訳入力をリモートで処理するためのツールです。領収書のスマートフォン撮影→自動仕訳という機能を持つクラウド会計ソフトを導入することで、経理担当者の完全テレワーク化が実現できる。

建設業向け会計・経理ソフト比較

VPN・クラウドストレージ(セキュリティ基盤)

社内のファイルサーバーやシステムに自宅から安全にアクセスするためにVPN(仮想プライベートネットワーク)が必要になる。ただし、全データをクラウドに移行している場合はVPNが不要になるケースも多い。

図面・仕様書・施工写真などの大容量ファイルを共有するためのクラウドストレージとしては、Microsoft OneDrive・Google Drive・Boxなどが一般的です。1ユーザーあたり月500〜1,500円程度で利用できる。

セキュリティへの配慮を忘れずに

自宅のWi-Fiや個人のパソコンから会社データにアクセスするケースでは、情報漏洩リスクが高まります。VPNの導入・デバイス管理(MDM)・多要素認証の設定など、最低限のセキュリティ対策をテレワーク開始前に整備することが必要です。建設業では図面・積算書・顧客情報などの機密情報を扱うため、セキュリティは軽視できません。

建設業のテレワーク導入ステップ — 段階的な進め方

テレワーク導入は一度に全業務・全員を対象にするのではなく、段階的に進めることが成功のポイントです。最初から完璧を目指すと社内の抵抗が大きくなり、うまくいかないケースが多くあります。

フェーズ1: 現状の業務棚卸しと対象業務の特定(1〜2ヶ月)

まず「どの業務がどの場所で行われているか」を棚卸しする。職種・業務内容・使用ツール・書類の種類を一覧化し、テレワーク適性を判断する。

棚卸しの際に把握すべき主な項目:

  • 業務の種類と所要時間(1週間あたり)
  • 使用している書類(紙 or 電子)
  • 使用しているソフト・ツールとアクセス方法(社内LANのみ or クラウド)
  • 承認フロー(誰が・どの書類を・どのタイミングで承認するか)

この棚卸しを通じて「テレワーク可能な業務の割合」を把握する。多くの建設会社では、事務・管理部門のデスクワークの60〜80%がテレワーク可能であることがわかるケースが多い。

フェーズ2: 試験導入(パイロット)(2〜3ヶ月)

棚卸しで特定したテレワーク対象業務について、まず志望者(テレワークに積極的な社員)を対象に試験導入を行う。週1〜2日の在宅勤務から始め、業務遂行上の課題を洗い出す。

試験導入中に確認すべきポイント:

  • リモートでのコミュニケーション品質(情報伝達の漏れ・遅延が起きていないか)
  • ツールの使用感(全員がストレスなく使えるか)
  • 上司・同僚との連携方法(進捗報告の頻度・方法)
  • セキュリティ上の問題(個人デバイスの使用・ファイル共有方法)

試験期間中の課題を記録し、本格導入前に解決策をまとめることが重要です。

フェーズ3: ルール整備と全社展開(3〜6ヶ月)

試験導入で得た知見をもとに、テレワーク規程・就業規則の改訂・セキュリティポリシーの整備を行う。次の項目を規程に盛り込むことが一般的です。

  • テレワーク適用対象者(職種・雇用形態の条件)
  • テレワーク実施日数の上限・下限
  • 始業・終業報告の方法
  • 勤怠管理の方法(在宅勤務時の打刻ルール)
  • 作業環境の要件(インターネット環境・セキュリティ対策)
  • 経費負担(通信費・光熱費の会社負担の有無・金額)

ルールが整備されたら全社展開に移行する。全社展開の際は、管理職向けの「リモートマネジメント研修」を実施することで、テレワーク中の部下への接し方・進捗管理の方法を共有することが有効です。

出典: テレワーク導入のための労務管理等Q&A集 — 厚生労働省(2026-04-27確認)

建設業テレワーク導入の成功事例

テレワークを実際に導入した建設会社の取り組み事例は、自社への展開を考える上での参考になる。ここでは公的機関・メディアから確認できる情報をもとに、先行企業の取り組みを紹介します。

施工管理クラウド化で現場監督のテレワーク率を向上した中堅建設会社

施工管理のクラウド化を進めた中堅建設会社では、現場写真・日報・安全書類をすべてクラウド上に集約することで、「現場確認のための出社」が週5日から週3日程度に削減できた事例があります。

施工管理者が工程前半(図面確認・発注処理・書類準備)の業務を週2日在宅でこなせるようになり、現場での集中業務と分離することで業務効率が向上したという。

経理・総務部門の完全テレワーク化を実現した地方建設会社

30名規模の地方建設会社が、クラウド会計・電子請求書・電子契約を導入することで経理・総務部門の完全テレワーク化を実現した事例があります。

紙の書類が多かった同社では、まず書類の電子化から着手し、1年かけて段階的に移行した。電子化完了後は経理担当者が週5日すべて在宅で業務をこなせるようになり、育児・介護と仕事の両立が可能になったことで、担当者の離職防止に貢献したという。

積算部門のリモート化で採用エリアを拡大した建設会社

積算・見積もり担当者のテレワーク化を進めたある建設会社では、採用エリアを自社所在地から半径30km以内から「全国」に拡大できた。積算専門家は全国的に不足しており、通勤圏内だけで採用しようとすると人材確保が困難だが、フルリモート可能なポジションとして採用することで、他県在住の経験者を採用することに成功した事例があります。

国土交通省「建設業における働き方改革推進のための専門家派遣事業」の報告書(2023年度版)では、テレワーク導入後に従業員満足度が向上したと回答した建設会社が70%以上に達することが示されている。

出典: 建設業における働き方改革推進のための専門家派遣事業 報告書 — 国土交通省(2026-04-27確認)

テレワーク導入に活用できる補助金・助成金

テレワーク関連のITツール・通信機器・セキュリティシステムの導入費用は、複数の補助金・助成金の対象になる。導入前に申請要件を確認し、補助金を活用することで自己負担を大幅に軽減できる。

IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)

テレワーク推進に使える主要な補助金として、IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠があります。施工管理クラウド・電子契約システム・クラウド会計・Web会議ツールなど、テレワークに必要なITツールの多くが補助対象になる。

補助類型補助率補助上限
デジタル化基盤導入枠(ソフトウェア)最大3/4350万円
デジタル化基盤導入枠(ハードウェア)最大1/220万円

補助金の申請はIT導入補助金の公式サイトから行い、登録済みITツールベンダーと一緒に手続きを進める。

出典: IT導入補助金2025 — 独立行政法人中小企業基盤整備機構

IT導入補助金 建設業活用ガイド

テレワーク助成金(東京都 / 各都道府県)

東京都では「テレワーク促進助成金」として、テレワーク導入に必要なシステム整備費用への助成を行っている。2024年度は1事業者あたり最大250万円(補助率1/2)が助成された。各都道府県でも同様の助成金制度を設けているケースがあるため、自社所在地の都道府県の中小企業支援機関に確認することを推奨する。

出典: テレワーク促進助成金(東京都) — 東京都

働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)

テレワーク導入のための就業規則整備・機器整備・研修費用を対象とする助成金が、厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」として提供されている。上限額は最大150万円で、補助率は1/2〜3/4です。

出典: 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース) — 厚生労働省

複数の補助金の組み合わせが可能

IT導入補助金とテレワーク助成金は、対象経費が重複しなければ同一事業者が両方を申請することが可能です。IT導入補助金でソフトウェアの導入費を補助し、テレワーク助成金でセキュリティ機器・就業規則整備の費用を補助するという組み合わせが有効なケースがあります。申請前に各補助金の要件を確認し、社会保険労務士や商工会議所に相談することを推奨します。

テレワーク導入で直面する課題と対処法

現場スタッフとのコミュニケーションギャップ

「事務所スタッフは在宅なのに現場の職人は毎日現場に来ている」という状況は、職種間の不公平感を生む可能性があります。テレワーク適用対象と非対象の区分けは、業務の性質に基づく合理的な理由を社内で丁寧に説明することが重要です。

対処法として、テレワーク非対象の現場技能者への別の形での処遇改善(手当の増額・休日取得のしやすさ・福利厚生の充実)を並行して進めることが、公平感の維持につながる。

管理職の「管理できない」問題

「目の前にいないと仕事をしているか確認できない」という管理職の不安は、テレワーク導入の大きな障壁になる。この不安は「部下が今何をしているか」ではなく「成果物が出せているか」に評価軸をシフトすることで解消できる。

業務管理をプロセス管理から成果管理に切り替えるためには、業務の目標(何をいつまでに完成させるか)を事前に設定し、完了報告を確認する仕組みに変える必要があります。週次の進捗確認・日次の業務報告テンプレートの導入が有効です。

育児・介護との両立をテレワークで支援する

子育て中の従業員・介護を担う従業員にとって、テレワークは働き方の選択肢を広げる大きな武器になる。建設業は若手の採用競争が激しいが、「育休・時短取得後もテレワークで復帰できる環境」は採用広告の大きな差別化要因になりつつあります。

国土交通省の調査では、テレワーク導入企業では女性の継続雇用率・男性の育休取得率の両方で改善傾向が見られるという報告が出ている。

テレワーク導入後の評価制度と勤怠管理

テレワークを導入した後、長続きさせるために欠かせないのが「評価制度の見直し」と「勤怠管理の整備」です。従来の「事務所にいる姿が見えている=働いている」という前提が崩れる中で、何をもって評価するかを明確にしておかないと、マネジメント側も従業員側も不安を抱えたままになる。

成果ベースの評価軸を設定する

テレワーク中の業務評価では、プロセス(何時間机に向かっていたか)ではなく成果(何を仕上げたか)を評価の主軸に置くことが基本です。建設業のデスクワーク職種であれば、次のような指標が成果管理に使いやすい。

職種成果指標の例
積算・見積もり担当月次の見積もり提出件数・見積もり精度(落札率)
施工管理(事務処理期間)安全書類の作成件数・工程表の更新サイクル
経理・総務月次決算の締め日遵守・書類処理の件数と正確性
採用担当応募者対応件数・面接設定率・採用コスト

成果指標を設定した上で、月次または週次で上司と進捗確認の1on1を行う体制を整えると、テレワーク中でも組織としての方向性が共有される。

テレワーク時の勤怠管理の法的要件

テレワーク中でも労働基準法上の勤怠管理義務は変わりません。始業・終業時刻の記録、時間外労働の把握が必要です。

勤怠管理の方法としては、次の選択肢があります。

  • クラウド型勤怠管理ソフトでのPCログイン・ログアウト記録
  • チャットツールでの「おはようございます」「お疲れ様でした」メッセージを記録として活用
  • PCの起動・終了時刻を自動記録するツール

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(2021年改訂)では、勤怠管理の方法として「情報通信技術を利用した手段」が認められており、クラウド勤怠ソフトでの管理が普及している。

出典: テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン — 厚生労働省

通信費・光熱費の会社負担ルール

テレワーク中の従業員は自宅の通信費・電気代を業務のために使うことになる。就業規則・テレワーク規程で「通信費として月○○円を支給する」などのルールを定めておくことが、トラブル防止と従業員満足度の維持に有効です。

国税庁のガイドラインでは、在宅勤務中の費用のうち業務使用割合に応じた部分を非課税で会社が負担できる計算方法が示されている。月額で一定額を渡切りで支払う方式(例:月5,000円の在宅勤務手当)が実務上は運用しやすい。

建設業でのテレワーク定着に向けた社内文化の醸成

ツールを導入してルールを整備しても、社内の文化・意識が変わらなければテレワークは定着しありません。「テレワークは生産性が下がる」「サボりにつながる」という管理職の先入観や、「出社していないと評価が下がる」という従業員の不安を解消することが、テレワーク定着の最後のカギです。

経営者・管理職のコミットメントが重要

テレワークが社内に定着するかどうかは、経営者や管理職がどれだけ本気で推進しているかによって大きく変わる。「制度はあるけど使いにくい雰囲気がある」という状態では、従業員はテレワークを使わなくなる。

経営者自身がテレワーク日を設けてモデルになること、管理職がテレワーク中の部下に対して「出社している人と同じ扱いをする」姿勢を示すことが、組織全体のテレワーク活用を後押しする。

「テレワーク活用推進宣言」として社外にも発信する

テレワークの導入を求人票・会社ウェブサイト・SNSで積極的に発信することで、採用面での効果が加速する。建設業では「テレワーク可能」を明記した求人は依然として少なく、差別化要因として機能しやすい環境にあります。

厚生労働省が運営する「テレワーク先駆者百選」に認定されている企業はブランド価値の向上にも繋がっており、中堅・中小企業でも積極的に応募する価値があります。

出典: テレワーク先駆者百選 — 厚生労働省(2026-04-27確認)

定期的な制度の見直しサイクルを作る

テレワーク導入直後は試行錯誤が続く。3〜6か月ごとに「現状の課題」「使いにくいツール」「ルールの改善点」を従業員にヒアリングし、制度を継続的にアップデートすることが定着の鍵です。

最初に作ったテレワーク規程を3年後も一切変更せずに使い続けているような会社では、従業員ニーズとのズレが積み重なる。変化に応じて制度を柔軟に改訂する姿勢が、長期的なテレワーク定着に欠かせません。

テレワーク推進は2024年問題への対応にもなる

2024年4月から施行された時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間以内)は、建設業の働き方を根本から変えることを求めている。テレワーク導入は、この規制への対応としても有効な手段の一つです。

通勤時間の削減(片道30〜60分の通勤がなくなることで、実質的な拘束時間が減る)・ペーパーレス化による事務処理の効率化・会議のオンライン化による移動コストの削減——これらがあわさると、1人あたり月10〜20時間の残業削減につながった事例が報告されている。

働き方改革の観点からも、テレワークの推進と業務効率化は切り離せない関係にあります。

建設業の2024年問題対策 — 週休2日制への移行と残業削減の具体策 建設業のDX入門 — 何から始めるか

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よくある質問

建設業でテレワークができる職種はどれですか?
現場施工作業(型枠・配管・鉄筋など)はテレワーク不可ですが、見積もり・積算・施工管理(書類対応)・設計・CAD作業・経理・総務・採用担当などのデスクワークはテレワーク可能です。施工管理者も工程前半の事務処理期間はテレワークに向いており、工程に応じてハイブリッド型(週2〜3日在宅)で対応する方法が現実的です。
建設業のテレワーク導入率はどのくらいですか?
国土交通省の2024年度調査では、テレワークを一部でも導入している建設業者は全体の約38%です。製造業(57%)・情報通信業(83%)と比較して低水準にあり、業界全体でのテレワーク普及は遅れた状態です。ただし、大手建設会社では導入が進んでおり、中小企業が今後の差別化と採用競争力向上のために導入を進める動きが加速しています。
建設業のテレワーク導入に補助金は使えますか?
複数の補助金・助成金が活用できます。主なものとして、IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠:最大補助率3/4・上限350万円)、働き方改革推進支援助成金(テレワークコース:上限150万円)、各都道府県のテレワーク助成金があります。対象経費が重複しない範囲で複数の補助金を組み合わせることも可能です。申請前に各補助金の採択状況・要件を確認してください。
テレワーク導入に必要なITツールは何ですか?
最低限必要なツールはWeb会議・チャットツール(Microsoft Teams・Zoom等)とクラウドストレージ(ファイル共有用)です。建設業固有のものとして、施工管理クラウド(現場情報のリアルタイム共有)・電子書類管理ツール(グリーンサイト等)・電子契約サービスの導入が、テレワーク化の効果を最大化します。すべてを一度に導入するより、コミュニケーションツールから始めて段階的に整備する方が現場への定着が早まります。
現場の職人と事務スタッフのテレワーク格差はどう解消しますか?
テレワークは業務の性質上、事務・管理職に適用範囲が限られます。現場技能者への不公平感を和らげるために、テレワーク非対象者への別の処遇改善(現場手当の増額・週休2日制の徹底・資格取得支援・退職金制度の充実)を並行して進めることが重要です。テレワークを全社福利厚生の一部として位置づけ、全員が何らかの形で恩恵を受けられる設計にすることが社内の公平感維持につながります。
建設業でテレワーク導入を成功させるポイントは何ですか?
成功のポイントは3つあります。第一に、全業務・全員を一度に移行しようとせず、テレワーク適性の高い業務と職種から小さく始めること。第二に、書類の電子化・クラウド化を先に進め、テレワーク中に業務が止まらないインフラを整えること。第三に、管理職がプロセス管理から成果管理に思考をシフトできるよう、リモートマネジメントのルールと研修を整備することです。

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