「建設業のDXツールを調べると施工管理アプリのことばかり出てくる。他に何があるのかわからない」。実際のところ、建設業のDXに使えるツールは施工管理アプリだけではなく、BIM・CAD・勤怠管理・原価管理・会計・ドローン測量・電子契約と幅広い領域に及びます。これらを一気に揃えようとすると費用が膨らみ、現場への定着も難しくなります。

この記事では、建設業のDXツールを8つのカテゴリに整理したうえで、中小建設会社が何から始めるべきか、どのツールを組み合わせると効果が出やすいかを具体的に解説します。IT導入補助金を活用した費用の抑え方も合わせて紹介します。

建設業のDX現状 — なぜ今「ツール選び」が重要か

建設業のDX化は他業種と比べて遅れているとされてきましたが、ここ数年で急速に変化が起きています。国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」(2024年策定)では、2030年度までに建設現場のフルオートメーション化を目指す方針が打ち出されており、デジタル対応は補助金・行政要件の面でも避けられない流れになっています。

背景にある主な要因は4つです。

2024年問題(時間外労働上限規制)の建設業適用

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました(年720時間・月100時間未満)。残業時間を証明するためには、勤怠管理のデジタル化が実質的に必須となっています。国土交通省の調査によると、建設業の残業時間は全産業平均の約1.8倍に相当しており、規制対応が収益構造の見直しを迫る形になっています。

人材不足と高齢化

建設業就業者の平均年齢は約46歳で、全産業平均より高齢化が進んでいます(国交省「建設業実態調査」2024年)。毎年約4万人が離職する一方で若年層の入職者が減少しており、「少人数で同じ仕事をこなす」ためのデジタル化が経営上の急務です。

元請けからのデジタル要求の増加

大手ゼネコンや公共発注機関がBIM提出・デジタル日報・電子契約を前提とする現場を増やしています。下請けや専門工事業者であっても、元請けが使うツールに対応できなければ受注機会が制限されるリスクが現実になっています。

補助金制度の充実

IT導入補助金(2026年度も継続)をはじめ、ものづくり補助金・省力化投資補助金など、建設DXツールに活用できる補助金が複数整備されています。補助上限は1社あたり最大450万円(IT導入補助金・デジタル化基盤導入類型)に達するケースもあり、導入コストのハードルが下がっています。

この記事の監修 山本 貴大 / ケンテク編集長

建設業×DXの専門メディア「ケンテク」編集長。中小建設会社のDX導入支援・マーケティング支援に従事。

建設業のDXツールは「現場系」と「管理系」で分けて考える

建設業のDXツールを選ぶ際に多くの会社が陥るのが、「とりあえず施工管理アプリを入れれば解決する」という思い込みです。施工管理アプリは現場の写真・工程・コミュニケーションを効率化しますが、事務所側の会計・給与・勤怠管理のデジタル化は別の話です。

DXツールは大きく「現場系」と「管理系」の2軸で整理できます。

系統カテゴリ主な課題
現場系施工管理アプリ写真整理・日報・図面共有の非効率
現場系BIM/CADソフト設計変更の手戻り・電子納品対応
現場系ドローン測量サービス測量時間・コスト・安全リスク
現場系工程管理ソフト工期遅延・複数現場の進捗把握
現場系安全管理アプリKY活動・安全書類のペーパーレス化
管理系勤怠管理アプリGPS打刻・現場直行直帰の把握
管理系原価管理ソフト予実管理・工事別収支の見える化
管理系給与計算ソフト日給月給・現場手当・残業計算
管理系会計・財務ソフト工事進行基準・経審対応
管理系電子契約サービス工事請負契約のペーパーレス化
連携系グループウェア現場と事務所の情報共有・社内連絡

この分類を持っておくと、「現場の写真管理が課題なのか、事務所の会計処理が課題なのか」を区別して優先順位をつけられます。全部を一気に導入する必要はなく、最も業務ロスが大きい領域から手をつけるのが現実的です。

カテゴリ別DXツール解説 — 各領域の代表製品と選び方

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サービス名料金主な機能補助金対応
ANDPAD(施工管理) 月額36,000円〜(60ID)
  • 日報・写真管理
  • 工程管理
  • 図面共有
  • チャット
対応
KANNA(施工管理) 無料プランあり(有料は要問合せ)
  • 日報
  • 写真管理
  • 工程管理
  • シンプル操作
対応
Autodesk Revit(BIM) 月額25,000〜35,000円/人
  • 3Dモデル設計
  • 属性情報管理
  • 電子納品対応
  • 干渉チェック
未対応
Terra Drone(ドローン測量) 1現場3〜10万円(外部委託)
  • 土工量算出
  • 3Dモデル生成
  • 測量時間短縮
  • 安全リスク低減
未対応
ジョブカン(勤怠管理) 月額200円/人〜
  • GPS打刻
  • 残業時間自動集計
  • 現場直行直帰対応
  • 2024年問題対応
対応
アイピア(原価管理) 月額10,000〜50,000円
  • 工事別予実管理
  • 原価集計自動化
  • 会計連携
  • 赤字工事早期発見
対応
弥生会計(会計) 月額5,000〜30,000円
  • 工事進行基準対応
  • 経審対応
  • 財務諸表作成
  • 工事別管理
対応
クラウドサイン(電子契約) 月額5,000〜30,000円
  • 工事請負契約電子化
  • 印紙税削減
  • メールアドレスのみで署名
  • 承認フロー管理
対応

施工管理アプリ — DXの入口として最も導入実績が多い

施工管理アプリは建設業DXの中で最も普及が進んでいるカテゴリです。MM総研の2025年12月調査では、建設業全体の施工管理アプリ利用率は42%に達しており、ゼネコンでは60%を超えています。元請けからアプリでの写真共有を求められる機会も増えており、「検討中」から「必要」に変わりつつある分野です。

代表製品は、シェアNo.1のANDPAD(23万社導入)、使いやすさで評価が高いKANNA(AppStore★4.3)、コストを重視するなら現場Plus(月額5,500円〜)などです。工種によって強みが異なるため、住宅・リフォーム系ならKANNAやANDPAD、設備・電気工事ならSPIDERPLUS、公共土木工事ならPhotoructionやeYACHOが候補に挙がります。

→ 詳細は施工管理アプリ比較8選で解説しています。

BIM/CADソフト — 設計DXと公共工事対応の要

BIM(Building Information Modeling)は建物の3Dモデルに属性情報を持たせるデジタル設計手法で、2D CADとは根本的に異なります。国土交通省は2026年から「BIMによる図面審査」を開始し、2029年にはBIMデータ自体を提出・審査する仕組みを導入する計画を発表しています。公共工事への依存度が高い建設会社にとって、BIM対応は避けられない流れになりつつあります。

BIMソフトの代表製品はAutodesk Revit、ARCHICAD、Vectorworks、福井コンピュータのARCHITREND等です。いずれも習得に時間がかかるため、BIM専任担当を置ける中堅以上の規模か、設計部門が充実している会社に向いています。

2D CADソフトは設計事務所向けにJw_cad(無料)から始まり、AutoCAD、DRA-CAD等まで選択肢があります。現場での図面確認はアプリで行い、設計はCADという使い分けが一般的です。

→ 詳細は建設業向けBIMソフト比較CADソフト比較で解説しています。

ドローン測量サービス — 測量コスト60%削減も可能

ドローンを活用した測量は、従来の人手測量に比べてコストと時間を大幅に削減できます。ケンテクが取材した地方土木会社の事例では、ドローン導入後に測量コストが約60%削減されています(導入事例はこちら)。

ドローン測量には「機器を購入して自社で行う」と「外部の測量サービスに委託する」の2つのアプローチがあります。自社導入には機体費用(100〜300万円)と操縦者の育成コストがかかりますが、測量頻度が高ければ長期的なコスト効率が良くなります。外部委託は初期コストが低く、スポット対応しやすい利点があります。

代表的な測量サービス会社にはSkyLink Japan、senseFly(Agisoft)、Terra Drone、Liberaware等があります。土工量算出や3Dモデル生成などの用途に合わせてサービスを選ぶことが重要です。

→ 詳細はドローン測量サービス比較で解説しています。

工程管理ソフト — 工期遅延を防ぐコアツール

工程表の作成・更新・共有は施工管理の核心です。Excelで工程表を作成しているケースはまだ多いですが、変更対応や複数現場の管理でExcelは限界があります。

工程管理に特化したソフトとしては、BuildApp(建設業向け工程表作成)、ガントプロ(工程表・進捗管理)、ConPath(工程管理特化)等があります。施工管理アプリの中にも工程管理機能を内包するものが多く、ANDPADやKANNAは工程管理を機能の一部として提供しています。専用の工程管理ソフトが必要かどうかは、現場数と工事の複雑さで判断してください。

→ 詳細は建設業向け工程管理ソフト比較で解説しています。

勤怠管理アプリ — 2024年問題対応の直接手段

2024年4月施行の時間外労働上限規制(建設業への適用)を受け、勤怠管理のデジタル化は「残業時間の証拠管理」という観点から不可欠になりました。GPS打刻で現場直行直帰の時間を正確に記録でき、月次の残業時間を自動集計する機能が主要な建設業向け勤怠アプリには揃っています。

代表製品はジョブカン(月額200円/人〜)、freee人事労務、マネーフォワード勤怠、GPS機能に強い勤怠コレクター等です。建設業特有の日給月給・現場ごとの手当に対応しているかどうかが選定の重要ポイントです。

→ 詳細は建設業向け勤怠管理アプリ比較で解説しています。

原価管理ソフト — 工事別収支の見える化

「現場は忙しいのに利益が出ない」という状況の多くは、工事別の収支が把握できていないことが原因です。原価管理ソフトを導入すると、工事ごとの予算と実績を比較する予実管理が可能になり、赤字工事を早期に発見して対策を打てます。

建設業向けの原価管理ソフトとしては、BizIntegral工事、iE工事(インフォエデン)、アイピア原価管理等が挙げられます。会計ソフトとの連携ができるかどうかも選定時に確認が必要です。

→ 詳細は建設業向け原価管理ソフト比較で解説しています。

会計・財務ソフト — 経審対応と工事進行基準への対応

建設業会計には「工事進行基準」や「経営事項審査(経審)」への対応が必要で、一般企業向けの会計ソフトでは対応できない場合があります。

建設業特化の会計ソフトとしては、建設大臣(株式会社建設経営サービス)、財務三表くん、JDL IBEX会計等があります。大手会計ソフト(freee、弥生会計)でも建設業向けの工事別管理機能を追加で設定できます。

→ 詳細は建設業向け会計ソフト比較財務会計ソフト比較で解説しています。

電子契約サービス — 工事請負契約のペーパーレス化

建設業法が改正され、工事請負契約の電子化が可能になっています。紙の契約書は印刷・押印・郵送のコストと時間がかかりますが、電子契約サービスを使うと双方が画面上で確認・署名するだけで契約が完了します。

代表サービスはクラウドサイン、DocuSign、freeeサイン等です。取引先が同じサービスを使っていない場合でも、相手はメールアドレスだけで署名できる製品が多いため、導入のハードルは低めです。

→ 詳細は建設業向け電子契約サービス比較で解説しています。

カテゴリ別 DXツール導入コスト目安

ツール選定では機能だけでなく費用感も把握しておく必要があります。以下は、各カテゴリの代表的な価格帯と初年度総コストの目安です。IT導入補助金を活用する場合は補助後のコストに読み替えてください。

カテゴリ月額費用の目安初期費用備考
施工管理アプリ3,000〜30,000円/月(規模依存)0〜10万円無料トライアルあり
勤怠管理アプリ200〜500円/人・月0〜5万円10名規模で月2,000〜5,000円
電子契約サービス5,000〜30,000円/月0〜10万円件数課金型も多い
原価管理ソフト10,000〜50,000円/月10〜50万円導入設定費が高め
会計ソフト(建設業向け)5,000〜30,000円/月10〜30万円弥生・freeeより専用品は高価
給与計算ソフト3,000〜15,000円/月5〜20万円人事労務との統合型多い
BIMソフト(Revit等)25,000〜35,000円/月/人0〜30万円PC高スペック要(別途20〜30万円)
ドローン測量(外部委託)1現場3〜10万円自社購入は機体100〜300万円
工程管理ソフト3,000〜20,000円/月0〜10万円施工管理と統合の場合は追加なし
グループウェア500〜1,000円/人・月0〜5万円Microsoft 365等

10〜30名規模の中小建設会社が施工管理・勤怠・電子契約の3カテゴリを揃えた場合、初年度の総費用は導入支援費用込みで60〜150万円程度が目安です。IT導入補助金(補助率1/2〜3/4)を活用すると、実質負担を30〜60万円程度に抑えられるケースがあります。

中小建設会社の「DXツール導入ロードマップ」

何から始めるかで迷っている場合は、従業員規模と現在の課題から逆算した優先順位で進めるのが効率的です。

規模別・DXツール導入の優先順位

1人親方〜5名: 施工管理アプリ(クラフタ/KANNA)→ 電子契約(クラウドサイン)

5〜20名: 施工管理アプリ → 勤怠管理 → 原価管理

20〜50名: 施工管理 → 勤怠・給与 → 会計・原価 → BIM(受注規模次第)

50名以上: 全領域を段階的に整備。BIM専任担当の配置も検討

1

第1フェーズ: 現場の情報共有を効率化(3〜6ヶ月)

施工管理アプリの導入が最初のステップです。写真管理・日報・図面共有がデジタル化されるだけで、月単位の業務時間削減が実感できます。まずKANNAや現場Plusで試用してから、本格導入するかを判断する進め方が定着率を高めます。費用はIT導入補助金で一部補助可能です。

2

第2フェーズ: 管理系業務をデジタル化(6〜12ヶ月)

施工管理アプリが現場に定着したら、事務所側の勤怠管理と原価管理のデジタル化に着手します。2024年問題対応で残業管理の精度が求められているため、勤怠管理の優先度は高めです。原価管理は工事別収支の把握につながり、次の工事の利益率改善に直結します。

3

第3フェーズ: 財務・経営情報の一元化(1〜2年目)

会計ソフトや財務ソフトを導入し、現場データと経営データをつなぐ段階です。経審点数の向上に直接影響する財務諸表の整備もこのフェーズで進めます。原価管理ソフトと会計ソフトの連携ができると、月次の収支報告が自動化され、経営判断のスピードが上がります。

4

第4フェーズ: 設計・測量・専門領域のDX(2年目以降)

BIM対応やドローン測量は導入・習得コストが高いため、受注案件の要件や工事規模に合わせて段階的に進めます。公共工事でBIM提出が求められるケースが増えているため、工事種別ごとに対応時期を見極めることが重要です。

規模別・建設DX導入事例

従業員10名の住宅リフォーム会社(埼玉県)

課題は「現場写真の管理と日報作成に時間がかかりすぎる」「見積もり・契約書類が紙のまま」の2点でした。施工管理アプリ(KANNA)と電子契約(クラウドサイン)を導入したところ、写真整理・日報作成の時間が1現場あたり週3時間削減されました。年間に換算すると1人あたり150時間以上の工数削減で、新規案件への対応余力が生まれています。導入費用はIT導入補助金(補助率2/3)を活用し、自己負担は約15万円でした。

従業員28名の型枠工事専門会社(愛知県)

元請けゼネコンから「日報・写真の提出をアプリに統一する」と通告されたことが導入の契機でした。現場Plus(施工管理)と、勤怠管理アプリ(ジョブカン)を同時導入。勤怠管理では2024年問題への対応として月次の残業時間を自動集計する仕組みを整備し、過去には把握できていなかった職人ごとの超過時間が可視化されました。結果として、年間20日以上の残業超過が発生していた職人3名の工程を組み替え、元請けへの報告書も自動化されています。

従業員45名の地盤・基礎工事会社(福岡県)

公共工事の受注比率を高めるためにBIM対応が必要と判断し、Revitの導入とBIM専任担当者1名の育成に着手。並行して工程管理ソフトと原価管理ソフトを整備し、工事別収支の予実管理ができる体制を構築しました。初年度の投資総額は約320万円(BIMソフト・高性能PC・研修費用を含む)でしたが、翌年度に公共工事の受注案件が前年比140%に増加し、投資回収の見込みが立っています。

DXツールの組み合わせで相乗効果を出す

個別ツールを入れるだけでなく、ツール間のデータ連携を意識すると業務効率化の効果が大きくなります。

連携パターン効果
施工管理アプリ × 勤怠管理現場入退場の時刻が自動で勤怠記録に連携。GPS打刻と組み合わせると残業管理が正確になる
施工管理アプリ × 原価管理現場の実工数データを原価に自動反映。予実管理の精度が向上する
会計ソフト × 原価管理工事別の収益データが会計に連携され、財務諸表の精度が上がる
BIM × ドローン測量測量データをBIMモデルに取り込み、現況との差分をリアルタイムで可視化
電子契約 × グループウェア契約書の承認フローをグループウェア上で管理。決裁にかかる時間を短縮

連携の起点になる施工管理アプリを選ぶ際は、他ツールとのAPI連携・CSV出力の対応状況を確認しておくことが重要です。ANDPADは外部ツールとの連携実績が豊富で、勤怠管理・会計ソフトとのデータ連携事例が多くあります。

IT導入補助金でDXツールの導入費用を抑える

建設業のDXツール導入にはまとまった費用がかかりますが、IT導入補助金(2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」として制度継続)を活用することで実質的な負担を抑えられます。

補助対象になるツールは多岐にわたります。施工管理アプリ(ANDPAD、KANNA、現場Plus等)、勤怠管理ソフト、会計ソフト、電子契約サービスなど、IT導入補助金の補助ツール一覧に登録されている製品が対象です。BIMソフトも一部が対象になるケースがあります。

補助率や補助上限は年度ごとに変わるため、申請前に公式サイトで最新情報を確認してください(※最新の登録状況はIT導入補助金公式サイトでご確認ください)。申請には中小企業・小規模事業者であることと、gBizIDの取得が必要です。

複数のツールをまとめて導入する「複数社連携枠」も設けられており、施工管理アプリと勤怠管理アプリをセットで申請するケースもあります。ベンダー側がIT導入支援事業者として登録していれば、申請手続きのサポートを受けられます。

IT導入補助金以外の活用できる補助金

建設DXに関わるツール・設備の導入には、IT導入補助金以外にも活用できる補助金があります。

  • ものづくり補助金 — 生産性向上のための設備投資・ソフトウェア導入が対象。BIMソフトや高性能PCの導入時に活用実績あり。補助上限750万円〜(特枠は上限1,500万円)。補助率1/2〜2/3
  • 省力化投資補助金 — 人手不足対応の自動化・省力化機器の導入が対象。ドローン・ICT建機の購入も対象になるケースがあります。2024年新設の新制度
  • 事業再構築補助金 — 新分野展開・事業転換を目的とする大型補助金。建設DXを新事業の柱に据える場合に活用可。補助上限1,500万円〜(特枠)
  • 地域・地方自治体の補助金 — 都道府県・市区町村が独自に設けているDX支援補助金も存在する。地元の商工会議所や中小企業支援センターで確認できる

補助金は年度ごとに制度内容が変わるため、最新の公募要領を複数の窓口で確認することを推奨します。

→ IT導入補助金の詳細な申請手順は建設業向けIT導入補助金ガイドで解説しています。

DX推進の社内体制づくり — 担当者の役割と育て方

ツールを導入しても「誰が責任者か決まっていない」「現場への展開が止まる」という状態に陥るケースは少なくありません。建設業のDX推進を継続させるには、社内の体制整備がツール選定と同等に重要です。

DX推進担当者を1名決める

最初のステップは「DX推進担当者」を1名指名することです。専任でなくてもよく、既存の現場監督・総務担当・若手技術者を兼任担当として指名するだけで推進速度が変わります。担当者の役割は以下の3点です。

  • ツールの試用・評価(トライアルを使いこなす)
  • 現場スタッフへのレクチャー・サポート
  • 使用状況のモニタリングと問題集約

DX推進担当者には、ツールのトレーニング費用(外部研修)と情報収集の時間を確保してください。月に4〜8時間程度の業務枠を設けるだけで、担当者が情報をキャッチアップしながら社内展開を進めやすくなります。

スモールチームでのPDCAサイクル

DX推進は「全社導入」を一度に目指すより、3〜5名の小規模チームでPDCAを回す方が失敗リスクを抑えられます。1現場でトライアル → 問題点を改善 → 次の現場に展開という段階を踏むことで、ツールの設定・運用ルールが実態に合った形に洗練されます。

建設業のDX先行事例では「最初の現場監督をDXの伝道師にする」というアプローチを取る会社が多く見られます。成功体験を持つ社員が他の現場への横展開を担うことで、上から押しつけられた感のある導入より定着率が高まります。

経営者の姿勢が成否を分ける

中小建設会社のDX導入事例を分析すると、成功した会社に共通するのは経営者・役員がDXに積極的に関与していることです。「ツールを入れたから後はよろしく」という放任型では現場が動きません。週次の進捗確認・問題点の共有・費用の適切な予算化を経営者が主導する姿勢が、社内の推進力を高めます。

DXツールの導入で失敗しないための3原則

ツールを入れても現場が使わなかった、という失敗例は少なくありません。導入成功率を上げるための原則を3つ整理します。

原則1: 現場の課題から逆算してツールを選ぶ

「他社が入れているから」「営業マンに勧められたから」という理由で選ぶと、現場の実態と合わないツールを入れてしまいます。「写真の整理に月何時間かかっているか」「日報作成に現場でどれくらい時間を取られているか」という具体的な課題から逆算して、解決できるツールを探す手順が定着率を高めます。

原則2: 小さく始めて段階的に展開する

全現場・全機能を一度に展開しようとすると、習熟コストが膨らみ現場が混乱します。まず1〜2現場のリーダー的な人材(現場監督や職長)に試用してもらい、使い方が定着してから横展開する方法が現実的です。スモールスタートで成功体験を積んだ人が社内普及のキーパーソンになります。

原則3: ITに不慣れな現場を前提に選ぶ

建設業就業者の平均年齢は高く、50代・60代が現場の主力を担っているケースが多くあります。操作画面のシンプルさ、文字の大きさ、スマホだけで完結できるかどうかを実際にトライアルで確かめてから導入を決定することが重要です。「使えない」という声が現場から出た場合は、ツールの問題か研修不足かを切り分けて対処してください。

→ DX導入の失敗パターンと回避策は建設業DX、なぜ失敗する?で詳しく解説しています。

建設業DXツールの全体マップ

以下は、建設業のDXツール全体像を整理した一覧です。各カテゴリの詳細比較記事へのリンクも合わせて参照してください。

カテゴリ主な製品比較記事
施工管理アプリANDPAD / KANNA / 現場Plus / SPIDERPLUS / Photoruction比較記事
BIMソフトAutodesk Revit / ARCHICAD / Vectorworks / ARCHITREND比較記事
CADソフトAutoCAD / Jw_cad / DRA-CAD / VectorWorks比較記事
工程管理ソフトANDPAD / BuildApp / ガントプロ / ConPath比較記事
ドローン測量Terra Drone / SkyLink Japan / senseFly比較記事
安全管理アプリSafie / 現場安全ラボ / SHEリスク / Repsona比較記事
勤怠管理アプリジョブカン / freee人事労務 / 勤怠コレクター比較記事
原価管理ソフトアイピア / BizIntegral / iE工事比較記事
給与計算ソフトマネーフォワード / freee / ジョブカン給与比較記事
会計・財務ソフト弥生会計 / freee / 建設大臣 / JDL IBEX比較記事 / 財務
電子契約クラウドサイン / DocuSign / freeeサイン比較記事
グループウェアサイボウズOffice / Chatwork / Microsoft Teams比較記事

2026年版 建設業DX対応チェックリスト

以下のチェックリストで自社のDX対応状況を確認してください。「未対応」が多いほど、優先して着手すべき課題があります。

現場系(現場の情報共有・施工管理)

  • 施工管理アプリを導入し、現場写真と日報をデジタルで管理している
  • 図面をアプリで閲覧・共有でき、紙図面の持ち運びが不要になっている
  • 工程表を電子化し、変更を関係者にリアルタイムで共有できる
  • 元請けが指定するBIMデータ・デジタル書類に対応できる

管理系(労務・経理・契約)

  • GPS打刻など現場直行直帰に対応した勤怠管理が整備されている
  • 月次の残業時間を自動集計でき、上限超過をリアルタイムで把握できる
  • 工事別の予実管理(予算vs実績)ができる原価管理の仕組みがある
  • 工事請負契約の電子契約に対応している

組織・体制

  • DX推進担当者(兼任でも可)を指名している
  • IT導入補助金など活用可能な補助金を把握し、申請経験がある
  • DXツール導入の費用対効果を測定する指標(時間削減・エラー件数など)を設定している

すべての項目が整っている必要はありませんが、特に「2024年問題対応(勤怠)」「元請け要件(施工管理・BIM)」は2026年時点で対応できていないと受注機会に直接影響するため、優先度を高めることを推奨します。

よくある質問

よくある質問

建設業のDXは何から始めればいいですか?
最初に着手すべきは施工管理アプリの導入です。写真管理・日報・図面共有の効率化は全規模の建設会社に共通するニーズであり、投資対効果も比較的測りやすい領域です。IT導入補助金を活用すれば初期費用を抑えて始められます。
建設業のDXツールは中小企業でも使えますか?
はい、従業員5名程度の小規模建設会社でも使えるツールが多くあります。クラフタやテラ施工管理のように完全無料で使えるものもあります。KANNAや現場Plusは月額費用が抑えられており、IT導入補助金の対象でもあります。
BIMは中小建設会社でも必要ですか?
現時点では、公共工事への依存度が高い会社を除いて、すぐに必須というわけではありません。ただし国土交通省が2026年からBIMによる図面審査を開始しており、2029年にはBIMデータの提出が義務化される見通しです。公共工事の比率を高めたい場合は、早期の対応を検討してください。
複数のDXツールを同時に導入するのは難しいですか?
一度に多くのツールを導入しようとすると現場が混乱するため、段階的な導入を推奨します。まず現場系ツール(施工管理アプリ)から始め、現場に定着した後に管理系ツール(勤怠・原価・会計)へと展開するロードマップが定着率を高めます。
IT導入補助金はどのDXツールに使えますか?
施工管理アプリ・勤怠管理・会計ソフト・電子契約サービスなど、IT導入補助金の補助ツール一覧に登録されている製品が対象です。年度ごとに対象ツールが変わるため、導入前に公式サイトで最新の登録状況をご確認ください。

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